アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】

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アートテラー・とに~の【ここにしかない美術室】-タイトル  明日行きたくなる美術展情報をあなたに

星星星(3ツ星)
  ・没後50年 福田平八郎  大阪中之島美術館(~5/6)
  ・マティス 自由なフォルム  国立新美術館(~5/27)
  ・開館40周年記念 旧朝香宮邸を読み解く A to Z  東京都庭園美術館(~5/12)
  ・チームラボボーダレス
  
星星(2ツ星)
NEW宇野亞喜良展 aquirax uno  東京オペラシティアートギャラリー(~6/16)
NEWマツオヒロミ展 レトロモダンファンタジア  弥生美術館(~6/30)
もうすぐ…生誕150年 池上秀畝—高精細画人—  練馬区立美術館(~4/21)
  ・ブランクーシ 本質を象る  アーティゾン美術館(~7/7)
  ・イヴ・ネッツハマー ささめく葉は空気の言問い  宇都宮美術館(~5/12)
  ・北欧の神秘―ノルウェー・スウェーデン・フィンランドの絵画  SOMPO美術館(~6/9)
  ・春の江戸絵画まつり ほとけの国の美術  府中市美術館(~5/6)
  ・カール・アンドレ 彫刻と詩、その間  DIC川村記念美術館(~6/30)
  ・ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?  国立西洋美術館(~5/12)
  ・南桂子銅版画展 ― 春  ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション(~5/19)
  ・ライトアップ木島櫻谷-四季連作大屏風と沁みる「生写し」  泉屋博古館東京(~5/12)
  ・MUCA展 Icons of Urban Art  森アーツセンターギャラリー(~6/2)
  ・こどものみなさまへ あれ これ いのち  ちひろ美術館・東京(~6/16)
  ・第8回 横浜トリエンナーレ  横浜美術館他(~6/9)
  ・こどものみなさまへ あ・そ・ぼ  安曇野ちひろ美術館(~6/2)
  ・アブソリュート・チェアーズ  埼玉県立近代美術館(~5/12)
  ・パーフェクト・カモフラージュ展 私はアートになりたい  ワタリウム美術館(~5/6)
  ・館長!これどうするんですか!?  アクセサリーミュージアム(~5/25)
  ・モダン・タイムス・イン・パリ1925  ポーラ美術館(~5/19)
  ・ピカソ いのちの讃歌  ヨックモックミュージアム(~9/23)
  ・第五回「私の代表作」展  ホキ美術館(~5/12)

星(1ツ星)
NEWタローのダンス  岡本太郎記念館(~7/7)
NEW夢二がえがく動物ワンダーランド  竹久夢二美術館(~6/30)
NEW版画の青春 小野忠重と版画運動  町田市立国際版画美術館(~5/19)
NEW未来のかけら: 科学とデザインの実験室  21_21 DESIGN SIGHT(~8/12)
  ・フランシス真悟「Exploring Color and Space」  茅ケ崎市美術館(~6/9)
  ・にほんの洋食器ものがたり 120年のみちのり  ノリタケミュージアム(~12/25)
  ・遠距離現在 Universal / Remote  国立新美術館(~6/3)
  ・つかの間の停泊者  銀座メゾンエルメスフォーラム(~5/31)
  ・キリスト教交流史―宣教師のみた日本、アジア―  東洋文庫ミュージアム(~5/12)
  ・共棲の間合い -『確かさ』と共に生きるには-  東京都渋谷公園通りギャラリー(~5/12)
  ・旅するピーナッツ。  スヌーピーミュージアム(~9/1)
  ・活字の種を作った人々  市谷の杜 本と活字館(~6/2)

今年2024年は、アール・ヌーヴォーの旗手として知られる、

フランスの工芸家エミール・ガレ(1846~1904)の没後120年目を迎える節目の年。

それを記念して、現在、渋谷区立松濤美術館では、

“没後120年 エミール・ガレ展 奇想のガラス作家”が開催されています。

 

(注:展示室内の写真撮影は、特別に許可を得ております。)

 

 

今なお、アール・ヌーヴォーは日本で人気が高く、

その中でも、エミール・ガレは根強いファンが多いため、

なんとなく、毎年のようにどこかでガレの展覧会が開催されているような。

それゆえ、なんとなく、個人的には、

もう観尽くした感を抱いていたのですが・・・・・

 

全然そんなことは無かったです!!

 

本展を見逃さなくて良かった。

心の底から、そう思いました。

星星

 

・・・・・と言いますのも。

 

 

 

本展に出展されている作品は、全部で約120点(一部前後期で展示替あり)。

うち半数近くが、個人蔵のもので、そのほとんどが日本初公開とのこと。

どうりで見慣れない作品が多かったわけです。

 

見慣れないといえば、貴重な初期の作品も多く出展されています。

 

エミール・ガレ《花器(ニンフ、唐草)》 1880-1886年頃 個人蔵

 

エミール・ガレ《花器(狩猟図)》 1878年頃 個人蔵

 

 

実は、父の会社を引き継いだばかりのガレは、

当時の他のガラス作家、ガラス職人たちと同様に、

ヨーロッパの古典的なガラス作品や図柄をモチーフにしていたそう。

しかし、このままでは新たなガラスの世界は生まれないと感じたガレは、

古典的な作品とは決別し、植物や虫といった自然をモチーフにするようになるのです。

その時はきっと、自分の会社の職人たちに、こう宣言したのではなかろうか。

「古典的なガラス作品に、憧れるのをやめましょう」と。

 

かくして、ガレはさまざまな革新的な技法を駆使して、

自然をモチーフにした独自のガラス工芸の世界を確立しました。

 

エミール・ガレ《花器(プリムラ)》 1900年頃 個人蔵

 

 

色や文様の美しさだけでなく、造形的にも美しい。

まさしく総合芸術といったガラス作品です。

 

ただ、そういった美しい作品も多い一方で。

セミやタツノオトシゴが張り付いたものなど、

わりとグロテスクな造形のものも少なくありませんでした。

 

エミール・ガレ《花器(セミ)》 1884年頃 松江北堀美術館蔵

 

 

 

世のマダムが好みそうな(?)、お上品で美しい作品だけではなく、

むしろ男性受けしそうな、ワイルドな作品も多く制作していたのですね。

本展を通じて、ガレの意外な一面を知れた気がします。

 

そうそう意外といえば、ガレはガラスだけでなく、

意外にも、陶器の作品も多く制作していたようです。

それも、独創的な作品を多く制作しています。

 

エミール・ガレ《大杯(貝に跨るカエル、コイ))》 1883年頃 松江北堀美術館蔵

 

 

中でもインパクトが強かったのが、こちらの香炉。

 

エミール・ガレ《香炉(ヘラクレスオオカブト)》 1870-1878年頃 松江北堀美術館蔵

 

 

両耳の部分には、龍のような何やら、

摘まみの部分には、虎のような何やら、

足の部分は、象の顔になっています。

(↑自分で書いておいてなんですが、なぞなぞみたいです)

極めつけは、表面に描かれた絵柄。

梅らしき花と一緒に描かれているのは、ヘラクレスオオカブトとのことです。

世界観がまったくもってわかりません(笑)。

 

 

最後に。

本展を通じて知ったガレの意外な事実を、もう一つ。

どんなモチーフでも美しく仕上げる器用な印象のあるガレですが。

猫に関しては、どれも微妙な印象でした(笑)。

 

エミール・ガレ《植込鉢(エジプト風)》 1880~1884年頃 松江北堀美術館蔵

 

 

特に、1階ロビーに展示されていたこちらの猫。

 

エミール・ガレ《猫型置物》 1865~1890年頃 松江北堀美術館蔵

 

 

猫というよりも、小森のおばちゃま。

口元は、『おふくろさん』を歌ってる時の森進一のようです。

 

 

 ┃会期:2024年4月6日(土)~6月9日(日)

 ┃会場:渋谷区立松濤美術館
 ┃https://shoto-museum.jp/exhibitions/203galle/

 

 

 

 

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