前回のあらすじ
迷探偵あやぺすにかかってきた一本の電話から始まる事件の調査は、
目撃者の存在から簡単に解決するかと思えた。
しかし、その目撃者Ｂの足取りを追うにつれて、迷探偵あやぺすの第６感は何か不吉なものを感じえないでいた。
「この事件には何か裏が隠されている。そう私のゴーストがささやくのよ」
迷探偵あやぺすは小さくつぶやくのだった。
昼休みの教室はあわただしく、生徒の対応に追われるＢはわたしのほうを見ると一瞥するだけで、
あっちへこっちへと走りまわっていた。
そんなＢに話しかけてみる。
この前の事件について・・と切り出すとＢの顔は一瞬曇ったように見えた。
少し言葉に詰まったあと、
「ここではなんですから、人のいないところへ移動しましょう。」
と、私を体育館へ連れて行った。
静まり返った体育館で、人目を気にするＢ。
そわそわしている彼に私は、被害者Ａと犯人らしき男がもみ合っている現場の状況を聞いた。
内容としては警察からの事情聴取とほぼ一致している。
しかし、私はこれだけではすまさなかった。
有能な助手のパンダちゃんの調査能力を侮ってはいけない。
パンダちゃんは、このＢと被害者Ａには接点があると突き止めたのだ。
「あなた、被害者のＡを知っていますか？いや、知っているのはあたりまえでしたね。
なにせ事件現場を目撃してる。あなたは通報もした。立派な市民としての行動でしょう。
私は特別なルートを持って、警察での事情聴取の内容が書かれた文章を持っている。
おかしいですね。。。あなた、被害者Ａは知り合いではない。一度も面識がないと発言している。
しかし、あなたは以前よりＡを知っていますね？それは知り合いどころでは済まされないほどの深い関係だ。」
Ｂの顔が青ざめて行くのがわかった。
学校の教師というものは治外法権のようなもので、職場ではやりたい放題だ。
何をしても学校という社会の外には情報が漏れにくい。
生徒はまだ人格がしっかり形成されておらず、自己で正当な判断も難しいティーンエイジャー。
彼らをコントロールするのも簡単な環境である。
そんな中で、社会人とは言えないような上半身裸という格好を平然としているＢ。
私に警察には伝わらなかった情報を提示され戸惑いだす。
今後どのようなことが起こるのか不安になったのであろう。
何かわけのわからないようなことをブツブツとつぶやき、
下を向き、目をキョロキョロとさせながら、手で額の脂汗を拭っていた。
いろいろと考えることもあったのだろう。
しばらくすると、Ｂはキッとこっちをにらみ私にこうささやいた。
「この事件をこれ以上詮索するな。そうでなければお前はきっとGo to hell!!!!」
私の返事を聞くまでもなく、Ｂは足早に体育館を去って行った。
ますます怪しくなったＢについて、調べるべく教室にもどり、
不本意ではあるながらも、彼の担当する生徒たちに話を聞きに行くことにした。
怪しまれては有力な情報が得られない。そう思った私は、他愛もない会話で生徒に近づいた。
そこである女生徒Ｃと男子生徒Ｄから気になる話を聞くこととなった。
「先生が放課後、職員室の裏の駐車場で若い男の人と言い争いをしているのを見た。」
