【3方式に絞り議論へ】 ●「後払い方式(排出時負担方式)」 メリットは長期のリサイクル費用の管理コストや家電の個品管理などが不要で低コストで運営できる点だ。すでに歯磨き粉 消費者に知られているほか、他方式のように支払い方式の変更に伴うコストが発生しない。また、リサイクル費用と廃家電の引き取りが明示されているため、料金を回収しやすいという面もある。 ただ、リサイクル費用の支払い回避による不法投棄や、違法な不用品回収業者への排出といった問題が残る。有効な対策を見いだせない限り、リサイクル費用の回収方式の見直しはくすぶり続ける。具体策として不法投棄の取り締まり強化や違法な不用品回収業者の摘発などが考えられる。これらの取り組みの結果、どの程度効果を上げることができるか。 ●「前払い方式(将来充当方式×資金管理法人方式)(当期充当方式×資金管理法人方式)」 口臭予防 製品購入時の段階でリサイクル費用を回収する結果、リサイクル費用の支払い回避による不法投棄や違法な不用品回収業者への排出が減少すると期待される。メーカーの撤退や倒産により、消費者が追加負担することもない。 しかし、将来充当方式の場合、現行制度も継続する必要があり、2制度が併存する。資金規模が大きく、管理コストも相応にかかる。リサイクル費用の支払い済みの家電の識別をどのように行うのかも問題だ。 一方、当期充当方式は回収した費用をそのままリサイクルコストに充当するわけではない。メーカーのリサイクル費用引き下げのインセンティブが働きにくい。また、回収したリサイクル費用の総額と実際のコストとの隔たりが生じた場合の対応などの問題がある。  【審議会の合同会合・座長(慶応義塾大学経済学部教授)細田衛士氏-「消費者にわかりやすく」】 家電リサイクル制度の問題の本質は、より多くの使用済み家電を法で定めるルートで集め、質が高いリサイクルをなるべくコストを抑えて実施する、というものだ。 消費者にわかりやすく利用しやすいリサイクル制度が求められている。それが理解されずわからないままなので、不法投棄や不適正処理につながっている。その解決策の一つがリサイクル費用の前払い方式だ。 ただ、後払いも含めてそれぞれの方式にメリット・デメリットがある。前払い方式にすることで、本来のルートにどれだけの廃家電が集まり、メリットが生まれるのか。また、回収方式を変えることで生じるコストと、各回収方式のランニングコストを鑑みて、どれが現時点でふさわしいのかを議論して決めることになると思う。