某日。
ある秘密の会合のために、市内南3条西8丁目、古民家を改装した、「そな田」さんへ。
隠れ家的なお店で料理の組み立てに凝っている、という情報を得て、「???」期待とともに会食開始です。
お店そのものはもともと民家で、梁を残して天井や壁を抜き、解放感を出しています。改装途中、壁の中から大正元年の日付の北海タイムズが出てきた、ということでその部分にガラスをはめ込み、見ることができるようになっています。大正元年というと1912年。ほぼ一世紀前。
お料理の彩りが見えるギリギリのところまで照明も落としてあり大人の雰囲気が漂います。
最初は、「セリの胡麻和えたらばがに乗せ」しゃきしゃきの食感。セリは春のものと思っていましたが香りもあり、美味しく頂きました。
最初の飲み物は名物「山伏ビール」が在庫切れ、ということでグラスのシャンパンをいただきます。すっきりした飲み口です。
続いてお刺身。左が鯛、右がひらめ。暗い画像で恐縮ですが、ワサビが二種類ついているのがお分かりでしょうか。ひらめについている方は、ワサビにモンゴルの岩塩を練り込んだものとのことで「そのままでいい感じの味になります」、と。アドバイス通り醤油なしでいただきますが昆布締めしてある刺身の風味にはこの味の方がいいかもしれません。日本料理におけるうまみの使い方、すごいですね。子供のころからかなりの年齢の大人になるまで、」ケチャップやマヨネーズの濃い味に慣れていましたが、いつのころからかこのような味を好むようになり…
ブルーチーズに香のものを合わせたもの。最中の皮を使っています。手でつまんでパクッといただきます。普通にしているだけで最中の皮の意外に強い香りが漂ってきます。それに負けないブルーチーズ。味を和らげる野菜の食感。味は設計できるものなんですね。ただし、設計したとおりの味になるかどうかは、果てしない組み合わせと試食の末に…
肉はラムのフィレ。最近はオイシイラム肉を出すお店が増えましたが、フィレですと?
同席された方が、「ほとんどとれないでしょう?1頭からこんなもん?」普通のハンバーグ位に手を拡げますと…「そんなもんですね」。
フィレだけに癖がない。つけるのは、塩と、刺身編で登場したわさび塩。「んんん…」といって肉を食べ、「ふごっ」と言いつつワインを飲みます。
タラバ蟹にマスカルポーネチーズを合わせさらに別のチーズをサイの目にしたものを振りかけています。肉の味になった口の中が普通に戻る感じで…
さて、これが生麩を焼いたものに塗られた「酥」(「蘇」とも)。下に敷くのがクラッカーだと「味が合わない」のだそうです。
「蘇」とは牛または羊の乳を煮詰めて作るもの、とされています。煮詰めながらもとの量の10分の1ほどになれば出来上がり、ということらしいですが膨大な手間と時間がかかります。(お店のあと、11時頃から作り始めて翌朝8時までかかりました、と)
食べてみると、軽い麩の食感の中に乳製品の味が混じります。チーズほど濃厚ではないが乳製品と解る味、です。
出来上がりはこんな感じです、と見せていただきました。
ダイゴとは「醍醐」のことで、
大涅槃経では『牛より乳を出し、乳より 酪を出し、酪より 生酥を出し、生酥より 熟酥を出し、熟酥より 醍醐を出す。醍醐は最上なり。もし服する者あらば衆病皆除く。 あらゆる諸楽ことごとくその中に入るがごとく仏もまたかくのごとし。』
とされています。全ての中で最上のもの、ということから、「醍醐味」という言葉ができた、といいます。
鱸(すずき)の焼き物。照り焼きに近い感じに見えましたが、たれはそれほど甘辛くなく、赤ワインにもぶつかりませんでした。
炊き合わせ。かぼちゃ、かぶ、たらばですがこれも昆布の風味がすごく効いています。永久に食べたい感じ、と言えば少しは伝わりますでしょうか。
ご飯もの。これも昆布締めのホタテのお寿司。お米はユメピリカ使用、ということですが、「もち米使ってます?といつも訊かれます」という位もちもちな食感です。それゆえか、お腹にずしんと、しっかり応えます。
デザート。下の半円筒状のものはかぼちゃに蜂蜜で甘みをつけたもの。上の白いクリーム部分には違う種類の蜂蜜を使い、味の違いを出しています、と。横についているのはカカオニブ(カカオマス?)を焼いたもの。カカオの香りと甘みが…
お店の入り口付近の床にガラスがハマった部分がありました。入店したときには下が見えなかったのですが…灯りがついた状態ですと…
ワインセラーを兼ねた「室」に降りる階段でした!
この日はシャンパンのあと白ワインと赤ワイン1本ずついただいています。
隠れ家的なお店、しかも職場のすぐ近くでした。
メニューを思い返しながら感想をつづってきましたが一見地味な食材の組み合わせの中から意外なうまみを引き出したい、それに合わせてお酒を楽しんでもらいたい、というお店のコンセプトが明確です。出てきたメニューの裏には膨大な量の試作と試食が繰り返されているのが解ります。
まだ開店間もないお店ですが、これからどんどん成長していくお店では?と思いました。ピアニストの辻井伸行さんのように、年々歳々、良くなっていくのがわかるような…
ここも再訪決定です。季節毎に行くべき、と思います。
ある秘密の会合のために、市内南3条西8丁目、古民家を改装した、「そな田」さんへ。
隠れ家的なお店で料理の組み立てに凝っている、という情報を得て、「???」期待とともに会食開始です。
お店そのものはもともと民家で、梁を残して天井や壁を抜き、解放感を出しています。改装途中、壁の中から大正元年の日付の北海タイムズが出てきた、ということでその部分にガラスをはめ込み、見ることができるようになっています。大正元年というと1912年。ほぼ一世紀前。
お料理の彩りが見えるギリギリのところまで照明も落としてあり大人の雰囲気が漂います。
最初は、「セリの胡麻和えたらばがに乗せ」しゃきしゃきの食感。セリは春のものと思っていましたが香りもあり、美味しく頂きました。
最初の飲み物は名物「山伏ビール」が在庫切れ、ということでグラスのシャンパンをいただきます。すっきりした飲み口です。
続いてお刺身。左が鯛、右がひらめ。暗い画像で恐縮ですが、ワサビが二種類ついているのがお分かりでしょうか。ひらめについている方は、ワサビにモンゴルの岩塩を練り込んだものとのことで「そのままでいい感じの味になります」、と。アドバイス通り醤油なしでいただきますが昆布締めしてある刺身の風味にはこの味の方がいいかもしれません。日本料理におけるうまみの使い方、すごいですね。子供のころからかなりの年齢の大人になるまで、」ケチャップやマヨネーズの濃い味に慣れていましたが、いつのころからかこのような味を好むようになり…
ブルーチーズに香のものを合わせたもの。最中の皮を使っています。手でつまんでパクッといただきます。普通にしているだけで最中の皮の意外に強い香りが漂ってきます。それに負けないブルーチーズ。味を和らげる野菜の食感。味は設計できるものなんですね。ただし、設計したとおりの味になるかどうかは、果てしない組み合わせと試食の末に…
肉はラムのフィレ。最近はオイシイラム肉を出すお店が増えましたが、フィレですと?
同席された方が、「ほとんどとれないでしょう?1頭からこんなもん?」普通のハンバーグ位に手を拡げますと…「そんなもんですね」。
フィレだけに癖がない。つけるのは、塩と、刺身編で登場したわさび塩。「んんん…」といって肉を食べ、「ふごっ」と言いつつワインを飲みます。
タラバ蟹にマスカルポーネチーズを合わせさらに別のチーズをサイの目にしたものを振りかけています。肉の味になった口の中が普通に戻る感じで…
さて、これが生麩を焼いたものに塗られた「酥」(「蘇」とも)。下に敷くのがクラッカーだと「味が合わない」のだそうです。
「蘇」とは牛または羊の乳を煮詰めて作るもの、とされています。煮詰めながらもとの量の10分の1ほどになれば出来上がり、ということらしいですが膨大な手間と時間がかかります。(お店のあと、11時頃から作り始めて翌朝8時までかかりました、と)
食べてみると、軽い麩の食感の中に乳製品の味が混じります。チーズほど濃厚ではないが乳製品と解る味、です。
出来上がりはこんな感じです、と見せていただきました。
ダイゴとは「醍醐」のことで、
大涅槃経では『牛より乳を出し、乳より 酪を出し、酪より 生酥を出し、生酥より 熟酥を出し、熟酥より 醍醐を出す。醍醐は最上なり。もし服する者あらば衆病皆除く。 あらゆる諸楽ことごとくその中に入るがごとく仏もまたかくのごとし。』
とされています。全ての中で最上のもの、ということから、「醍醐味」という言葉ができた、といいます。
鱸(すずき)の焼き物。照り焼きに近い感じに見えましたが、たれはそれほど甘辛くなく、赤ワインにもぶつかりませんでした。
炊き合わせ。かぼちゃ、かぶ、たらばですがこれも昆布の風味がすごく効いています。永久に食べたい感じ、と言えば少しは伝わりますでしょうか。
ご飯もの。これも昆布締めのホタテのお寿司。お米はユメピリカ使用、ということですが、「もち米使ってます?といつも訊かれます」という位もちもちな食感です。それゆえか、お腹にずしんと、しっかり応えます。
デザート。下の半円筒状のものはかぼちゃに蜂蜜で甘みをつけたもの。上の白いクリーム部分には違う種類の蜂蜜を使い、味の違いを出しています、と。横についているのはカカオニブ(カカオマス?)を焼いたもの。カカオの香りと甘みが…
お店の入り口付近の床にガラスがハマった部分がありました。入店したときには下が見えなかったのですが…灯りがついた状態ですと…
ワインセラーを兼ねた「室」に降りる階段でした!
この日はシャンパンのあと白ワインと赤ワイン1本ずついただいています。
隠れ家的なお店、しかも職場のすぐ近くでした。
メニューを思い返しながら感想をつづってきましたが一見地味な食材の組み合わせの中から意外なうまみを引き出したい、それに合わせてお酒を楽しんでもらいたい、というお店のコンセプトが明確です。出てきたメニューの裏には膨大な量の試作と試食が繰り返されているのが解ります。
まだ開店間もないお店ですが、これからどんどん成長していくお店では?と思いました。ピアニストの辻井伸行さんのように、年々歳々、良くなっていくのがわかるような…
ここも再訪決定です。季節毎に行くべき、と思います。
そな田 (和食(その他) / 西8丁目駅、資生館小学校前駅、中央区役所前駅)
夜総合点★★★★☆ 4.0