女将さんにしてみたら、年内でお店は閉めて
しまうことは決めていたのだと思うけれど、
確か、この夜も盛況で女将さんはお客さんと
話をする余裕もなかったように記憶してるん
ですよ。
だから、女将さんの口から今年いっぱいで
お店を閉めると言う言葉を聞けなかった。
聞いてたら、もっといってたのに。
それが最後となってしまったのでした。
話、変えます。
ICOCAスマホがちょっとなんなんやねん。
とボヤいたの覚えてはりますか?
とうとう、ワシとICOCAスマホは別れたのです。
酔った夜、ワシはICOCAスマホと関係を
持ちました。
データ移管がちゃんとできたのかよくわからない
まま、翌朝を迎えました。
もう、付き合ってるって言っていいの?
不安な気持ちでカードICOCAを改札で入場
しようとしたら、激しく抵抗されてしまったの
です。
入れない…?
駅員さんに調べてもらったら、もう使えない。
ICOCAスマホに移管されてると…
その日からICOCAスマホとの付き合いが始まり
ました。
あぁ、付き合ってるんだ…と。
やがて、チャージ問題に直面した2人。
でも、2人の間には定期券と言う絆があったん
ですよ。
やがて、定期券の終わりがやってくる。
スマホの中で継続定期券が買える便利さ。
でも、すぐに壁にぶち当たる。
JR西日本のカードやないと支払いがでけん…
アカンやん…
駅の券売機に行けばええやん。
せや、券売機で買えるがな。
定期券が買える券売機の前で立ち尽くす…
カード型しか対応しとらんがな。
スマホICOCAを置く場所がないがな…
買えない…
大丈夫、びゅう窓口に並べば買えるがな。
4、5人並んでる最後尾に立つ。
あとひとりと言うところで、ワシの前のオッサンが
カードの暗証番号を何回も間違えてるらしく、
「ヤバ!わからん!マジわからん!
暗証番号わからん!え〜!まいったなぁ!
アカン!やめるわ!帰るわ!出直すわ!」
窓口から撤退してゆく。
あ〜、その哀しみわかるなぁ。
めっちゃわかるなぁ〜。
で、ワシの番ですわ。
ICOCAスマホを出して定期券を継続したいと
言うと、駅員さんが衝撃なひと言を言うたんですよ。
「窓口ではICOCAスマホは対応できないんです」
「え!」
「こちらはカードICOCAのみ対応可能なんです。」
「え〜、券売機でも対応してないじゃないですか。」
「ハイ」
「ネットでは特定のクレジットしか使えないじゃ
ないですか。」
「ハイ」
「どないしたらええんですか?」
「カード型で購入していただくしか…」
なんやったんや、ワシとICOCAスマホの夜は。
まさにワンナイトカーニバルやん…
遊びじゃなかったのに…
ワシは抜け殻になったカードICOCAを差し出して
「じゃあ、これで定期券をお願いします…」
と言うたら、駅員さんが言う。
「これはもう使えないんです。」
「新しいカードで作るしかない?」
「ハイ」
「じゃあ、それで…」
わかりますか? ワシの脱力感を。
「デポジット500円分いただきます。」
「え?」
「ICOCAスマホに移行したら、500円分使え
ますので」
「え!」
500円取られるけど、ICOCAスマホに移管せえ
へん限り使えない?
またはカード型を窓口に返却しないと返金され
ない?
新しいカード型ICOCAを受け取る。
ワシは抜け殻になったカード型ICOCAを差し出す。
「これはお客さまがお捨てください。」
「回収とかしてないんですか?」
「ハイ、お捨てください。」
え! ワシが墓場に埋めるのか…
ワシは窓口を離れる。
中途半端にICOCAスマホに残った残金を眺める。
一度都内で使ってるから残金67円。
コレって最後使えない残金はどうすんの?
返金は窓口でもやってくれへんもんね。
泣き寝入り?
こうして、ワシとICOCAスマホの春は終わったの
でした。