●前原氏の献金問題、進退に発展か…外国人と認識
(読売新聞2011年3月4日23時04分)http://p.tl/e-4W
 前原外相は4日の参院予算委員会で、政治資金規正法で禁じられている外国人からの政治献金を受け取っていたことを明らかにした。


 前原氏は「返金し、政治資金収支報告書を訂正する」と述べるとともに、全容を調査する考えを示した。野党は辞任を要求する構えで、進退問題に発展する可能性も出てきた。公明党の山口代表は同日、「しかるべき責任が問われる。菅首相の任命責任も問われることになる」と述べた。

 自民党の西田昌司氏の質問に答えた。西田氏は前原氏に対し、「京都市内で飲食店を経営している在日外国人から、少なくとも過去4年間で毎年5万円ずつ、20万円の献金を受けていたのではないか」と指摘した。献金をしていたのは在日韓国人の女性。前原氏は答弁で「(献金者は)在日の方だ」と述べ、在日外国人と認識していたことを認めた。



●前原外相、在日外国人から献金=規正法に抵触、野党は辞任要求-民主内にも進退論
(時事通信2011/03/04-23:28)http://p.tl/xNul
 前原誠司外相は4日午後の参院予算委員会で、在日外国人の女性から政治献金を受け取っていたことを明らかにした。前原氏は「返金し、政治資金収支報告書を訂正したい」と述べた。政治資金規正法は外国人からの政治献金を禁じており、自民党は前原氏に辞任を要求。民主党内からも前原氏の進退を問う声が上がった。「政治とカネ」に絡む有力閣僚の不祥事が表面化したことで、菅直人首相の政権運営は一段と厳しくなりそうだ。
 予算委で前原氏は、自民党の西田昌司氏の質問に答え、事実関係を認めた。前原氏は京都市内の飲食店経営者から2008年に5万円の献金を受け取っていた。この経営者との関係については「政治の世界に入る前から親しくし、特に私が政治の世界に出てからも一生懸命応援いただいている」と説明した。
 西田氏は献金額について「過去4年間、5万円ずつ計20万円ではないか」と追及した。前原氏は「全体像を調べてしっかり対応したい」と述べたが、西田氏は「責任を取って辞任すべきだ」と要求。首相にも前原氏の罷免を求めた。
 前原氏はこの後、首相官邸で首相に謝罪。首相は徹底調査するよう指示した。引き続き外務省で記者会見した前原氏は、献金について「そういう形で頂いているとの認識はなかった」と釈明した。また、「全て私の責任だ」と述べるとともに、「全体をよく調べた上で、どのように判断するか決めたい」と語った。 
 前原氏の献金受領について、小沢一郎民主党元代表に近い同党幹部は「(外国人からの献金が)故意なら議員辞職だ。閣僚は辞めざるを得ないだろう」と指摘。閣僚の一人は「だいぶ深刻になってきた」と語った。
 前原氏は、小沢氏の政治資金に絡む問題で、小沢氏の説明責任を厳しく指摘してきた経緯がある。一方、前原氏の政治団体が、脱税事件で有罪となった男性が会長を務めていた企業にパーティー券を販売していた事実も判明している。


●前原氏窮地に=菅政権にまた打撃
(時事通信 2011/03/04-22:23)http://p.tl/78Ca
 前原誠司外相が4日、政治資金規正法で禁じられている外国人からの献金を認めたことは、菅政権にとって手痛い打撃となった。「政治とカネ」の問題をめぐり、前原氏はこれまで小沢一郎元代表に説明責任を求めてきたが、今度は自身が説明を求められる立場に。「ポスト菅」の有力候補ともみられている前原氏だが、野党だけでなく、民主党内からも辞任論が出るなど、窮地に立たされることになった。
 4日午後の参院予算委員会。自民党の西田昌司氏は前原氏をターゲットに、「(献金者は)日本国籍を持っているのか。いくら受けたのか」と執拗(しつよう)に献金問題を追及。前原氏が在日外国人から献金を受けた事実を認めると、「罪が確定したらあなたは公民権停止。大臣どころか国会議員の資格がない。責任を取って辞職すべきだ」と迫った。
 民主党執行部は当面、前原氏の調査を見守る方針だ。菅直人首相は4日夜、記者団に対し「ちゃんと調べて、自らはっきりさせることが必要だ」と表明。党幹部は「証人喚問でも参考人招致でもやって、自ら説明する姿勢を示すべきだ」と語った。
 民主党の小沢氏系議員は「外相辞職ものだろう。金額の多寡なんて問題じゃない」(若手)、「これまで小沢さんに対して何と言ってきたか」(中堅)と前原氏を批判。「故意なら閣僚は辞めざるを得ない」(党幹部)との声も飛び出した。
 自民党は「ポスト菅」候補の前原氏にダメージを与え、民主党政権を揺さぶる作戦に出た。野党からは「直ちに外相自ら出処進退を明らかにすべきだ」(逢沢一郎自民党国対委員長)、「外国人と分かっていながら献金を受けていたなら、前原氏は即刻辞任すべきだ」(渡辺喜美みんなの党代表)と辞任論が噴出。前原氏は今後どう説明責任を果たすか、正念場を迎える。



●自民・逢沢氏「自ら出処進退を」 みんな渡辺代表も「即刻辞任を」 
(産経新聞 2011.3.5 00:04)http://p.tl/B9Yb
 前原誠司外相が在日外国人からの政治献金受領を認めたことを受け、自民党の谷垣禎一総裁は大阪市内で記者団に「外国人から献金を受けたらいけないことは選挙に出る人なら皆承知している」と批判した。

 石原伸晃幹事長は神奈川県藤沢市内で講演し「外相が外国人からお金をもらう神経は到底理解できない」。逢沢一郎国対委員長は「明らかになった事実だけでも法律に抵触する可能性が濃厚だ。問責決議案提出を待つまでもなく直ちに自ら出処進退を明らかにすべきだ」と述べた。

 みんなの党の渡辺喜美代表は「外国人と分かっていて献金を受けていたなら即刻辞任すべきだ」と強調。「辞めずにしがみつくなら問責決議案を出すことになる」と警告した。


●「18年間応援。違法とは知らず」 献金の外国籍女性
(産経新聞2011.3.4 18:58) http://p.tl/KFGs

 前原誠司外相が京都市内に住む外国籍の女性(72)から献金を受けていた問題で、献金した女性は4日、産経新聞の取材に対し「18年前の初当選のころから応援している。少しでも役立ててほしいと思った」と話した。

 女性によると、献金は平成17~20年の4年間で計20万円だったといい、外国人の個人献金を禁じる政治資金規正法の規定については「知らなかった」としている。


●野田氏政治団体:脱税関係企業からパーティー券代金
(毎日新聞 2011年3月4日11時15分) http://p.tl/hpbU
 野田佳彦財務相は4日の閣議後会見で、脱税事件で逮捕された男性が関係する企業2社から計80万円のパーティー券代金を受け取っていたことを明らかにし、自身の政治団体に返還を指示したことを明らかにした。野田氏は「当時は善意で購入をしていただいたとの認識であり、法令上問題ない法人だったので購入をお受けした」と述べた。

 この男性が関係する企業からは、前原誠司外相や蓮舫行政刷新担当相も献金やパーティー券購入があり、返金の意向を示している。【坂井隆之】



●子ども手当、修正協議拒否へ=「つなぎ法案」も応じず-公明
(時事通信2011/03/05-01:01)http://p.tl/VUFa
 公明党は4日、子ども手当法案について民主党との修正協議には応じない方針を固めた。複数の党幹部が明らかにした。公明党は菅政権への批判を強め、子ども手当法案の見直しは民主党マニフェスト(政権公約)違反に当たると判断。あくまで衆院解散・総選挙で信を問う必要があるとの考えだ。これにより、同法案が廃案となり、4月以降、自公政権時代の児童手当が復活する可能性が高まった。
 現行の子ども手当法は2010年度限りの時限立法。児童手当が復活すれば、中学生への支給はなくなり、小学生以下への支給も減額。また、自治体の事務作業の混乱も指摘されている。
 これに関し、公明党幹部は「修正協議は菅内閣の延命に手を貸すことになる。児童手当に戻せばいい」と指摘。別の幹部も「修正協議を行うつもりは一切ない」と言明した。
 同党が修正協議を拒否する方針を固めたのは、4月の統一地方選を前に、支持率が低迷する菅政権に協力するのは得策ではないとの判断からだ。また、小沢一郎民主党元代表に近い議員らは子ども手当の見直しに否定的なため、そもそも同党内で修正案がまとまらないとみている。
 こうした中、子ども手当法案の年度内成立が絶望的な状況を踏まえ、民主党は4日までに、同法案を3カ月間程度延長する「つなぎ法案」提出を公明党に打診した。4月以降の混乱を最小限にとどめるのが狙い。同法案が成立すれば、3歳未満への支給額は増額されないものの、6月に1人当たり1万3000円の現行の手当支給が可能になる。
 ただ、公明党は「修正協議に応じない以上、つなぎ法案に賛成することもあり得ない」(幹部)としており、合意の可能性は低い。 


●特例公債、賛成できない=自民幹事長
(時事通信2011/03/04-23:52)
 民主党の岡田克也幹事長は4日、自民党の石原伸晃幹事長に会い、2011年度予算関連法案のうち特例公債法案について、年度内成立への協力を要請したが、石原氏は拒否した。
 石原氏が同日夜、神奈川県藤沢市で開かれた会合で明らかにした。同氏によると、岡田氏はまた、「(野党が)追い詰めていくと、菅直人首相は解散してしまう」と語ったという。


●内閣不信任案可決なら解散も 参院予算委で首相言及
(朝日新聞2011年3月4日12時25分)http://p.tl/qk6U

 参院予算委員会で4日、全閣僚が出席する基本的質疑が開かれ、2011年度予算案が実質審議入りした。菅直人首相は予算案の早期成立に野党の協力を求めたが、自民党は首相の退陣を求めた。

 首相は山本一太氏(自民)が「解散も退陣もしないのか」とただしたのに対し、「解散するつもりはないが、憲法上、何らかの対応を迫られることがあれば、ルールにのっとって行動する」と答弁。内閣不信任案が可決されれば解散に踏み切る可能性があるとの考えを示した。

 自民党が提出した予算案の組み替え動議について、首相は「農業の戸別所得補償や高速道路無料化の実験的取り組みは重要。必要ないとする(自民の)動議は理解できない」と述べた。民主党の佐藤夕子衆院議員=愛知1区=が離党届を出したことについては「民主党で当選した方。党を離れるのは国民の理解を得にくい」と述べた。

 民主党は、野党が多数を占める参院で可決される見通しがない予算関連法案の衆院採決を先送りし、予算案だけを1日に参院に送付。野党が反発して審議入りが遅れていた。首相は4日の予算委で「予算、関連法案の取り扱いは国会に決めてもらう。国会での扱いを直接指示したことはない」と説明した。

 また中国への政府の途上国援助(ODA)について、前原誠司外相は「中国のGDP(国内総生産)は日本を抜いた。その下の国がODAを増やすことはあり得ない」と指摘し、削減の方向で見直す考えを明らかにした。首相も「私も同じような考え方だ」と同調した。



●蓮舫“無責任”与謝野にムカつく!「気分いいものじゃない」
(夕刊フジ 2011年3月4日17時00分)http://p.tl/SY2q

 参院予算委員会は4日午前、菅直人首相と全閣僚が出席して、2011年度予算案の基本的質疑に入った。自民党が論客を質問者として送り出し、菅首相は矛盾点を次々と指摘される厳しい展開。蓮舫行政刷新相が与謝野馨経済財政相に「気分がいいものではない」とキレる一幕もあった。

 「統治能力のないあなたがトップにいることは国民にとって不幸だ」

 最初に質問に立った自民党の小坂憲次氏はこう述べ、自民党が菅首相を解散・総選挙に追い込む姿勢であることを鮮明にした。菅首相の答弁は防戦シーンが目立ち、「まともに答えていない」として野党側は何度も審議を止めた。

 自民の山本一太氏は、民主党の佐藤夕子衆院議員が離党届を提出したことを追及。菅首相が「民主党として当選したので、離れるのはなかなか国民の理解を得られない」と答えると、「そこに座っている与謝野さんは自民党を離党して入閣した。国民の理解は得られるのか」と、すかさず質問。菅首相は「社会保障と税の一体改革に対し最も志があり、高い能力を持っている。理解は得られる」と「入閣」についてだけ答え、「離党」については「いろいろな経緯があった」と答えるのが精一杯だった。

 その与謝野氏は、この日も過去の言動の言い訳に追われた。昨年の参院選街頭演説で「(菅政権は)全共闘時代の新左翼崩れがつくった政権」との発言には「選挙特有の演説だ」。自著『民主党が日本経済を破壊する』で「事業仕分けは文化大革命の粗暴な紅衛兵だ」と記していたことには「本は面白おかしく書かないと読んでくださらない」などと述べた。

 鳩山由紀夫前首相をほうふつとさせる無責任発言。山本氏が「紅衛兵」のくだりに関して蓮舫氏に水を向けると、蓮舫氏はクビをかしげながら登壇。「読んでいないが、そう気分がいいものではない」と憮然とした表情で語った。

 岡田克也幹事長が子ども手当の所得制限に触れた件でも、菅首相は「政府案がベスト」と否定し、「党幹事長としての発言」と述べたのに対し、蓮舫氏は「個人的な発言」とチグハグ。これには山本氏もあきれ顔だった。



●追い詰めると首相は解散…岡田氏が石原氏に
(読売新聞 2011年3月4日21時13分)http://p.tl/VnVi
 自民党の石原幹事長は4日、神奈川県藤沢市での党の会合で、民主党の岡田幹事長が同日、「追い詰めていくとあの人(菅首相)は解散しちゃいますよ」と述べて、衆院解散・総選挙の可能性に言及したことを明らかにした。
 石原氏が「それはいいよ」と解散を促すと、岡田氏は「その後、 混沌とした社会がやってくる」と語ったという。岡田氏はまた、赤字国債発行のための特例公債法案について「なんとか賛成してもらえないか」と成立への協力を求めたという。


●河村旋風“東京上陸”に自民警戒 小沢の影…楽勝ムード一変
(夕刊フジ 2011年3月4日17時00分)http://p.tl/TH5d
 名古屋市の河村たかし市長(62)率いる地域政党「減税日本」の勢いに、自民党が警戒態勢を取り始めた。減税日本が統一地方選で全国進出することを受け、自民党候補の差し替えを検討しているのだ。「死に体」の菅民主党を相手とする、左うちわのような選挙戦が一転。河村氏と連携する小沢一郎元代表(68)の暗躍にも目を光らせているようだ。
 「練馬を東京進出の象徴にしたい!」
 河村氏は先月27日、練馬区内での会見でこう言い切った。「名古屋トリプル選挙圧勝」の勢いのまま、練馬区議の菅田誠氏(42)=民主党離党=を練馬区長選(4月24日投開票)に出馬させるほか、都内の区議選に公認・推薦候補10人を擁立すると発表したのだ。
 これに泡を食ったのが自民党都連。
 菅内閣の支持率が10%台まで急落したこともあり、「現職の志村豊志郎区長(78)の3選は固い」(地元関係者)とみて推薦を決めていたが、菅田氏が「河村系」という“錦の御旗”を獲得したため「高齢の志村氏では苦戦必至」と、候補者差し替えを求める声が浮上しているのだ。
 このほか、都内の区議選に出馬する「減税日本」の公認・推薦候補者の多くが、「選挙巧者」と呼ばれる小沢氏に近いことも判明した。
 自民党選対関係者は「小沢氏が裏にいるのが問題だ。彼はこれまでも『政治改革』や『政権交代』といった言葉で有権者を取り込んできたが、今度は『減税』を看板にする気だ。有権者はだまされやすく、ブームとなれば勝てるものも勝てなくなる。候補者選定の再検証が必要だ」という。
 こうした中、河村氏の元秘書で、小沢氏を支持する「北辰会」のメンバーである佐藤夕子衆院議員(48)=愛知1区=が3日、民主党を離党した。「河村シスターズ」かつ「小沢ガールズ」といえる佐藤氏の動きは、小沢、河村両氏の“政界生き残り戦略”の一端に違いない。



●民主、マニフェスト検証委を設置へ 8月めどに見直し
(朝日新聞 2011年3月4日21時40分)http://p.tl/22kM

 民主党はマニフェスト(政権公約)見直しを進める政府と合同の検証委員会を来週にも設置する。岡田克也幹事長を委員長、玄葉光一郎政調会長と輿石東参院議員会長の2人を委員長代理とし、8月末をめどに見直し内容をまとめる。4月の統一地方選前に主要政策を(1)実施済み(2)修正して実施する(3)財源がなく実施できない――などに分類し、実施済みの政策を統一選でアピールする。一方、2009年の総選挙マニフェストで掲げた約16.8兆円の財源捻出が実現できていないため、検証委の下に「財源検証委員会」も設ける。



●1回生の造反防げ…民主国対が意見交換の会議
(読売新聞2011年3月4日19時43分)http://p.tl/CGWC

 民主党は4日、安住淳国会対策委員長ら国対幹部と同党の衆院当選1回生が意見交換する「国対全体会議」の設置を決めた。

 8日に初会合を開く。

 比例選出の1回生が2011年度予算案の衆院本会議採決を欠席したり、同じく1回生の佐藤夕子氏が河村たかし名古屋市長が率いる「減税日本」の支援を理由に離党届を提出したりするなど、1回生の反執行部的な動きが続いているため、安住氏らとの接触を増やし、今後の予算関連法案の採決での造反などを防ぐ狙いがある。


●<年金切り替え漏れ>細川厚労相「救済制度、知らなかった」
(毎日新聞 3月4日(金)21時32分配信)http://p.tl/ZdvE

 会社員の妻ら国民年金第3号被保険者の切り替え漏れ問題に関し、細川律夫厚生労働相は4日の参院予算委員会で、昨年12月の課長通知による救済制度「運用3号」について「当時は知らなかった。不明を恥じる」と述べた。また、2月24日に3号の一時停止を発表する際、細川氏は「年金の支給は留保する」と表明していたが、15日には運用3号適用者493人に年金が支給されることも判明、細川氏の責任問題に発展する可能性が出てきた。

 自民党の世耕弘成氏に対する答弁。細川氏は昨年3月に大筋を決めたとする運用3号に関し「当時の長妻昭厚労相が決めた。(副厚労相だった)私は労働を担当しており、タッチしていなかった」と強調した。しかし、世耕氏は「前現両大臣の責任は免れない」と指摘し、長妻氏の参考人招致を求めた。

 世耕氏は、厚労省と日本年金機構が職員向けに作成した1月27日付の資料も暴露した。

 資料には、運用3号を法改正でなく課長通知で決めた理由について「第3号被保険者制度を巡っては、これまでの制度改正の際にもさまざまな議論がなされており、調整は容易でない」と記されている。世耕氏はその部分を取り上げ、「要するに国会で法律議論したらいろいろ議論が出て時間がかかって面倒くさいからすっ飛ばそうと。議会制民主主義の否定だ」と追及した。

 専業主婦らは保険料を納めなくてもいい3号制度には、働く女性から「不公平だ」との批判が出ている。

 運用3号を法改正でやろうとして国会で審議すれば、野党から根本的な問題も蒸し返され、収拾不能になる事態を同省が懸念していたことがうかがえる。細川氏は資料について「不適切な点もある」と認めざるを得なかった。

 さらに世耕氏は、細川氏の「ウソ」も明らかにした。運用3号の申請者は1月30日時点で2331人。世耕氏は「既に942人の受給権が確定し15日には493人に年金が支給される」と指摘し、細川氏が表明した「支給留保」は誤りだと問いつめた。細川氏はこれを認め、「訂正させてほしい」と答えた。【鈴木直、山田夢留】


東京・多摩地区で勃発 創価学会VS真如苑の新宗教戦争

SAPIO2011年3月9日号
(NEWSポストセブン2011年03月04日16時00分)http://p.tl/PeKw

 東京の多摩地域では地方選レベルの新たな宗教戦争ともいえる競合が起きている。国政選挙では創価学会、幸福の科学、新宗連(立正佼成会、PL教団などが加盟する新宗教団体の連絡組織)の三つ巴の戦いだったが、地方選には新たなプレーヤーが登場してきたのだ。
ジャーナリストの竹中英二氏がレポートする。
 * * *
 東京・立川市には新興宗教の中でも急成長している真如苑の本部や研修施設があり、JR立川駅前には週末になると本部道場「応現院」に向かう信者の列ができる。
 同教団は2002年に立川市と隣接する武蔵村山市にまたがる広大な日産工場跡地(約106万平方メートル。東京ドーム22個分)を739億円で買収し、新たな寺院建設を計画。現在、市や地元との協議を進めるなど、「宗教都市化」を進めている。
 
 政界進出にも積極的な動きを見せた。
 真如苑はこれまで地方選では信者の自民党議員を支援してきたことで知られるが、昨年6月の立川市議選では無所属の独自候補を擁立してトップ当選させ、新会派を結成したのである。「日産跡地開発などのプロジェクトを抱え、市政への影響力を強めるため」(地元議員)との見方が強い。
 そうした真如苑の動きに警戒を強めているのが創価学会だ。同じ多摩地区の八王子市は創価大学、富士美術館など創価学会の施設が集中する一大拠点で、立川市も公明党が市議会の第一党を占めている学会の地盤が強い地域である。立川の市議選は終わったものの、統一地方選では八王子市をはじめ他の多摩地域の市町村議選が行なわれる。
 東京で長く選挙の第一線に立ってきた古参学会員は、「真如苑は内部に政治部門を持ち、立川だけでなく昭島市、武蔵村山市など周辺の地域でも政治的影響力を強めようとしている」と語る。
 統一地方選「完全勝利」を続ける創価学会だが、実はそのお膝元周辺からぐらつき始める可能性もある。

小沢一郎と造反16人は正論だ (日刊ゲンダイ2011/3/4)

小沢排除は陰謀だった

大マスコミは詳細な報道を避けているが、民主党の小沢一郎元代表の元秘書の裁判がスゴイことになっている。石川知裕衆院議員ら元秘書3人の被告人質問が終了したが、彼らの裁判で明るみに出たのは、ア然とするような検察捜査のデタラメぶりだ。

脅し、すかし、泣き落とし――。取調室という密室で元秘書らを締め上げ、検察側の絵図に沿った調書にサインさせていく。小沢の強制起訴のキメ手となった「小沢の関与」を認めた石川の供述調書もヒドイものだ。担当検事が「オレと親しい検察上層部が『小沢の起訴はない』と言っているから」と石川を揺さぶり、署名させたのである。

「こうした取り調べには、証拠改ざん事件で起訴された前田恒彦元検事も参加。元秘書を相手に『小沢さんは終わりだ。ご無事をお祈りします』と凄みを利かせたかと思えば、前日の深酒を残しながら『オレも悪いことをやってきた』とシミジミと語り出すこともあったといいます。裁判では次から次へとハチャメチャ捜査が明らかになるものだから、傍聴席からは失笑が漏れるほどでした」(司法記者)

しかも、当の小沢本人の公判を前に、検察官役の指定弁護士が、水谷建設からの裏金1億円の立証を引っ込めてしまった。検察審査会の強制起訴の理由に「裏金1億円が入っていないから」とか言うが、冗談じゃない。
ゼネコンからの裏金が無ければ、単なる記載ミスである。修正で済む話で、秘書はともかくとして、小沢を強制起訴する意味はない。「政権交代の立役者」をぶっ潰し、法廷に引っ張り出しておいて、今さら「裏金の立証はやりません」はないだろう。

◆すでに崩れ去った検察ストーリー

元秘書3人の裁判の傍聴を続けているジャーナリストの江川紹子氏はこう言う。
「公判の過程で石川議員は、世田谷の土地購入に必要だった4億円を小沢氏から現金一括で受け取った日付を『04年10月12日』と主張。この4億円を1000万~5000万円の単位に分け、数日かけて計5銀行6支店の口座に入金しています。この分散入金が始まったのは04年10月13日。検察側が『石川議員が水谷建設から5000万円の裏金を受領した』とする『04年10月15日』よりも前なのです。銀行の入金記録も残っており、証拠採用されています。これでは“4億円の原資には水谷マネーが含まれている”“裏金を隠そうとして虚偽記載した”という検察側の描いたストーリーは破綻したも同然です」
もはや検察の描いた構図は音を立てて崩れ去った。「小沢も共謀」という秘書の証言も、恫喝まがいの取り調べでデッチ上げたことが分かってきた。

こうなると、09年3月の西松建設事件に端を発し、2年間に及んだ「政治とカネ」の大騒動は何だったのか。検察は土下座モノではないか。検察リークに乗っかり、グルになって小沢を叩きまくったマスコミも同罪だ。世紀の政治的謀略が元秘書の裁判で公然となってきたのである。

◆検察ファッショに便乗する 菅執行部の小沢排除

それなのに、この国では摩訶不思議なことが起きている。石川議員の決定的証言の中身はテンで報道されず、国民の間では「小沢=悪」の構図は定着したままだ。前田元検事らのデタラメ調書が小沢が検察審査会で強制起訴される判断材料に使われたのに、大マスコミはスットボケている。

検察のデタラメ捜査とメディアの暴走、それに乗せられた検察審の決定をよりどころにして、小沢切りに走った菅執行部は、どう落とし前をつけるのか。これがマトモな感覚というものだが、小沢排除に怒った16人の造反議員は、すっかり悪者扱いで袋叩き。メディアは「もっと厳しく処分しろ」と迫り、菅はすっかり元気になっている。メディアを味方につけて、党内の造反予備軍を抑え付けられるからだ。そうやって、世紀の無能首相が政治的謀略で居座ろうとしている。

つくづく、この国はデタラメだ。正義はあるのかと思えてしまう。
「結局、小沢氏のイメージダウンをはかった検察捜査は大成功なのでしょう。政治資金規正法違反という形式犯に過ぎない事件を“背後にもっと悪質な犯罪がある”とマスコミを通じて喧伝し、『小沢=悪』のイメージを国民に植え付ける。たとえ裁判に負けても、ハナから小沢氏の政治的影響力を殺(そ)ぎ、失脚させることが狙いだったのです。まさに『検察ファッショ』ですが、こうした悪魔的な動きに菅執行部は乗った。検察に便乗した小沢排除で政権維持をもくろみ、それが今なお、成功している。本当に危うい状況だと思います」(九大名誉教授・斎藤文男氏=憲法学)

今でも世論調査を行えば「小沢辞めろ」が8割を占める。何の疑問も持たず、大マスコミの偏向報道を信じている国民は「浅薄」だ。「いい加減、目を覚ませ!」と言いたくなるが、うねりを上げた「小沢排除」の流れは、もう止めようがないのかもしれない。

◆正論が通らず、歴史的犯罪人がまかり通る

小沢潰しの背景にはいろいろな勢力の思惑がある。既得権益の恩恵にあずかってきた旧勢力。ここには政治家、役人、財界、大マスコミが含まれる。さらに米国。親中で、米国にもズケズケ物を言う小沢では困るわけだ。さらに彼らにすがり、政権維持を企む売国政権。3者がタッグを組み、小沢排除の流れを作ってしまった。

16人の造反に代表される正義は木っ端みじんに砕かれ、日本はいつの間にか正論が通じない「息苦しい国」になってしまったわけである。その結果、国はどうなったのか。いまや、メチャクチャではないか。国民もいい加減に気づくべきだろう。
「16人の反乱は、小沢排除だけでなく、菅政権がマニフェストを逸脱していることに対する抗議でした。執行部はねじ伏せたが、それでは菅政権はさまざまな政策を党で論じたことがあるのか。首相が勝手に政策を変更し、それでも党がついてくると思っている。おかしいじゃないか、という声が出るのは当然なのに、それを造反と決め付け、処分する。つくづく、処分が好きな政党だし、そこには正義も何もありません」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

民主党政権を変質させ、改革者を潰して、平然としている菅首相と岡田幹事長は国の方向をねじ曲げた犯罪人として、おそらく、歴史に残る。それに国民が気づいていないところが恐ろしい。



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違憲の「1票の格差」是正へ正念場 議員の「死活問題」に各党の思惑入り乱れ

[参院選挙制度]

毎日フォーラム~毎日新聞社
(現代ビジネス2011年03月04日)http://p.tl/S63u


 参院選の「1票の格差」を巡る選挙制度の見直し議論は今年、正念場を迎える。見直し論の旗振り役の西岡武夫参院議長は昨年12月に自らの私案を各党に提示。1月24日に召集された通常国会中に各党間で見直し案を合意し法制化を進め、次期13年の参院選で実施する予定だ。だが各党とも現行制度の見直し論は議員の「死活問題」ともなるだけに、いろんな思惑が入り交じり、議論が停滞しているのが現状だ。

 西岡氏は昨年12月22日、各会派会長クラスを集めた「選挙制度の改革に関する検討会」を開き、自らの私案を提示した。各都道府県単位の選挙区と非拘束名簿方式による全国比例代表が並立する現行制度を廃止し、全国を九つのブロックに区分する比例代表制に移行する案だ。選挙区制度と比例代表制を融合させた案と言える。

 9ブロックは次の通りだ。

▽北海道(定数12)
▽東北(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、定数18)
▽北関東信越(茨城、栃木、群馬、新潟、長野、定数22)
▽南関東(埼玉、千葉、神奈川、山梨、定数44)
▽東京(定数24)
▽中部(富山、石川、岐阜、静岡、愛知、三重、定数32)
▽関西(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、定数40)
▽中国・四国(鳥取、島根、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛、高知、定数22)
▽九州・沖縄(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄、定数28)

 この案で昨年7月の参院選の際の有権者数から換算すると、1票の格差は、最大が東京と北海道の1・15倍と、格差はほぼ解消される。衆院は全国を11ブロックに区分する比例代表制を導入しているが、西岡氏が9分割案を採用したのは、政府の地方制度調査会が06年に示した全国を9~13の道州に再編する構想を参考にし「経済圏や文化の要素があり、あまり分断しない方がいい」と判断したためだ、という。

 ところが、この私案に対し、多くの〝物言い〟がついた。

 自民党の中曽根弘文参院議員会長は「衆参同日選となれば非常に混乱する」と難色を示し、社民党の福島瑞穂党首も「全国比例がなくなるのは問題だ」とかみついた。民主党の岡田克也幹事長も「一種の比例制度で小党分立になる。衆院との調整をどうするかも問題だ」と指摘した。

2大政党制を念頭にした小選挙区制度を有する衆院に対し、参院が比例代表一本では各政党が分立する形となるため、衆参両院の方向性がかい離し過ぎるとの指摘だ。さらには「西岡案」では政党に所属していない無所属議員の立候補は事実上不可能になるなど、多くの問題点が指摘されている。

 13年参院選から導入目指すが……

 だが、西岡氏は今年前半にもこの案を「たたき台」として各党が一致する合意案を見いだし、今通常国会中に法制化を目指す考えだ。13年参院選から導入するためには2年間程度の周知期間も必要であるため、今通常国会で公職選挙法改正案などの法整備も完了させないと間に合わないためだ。次期参院選にこだわるのは「現行制度のままで次期参院選に突入すれば、選挙無効の司法判断も出かねない」との危機感に他ならない。

「1票の格差」の問題は今に始まった話ではない。国会ではそのつど、対応策を講じてきた。

 これまでの対策とは、基本的に有権者数の多い都市部の定数を増やし、逆に少ない選挙区の定数を削減する考え方で、94年には「8増8減」、06年には「4増4減」と定数の修正を繰り返してきた。

 司法判断もこうした国会の対応には寛容だった。

 従来は最高裁においては国会の裁量を広く認め、これまでも選挙区での5倍前後の格差を容認してきた。「地域代表」として都道府県単位の選挙区が採用されており、区割りの見直しは容易ではない。しかも3年ごとの半数改選である参院の特色から考えれば、最少の選挙区でも定数2(改選数1)を配分しなければならない。参院の位置づけを考慮してきたためだ。

ところが風向きは変わった。

 09年9月の最高裁大法廷判決。07年参院選で最大4・86倍だった格差を合憲としながらも、多数意見として「現行の選挙制度の仕組みを維持する限り、各選挙区の定数を振り替える措置によるだけでは、最大格差の大幅な縮小を図ることは困難であり、現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要となる」と指摘した。司法が選挙制度の抜本的な見直しを求めた異例の判決で、定数の増減という「小手先の是正」で済ませてきた国会の対応を事実上否定したものだ。

 これには参院も反応した。各会派で構成される参院改革協議会の専門協議会が昨年5月にまとめた報告書で「抜本改革の必要性」は明記した。だが、与野党間の対立が深まる中で議論は進まず、逆に司法判断は一層厳しさを増した。

 民主党が大敗を喫した昨夏の参院選の「格差」を巡り、東京高裁は昨年11月、最大5・00倍の格差を「違憲」とする判決を下した。今年1月25日も高松高裁が同様に違憲とした。仙台高裁や広島高裁など「違憲状態」とする判決も相次ぎ、抜本改革はもはや「待ったなし」の状況だ。

自ら旗振り役を買って出た西岡氏だが、各党の議論は低調なままだ。

 比例代表を重要視して安定した議席数を確保してきた公明党の山口那津男代表は「方向性は間違っていない」と一定の理解を示すが、民主、自民両党の2大政党内での意見集約は難しい状況だ。

 参院民主党では石井一副代表を中心に衆院と同様に全国11ブロックに区分する案も示されたが、全国比例で組織内候補者を当選させてきた支援労組は難色を示している。また、有権者数が少ない定数2(改選数1)の「1人区」選出議員にとって相対的に当選が不利な状況に陥るため、「選挙制度については立法府の判断であり、司法が口出すこと自体がおかしい」との強硬論も出ている。

 また、民主党は昨年7月の参院選公約として「衆院80、参院40程度」の定数削減を掲げたが、「西岡案」は格差是正を優先して定数削減を行わない案のため、輿石東参院議員会長らは「国民にうそをついたことになりかねない」と難色を示す。

 各団体の職域代表や「1人区」選出議員も多く抱え、民主党と同様に定数削減も提唱した自民党にとっても事情は同じで、選挙制度見直し論は「かけ声倒れになるのでは」との見方も広がりつつある。参議院の在り方が選挙制度でも焦点になってきた。
総すくみになった「菅降ろし政局」を打開する「次の一手」輿石首相という秘策か、それとも内閣不信任案か

長谷川幸洋「ニュースの深層」
(現代ビジネス 2011年03月04日) http://p.tl/XCBn

 政局が膠着状態に陥ってきた。多くの永田町関係者が「菅直人政権はもたない」とみているにもかかわらず、プレイヤーたちは政局を動かす次の一手に行き詰まっている。その結果、不安定ながらも「恐怖の均衡状態」に達してしまったかのようだ。

 状況を整理しよう。

 民主党は事実上、小沢一郎元代表を支持するグループと反小沢グループに分裂している。会派離脱届を出した16人の衆院議員は衆院本会議での予算案採決に欠席し、菅政権から決別する姿勢を明確にした。その後、松木謙公農林水産政務官の辞任、佐藤夕子衆院議員の離党と続き、政権を揺さぶっている。

 こうした動きは、最終的に「小沢新党」に向かうかもしれない。だが、新党に行き着くかどうかは、この際、たいして重要ではない。すでに小沢グループは執行部とは別の政治行動をしている、という事実のほうが肝心だ。

 小沢グループがどのくらいの勢力なのか判然としないが、ここでは70人前後と仮定する。すると、残りの民主党は240人弱になる。両者は激しく対立しているが「解散・総選挙はしたくない」という一点で本音の利害が一致している。

 選挙になれば、民主党というワッペンをつけているだけで不利になるのは目に見えている。議員は「バッジをつけてなんぼ」の世界である。だれも落選だけはしたくない。

 一方、小沢グループは菅政権を打倒したい。そのうえで、できれば自分たちが政局の主導権を握って権力の座に復帰したいと考えている。他方、仙谷由人代表代行が実権を握る反小沢グループは、場合によっては菅を降ろして首相を交代させてもいいと思っている。ただし、それには「自分たちが次の政権でも主導権を握り続ける」という絶対条件がある。

 つまり、小沢グループと反小沢グループはともに解散反対だが「ポスト菅」をめぐって激しい綱引き=権力闘争になっているというのが現状だ。

では、ポスト菅で両者が一致する、あるいは妥協する可能性はあるか。

 まったくないとも言い切れない。

 たとえば、輿石東参院議員会長ならどうか。これまで参院議員が首相になった例はないが、憲法は「内閣総理大臣は国会議員の中から国会の議決でこれを指名する」と規定している(67条)。参院議員も国会議員であり、輿石が選ばれてはいけない理由はない。

 輿石は一貫して小沢擁護に回ってきたが、いまなお要職にあり、党内で一定の存在感を保っている。仙谷らが妥協するなら、輿石総理が誕生する目もあるのではないか。そうなれば、当面は解散を回避できる可能性が強まる。

 小沢グループは「2009年総選挙の政権公約(マニフェスト)を守れ」という主張を権力闘争の大義に掲げてきた。したがって、仙谷らと妥協に動く場合は当然、この主張をある程度、飲んでもらわないことには話がまとまらない。

 だが乱暴に言ってしまえば、生きるか死ぬかの権力闘争の最中にあって「マニフェストがどうこう」というのは、どうにでもなる話である、とくに民主党では。肝心のマニフェスト自体が少数の責任者によって、ざっくり作られた大味なものだったのだ。合意の文言をちょっといじれば、玉虫色の決着に落としこむのはそう難しくない。

 それより「民主党政権が当面続いて、お互い議員バッジを捨てなくてもすむほうが大事」と両者の利害が一致する可能性は残っている。もっとも、輿石総理でも野党の妥協は得られず、短命に終わる公算が大きいが。

 妥協成立の可能性を頭の片隅に置きながら、もう一つのシナリオ、つまり小沢グループが集団で別行動に走る場合を考えてみよう。

 仮に小沢が70人を集めれば、菅が内閣総辞職に踏み切った場合、大きな勢力になる。残りの民主党が240人弱なら、衆院の首班指名選挙で仙谷たちが推す「ポスト菅候補」にノーを付きつけられるからだ。そうなれば、政界再編である。

 自民党も民主党も過半数を制することができず、小沢グループがキャスティングボートを握る。だが、そこから先が描けない。

 小沢の不人気ぶりを考えると、いま野党が小沢と手を握って政権を作ろうとするのは、あまりにリスクが大きい。

 なにより政策をみても、みんなの党の渡辺喜美がコラムで書いていたように、みんなの党は小沢グループと増税反対で一致できても、一連のバラマキ政策や経済連携協定(TPP)問題で一致できない。自民党は増税反対とバラマキ政策で一致できないのだ。

■反小沢グループも壁にぶつかっている。

 菅を交代させたとしても、次が決まらないのだ。岡田克也幹事長や前原誠司外相らの名が挙がっているが、それでは小沢グループは支持しないだろう。もはや衆院307議席の民主党会派は空洞化してしまった。

 自民党はじめ野党は「解散・総選挙に追い込む」と言ってみても、できることはあまりない。当面は参院で予算関連法案を否決する、あるいは首相問責決議を可決するくらいである。解散するか内閣総辞職をするか、最後の決断は菅の手に委ねられている。

 では、菅はどうするのか。

 いくら自分が不人気だといっても、菅は小沢グループも反小沢グループも「ポスト菅」決める議員数と有力候補に決定力がないのを見越して、居座る腹を固めつつあるようだ。現状が極めて不安定であるのは承知しているが、だからといって、次の「安定均衡点」が見つからない以上、現状がしばらく続くとタカをくくっているのだ。

 こうした「総すくみ状況」がいつまで続くのだろうか。

 締め切り時間はある。予算関連法案が成立しなければ、政府のカネが続かない。財務省は当面、税収のやり繰りや政府短期証券の発行や独立行政法人への補助金凍結、財投債、財投機関債の発行などでしのぐだろうが、いずれ金融市場が悲鳴を上げる。

 一時停止した状況を動かすために、野党が早いうちに衆院で内閣不信任案を提出する手もある。どうせ否決されるのはわかっているが、国民にとっては状況がはっきりするメリットがある。

 小沢グループは菅内閣を支持するのか、それとも袂を分かつのか、態度を決めなくてはならない。菅支持なら支持で、野党はあっさり参院で予算関連法案を否決すればいい。後は菅の決断次第だ。袂を分かつなら、その時点から小沢グループを含めた政界再編が始まる。

 民主党が小沢グループを含めて、一致団結して菅信任で投票すれば「ポスト菅」という選択肢はなくなる。極めてわかりやすい。

 国民にとって一番困るのは、政治家たちがにらみ合ったまま、予算審議も政策論議もさっぱり進まない状況である。なにが真の対立点かもはっきりしないとなると、なおさらだ。いまさら「与野党が妥協して予算案の修正協議をせよ」などとは言わない。それぞれが一歩でも二歩でも、本音で前に進むべきだ。

 時間が止まるのは最悪である。

(と書いてはみたが、以上のような「総すくみ状況」を前提にして、きっとだれかが新たな均衡点を目指して動いているに違いない。それが政治のダイナミズムである)

(文中敬称略)
[都知事選]「マトモなのはアイツだけ…」と密かに人気の候補 (日刊ゲンダイ2011/3/4)

ひょっとするとひょっとするか!?

石原都知事の不出馬が決定的になり、混沌としてきた都知事選。目下、立候補を表明しているのは、松沢成文神奈川県知事(52)、居酒屋チェーン「ワタミ」の渡辺美樹前会長(51)、小池晃・前参院議員(50)の3人で、東国原・前宮崎県知事(53)も近く、正式表明するとみられている。他にも自民党の丸山和也参院議員(65)が意欲を見せる。

告示は今月24日、投票日は来月10日だが、旧自民党関係者で、今は政権の中枢で活躍する人物がこう言っていたから驚いた。
「今回、俺は小池に入れるよ。他のはロクなヤツじゃない」

保守層からも共産党の参院議員だった小池が意外な人気なのである。小池といえば、共産党の政策委員長や参院幹事長を歴任。TVでも顔が売れている論客だ。昨年、参院選で落選した時は、同じ東京選挙区でライバルだった蓮舫大臣が「惜しい人が落ちてしまった」と残念がったほどである。
そのうえ、他の候補が確かにヒドイ。松沢は石原ダミーだし、渡辺は早くもスキャンダルが噴出中。東国原にいたっては、ステップアップ狙いがミエミエで、都民をバカにするな、と言いたくなる。


こうなると、小池に注目が集まるのも分かる。意外に票を取りそうなのである。小池に手ごたえを聞いてみた。
「正直、首長を選ぶ選挙ですから、そんなにたやすい戦いではありません。でも、マトモな候補者はアナタしかいない、という声は聞きますし、他の候補者の方の立候補の仕方を見ると、まともに都政を考えているのかな、とは思いますね。後出しじゃんけんに示されるように、どうしたら勝てるかしか考えていない。都政のことよりもキャリアアップに有利だとか、国政への足がかりにしようとか、そういうことしか考えていないように見えます。今度の選挙は12年間の石原都政をどう見るかです。老人福祉率は全国2位から47位になった。大型の箱物をつくる投資的経費は7年間で147%になった。全国平均は71%なのに東京都だけが突出している。松沢さんは、こうした石原都政をモデルにしてきた人。石原氏のクローンだし、渡辺さんは都政に関して具体的なことを言っていません」

確かにそうだ。東国原なんか、「宮崎をどげなせんといかん」と言いながら、4年で辞めて転身を狙う。
「結果を出したのか、と問いたい」(小池氏)

共産党の参院議員だった小池に“抵抗感”のある有権者は多いだろうが、小池が掲げる政策は築地移転反対など都議会民主党が掲げた政策と一致点が多い。美濃部都政は社会党と共産党が一緒に応援して実現させたが、小池は台風の目になるかもしれない。



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佐藤夕子衆院議員離党はアリの一穴になる(日刊ゲンダイ2011/3/4)


いよいよ始まったメルトダウン

ついに「泥舟」からの離党者だ。

3日、民主党の佐藤夕子衆院議員(48)=愛知1区=が、岡田幹事長に離党届を提出した。菅首相が増税路線に突っ走ることに嫌気が差したからだという。首相への不満を理由にした離党は今回が初めて。佐藤は今後、名古屋市の河村たかし市長が率いる地域政党「減税日本」に参加する。
「佐藤氏は、河村市長が衆院議員の時の秘書。庶民目線で行動する河村さんに心酔していた。それだけに菅の暴走を許せなかったのでしょう。4日には名古屋市議選が告示され、『減税日本』から41人が出馬する。当然民主党とも対決するので、離党した上で、河村さんと共に41人の応援をしたかったのでしょう」(地元紙記者)

菅政権にとって佐藤の離党は、小沢元代表に近い衆院議員16人の会派離脱表明、松木謙公農水政務官の辞任に続く大きな痛手だ。しかも、今後はさらに離党者が増えそうだ。
「地元マスコミの街頭調査によると、13日投票の名古屋市議選(定数75)は、減税日本の候補者が30人近く当選しそうです。そのぶん、民主党は打撃を受け、現有の27議席から半減するとみられている。民主王国・愛知ですら、菅政権は完全にダメ出しされているのです。

『民主党』を掲げるだけで、票がどんどん逃げてしまう。減税日本は、4月の統一地方選でも躍進することは確実で、次の総選挙には東海地方や東京を中心に、候補者を多数擁立する。しかもバックには河村と親しい“選挙のプロ”小沢元代表がいます。総選挙は6月ともいわれているから、名古屋市議選後に国会議員が浮足立つのは間違いない。民主党を捨て、減税日本に行く議員が続出する可能性があります。既に水面下で、河村に『行ってもいいか』と問い合わせをしている議員が複数いるのです」(政界関係者)

まさにドロ舟民主党だ。



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首相が芸者を呼ぶ待合料亭にカミさんと行くか!? (日刊ゲンダイ2011/3/4)

スッカラ菅のヒジョーシキ!

1日の首相動静が永田町関係者の話題だ。菅が伸子夫人(写真)と馬淵前国交大臣とともに赤坂の高級料亭「口悦」に行ったからである。

「驚きました。カミさんと行くような店ではありませんからね」と自民党の関係者。口悦が高級料亭だからということだけでなく、ここは「今や、赤坂で3、4軒くらいになった芸者を呼べる料亭の筆頭格」だからだ。関係者がマユをひそめたのは、そういう料亭である手前、歴代首相も行くのを遠慮してきた過去があるのをよく知っているのである。
「有名なのは池田勇人首相。側近の進言に従い、首相になってからは、いわゆる待合料亭には行かないことにした。それなのに、菅さんは夫人同伴で行ってしまう。しかも、このご時世に。常識を疑うとはこのことですよ」(前出の自民党関係者)

口悦をよく知る客によると、これまで菅がここをひいきにしていたという話はないという。「となると、誰がセッティングしたのか」となって、またまた、臆測を呼んでいる。

麻生ゴージャス元首相も菅にはア然。



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返せば済むのか? 前原外相ちゃんちゃらおかしい「言い訳」 (日刊ゲンダイ2011/3/4)

怪しい闇社会献金虚偽記載

闇社会からの献金疑惑が噴出した前原誠司外相(48)。きのう(3日)夜に会見し、「道義的責任をもちまして、献金は全額返却したい」と言い出したが、返却すれば済む話ではない。黒い金という認識があったのではないか。だから、虚偽記載をしてごまかそうとしたのではないか。疑惑は山のようにある。それでなくても、前原の政治資金には怪しい点がゾロゾロだ。“黒い外相”の頬かむりは許されない。
前原に持ち上がった疑惑とは、政治団体「まえはら誠司東京後援会」の政治資金収支報告書(09年分)のウソである。

暴力団との関係が噂される会社から献金を受けながら、会社名がソックリな無関係の会社(千葉県)を記載し、代表者欄には、これまた名称が酷似した別会社(港区)の代表者名を記した。手の込んだ二重の虚偽記載で“架空会社”をデッチ上げ、闇社会とのつながりを隠そうとしたフシがあるのだ。
これについて前原は2日、こう釈明した。
「当該会社名をパソコン等で検索し、検索結果の一覧画面のうちのひとつを、そのサイトに実際に入ることなく、画面に表れている住所と代表者名を収支報告書にそのまま記載してしまった」

ただの記載ミスというのだが、これはどう考えてもおかしい。検索一覧画面に出てくるのは会社名だけで、住所も代表者名も出てこない。わざわざ、別会社から会社名と代表者名を引っ張ってきたのもあまりに不自然だし、ミスにしては手が込みすぎている。前原は3日の会見でも、「意図的だったのではないか」の質問には全面否定。シラを切ったが、説得力はゼロである。

◆他にも疑惑まみれのカネがゴロゴロある

大体、前原には他にも「誠司とカネ」の疑惑がある。各メディアが取材に走っていて、愛里夫人(42)からの“巨額借入金”もそのひとつだ。
「前原が代表を務める政治団体『民主党京都府第2区支部』は09年、愛里さんから748万円、資金管理団体『新緑会』も500万円を借り入れていました。愛里さんは創価短大卒業後、人材派遣大手『パソナ』のグループ会社で働いていた。2人が結婚したのは、南部靖之代表の紹介によるものです。愛里さんは1250万円ものカネをどういう経緯で、どこから出したのか」(政界事情通)

人材派遣会社といえば「ザ・アール」の奥谷禮子社長も新緑会に20万円の献金をしている。「格差は当然」「過労死は自己責任」などの発言で知られ、小泉政権下で郵政民営化に取り組み、その後、日本郵政の社外取締役も務めた人物だ。
その日本郵政から婚礼施設「メルパルク」を格安で手に入れ、批判を浴びた総合ブライダル大手「ワタベウェディング」の渡部隆夫会長も17万円を寄付している。
「前原の収支報告書には、葬儀会社からパチンコメーカーまで業種を問わず、有力企業や団体、財界人の名前がズラリです。強制わいせつや児童への暴行で講師がマスコミ沙汰になった大手進学塾からの献金もありました」(永田町関係者)

献金の経緯について問い合わせても、「担当者が不在」の一点張りで逃げ回る前原事務所。参院では火ダルマ必至だ。



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