大学院生の研究道程
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研究会例会の情報

近江貝塚研究会例会の情報です。
第137回近江貝塚研究会のご案内
いつもお世話になっております。
第137回近江貝塚研究会につきましてご案内いたします。

万障繰り合わせの上、ぜひともお越し下さい。
また、お知り合いや、まわりのみな様、お弟子さんなどにご案内いただけますと幸いです。


■■  例会のご案内  ■■

■日時:3月26日(土) 午後1:30~午後6:00

■場所:滋賀県埋蔵文化財センター 2階研修室
    1)JR琵琶湖線 瀬田駅(普通列車のみ停車) 下車
    2)駅前ローターリー発 帝産バス
      「文化ゾ-ン・滋賀医大行き」乗車10数分
    3)東大津高校前下車すぐ

■プログラム   特集  土器型式とその構造 
―― 並べるだけが能じゃない。分類の先にあなたは何を見ますか? ――


  研究報告1 稲畑 耕平 さん
「北白川下層式から船元式へ -縄文時代前期後葉、大歳山式の成立過程-」

概要 
縄文時代の西日本において、前期・北白川下層式から中期・船元式へ、という土器の大きな変化のキーポイントとなる、前期後葉の大歳山式の成立について論じます。この時期にそれまでの諸タイプが統合・再編されて船元式へとつながっていく、という過程を明らかにしたいと考えています。


 
研究報告2 井上 智弘さん
      「胎土構造からみる型式伝播」

概要
従来の縄文土器研究は、文様や器形などの外観的な属性を主たる分析対象としてきた。しかし、実際に土器の広まるプロセスを探るためには、より土器作りに基づいた属性の分析をも行う必要がある。そこで今回は、土器の胎土構造に着目し、その分析から素地製作方法を復元することで、型式伝播に迫ることを試みる。この一試論に適した検討対象として、縄文時代早期後葉に位地づけられる茅山下層式を取り扱う。この理由は、広範囲に型式が伝播したと考えられていること、胎土に大きな特徴があること(繊維を含む)の二点である。

併せて懇親会(卒業生大送別会)も開催します。
特に研究報告2の井上さんはこの春から社会人に。
盛大に送り出しましょう。

発表会情報

情報を得たのでここで報告します。

京都縄文研卒論修論発表会が行われるようです。

日時 2005年3月12日(土) 13~17時
場所 京大会館  京都市左京区吉田河原町15-9
℡075-751-8311(代)
発表者(50音順/予定)
稲畑航平「縄文時代前期 大歳山土器の成立と変遷-近畿地方の様相を中心に-」(京都大学)
上峯篤史「縄文時代早期の両極打法-奈良県鵜山遺跡第2次調査出土石器群の分析を
基に-」(立命館大学)
長田聡子「縄文時代の狩猟-考古学・民族誌からみた落とし穴-」(天理大学)
納屋内高史「東海・北陸における錘具の様相について」(立命館大学)
土谷崇夫「縄文前中期における富山産蛇紋岩製磨製石斧の流通」(立命館大学)
船築紀子「金山産サヌカイトの板状石材流通と弥生社会」(奈良女子大学)

       
以上


(連絡先)立命館大学学芸員課程資料展示室 矢野健一
       ℡:075-465-1111(代)

道具の機能(4)

道具の機能や使用方法については、使用痕跡の観察や実験から、科学的分析を行うことで、機能の解明するというものがあります。出土状況が道具利用の痕跡の反映という前提から道具の用途を求めるという方法が使われているようです。現在では実験考古学という分野もあります。現在では石器については使用痕分析からの研究への賛同が多いようです。石器研究では特にみられると思います。ただ、使用痕分析についてもタフォノミーとの関係を考慮すると、石器の傷も一概に使用痕跡と判断することが難しいそうです。前途多難というわけですね。


 

道具の機能(3)

2つ目の考えには、民族モデルからの検証があげられるだろう。
民族事例から、道具の機能・用途を明らかにし、道具利用における背景を明らかにすることで道具利用モデルを形成し、考古遺物の状況とその背景から、考古遺物の機能・用途を求める方法である。この考え方は数多くの研究者が有効な研究方法として利用しているが批判しているものも数多い。
ひとつに、民族事例において都合のよい情報だけを用いて、考古遺物の機能・用途について、判断することは、主観的判断に過ぎないとされる意見である。
一方、民族事例から求められるモデルが、考古遺物に適応させることが困難で、研究方法自体に問題があるとする意見である。それは、民族事例における人々の生業、生活環境、社会組織、宗教などにおいて研究対象となる集団にすべてが対応するわけではない。従って、民族モデルが必ずしも有効でないとするものである。

確かに民族事例から、機能・用途を検証することは簡単ではない。しかし、仮説の提示を行うことは重要であり、研究者の意見や解釈に主観的判断が取り払われることは、まずありえない。客観的事実に基づきモデルが形成されるのであれば、民族モデルから考古遺物の機能・用途を検証することの有効性を示すことはできるはずである。また、民族事例から民族モデルを形成することは可能であり、考古事例に民族モデルを適用させ、機能・用途を明らかにすることはできるはずである。現在では、民族考古学、土俗考古学という分野があります。


 

道具の機能(2)

道具の機能の解明方法には、主観的判断によるものがある。最もシンプルで、メジャーな考え方である。
私たち研究者のもつ類似した形態の道具の利用方法や機能から、先史時代の考古遺物の機能・用途に転写させるものである。考古遺物の形態や出土状況から機能・用途を推測している。この考え方は、研究者に主観的判断にすぎず、客観的な根拠に基づいた推測ということができないという批判が数多い。しかし、最も多いアプローチの仕方であるともいえる。

写真は、そば屋で使われる道具である。


 

遺物の機能

機能解明の困難さ
考古遺物の機能。用途の研究はかなり難しい。
なぜなら、当時の人が持った道具の使用や利用方法、そして道具の目的について見ることができない、的確な情報で確認することができないからです。先史時代(旧石器時代~古墳時代)については、文献資料からの情報もほとんどない。文献史についても六国史をはじめ多数の史誌があるのだけれど、人の生活を記載した記録はほとんどない。
つまり、道具の具体的な機能・用途を検証することは困難だというわけです。

利器、器物の機能、用途についての論説は、かなり困難である。上述したように、具体的な使用方法の確認が不可能であり、検証が困難であるためである。
それでは、どのようにアプローチするか。現在では、前提条件とされる考えに、3つほどあげられる。

 
写真は、早稲田大学博物館の荒海貝塚(縄文晩期)の出土遺物です

遺跡とパンドラの箱

遺跡への関心とパンドラの箱
遺跡って日本国民の多くに関心をもたれていて、その関心度の高さには改めて驚きをもつのは僕だけなのだろうか?この関心の高さの要因となるのは、日本列島ないに住んでいるいくつかの民族や集団が、自分たちの歴史を誇りに思い、大事にしている。物語や神話、民話でしか明らかにされていない。これらの今まで常識とされた歴史を、科学的根拠に基づいた事実によって明らかにしてしまおうという、まるで「パンドラの箱」をあけてしまうような行為をしているわけですね。
パンドラがもったゼウスからの箱への好奇心と同じようにわれ等の好奇心というのも、危険なものであるかもしれないし、当然なものなのかもしれない。
歴史を明らかにするために、モノの性格や変化の解明から、当時の人たちの生活について明らかにする。それが考古学なのでしょう。
 


遺跡が伝えるもの
遺跡には、遺物が出土している。遺物は人工物が中心だけど、間接的に人間の生活に関わった痕跡というものがあります。
人工物には、大きく分けて、利器、器物、調理具、生活具、装飾品などがあげられる。現在の考古学の研究では、利器、器物の研究がもっともメジャーなものです。形態の研究を基本とされている。製作、使用する集団の関係や集団群の持つ文化様相から、時間的な変化、地域的な関係についてもとめるという論説を表したものも数多く見られます。
その中でも、道具の機能、用途について明らかにすることはかなり難しいようです。

 

遺物の調査カードの作成

遺物データの情報整理のため、遺物調査カードの作成をしようと考えている。調査カードを京大式カードで作成しようと考えていたのだけど、遺物の情報を記述するだけだったら問題ない。しかし、図版を添付するためのスペースが必要なので、京大式ではちょっと小さい。

国立歴史民俗博物館での「土偶とその情報」研究会での土偶データ台帳が参考になりそうなので、少々考えながら、作成しようと思う。

 

遺跡の報告の入稿

昨日やっと、遺跡の報告を入稿できた。
3つの遺跡の報告をやっていたのだけど、締め切り日が昨日だった。
写真の現像で縮尺をまちがえたというアクシデントがあったものの、その辺は写真図版の縮尺の調整でどうにかうまくいった。
図版の作成は結構めんどくさい。事実記載とリンクするようにレイアウトする必要があるから。
原稿が書き終えた後が、また一苦労。読み直して文が日本語的におかしくないか、文章表現が適当かチェックしたり、漢字の変換を間違えていないか見たりするのだけど、この作業が本当に一番疲れる。プリントアウトした後、紙の上でチェックし、また打ち込む、そしてプリントアウト、そして打ち込む。その作業を5回ぐらい繰り返すと、だいぶ文章が変わってくる。
そして、提出できた。
本当につかれた。