Aircraft Makers official blog(old)

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東京理科大学野田キャンパスにある鳥人間サークル『Aircraft Makers』の旧公式ブログです。

Amebaでブログを始めよう!
久しぶりです。飛鳥を作っていた者どもです。
このブログはこのブログでしか伝えられないこともあると思い、残しておきました。



お正月のことです。
年明けにN田君からメールがきました。
 N田君「ではそろそろ」
 僕 「うむ」

気が付けば僕たちは軍手をし、野山にまじりて竹を取りつつ、手早く解体。
目的は一つ、「角松をつくろう」
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材料はほとんど自然のものなので、探すのは簡単でした。

ガンガン作っていきます。夜な夜な。人目につかないところで。
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どーん
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サイズ?
僕の身長が2mくらいなんでまあ、それ以上かなと。
OBから現役へのプレゼントです。まあ、お正月というのはおめでたいので月並みですが。

実は、左右でそれぞれ製作テーマが違っていて、わかるやつにはわかる風情のあるものになりました。使用も本格的だったりします。




おまけ

竹林にて
 N田君「あれ切ろうよ」
 僕「かぐや姫いないかなー」
 ktt君「…」

そして竹を伐採中にふと思いつきます。
「これで料理できるんじゃないか?」
よろづのことに使えるわけです。試すしかないですね。

とりあえず、ご飯を炊こうじゃないか!
ということで飛鳥代の新年会で実験。失敗したら当然飯抜きです。

新年会はktt氏の自宅で行われました。


まず、適当に竹を割ります。
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新潟人の監修の下、中に米を入れて水を引き、蓋をします。
そして火にかけました。蓋は完成まで開けてはいけません。
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すると竹が焦げ始めたのでホイルを巻きます。
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魚焼き器をはさむとあまりにも熱が伝わりにくい。


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ミニ門松を1つ作っても一向に炊き上がりません。


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ならばこれではどうだと謎装置。しかしまだ炊き上がらない。


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めんどくさいのでぶち込みました。
途中でアルミが融点を迎えましたが気にせず、冷静に溶けたアルミを取り除きます。


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原点回帰で結局直火。やがて沸騰がやみました。


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どうかなー…


ぱかっ
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一同「おおおー」
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非常においしかったです。炊き具合は完璧!炊き立てでほっかほか!
魚も裏で焼いていたので、併せてたべました。
各々の帰省時のお土産も持ち寄ってわいわい。
みんなの分のコップも作っていきました。
コップのサイズがその人の器に比例しているとの噂も…。



書きたいことはいろいろあるのでちょくちょく更新していきます。

飛鳥の水平尾翼は、上下非対称型のDFタイプでした。
さらに二枚の主翼による揚力バランスを取る必要があります。

つまり、主翼の揚力量を調整するのが必要なだけではなく、
3枚の翼の揚力バランスを取ることがまず第一に必要なプロセスとなります。

そのため、TF実施までの調整とその順番は次のような手順でした。

 1. 主翼を二枚とも同じ迎角で取付け、水平迎角ゼロ固定で滑走試験
 2. 揚力の総量と前後バランスを仮確認、迎角調整
 3. 確認滑走、ギリギリ頭が浮く程度に
 4. 水平尾翼を0度~ゼロ揚力角の範囲内で調整し、水平に浮くように
 5. 揚力の総量を確認、迎角上下
 6. 前後バランスを調整、水平を調整
 7. 距離飛行へ


今回はグラウンドTFで主翼迎角の調整はほぼOKとなっていました。
当日は水平の位置を再現できればバランス良好、のはず。

VGなしでギリギリ浮く直前まで調整されていたので、
VGの有無による空力特性の比較も兼ねていました。

1/1風洞がないので定量的な観測はもとより不可能ですが、
24年前のMITLLのような軍事研究でもないので、定性的な観測で必要十分。
VGに関しては、効果がポジティブなことは既知というのもありましたが。


利得と抗力増加の関係がデータ化できると理想的な研究になりますが、
スポーツの側面を持った人力機でそこまでの研究となると
利益も社会貢献もない以上、設備投資的に非常に難しい。



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さて、
水平を下げに切りに切って、ほぼゼロ揚力角か
という状態で軽く加速してみることに。

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これでも頭上げなら、主翼迎角を下げるかなという程度の見込みでした。
ふわふわ浮いちゃってるんだから先に下げたらよかったのですが、
複数回のGTFで調整してある迎角であるということと、
VGの効果がせいぜい数%程度という予測値のために行動が遅れていました。



ペラ回転開始、
カウントダウン
3.2.1.スタート!


えいっ。
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ぶわっ
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わわっ
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すでに減速開始しているも、後縁失速せずにさらに上がる
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わりとトンでもない角度。

そしてこの高さからの落下。


.
.





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垂直落下式パワーボム炸裂!












タイヤ全損、
コクピットポロリ
第一翼右翼桁破損、
第二翼マウント軸破損、
リブ数枚が粉々。
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現地修復は不可能。
衝撃の割に少ない破損ではあるものの。


あまりに痛い失敗。


800mの滑走路の50mくらいしか使ってない。
でも、もうこれでおしまい。



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修復してもう一度やれば、というのはあっても、
もう次の機体がはじまってますので、悔しいけれどProject飛鳥は終了。

飛鳥(破損)はそのまま下の代にプレゼントすることになりました。
バラして好きに使ってくれい。






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今回の機体で、技術的な意味での挑戦はある程度の成功をおさめました。
乱流境界層制御、VL制御、多翼機体の設計法確立、構造設計の一新、などなど。

けれど、飛行までを含めた全体の目標の達成度は60%程度でしょうか。
TFの回数が全然こなせてないことを見ても、中途半端な結果になってしまいました。
資金マイナスからのスタートなど深刻な障害の多い代でしたが、
あと一歩で結果を残せたと思うと悔しさが募ります。

ただ、興味深い結果もいくつか得ることができました。


◆多翼機体にすることで、翼面荷重が小さくできた。

抗力・必要パワーの増加がありますが、短スパン・小型化が容易でした。
これは多翼化による重量増加を、翼面拡大が上回っていたことを示しています。
飛鳥は若干余裕を持たせた機体であったので中スパン機ですが、
おそらくさらに極化させていくと、アクロバット機のような状態が指向されます。
抗力比増加と小型化による必要パワー削減の平衡点がどこに来るかによりますが、
もしかしたら新しいスタンダードを模索できる可能性があるのでは、
という印象を持つ設計特性でした。


◆上下非対称集中積層による桁設計

桁構造部の軽量化のために、上下非対称の集中積層を行いました。
結果として十分な強度を持ったままの軽量化に成功。
とはいってももともとが軽いCFRP、あまり大きな重量削減には
なりませんでしたが、試みとしては十分すぎる効果を得ることができました。


◆機体重量の削減=接着剤の削減

ACMは過去8年にわたって重量増加を抑えられずにいました。
今回、前年機体から概算で10kg程度の軽量化をしましたが、
そのほとんどが翼の接着剤とテープでした。
熱接着熱収縮フィルムを使って構造をラッピングすることで
強度と重量削減を両立させ、強い翼を軽く作ることができました。


◆VGの効果、翼端板の効果

乱流境界層制御とVL制御を目論んだデバイスは、
当初予測していたよりも高い効果を示していました。
効果があまり大きくなく、取り付けるか悩むだろうと
予測していたのですが、デバイスの有無によって
機体の挙動に影響が出るほどの大きな効果を生み出していました。

ではこれが良いのかというと、たとえばVGに関していうと
抗力増加がどのくらいであるのかを正確に知ることは難しいので、
これはひとつの実験例という域をまだ出ていません。
明らかに剥離抑制、揚力増大傾向があるのは分かりましたが、
むしろ抗力増大が自明であることを考えると、
層流境界層制御、≒推力偏向あたりを狙ったほうが有利ではないか
というのが設計と担当の結論でした。


◆人力飛行機の新しいステージへの挑戦

飛鳥の設計思想そのものが、ダイダロスコピーへのアンチテーゼであり、
鳥人間のマンネリ化と焼き直しへのアンチテーゼであり、
多翼機に対する先入評価へのアンチテーゼでした。
もちろんそれは対立しようとか攻撃しようという意味ではなく、
自分たちが機体を作ろうというとき、安牌を捨ててでも
新しいことに挑戦をしたいという指向の具体化でした。

野心的な目標を定めてそれに挑戦し、あと一歩まで来ておいて
最後に判断ミスで大失敗というあまりに残念なチームでしたが
この挑戦を選択したことは大きな一歩であったと思っています。

願わくば、思想的な意味での後続が増えてくれると。




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私たちは4月の時点で、次年度代へ資料と技術・ノウハウと
組織および資金を残すというフォーカスにシフトしていました。
その中でも、自分たちの機体に自信を持って制作をし、
いったいどれだけのものを後輩に残せるだろうか、ということばかりを
夜通し部室で話したことが思い出されます。

いま、その後輩たちが懸命に彼らの機体を作り上げようとしています。
その姿を見ると、早く自分たちを大きく超えていってほしいという思いと
きっとさっさと超えられてしまうんだろうなという思いに
少し複雑な感情をおぼえてみたり。

ガンガン飛ぶ機体を見せられなくてごめんね。





おしまい。



.
Twitterアカウントなどでアナウンスをしていましたが、
ACMの公式HPも代替わりいたしました。

東京理科大学鳥人間サークル Aircraft Makers 公式ウェブサイト
http://acm9.web.fc2.com/index.html

こちらからアクセスできます。


このアメーバブログは、2012年引退の代を中心に
まだ少し更新されていきますが、徐々にフェードアウト予定。

今後もACMをよろしくお願いします。




午前4時半ころに組み上げも終わり、日の出を待って滑走からのスタート。

2枚の主翼間の距離よりも第二翼と尾翼の間のほうが短いという、
私たちには見慣れたシルエットが朝日に映えます。

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機体の細かい部分を少し紹介。

翼端版は各翼でそれぞれ違なる形をしていて、
前翼である第一翼は平板構成のいわゆるエンド・プレートになっており
翼上下面の気流間を分断し、下方内側へボルテックスリングを誘導します。
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第二翼の翼端はレイクドウイングレットになっています。
左右同じように歪んで、きれいに若干の上反角がついています。
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水平尾翼の翼端は下反角(!)の小型ウイングレットです。
画像がありませんが、水平尾翼がダウンフォース型になっているため
ウイングレットは下反角がついています。


第一翼のボルテックスリングをいかに第二翼が避けるか、
翼の誘導抗力をどうやって減らすか、という点への解決策がこの形でした。

第二翼は乱流層を避けて18cmハイマウントされていますが、
ここで第一翼に一般的な上反型のウイングレットを取り付けると、
ボルテックスリングの発生位置が翼端方向の上面にスライドされます。
誘導抵抗と渦径は小さくなりますが、渦の発生位置と方向が高くなり、
渦後流が第二翼にかなり接近したり、場合によっては直撃するため
これを避けるためにいかにして下方に渦を落とすかがポイントでした。

いくつかの形状を検討する中で、最終的には気流の分断と圧力差低減後の再合流という
ウイングレットのもともとの発想を再現できればいいはずだということで、
板を立て、整流板を取り付け、結果F1のフロントウイング・エンドプレートに似た形状の
翼端整流版をつけることになりました。

第二翼、尾翼の翼端は特に後方を気にしなくてもよいので、単純なウイングレットに。



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5時近くになり明るくなってきたので、
ここで恒例の10m全力ダッシュ。

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「減速ー!」の掛け声がかかるまで、男も女も関係なく全力ダッシュ。
テンションが上がってなぜか何度もやることに。
これで準備は万端。




ここからフライトに入っていきます。

まずは水平尾翼を下げ舵に切っておいて滑走し、
前輪サスペンションの伸び方で揚力バランスを見ることに。

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滑走。

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初回から前輪が浮く。


さらに下げ舵に切って滑走。
やっぱり前輪から浮上。今度は後輪も浮く。
滑走のはずが完全に頭上げ飛行してしまう。

しかも速度が5m超えないくらいでふわふわ飛んでしまう。
機体が軽すぎるのではないかという飛び方。



ここでTF慣れしていないACMの経験のなさを発揮。
とりあえずもうちょっと下げ舵にして走ることに。
ここで主翼の迎角を下げるのが正しいアプローチです。


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当然飛んでしまいます。

数メートルで強制的に減速させ、ほとんど失速させて着地。
これを下げ舵にどんどん切りながら数回繰り返し。

時間も考え、もう一度同じようにやって観察し、飛行を前提にした状態で
頭上げを抑えるような調整をどうするか考えようということに。


当日のテンションもあり、完全な判断ミス。
落ち着いて考えればすぐわかる程度のことができなかったジレンマ。



そして調整の甘いまま、様子見の飛行へ。






続きは後日。
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15日早朝、富士川にて「飛鳥」のラストフライトが行われました。



ACMは8月27日の幹部交代式をもって代交代が完了しましたが、
OBの3年代が現代表にお願いをする形で、今回のフライトが実現しました。

ほぼ1年生で構成されたチームにTFの経験を積ませることが全体を通じての目的でもありましたが、
何よりも二枚翼機の飛行を実現するということと、ACMでは今までに実現されていない
定常飛行までの調整をつつがなく完了するという結果を求めてのものでした。


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グラウンドでのTFなどで、機体が十分に飛べるだけのものであることは分かっていたのですが、
前回の大利根でのTFでは天候に恵まれず、風に恵まれず、機体をトラックから降ろさず終了。
今回が最後の延長戦ということになりました。


翼上面に無数のVGを取り付け、いつもどおり一本もボルトを使わない組み付けが完了し、
風もない理想的なコンディションの中でのTF。
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第二翼は地面付近で組み上げてから、機体に取付。


保持者が少ないほうがうっかりミスがなく安全という観点から
組み上げた機体は治具のみで支え、保持者がいません。
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↑機体保持0人の図。 このあとさらに機体はひとりぼっちに

もちろん突風が吹いたら危ないので近くには待機者がいますが。



機体重量は概算で47~48kg。
十分すぎる軽量機となりました。
一枚翼の機体に換算すると、25~27kg程度。

機体側面にはデコレーションとともに寄付をくださったOBOGさんの名前をペイント。
新たに作ったACMのロゴも貼り付けて気合十分。
予備重量に余裕があるため、好き勝手デコレーションをして臨みました。

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当日は予報がコロコロと変わる状況で、はじめは雷雨が来るという情報もありましたが
結局雨が降るどころか風も止み、あとは飛鳥のフライトを待つだけとなりました。
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続きは後日。