2008年。アメリカ。"The Ruins".
  カーター・スミス監督。スコット・スミス原作。
 スティーヴン・キングが2008年度の映画ベスト10の第8位に入れている。たぶん原作の長編小説が気に入っていただけじゃないか、という気もする。他にも変な映画を選んでいたりするので、いまひとつ信用できないのがスティーヴン・キングの面白さだったりする。
 (ちなみに2009年度のベスト10の第1位はアカデミー賞最有力の『ハート・ロッカー』が選ばれている。そんなに良い映画なら早く見てみたい。第2位がウェス・クレイヴン監督の1972年製作のジャンク・スリラー映画、『鮮血の美学』のリメイク版を入れているところなどは面白い。『鮮血の美学』はウェス・クレイヴン版の『ラブリーボーン』みたいなものだったような記憶があるが、よく覚えていないのでわからない。元ネタはイングマール・ベルイマンの『処女の泉』か何かだった。)

 アメリカのホラー映画専門誌が選ぶ「キャンプで見たいホラー映画ベスト10」の第9位にも選ばれている。第10位がイーライ・ロスの『キャビン・フィーバー』なので、「そんな馬鹿な!『キャビン・フィーバー』より面白い映画がこの世に存在するのか?」とも思ったが、当然存在する。
 そんな高い評価を得ているこの『パラサイト・バイティング 食人草』だったが、スコット・スミスと言えば、スティーヴン・キングが絶賛していた『シンプル・プラン』は面白かったが、映画版はいまいちだった。
 この原作『ルインズ 廃墟の奥へ』は読んでいないが、たぶん面白いのだろう。

 旅先で見つけた古代の遺跡みたいな廃墟に生えている草が人間を食べる物語で、『マタンゴ』を思い出した。ただし、『マタンゴ』のように人間関係の描き方がすぐれているわけではない。
 原作はよくできているのだろう、と思わさせられる物語の力強さはあったように思った。しっかりした経験を積んだスタッフによって製作されている意外とまともなホラー映画。
 見知らぬ土地に旅するときは、現地の言葉が理解できる者が一人はいないと大変な目にあいますよ、という教訓物語にもなっている。
   IMDb
映画の感想文日記-ruins1
 メキシコに旅行にやってきたチャラい4人組が主人公で、第一印象で「こいつらは全員死ぬだろう。」と誰もが考えるだろう予感は見事に的中、はしない。(DVDに入っている別エンディング・バージョンだと全く違った風になる。)
 チャラい4人組も生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされると、次第に本来持っていた個性が発揮されてくるところが見せ場になっている。
映画の感想文日記-ruins2
 当初は場の空気を読まずにはしゃいでいた美女ふたりだったが、美しさは生き延びるためには何の役にも立たないとなると、ガッツと体力だけが勝負の世界に突入する。
 ヒステリー気味でメガネ女で弱そうに見えたエイミー(ジェナ・マローン)が意外と危機に柔軟に対応する能力があり、体力がありそうにみえたブロンド美女のステイシー(ローラ・ラムジー)は、精神的に弱いところがあるのが明らかになる。
映画の感想文日記-ruins4
 アバクロンビー&フィッチのカタログモデルみたいにチャラく見えても、医学部で医者を目指す青年ジェフ(ジョナサン・タッカー、どこかで見たような顔だと思ったら『告発のとき』でトミー・リー・ジョーンズの息子を演じていた俳優だった)は、医学の知識を生かして、けが人の両足切断手術をしたり、リーダーとしての才能を発揮するようになってゆく。
 製作総指揮になぜかベン・スティラーが参加している。
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