まず、LUNKHEADとほぼ関係のない話から始める。かったるいかも知れないが通読していただいた方が、結果的に話が早い。
柳美里という作家がいる。
柳美里 - Wikipedia
実は俺は、この人がかなり嫌いである。
確か『フルハウス』『家族シネマ』あたりの2〜3作は読んだんだが、この作家は「プライベートの切り売り」をしている。「私小説作家」とも揶揄される。要は、小説の内容はほぼほぼ現実の出来事で、それも作家自身の話なのである。それはいい。が、その内容が醜悪とも取れて、正直読後感は良くない。「私小説作家」であることを知ったのは多分初読後だったと思うが、内容を把握した上で知ってしまうと本当に気分が悪い。そういう小説を書く。
処女作は『石に泳ぐ魚』で、この作品は出版差し止めを求め提訴された。友人をモデルにした登場人物を出したものの、モデルどころか個人特定されてもおかしくないレベルで詳細に書かれていたため、当の友人から訴えられたのである。そして、最高裁まで争い、作家は負けた。まぁ、処女作からそんなんでよく生き残れたもんだなぁ、という感想も出るわけなんだが。この裁判について興味のある方は下記リンク先参照のこと。なお俺自身は作品未読です(「改訂版」が出版されています)。
文学とプライバシー──柳美里 著『石に泳ぐ魚』最高裁判決──-GLOCOM
これだけならまぁ、「無頼派の系譜を継ぐ作家」と評されるくらいだから、まぁ、というところではある。よくない。
だが。
柳美里の息子
自身の息子に対する虐待をTwitterで写真まで公開し炎上、東日本大震災後にその息子を連れて関東から関西へ「逃げた」り、そのわりに現在は福島県南相馬市在住であったりと、とにかく炎上のネタに尽きない人なのである。
さらに俺が我慢できなかったのが、作中で「堕胎をすることで生を確認する」という表現をしたことである。先に買いた通り、「私小説作家」であるがゆえ、つまりこれは「現実」であろう。調べてみると、(数の真偽は不明だが)「堕胎は12回」という情報が出て来る。信じたくないが、複数回あったことは事実らしい。
ここで俺は、「作者自身の行動と、作品を切り離して鑑賞できるか」という問題に直面する。結論。無理。気持ち悪いものは気持ち悪いし、嫌いな人物が作ったものを別物として鑑賞するのは、批評家でもない俺には無理だった。
さて、ここでようやく、本題に入る。
LUNKHEAD 公式ブログ - LIQUIDROOMを売り切りたい おだか - Powered by LINE
正直ここまで動員が落ちていくと思っていなかった。
今が耐え時だよと言われても
どんなに頑張っても状況は悪くなる一方で
最近はイベンターにも匙を投げられつつあって
極め付けは
これは言わんでもいいことだけど
本当にそうなったらどうせわかることだから敢えて書くけど
昨日事務所で
このままだと直球はあと1年持たないと言われた。
この記事から始まった、「LUNKHEADが生き残るために、どうすべきか」騒動。俺もこのブログで、微力ながらと思い最新作『plusequal』全曲レビューなど書いてみたりした。周りの仲間でも、LIQUIDROOMでのライブ(ツアーファイナル)に友達を連れて行くとか、最新アルバムを聞いてもらったとか、動いている人はたくさんいた。基本的にこの動きはTwitterを中心に起こっていたので、バンド名のハッシュタグをつけるとfollowerが増えるという事態になっていた。小高さんのエゴサーチ→RTも影響していただろう。その熱量はものすごいものがあった。俺自身も6月末に心斎橋と名古屋のライブを連戦し、あまりに楽しかったのでツアーファイナル後の打ち上げ企画を立ち上げるなどした。
そして今日、2019年7月15日。LIQUIDROOMは7月19日に迫っている。チケットは完売した。当日券も出ない。
俺は、FC先行で取ったチケットを手に、ライブに行くかどうかを迷っている。
これを書いているたった今、LUNKHEADの公式LINEアカウントからブログ更新の通知があった。
LUNKHEAD 公式ブログ - LIQUIDROOMが売り切れた おだか - Powered by LINE
うん。売り切れたね。
そんな感想しか出ない。
発端は上記の打ち上げ企画だった。知り合ったファン同士でLINEやTwitterアカウントを交換して来たのだが、そうやって繋がっている、いつもだったらライブ後に一緒に呑む人たちが、参加表明をして来なかった。何か変だな。そう思った。
『LIQUIDROOMを売り切りたい』記事の後、LUNKHEADはサブスクリプション配信を解禁している。ファンからの意見によるもののようだ。俺自身は古い人間なのでサブスクを使わないのだが、「これから聞いてみたい」「昔聴いてたけど今のは知らない」層には効いたようで、チケットは売れて行った。でも、なかなかソールドアウトしない。
そして、7月3日。
例の
チケット買い占め騒動が起きる。
https://twitter.com/yz_s/status/1146414209510412289
(引用RT元が一般人であるため、晒しと取られると面倒なのでツイート埋め込みはしません。リンク先をご覧ください)
俺は当該人物に苦言を呈した。そりゃそうだろう。このツイートに書いたこともそうだが、チケット大量買いからの転売は
ダフ屋行為と変わらない(法的には正規価格より高い値段で販売した時に規制対象となる)。
正規ルートで、正規の値段で、チケットを手に入れることをこの人物は妨げている。それが「ダフ屋行為」だと言うのだ。
ここまでは俺もまだ大丈夫だったんだ。
でも。
正直、
俺はこのへんから壊れた。
バンドが(公式アカウントではないとは言え、メンバーの本名アカウントで)ダフ屋行為をスルーするの? 筋が違わない? 寧ろ諌めるなり何なりすべきじゃなかったの?
こういう時、「批判」が許されない流れになった時、見るべきは5chである。いくつかレスを引用するが、まぁぐぐればすぐ出るのでスレのURLは貼らない。
同情して、行けないけど買いましたってのは百歩譲ってまだいいとしても、買い占めたんで言い値で配りますみたいなやつまで出てきてもうね…ソールドはするだろうけどメンバーには猛省して欲しいわ
ソールドまであと100ちょっとだ!と喜んでいた小高はじめメンバーの気持ちを思うといたたまれないよ
行動に起こす前に何が本当に大事なことなのか考えてほしかった
どうにかするには、バンド側が買い取って手売りするしかねえんじゃねえのこれ…
もうライブも無いけど…
ああ、まともな人たちもいた。そう思って俺はちょっと安心し、この7月3日以降Twitter検索と5chを行き来する日々が始まった。何が正しいのか、わからなくなっていた。どうもこの買い占めをした人は古参ファンらしく、「今まで全国回って頑張ってた人だもの、支援しないと」という流れが出来上がっていて、俺にはそれも解せなかった。
古参なら何してもいいんか。
しかしTwitterは「7月19日を楽しもう」という雰囲気、5chはこうである。
ぶっちゃけローチケ買い占めた人にも一理ある
本当に大事なことだとか言ってられる状況じゃないだろ今は
まず新譜で新規ファンは増やせなかった
昔の曲はネットに流せないから当時の元ファンも呼び戻せない
古参ファンも身内への布教は済んでた上でこの現状だろう
つまりライブに来るほどランクヘッドが好きな人を今から急増させるのはほとんど無理だ
もともとブログのメッセージは
・とにかくチケットを売り切りたい
・今回だけは熱意や愛を数字に変えないと事務所もバンドも俺も死ぬ
・チケットさえ売れれば音源は買わなくていい
・事務所が許すならなんでもする
・最悪、当日来れなくても仕方ない
そうなると先に買い占めて数字を作ってからギリギリまで来場者を増やす手も当然考えられる
そういう前提で状況が動いてたのに
後出しじゃんけんで「だったら売り切れなくてもいいです」とかさすがにおかしいし
こんななりふり構ってられない状況で踏みにじるだの水を差すだの言って
一番必要な数字は生み出せない古参ファンも現実が見れてない
俺は元々、00年代からの2ちゃんねらーである。正直毎日、悶えていた。5chの言い分はもっともだ。でもTwitterの「ライブを盛り上げよう」という空気もわかる。そして、ツアーファイナル打ち上げは全然人が集まらない。
どうやら他にも、ファンで集まって打ち上げをやろうとしている人がいるようだ、という話が耳に入った。そこまではいい。同時多発的に打ち上げが開催されていたら楽しいじゃないか。行きやすい会場、好きな方に参加すればいいだけの話。でも俺はLIQUIDROOMから徒歩5分の会場を貸し切りでセッティングしていた。Twitterでの告知も毎日。なのに、俺に取って既知のファンすら連絡して来ない。7月15日現在、9名である。20名は欲しい会場なので必死だった。
その疑問はあっけなく崩壊する。
要は、他で打ち上げを企画していた人物が古参ファンだっただけだ。俺の顔を知っている人すらこっちに参加表明をして来なかったのは、単に古参に気を遣っているからではないか、ただそれだけだった。しかも俺は、チケットを買い占めた(別の)古参ファンに否定的な言葉を投げつけた人物だ。
そしてこのツイートに至る。正直俺はもうぶっ壊れてた。LUNKHEADのファンってみんなこうなのか。毎日、疑心暗鬼だった。実は他にもいろいろ面倒ごとも起きている。
するとこのツイートを見た知らない人物から、打ち上げ用に開放していたDMが届いた。これについては当然スクショなど晒せないが、要するに
「不穏な発言をしないで欲しい。新規ファンが怖がるから」ということだった。なるほど、ハッシュタグをつけるなと、バンド名を添えてそんなことを言うんじゃないと、そういうことか。じゃあ表に出ましょう。
7月15日現在、公式見解は得られていない。
そして俺は、FC先行で取ったチケットを手に、ライブに行くかどうかを迷っている。
何故冒頭で、柳美里のことを書いたか。
「作者自身の行動と、作品を切り離して鑑賞できるか」という問題が、LUNKHEADについても降りかかって来たのだ。結局のところ、ファンを作るのは作者=今回の場合バンド、である。また、そのバンドはダフ屋行為を見逃し、公式見解を求める声を無視している。
柳美里について再度調べ直したのは、昨日7月14日のことだ。そこで
「作者自身の行動と、作品を切り離して鑑賞はできない」という結論を得た。ならば、音楽に惚れ込んで遠くは新居浜まで駆けつけたほどのLUNKHEADについてはどうだ。切り離して考えられるのか、何度もメンバーとお話させてもらい、ファンとの交流も広がっている、その状況で切り離して考えられるのか。俺は、無理だわ。
今まで書いて来た流れの中で、こんなことがあった。Twitter検索をしていた時、俺と同じようにチケット買い占めについてもやもやした気分を抱えているらしき人を見つけ、Replyを送った。その人はこう言った。
「周りで当日券狙いしかできない人たちが悲しんでる」と。ギリギリまで予定を調整して、なんとか行きたいけれどまだわからない、そういう人たちがいるのだと。あの買い占めがなければその人たちも行けたかも知れないのに……と。でも、チケットはまだある。買い占めた人の手元に。
完売したけど買い占めのせいで宙に浮いてるチケットがごっそりあると思うと全然喜べない
買い占めの人、「以前から全国回ってイベントにも行って頑張ってた人だから」って
ファンの間で擁護されてるの笑う
それこそ「頑張って支えてた」人なら、買い占めしてもいいってことか?
わけわかんねえ
小高がアコフェスで手売り分売り切ったそうだけど、なんもめでたくねえ
まだ数十枚宙に浮いてんじゃんよ
「言い値で売る」というのもなぁ…
バンドに損失はないけど、価値を下げるということだからな
愛だなんだと言ってるがやってることはダフ屋と変わらない
素直に喜べないんだよなもう
長々と書いて来たが、すべて正直に曝け出した。タイトルにハッシュタグを入れたので、メンバーの目に触れることもあるだろう。古参ファンも読むかも知れない。長いけど。
7月19日の打ち上げは、中止します。参加希望をくれた人たちには、この記事のURLを添えて中止のご連絡を差し上げます。本当にごめんなさい。無理だった。こんな気分で打ち上がれないよ。
これから先、LUNKHEADを聴いて行くかは、まだわからない。なんたって今、他のアーティストの音楽も聴けない状態だから。音楽そのものが聴けずにいる。これを公開したら少しは気分変わるかな。ライブ自体についてもまだ迷ってる。おそらく、行くとは思います。ただ前には行かない、行けないと思う。最後方にいるんじゃないかな。
疲れました。
◾️追記(2019.07.15 19:10)
もしこの文章について「そうだね」と思ってくださる方がいらっしゃいましたら、LIQUIDROOMの後呑みませんか(真顔)
Twitterで
@yz_s まで連絡くださいまし。
◾️追記(2019.07.17 08:53)
交換日記です。
古いねらーなんで、5chの方に同調しがちなんですよ。その説明でしかないです。
買い占め行為について公式見解が欲しいだけです。実際、当券狙いの人が行けなくなってるので(今までの状況からして当券でもいける、と考えている人がほとんどだったんでしょう。ファイナルだけ当券なしっていうのも何かおかしい。当券枠まで売り切ったならそれも興行のやり方としておかしい)。
古参に嫉妬はしてないですね。寧ろ歴4年でも仲良くさせてもらえるんだなあ(おばちゃんなのに)と驚いているくらいで。
冒頭で作家のことを書いた真意があんまり伝わってないようで、文章力なんとかしないとなあと反省しております。流し読みされただけなのかも知れないけど。