「漫画村」元運営者に東京地裁は、約17億円の損害賠償命令を出しました。

海賊版被害を巡る訴訟で過去最大規模の金額だそうです。

 

被告には17億の支払い能力がないと思われますので、判決が確定しても全額が賠償されることはないでしょう。

しかし、高額な損害賠償が認められることで、抑止にはつながると思われます。

 

 海賊版サイト「漫画村」(2018年4月に閉鎖)で作品を無断公開されたとして、出版大手3社が、著作権侵害で実刑が確定した元運営者の星野路実元受刑者(32)に総額約19億3000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、元運営者に計約17億円の支払いを命じた。

 訴状によると、漫画村は16年2月ごろに開設され、月間最大で1億回に迫るアクセス数を記録した。原告側のKADOKAWA、集英社、小学館の3社が賠償請求の対象としたのは「ONE PIECE(ワンピース)」をはじめとする特に人気の17作品。17年6月~18年4月に推計されたサイトアクセス数と、17作品の単行本の販売価格を掛け合わせて損害額を算定した。

 

出版社側によると、漫画村は①手作業でサイトのサーバーに画像をアップロード②第三者がアップした画像をサイト内で閲覧可能な状態にする――という2つの手段で海賊版を掲載していた。

元運営者側はシステム開発などを担っただけだとして①への関与を否定する。②についても画像ファイルは漫画村のサーバー内に保存されておらず、第三者がアップした画像に誘導する「リーチサイト」と同様の仕組みだと主張。リーチサイトが禁じられたのは改正著作権法が施行された20年のため、法改正前の行為は違法にならないと反論している。

元運営者の男性は19年に著作権法違反容疑で逮捕・起訴された。福岡地裁で懲役3年などの実刑判決が言い渡され、控訴せず確定。服役後の23年、無罪を訴えて同地裁に再審を申し立てた。

 

発明推進協会の新刊です。

第5版は8年ぶりの改定のようです。

 

第5版では、マルチマルチクレーム制限や分割出願審査中止などの最新の法改正事項、発明の単一性及びシフト補正の例示、新たな重要判決例、外国語特許出願、外国語書面出願などに対応したそうです。

 

「特許出願の中間手続に特化した日本で唯一の書籍」  経験豊富な実務者にも御満足いただける諸制度の解説と、初学者にも分かりやすい具体的な参考例をふんだんに盛り込み、特許出願の中間処理に関する実務を徹底解説しています。マルチマルチクレーム制限や分割出願審査中止などの最新の法改正事項、発明の単一性及びシフト補正の例示、新たな重要判決例、外国語特許出願、外国語書面出願など、著者の知識や経験、ノウハウの全てを網羅した、正に「基本書」です。

特許庁と経済産業省がオープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver2.1(大学編)解説パンフレット及びマナーブックを取りまとめました。

 

前者は大学関係者が知っておくべき基本的な内容をインプットするための資料、後者は大学、事業会社、スタートアップで知財を担当する方が、各々の立場でオープンイノベーションを実践することに加え、パートナーの状況を理解するためのコンテンツとのことです。

 

オープンイノベーションによる革新は必要なことだと思いますが、現実に国の競争力強化につながっているのでしょうか。

その点、疑問を感じることもあります。

 

特許庁と経済産業省は、「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書ver.2.1(大学編)」の解説パンフレット、及び大学と事業会社・スタートアップが連携する際に意識すべきポイントを整理したマナーブックを取りまとめました。本解説パンフレット及びマナーブックは、オープンイノベーションの場での良好なパートナーシップ構築のために御活用いただけます。特に、大学の知財を活用したいと考える大学関係者にとっては必読の内容です。

1.経緯

特許庁と経済産業省は、従来の常識とされていた交渉の落とし所ではない新たな選択肢を提示した、「オープンイノベーション促進のためのモデル契約書(以下、「OIモデル契約書」)」の大学編の改訂を行い、2023年5月に「OIモデル契約書ver.2.1(大学編)」を公表しました。この改訂後も日本の産業競争力の強化の観点において、大学の知財を活用したイノベーションの重要性がますます高まってきていることを受け、OIモデル契約書の考え方をより広く知っていただくとともに、これを一層活用いただくための手法について検討してきました。

2.「OIモデル契約書ver.2.1(大学編)」解説パンフレットについて

既に公表済みの「OIモデル契約書ver2.0解説パンフレット」(新素材編)及び(AI編)に続き、「OIモデル契約書ver.2.1(大学編)」の要点を初心者向けにわかりやすく解説した「OIモデル契約書ver2.1解説パンフレット」(大学編:大学・大学発ベンチャー)、及び「OIモデル契約書ver.2.1解説パンフレット」(大学編:大学・事業会社)の2つを作成しました。
本解説パンフレットは大学と事業会社・スタートアップのオープンイノベーションを推進していくにあたって、その手始めとして、特に、大学関係者が知っておくべき基本的な内容をインプットするための資料として想定しています。
また、該当する「OIモデル契約書ver.2.1(大学編)」本編と一緒に参照することで、さらに理解を深めることができます。

3.「オープンイノベーション促進のためのマナーブック」について

既に公表済みの「事業会社とスタートアップのオープンイノベーション促進のためのマナーブック」に続き、大学と事業会社・スタートアップが連携する際に意識すべきポイントを整理した「大学とスタートアップのオープンイノベーション促進のためのマナーブック」及び「大学と事業会社のオープンイノベーション促進のためのマナーブック」の2つを作成しました。
本マナーブックを取りまとめるにあたり、オープンイノベーションの現場を数多く経験してきた大学の産学連携部門・知財部門、事業会社、スタートアップ、弁護士・ベンチャーキャピタルの方々との徹底的な議論を行い、最重要かつ実践的なポイントに絞った内容とすることに努めました。特に、大学、事業会社、スタートアップで知財を担当する方が、各々の立場でオープンイノベーションを実践することに加え、パートナーの状況を理解するためのコンテンツとしても御活用いただくことが可能です。

日経XTECHに「2023年の特許出願は30万件超、これは良い兆候かもしれない」という記事が掲載されています。

 

2019年以来、4年ぶりに30万件を超え、2022年より1万件以上増加し、2023年に増えたのは(PCT以外の)国内出願とのことです。

特許出願数が増えるということは、技術開発が活発になったということなので、良い傾向と思います。

 

ある知財専門家の「量の方が大事なのは明らかなのに、質が重要だと弁理士や企業の知財部員さえ思い込んでいる」というコメントもその通りかと思います。

 

国内出願数が増えたのは、ソフトバンクによる生成AI関連技術の大量出願が原因です。

9月までに1万件以上を出願しています。これから、この何割かがPCTなどで外国出願もされるのでしょう。

 

なお、このXTECH記事では、出願数を増やすために、AIを使って書類作成や翻訳などを行うことを勧めているように読めます。

しかし、重要なのは見かけの出願数を増やすことではなく、技術開発を活発化させることです。これが本質です。

 

生成AIを使って、矛盾だらけの出願や、技術的な意味の薄い特許出願をいくらしたところで、我が国の発展には結びつかないでしょう。

 

 4月18日は「発明の日」であるとご存じだろうか。1885年(明治18年)4月18日に現・特許法の前身の「専売特許条例」が公布されたことを記念し、1954年に通商産業省(現・経済産業省)が制定した。特許庁では発明の日に際して、ポスターや動画などを公開している。

 発明の日を制定した目的は「特許制度をはじめとする産業財産権制度の普及・啓発を図ること」。そこで、今回は特許について考えた。ちょうど2024年3月末に特許庁が2024年版の「特許庁ステータスレポート」を公開した。同レポートは、特許に関する1年間の国内外の統計情報や、特許庁の政策の成果をまとめたものだ。同レポートを基に2023年の特許動向を探った。

 

4年ぶりに出願件数30万件超え
 2023年の特許出願件数(出願日ベース)は3年連続で増加し、2019年以来、4年ぶりに30万件を超えた。2022年より1万件以上増加した。今回の出願件数の増加は、今までと事情が異なる。これまで増えていたのは主に国際特許出願だ。しかし、2023年の国際特許出願は7万5600件で、2022年から横ばいだった。2023年に増えたのは国内出願(国際特許出願を除く特許出願)だ。2022年から1万件以上増えた。

 

 2022年まで国内出願は減少傾向にあった。2013年は約27万4000件だったのに対し、2022年は約21万4000件と、10年間で約6万件減少していた。

 2023年に国内出願が急増した理由は何か。特許庁に問い合わせたところ、出願件数が増えた分野は情報通信分野だった。同分野には、技術進歩が著しいAI(人工知能)が含まれている。ただし、国際出願ではなく国内出願が増えた理由については同庁もまだ分からないという。


 国内出願が増えた理由の1つとして考えられるのは、中小企業による出願の増加だ。日本の中小企業による特許出願件数の推移について、2024年版のレポートには2022年の実績までしか記載されていない。ちなみに、2022年は約3万9600件で、2021年から約1800件増だった。最近の特許庁は中小企業やスタートアップの支援に積極的だ。同レポートにもスタートアップの支援について多くのページが割かれている。中小企業やスタートアップの特許出願増が全体の出願増に寄与した可能性はある。

 

ソフトバンクグループ(ソフトバンクG)の孫正義会長兼社長は10月4日、グループの年次イベント「SoftBank World 2023」の講演に登壇し、企業の7割超が生成AI(人工知能)の活用を禁止(もしくは禁止を検討)している日本の現状に対して、「どうなっているんだ日本は。使っていないだけならまだしも、禁止しているという状況は甚だ問題である」と苦言を呈した。

また、同社グループ全体で生成AI関連の特許をここ数カ月で1万件以上出願していることも明らかにした。

TACによる弁理士口述試験の一問一答集 第9版です。

 

過去の口述試験の本試験問題を徹底分析して、構成されており、口述試験で「何が問われ」「どう回答すればよいか」という観点から分析されており、万全の口述試験対策を行うことができる構成とのことです。

 

本書は、弁理士試験の口述試験対策を行っている方へ向けた「口述対策の一問一答集」です。
過去の口述試験の本試験問題を徹底分析して、構成されています。

弁理士試験の口述試験は、かつては合格率が90%を超え、「落ちない試験」だといわれてきましたが、その後、合格率が大幅に低下し、かなりの難化傾向が見られました。平成27年以降は再び合格率が上昇しているとはいえ、口述試験に向けた対策を十分にしていないと安心できない試験になったといえます。
そのため、合格のためには、的確な口述試験対策が求められています。

本書は、弁理士口述試験で「何が問われ」「どう回答すればよいか」という観点から分析されており、万全の口述試験対策を行うことができる構成です。

本書を利用することで、弁理士・口述試験に向けた学習をぜひ効率よく進めてください。

先週4/8ですが、読売新聞グループ本社と日本電信電話株式会社が、生成AIに関する現状認識と課題、論点をまとめた「生成AIのあり方に関する共同提言」を発表しました。

 

「現状では人間はこの技術を制御しきれない」とし、技術および法律も用いての生成AIの「規律」が必要という内容です。

 

その理由としては、結果に対する正確さを担保しきれない一方で、人間が安易に利用・理解できることから、生成AIが自信たっぷりにウソをつき、人間があっさりとだまされる状態に陥りやすいとして、ハルシネーション(幻覚。生成AIが事実でない「もっともらしいウソ」を回答すること)やバイアス、権利侵害、生成物の判定の困難さなどを課題の例として挙げています。

 

さらに、これまでジャーナリズムやアカデミアが担ってきた、正しい情報を丹念に整理し、正確かつ価値のある情報を提供することで何らかの報酬を得る、という情報流通のインセンティブが崩壊する可能性があると指摘しています。

 

生成AIが自信たっぷりにウソをつき、人間があっさりとだまされる状態に陥りやすいということに同意します。

それに、自分が知らないこと、できないことを生成AIに尋ねても、満足ゆく返答のない場合がほとんどです。

 

生成AIは自然言語によりプログラミングの専門知識がない人間でも操作しやすいことから、過大評価されているのだと思います。

生成AIを規制すべきかはともかく、総じて同感できる内容です。

 

 読売新聞グループ本社と日本電信電話株式会社(NTT)は4月8日、生成AIに関する現状認識と課題、論点をまとめた「生成AIのあり方に関する共同提言」を発表した。「現状では人間はこの技術を制御しきれない」とし、技術および法律も用いての生成AIの「規律」が必要であるとしている。

 現状認識では、生成AIの利点として、自然言語によりプログラミングの専門知識がない人間でも操作しやすく、人間が直感的に理解できる表現で結果を提示することを挙げている。また、入力と出力の検証が比較的容易な「要約」について有効性が高いため一定の生産性向上を期待でき、インターネット経由で提供されるため世界中で利用できることも利点だとしている。

 

 課題としては、結果に対する正確さを担保しきれない一方で、人間が安易に利用・理解できることから、生成AIが自信たっぷりにウソをつき、人間があっさりとだまされる状態に陥りやすいとして、ハルシネーション(幻覚。生成AIが事実でない「もっともらしいウソ」を回答すること)やバイアス、権利侵害、生成物の判定の困難さなどを課題の例として挙げている。そして、これまでジャーナリズムやアカデミアが担ってきた、正しい情報を丹念に整理し、正確かつ価値のある情報を提供することで何らかの報酬を得る、という情報流通のインセンティブが崩壊する可能性があると指摘。これらについて「現状では人間はこの技術を制御しきれない」とまとめている。

 以上から、技術と法律の両方で、生成AIを規律する必要があるとする。AIの技術そのものはすでに社会に不可欠な存在だとしながら、「生成AIをこのまま野放しにすると、人間同士の不信をあおり、真正性・信頼性を担保するインセンティブがなくなり、社会全体の信頼が毀損される可能性がある。最悪の場合、民主主義や社会秩序が崩壊し、戦争等が生じることも懸念される」と、そのリスクを懸念し、次の3つの論点を挙げている。

INPITのIP ePlatで、令和6年4月コンテンツリリースとして国際知財司法シンポジウム2023がリリースされました。

 

日本、インド、大韓民国、シンガポール、タイ、中華人民共和国、ベトナム等のASEAN諸国の裁判官、弁護士、審判官が参加し、アジア各国及び日本における審判制度や知財司法制度への理解を深めることができるコンテンツです。

 

令和6年4月 リリースコンテンツ

(4月15日更新)

国際知財司法シンポジウム2023

本動画は、2023年10月17日(火)から19日(木)の3日間にわたって開催された、国際知財司法シンポジウム2023のアーカイブ動画です。7回目となる今回のシンポジウムには、日本、インド、大韓民国、シンガポール、タイ、中華人民共和国、ベトナム等のASEAN諸国の裁判官、弁護士、審判官が参加しており、この動画では講演やパネルディスカッション等、多岐にわたるセッションの様子をご視聴いただけます。アジア各国及び日本における審判制度や知財司法制度への理解を深めることができるコンテンツとなります。セクション毎に動画を分割していますので、関心のあるトピック・テーマに絞ってのご視聴も可能です。
ぜひご視聴ください。

※IP ePlatをご利用の際は、ポップアップブロックを解除してご利用ください。
ポップアップブロック解除に関するご案内はこちらをご確認ください。

[最終更新日:2024年4月15日]

3月に敦賀まで開通した北陸新幹線を使って、福井へ行ってきました。

終点の敦賀と迷いましたが、見どころの多い福井市を選択。

 

金曜日の夕方新幹線に乗り、土曜日の夜戻るという弾丸ツアーですが、新幹線が開通したからこそできる旅です。

関西方面や東海方面からは乗り継ぎが不便になったという声もあるようですが、首都圏からは確実に利便性が増しました。

 

ただ、往復とも福井や金沢の乗客は多くなく、北陸新幹線の主な利用客は長野と富山のようです。

元々関西との文化的なつながりが強い地域で、首都圏からは小松空港も利用できることから、福井や金沢の新幹線利用はそれほど多くないのかもしれません。

 

首都圏からの観光客受け入れは、これからなのでしょう。

 

福井駅前。駅前には恐竜のレプリカが多数あります。

福井城跡にある福井県庁。昔の感覚では知事は大名なのでしょう。

レンタカーで恐竜博物館へ。

続いて永平寺へ。苔が美しい。修行中の僧侶もいました。

絶壁で有名な東尋坊へ。

トビが観光客の食べ物を狙っています。

技術情報協会の大型本です。

 

後発だからできる市場総取りの新戦略を開示し、経営層も思わず頷く、参入計画、戦略の立て方、勝ち筋の見出し方を教えるとのことです。

 

しかし、経営は知財や技術、法律だけで成り立っているわけではありません。

知財も大切ですが、生産や財務経理、営業も同じように重要です。

 

経営陣が知財を理解しないなどと言う方もいますが、本当に重要なことは経営者は聞き入れて、そして取り入れます。

 

厳しいようですが、もし経営者に話を聞いてもらえないのであれば、その話があまり重要ではない、あるいは経営者から話を聞くに値しない人物と思われている可能性もあります。

 

●発 刊 : 2024年3月29日
●体 裁 : A4判 490頁
●定 価 : 88,000円(税込)

●執筆者 : 53名

★後発だからできる市場総取りの新戦略!市場の構造変化を的確に捉え新しい競争領域の覇者となれ!

★経営層も思わず頷く、参入計画、戦略の立て方、勝ち筋の見出し方教えます!!

■ 目 次
第1章 後発参入におけるメリットとデメリット
第2章 後発参入で勝つ為の情報収集と分析の仕方
第3章 自社技術の棚卸しとコア技術の横展開による市場への後発参入
第4章 後発参入で勝つ為のマーケティング戦略の立て方とその進め方
第5章 後発で勝つための知財戦略の立て方とその進め方
第6章 後発参入におけるIPランドスケープの活用と事業戦略立案
第7章 後発参入でも勝てるビジネスモデルの作り方とその提案方法
第8章 後発参入で勝つ為の経営層、反対勢力への説明と納得できる根拠の示し方
第9章 経営層からみた後発参入におけるGO/STOPの判断基準
第10章 後発から市場へ新規参入した企業の取り組み、成功事例

■ 本書のポイント
◆先行企業を打破する方法は必ずある!
               後発参入を成功させるための着眼点、勝てる戦略の立て方!!
1.参入市場の成熟度、適切な参入のタイミングとは!
2.既存事業で培ったコア技術を他の市場に横展開し席捲するには!
3.先行企業のビジネスモデルとどのように差別化するか!
4.参入障壁となる障害特許網の破り方、攻略の仕方とは!!
5.パテントマップを活用した自社が勝てる技術&知財戦略の立案!
6.先行競合品がある場合でも事業化できる戦略の立て方とは!

7.経営陣や事業部門に事業参入分析をどのように伝え納得してもらうか! 8.経営層からGOサインを得るための高い実現性、根拠の伝え方!
9.先行企業の技術、用途、ビジネスから情報を得る方法とは!

2024年4月1日より、ニデック(日本電産)の社長がソニー出身の岸田氏に交代しました。

岸田氏はニデックの副社長でしたが、社歴2年強です。

 

三たび、有名企業出身者を社長へ据えることになりました。

 

そして、永守氏は新体制発表に伴って代表権を返上するはずでしたが、海外のM&Aには代表権が必要という理由で代表取締役に留まりました。

 

ニデックは永守氏が創業した会社です。

社長が創業メンバーの小部氏から岸田氏へ交代しただけで、何も変わってないように見えます。

 

ニデックは指名委員会を作り、永守氏の一存でトップを決められないようにしたと言っています。しかし、創業者が社長へ無理難題を押し付け、辞任させることは可能です。

 

むしろ、「業績不振は全て自分の責任だが、自分の会社なのだから、死ぬまで代表取締役会長を続ける。」と宣言したほうが、他人へ経営責任を押し付けるよりも、堂々としていて良いように思えます。

 

 ニデックの長年の課題だった後継者問題は決着するのだろうか。2月14日、4月1日付で副社長の岸田光哉(64)が社長に就く人事を発表した。最高経営責任者(CEO)の座も、創業者の永守重信(79)から岸田に譲る。

 永守は今後も代表権を持ち、新設されたグローバルグループ代表として成長の要となるM&A(合併・買収)を主導する。
 永守の番頭を自任する社長の小部博志(75)は代表権のない会長になった。後継者問題は今度こそ決着を見るのか。

 

 

 一流企業のエリートを引っ張ってきて後継候補に据えるという手法は、これまでのやり方とまったく変わらない。


 昨年3月の時点では「新体制発表に伴って代表権を返上する」と言明していたが、この約束を完全に反故にし、永守は代表権を持ち続けることになった。これではニデックの表紙はまったく変わらないことになる。「海外のM&Aには代表権が必要」というのが代表権を持ち続ける理由だが、説得力に乏しい。ニデックのドン、永守体制は不変なのだ。

「業績を上げてくれ。株価を上げてくれ。言いたいことはそれだけだ」としているが、思い通りにいかなければ、いつでも強権を発動できる。

 

 永守重信グローバルグループ代表の現状を一言で言うなら、カリスマ経営者が自動車メーカーのEV(電気自動車)シフトを読み違えて大きくつまずいたということだろう。

 1月24日に2024年3月期の第3四半期決算(国際会計基準)を発表。これに併せて24年3月期通期の売上高を2兆3000億円(前期比2.5%増)と従来計画比1000億円上方修正する一方、営業利益は同400億円減の1800億円(同80.1%増)、純利益は同300億円減の1350億円(同3倍増)に下方修正した。2年ぶりに最高益を更新することもなくなった。

 

 

 創業者は焦っている。株価(4月9日終値6157円)を昨年高値の8706円(23年7月24日)に戻すことだ。客観的に見て、経営者(=永守)の信用が失墜してしまった今は、この目標の達成はかなり難しい。

 会員制情報誌は「岸田はイーアクスルの後始末のために据えたのではないか」との外部の声を拾っているが、永守の胸の内は誰も知らない。