青子の本棚

青子の本棚

「すぐれた作家は、高いところに小さな窓をもつその世界をわたしたちが覗きみることができるように、物語を書いてくれる。そういう作品は読者が背伸びしつつ中を覗くことを可能にしてくれる椅子のようなものだ。」  藤本和子
  ☆椅子にのぼって世界を覗こう。


青子が読んだ本の感想ハートです。




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毎年同じの今年の抱負。

 1.秘密は守る。

 2.陰口はたたかない。

 3.人は裏切らない。

に加えて、

 4.健康に留意。

 5.汚部屋整理。(使わないものは捨てる)

は、やはり年のせいか。(^_^;)



みなさま、今年もよろしくお願いいたします。☆-( ^-゚)v 


 

 

 

 

十になった子供の頃から、やし酒飲みだったわたしは、やし酒を飲むことしか能がなかった。父は町一番の大金持ちだったので、五十六万本のやしの木がはえたやし園をくれ、わたし専属のやし酒造りの名人を雇ってくれた。わたしは、毎日、百五十タルのやし酒を午後二時前には飲みほし、夕方からさらに七十五タルのやし酒を朝までに飲んでいた。ところが十五年目に突然父が死に、その六か月後のある日曜日の夕方、やし酒造りは、木から落ちて死んでしまった。新たなやし酒造りの名人を雇おうと探したが見つからず、死んだやし酒造りを探す旅に出た。

 

 

 

 

めっちゃ好み恋の矢でした。

多和田葉子さんが、エッセイでピックアップされていたので気になっていました。

解説によると「クレオル英語」で書かれているそうです。

 

もうねぇ、なんてゆーか、ウソクソ話にもほどがあるというか、神話とか民話とかのありえへん話、代々伝わるほら話を全部ぶっこんだような、めっちゃおもしろいお話でした。

 

 

 

死んだやしの木やし酒造りの名人が住むという「死者の町」目指して旅にでるのですが、その場所がわかりません。

 

”ジュジュ”という鳥やトカゲとかげに変身できたり、妻を木の人形に変えたり(旅の途中、ヤバくなると妻を人形に変えてポケットに入れ逃げるのダ。意外とハート愛妻家?)できる呪術というか魔法みたいなのを身に着けて、自ら”神々の<父>”と名乗り、まずはある老人(神)のもとを訪ねます。

 

しかし、老人は、やしの木やし酒造りの居場所を教える代わりに「死神」を連れてこいと命じます。

そして、首尾よく「死神」を捕まえたのに、老人に逃げられ次の町へ。。。

 

 

その町の長は、奇妙な生物に誘拐された娘を連れ戻してくれたら教えると交換条件を持ち出します。

誘拐犯は、乙女のトキメキ美しく”完全な”紳士で、市場でその男を見かけた娘は、男の忠告も聞かずついて行ってしまい、囚われの身に。

おい、誘拐ちゃうんかい。物申す

 

 

しかし、この男の乙女のトキメキ美しさは全て借り物で、帰る途中、それぞれの持ち主に借り賃コインたちを払い、借りていた部分を返していきます。

左足、右足、腹・アバラ骨・胸、両腕、首、頭の外皮と肉を返し、とうとう「頭ガイ骨」ドクロだけに。。。ポーン

 

他にも、文面だけでは想像できないような未知の生物が続々と登場して、あまりにも荒唐無稽すぎて、ホラーおばけくん嫌いでビビりな私も、あっけにとられ、まったく恐怖を感じませんでした。

 

 

この後、助け出した娘と結婚結婚指輪するのですが、妻の親指から男の子:ズルジルが生まれ、町一番の乱暴者で、その邪悪な性格のため町の人々から相談をうけ、一計を案じた父親であるやしの木やし酒飲みが、焼き殺してしまいます。ゲッソリ

しかし、焼け跡の灰の中から……。滝汗

 

 

その後も、妻と二人、旅を続けるやしの木やし酒飲み。

 

「幽霊島」、「不帰(かえらじ)の天の町」(名前はステキだけど、「この町は、神に弓引く者だけが――残虐な、貪欲な、非情な生物だけが――住んでいる町なのだ」って、それってニンゲンのこと?驚き)、「誠実な母」の棲む「白い木」の中で暮らし、「赤い婦人」に連れられて「赤い町」へと旅は続きます。

 

「森林の生物」界に君臨する最大の実力者:「幻の人質」=「ギブ・アンド・テイク」の罠から逃れたり、王子ナイフ殺害の濡れ衣を着せられるも、賢いまじかるクラウン王様のおかげで、死刑を免れたりと、波瀾万丈の旅は続きます。

そして、道中、いつの間にか妻が予言者になってます。

これがまた、よく当たることと言ったら。。。

 

 

途中では、「死」昇天を売り「恐怖」を貸与して、「死」は売っちゃったから「死なない」し「恐怖」も感じないなんて、都合の良いセッティングもおもしろくて、筋肉無敵や~ん。

 

 

あまりにもいろいろな出来事が次から次へと起こりすぎて、2回読んだけど、ストーリィの流れに必然性を見つけられず、次のページに進んだら、前の出来事を覚えとられへん。汗うさぎ

 

だってねぇ、間髪入れずに変な出来事、変わった出来事、おかしな出来事の連続やねん。

まるで息つく暇もないジェットコースター真顔汗仕様です。

 

で、そこに、なにか教訓だとか寓意だとか戒めだとかが、あるかと言うと……。はてなマークはてなマークはてなマーク

んー、特には見当たらんような。

いや、ちょっとはあるかな。

でも、たいしたことないよ。おいで

 

でも、めっちゃ楽しいラブラブねん。100点合格

 

 

最終的に、やしの木やし酒造りの名人に再会することはできたのですが、やはり死んだ人間を連れ帰ることはできなくて、代わりに卵を一個もらいます。

この卵が、また最強スペックで、大飢饉から人々を救い……。

 

 

 

 

 やしの木

    

本 しかしながら雨は、三か月間、いつものように整然と、降りつづき、その後飢饉は、二度とおこらなかった。

 

おしまいは、こんな感じです。笑ううさぎやしの木