矢口新の生き残りのディーリング
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☆信頼した方、裏切った方、どちらが悪い?

昭和の流行歌では、泣かされた女がお人好し過ぎたのか、騙した男が悪いのか、というような歌詞が定番の1つだった。それは捨てられた女の、せつない恨みの歌でもあった。もっともそれは、自分の方から別れを切り出したのに、いつまでも自分に未練を抱いていて貰いたいという男の側の身勝手な願望をも反映していたように思う。想像だけに過ぎないが、自分と別れた後の女が、すぐに元気に次の男と恋に落ちることは、複雑なものだろうからだ。

そのような愛憎劇とは違うが、大谷翔平選手は、信頼していた水原一平氏に裏切られていたことが明らかになった。水原氏は追い詰められた挙げ句に魔が差したのではなく、数年にわたって継続的に大谷選手の資金を流用していた。あるいは、最初の1回は魔が差したのかも知れないが、見つからないことをいいことに流用を繰り返していたのだ。

大谷選手はお人好し過ぎた、あまりにも無防備に通訳に頼り過ぎていたという見方もあるが、そうだろうか? なぜなら、水原氏を雇ったのは大谷選手個人ではなく、日本ハムやエンジェルス、ドジャースといった会社だったからだ。私などもいくつかの会社に勤めたが、どの会社でも、会社が雇っていた人々を疑ったことは一度もない。特に海外にいた時には、多くのことを会社や会社が雇った秘書の方々に頼っていた。

組織というのは不思議な機能を持っている。もとは赤の他人の集まりに過ぎないのに、仲間となったら、時には血縁以上に信頼関係で結ばれるからだ。遠くの親戚より近くの他人とはよく言い得た言葉だが、同じ会社、同じチームの仲間は、時には近くの親戚以上に親しくなる。ましてや、海外にいてはそうだ。

海外に赴任すると、年金を含む社会保険への登録や銀行口座の開設、自動車免許の取得などが必要となる。交通違反などをしてしまうと、警察や裁判所への対応を現地の言葉で行うことになる。私などは英語圏の大学卒なのだが、それでも法律関係の文書は会社の秘書の方に確認して貰っていた。その時、自分の解釈とその人の解釈が違ったとしたら、その人の解釈に従っていた。仮に疑問に思ったとしても、他の人に確認するようなことはない。つまり、無防備に頼っていた。それが普通だ。

私などは長く生きてきたので、「騙された」というような目にもあった。とはいえ、それで人を疑うようになったようなことはない。なぜなら、圧倒的多数の人々にはよくして貰ってきたからだ。世の中には恨みより感謝の方が圧倒的に大きい。

人は環境次第で善人にも悪人にもなる。善人でも魔が差すことがある。悪人にも三分の理がある。一定の比率で真の悪人がいることはいる。世の中がそうしたものだとすれば、自分が裏切られたとしても、それは一定の確率で起こるべきもので、それによって自分の世の中への見方が変わることはない。少なくとも私にとっては、恨みより感謝の方が圧倒的に大きいと言えるのだ。

信頼した方、裏切った方、どちらが悪い? 1億円プレーヤーは一流選手だと見なしていいだろう。その20数年分の年棒、あるいは1億円プレーヤー20数人分の年棒を騙し取った方が間違いなく悪い。信頼されていることを悪用して裏切るのは、人間としても恥ずべき行為だ。とはいえ、今回の事件は大谷選手が、改めて大スターであることの証明となったのではないか?

 

 


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【彼は55歳になった。そして世界で最も重要な会社を創業した】
(4/15:参照)He Turned 55. Then He Started the World’s Most Important Company 
By scrutinizing Census Bureau records and freshly available Internal Revenue Service data, they were able to identify 2.7 million founders in the U.S. who started companies between 2007 and 2014. Then they looked at their ages.
The average age of those entrepreneurs at the founding of their companies was 41.9. For the fastest-growing companies, that number was 45. 
The economists also determined that 50-year-old founders were almost twice as likely to achieve major success as 30-year-old founders, while the founders with the lowest chance of success were the ones in their early 20s. Every shred of evidence led them to a counterintuitive takeaway.


《マーケットでよくでる単語・表現》

Census Bureau 国勢調査局
scrutinize 精査する
Internal Revenue Service 国税庁
shred 断片
counterintuitive 直観に反する
takeaway 結論


《日本語訳》

国勢調査局の記録と利用可能な最新の内国歳入庁のデータを精査することで、彼らは2007年から2014年にかけて会社を創業した米国の270万人の創業者を特定することができた。そして、彼らの年齢を調べた。
それらの起業家たちが企業を創業した時の平均年齢は41.9歳だった。最も急成長した企業では、平均年齢は45歳だった。
エコノミストたちはまた、50歳の創業者は30歳の創業者の約2倍の確率で大きな成功を収めたことを見極めた。一方で、成功の確率が最も低い創業者は20代前半の人々だった。あらゆる証拠が彼らを直感に反する結論へと導いた。

関連:Here’s Who Fell Off Forbes’ 2024 Billionaires List 



【米国債の販売が苦戦しつつある】
(4/16:参照)America’s Bonds Are Getting Harder to Sell 
A series of weak auctions for U.S. Treasurys are stoking investors’ concerns that markets will struggle to absorb an incoming rush of government debt.
A selloff sparked by a hotter-than-expected inflation report intensified this past week after lackluster demand for a $39 billion sale of 10-year Treasurys. Investors also showed tepid interest in auctions for three-year and 30-year Treasurys.
Behind their caution lies a growing conviction that inflation isn’t fully tamed and that the Federal Reserve will leave interest rates at multidecade highs for months, if not years, to come.


《マーケットでよくでる単語・表現》

stoke かき立てる
lackluster 精彩を欠いた
conviction 確信
tame 飼いならす


《日本語訳》

一連の米国債の入札が低調だったことで、国債市場が今後急増する国債発行の吸収に苦戦するのではないかという投資家の懸念をかき立てている。
予想を上回るインフレ指標発表に端を発した国債価格の下落は、先週行われた390億ドルの10年国債入札への需要が乏しかったことから激化した。
投資家らの警戒感の背景には、インフレはまだ完全には収束しておらず、米連銀は数十年来の高金利を、今後数年とは言わないまでも、数カ月は維持するだろうという確信の高まりがある。

関連:Fed Rate Cuts Are Now a Matter of If, Not Just When 

関連:3 Facts That Help Explain a Confusing Economic Moment 



【研究売ります:いかにして中国マネーが米大学に流れるか】
(4/17:参照)Research for Sale: How Chinese Money Flows to American Universities 
American universities sign contracts around the world to sell their research and training expertise, and some of their most lucrative agreements have been with companies based in China. The decadeslong trade thrives despite a deepening U.S.-China rivalry and rising sensitivities about Beijing’s influence on American campuses.
Nearly 200 U.S. colleges and universities held contracts with Chinese businesses, valued at $2.32 billion, between 2012 and 2024, according to a review by The Wall Street Journal of disclosures made to the Education Department. The Journal tallied roughly 2,900 contracts.


《マーケットでよくでる単語・表現》

expertise 専門知識
lucrative 利益のあがる
thrive 繁栄する
tally 集計する


《日本語訳》

米国の大学は、研究やトレーニングの専門知識を売るために世界中で契約を結んでおり、最も利益の上がる契約のいくつかは中国に拠点を置く企業と結ばれている。米中対立が深まり、米国のキャンパスにおける中国政府の影響力についての感受性が高まっているにもかかわらず、この数十年にわたる取引は繁栄している。
2012年から2024年の間に200校近くの米国の大学が中国企業と金額にして23億2000万ドルの契約を結んでいたことが、ウォール・ストリート・ジャーナル紙が教育省に提出した開示資料の調査で分かった。同紙は約2900件の契約を集計した。

関連:Chinese Company Under Congressional Scrutiny Makes Key U.S. Drugs 

関連:Chinese Economy’s Strong Start to 2024 Is Already Fading 

関連:China’s Overcapacity Is Already Backfiring 



【ドローンとミサイルによる戦争が供給不足の防衛システムを試す】
(4/18:参照)Drone-and-Missile Warfare Tests Supply-Strapped Defense Systems 
Countries around the world have moved to bolster their air defenses in recent years, spurred by Russia’s war on Ukraine, concerns about tensions in the Asia-Pacific region and renewed conflict in the Middle East. 
Yet the companies that produce air-defense systems are struggling to meet the surging demand, and countries ordering the technology are grappling with long waits and high costs.
U.S. fighters shot down most of the drones, though some were destroyed by British, French and Israeli aircraft.


《マーケットでよくでる単語・表現》

bolster 増強する
grapple with~に立ち向かう


《日本語訳》

世界各国は近年、防空力強化に動いている。ロシアのウクライナ戦争、アジア太平洋地域緊張への懸念、中東での紛争再燃などに刺激された。
しかし、防空システムを製造する企業らは急増する需要を満たすことに苦労しており、その技術を発注する国々は長い待ち時間と高いコストに立ち向かっている。
米戦闘機がほとんどのドローンを撃墜した。残りは英国、フランス、イスラエルの航空機が破壊した。

関連:U.S. Defense of Israel’s Skies Sparks Ukrainian Envy and Ire 

関連:Russian Missile Attack North of Kyiv Kills at Least 17, Ukraine Says 

関連:Meet the Ukrainian amputees returning to the front to resist Russian advance 



【気候変動はあなたをより貧しくする、新報告書】
(4/19:参照)Climate change will make you poorer, according to a new report 
Record-breaking heat waves, severe floods and acute wildfires, exacerbated by climate change, carry a colossal price tag: an approximately 19% reduction in global income over just the next 26 years, a new study published Wednesday found.
That financial gut punch won’t just affect big governments and corporations. According to the United Nations, the world is heading toward a gain of nearly 3 degrees of global warming in the next century, even with current climate policies and goals - and researchers say individuals could bear the economic burden.


《マーケットでよくでる単語・表現》

exacerbate 悪化させる
colossal 壮大な
price tag 値札
gut punch ボディーブロー


《日本語訳》

記録破りの熱波、大洪水、深刻な山火事らは、気候変動によって悪化しており、今後ほんの26年間で世界の所得を約19%減少させるという途方もない代償を伴うことが、水曜日に発表された新な研究で明らかになった。
その経済的な痛手は、政府や大企業だけに影響するものではない。国連によれば、現在の気候政策や目標をもってしても、世界は来世紀に3度近い地球温暖化に向かっている。そして研究者たちは、個人がその経済的負担を負う可能性があると言う。

関連:China’s Cities Are Sinking Below Sea Level, Study Finds 

関連:Green hydrogen tech boss warns of AI energy consumption risk 

関連:Bitcoin Energy Consumption Index 



【ブランソンのクルーズ会社、リモートワーカー用1カ月クルーズを開始】
(4/20:参照)Richard Branson’s cruise line launches month-long cruise for remote workers 
In March, the Miami-based cruise line owned by Sir Richard Branson introduced a month-long cruise called the “Scarlet Summer Season Pass.” It’s essentially four week-long cruises packaged together to appeal to remote workers who want to spend a month at sea in southern Europe.
The Scarlet Summer Season Pass covers two people and costs $9,990. The rate includes a room, meals, group fitness classes and Wi-Fi, plus laundry services, daily coffee and tea credits and access to workspaces. 


《マーケットでよくでる単語・表現》

credit 掛け売り

on、by、with、ofなど、前置詞の用法については多くの英文に親しむことで習うより慣れてください。


《日本語訳》

3月、リチャード・ブランソン卿所有のマイアミを拠点とするクルーズ会社が、"スカーレット・サマーシーズンパス "と呼ばれる1カ月間のクルーズプランを発表した。このプランは基本的に4つの1週間クルーズを合わせてパッケージ化したもので、南欧の洋上で1カ月間過ごしたいというリモートワーカーたちにアピールするものだ。
スカーレット・サマーシーズンパスの費用は2名で9990ドル。費用には客室代、食費、グループ・フィットネスクラスと、Wi-Fiに加え、洗濯サービス、毎日のコーヒーと紅茶の提供、ワークスペースの利用が含まれる。

関連:Italy launched a new digital nomad visa--find out if you qualify and where to apply 



また、来週!

 



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・快適か安全かという究極の選択

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☆快適か安全かという究極の選択

生成AIは今後の世界を変えるとされている。便利で効率的で快適な世界が期待される一方で、安全な生活が大きく損なわれる恐れも出てきている。欲望のままに、何もかもを得ることは出来ない。何かを捨てる、あるいは規制することができなければ、人類の破滅を早めることになるのではないか。

ウォールストリート・ジャーナルは、AI時代には「社会秩序が崩壊する可能性」があるとして、NTTと読売新聞が声明を発表したと取り上げた。

「日本のトップ企業2社が指摘。日本企業の声明文では、生産性向上における生成人工知能の潜在的な利点を指摘しながらも、技術については概して懐疑的な見方を示した。具体例は提供しなかったが、AIツールはモラルや正確さを考慮せずに時々ユーザーの注意を引くように設計されることがあるため、すでに人間の尊厳を傷つけ始めていると述べた。

AIが抑制されない限り、『最悪の場合、民主主義と社会秩序が崩壊し、戦争に発展する可能性がある』と、声明文は述べた。」
参照:‘Social Order Could Collapse’ in AI Era, Two Top Japan Companies Say 

ウォールストリート・ジャーナルはまた、「金融部門を狙うディープフェイク」、
参照:Deepfakes Are Coming for the Financial Sector

「中国がAIパワーで米国の有権者と台湾を狙っている」とし、
参照:China Is Targeting U.S. Voters and Taiwan With AI-Powered Disinformation

CNBCは、「国家によるサイバー攻撃、AIディープフェイク、英国選挙のサイバー脅威」と取り上げ、
State-backed cyberattacks, AI deepfakes, and more: Experts reveal UK election cyber threats 

ニューヨークタイムズは、「10代の少女らが学校で蔓延するディープフェイク・ヌードに立ち向かう」とした。
参照:Teen Girls Confront an Epidemic of Deepfake Nudes in Schools 


AIがもたらす危機は「社会秩序が崩壊する可能性」だけではない。AIがより確実にもたらすものは「エネルギー危機」だ。ChatGPTで1回問答するときの消費電力量は一般的なグーグル検索の10倍にも相当すると言われているからだ。一方で、生成AIへの投資計画額は2024年の400億ドル程度から、今後増え続けて27年には1500億ドルを超えると見込まれている。

そのため、生成AIへの投資に伴う2027年におけるデータセンターの電力需要は、22年時点の2倍近くになると見込まれている。そこで、この3月に米テキサス州ヒューストンで開かれた年次のCERAWeek(エネルギー業界のリーダーが一堂に会し、世界のエネルギー未来について議論する世界的な会議)には、アマゾンやマイクロソフトの幹部20人以上がパネルディスカッションに登壇した。

そこでは、AIの進化に必要なデータセンターは、送電網に負担をかけ、よりクリーンなエネルギー源への移行を妨げる可能性があるほど多くの電力を必要とすることに、ほとんどの人が同意した。

また、英半導体設計大手アームのレネ・ハースCEOは、AIは「情報を収集すればするほど賢くなるが、賢くなるために情報を収集するほど、より多くの電力が必要になる」と語り、エネルギー効率が改善しなければ「2029年末までにAIデータセンターは全米の電力需要の20~25%を占める可能性がある。現在はおそらく4%かそれ以下だ」とし、「正直なところ、とても持続可能とは言えない」と述べた。

日本の東電管内でもデータセンターの電力需要は、今後10年間で10倍にもなると見込まれている。


さらには、米国ではビットコインといった暗号資産(仮想通貨)の電力消費が急増している。先日、バイデン政権は国内電力消費の最大2.3%をビットコインのマイニングが占めていると推計した。

仮想通貨の取引は、相当数の人がコンピューターでその取引を認証することで成立する。その報酬として一定数の仮想通貨を受け取ることができるので、その作業を「マイニング(採掘)」と呼ぶ。

大掛かりなマイニング施設では膨大な取引情報を処理するため、コンピューターの冷却などに大量の電力を消費している。米国には約140の仮想通貨のマイニング施設があるとされるが、このうち規模が判明した約100施設だけで、原子力発電所10基分にあたる最大計1000万キロワットの電力需要が発生しているという。

米国でのマイニングが増えている背景には、中国政府が2021年から同国内の関連企業を取り締まっていることがある。ビットコインだけでみると、米国内でのマイニングは2020年1月に世界全体の約3%の占有率にとどまっていたが、22年1月には約38%まで拡大したとされる。こうした膨大な電力需要は温暖化対策を頓挫させるだけでなく、電力供給を脆弱にしている。

米国の大掛かりなマイニング施設は、電気代の安いテキサス州やジョージア州、ニューヨーク州北部などに集中しているが、テキサス州では2021年2月に最大で450万軒以上の家や企業が影響を受ける大規模停電が数日間続いた。停電の影響で水不足や食料不足も発生、交通機関や医療機関にも影響が出た。

また、ジョージア州でも2022年12月、23年12月、24年1月と数万軒が数日間の停電に見舞われた。ニューヨーク州北部でも2022年7月に20万件を超える停電が発生した。停電の原因はいずれも積雪や竜巻、強風などの自然災害による送電線の損傷だが、電力需要の増加が事態を悪化させた。

DGCONOMISTによれば、1ビットコイン取引のコストは、二酸化炭素消費にしてビザカードのクレジット決済149万6051回分、ユーチューブ視聴にして11万2501時間に相当するとしている。電力消費では米平均世帯の41.48日分の消費だ。水の消費は裏庭のプール1杯分だと言う。これが事実だとすれば、ビットコインに関わらないだけでも温暖化対策となるのだ。

膨大な電力消費を通じて、世界を破滅させつつあるとも言える仮想通貨をどうして米国などは認めたのか? 1つのヒントが仮想通貨のロビー活動費が急増していることにある。2020年が150万ドルだったものが、22年には詐欺で告発されたFTXの影響で2700万ドルに急増した。そして、そのFTXが破綻したのに23年は10-12月だけで8000万ドルの資金が仮想通貨のロビー活動費に費やされたのだ。そして、24年1月にはビットコインのETFが誕生した。


米国の電力関連の二酸化炭素の排出量は2007年をピークに、20年まで急減、1970年代後半の水準にまで低下していた。原因はサブプライムショック、リーマンショックに続く景気後退もあるが、二酸化炭素削減に最も大きく貢献してきたのは再生可能エネルギーの増加だ。

それがコロナ禍からの回復、仮想通貨マイニング施設の急増、生成AIへの投資急増を背景に急増し始めた。そして、それは2024年1月のビットコインETFの登場、AIブームの加熱などで、今後さらに急増する見込みなのだ。

電気需要の急増に供給が追いつかず、先日バイデン政権は休業中だったミシガン州の原発の再稼働に向けて15億ドルの融資を決定した。休業中原発の再稼働は米国では初めてだとのことだ。日本でも福島原発事故以来停止していた原発の再稼働が2015年から始まっている。

一方で、水力発電に注力してきたカナダは、温暖化による干ばつの影響で水不足となり、稼働率が大幅に低下している。中米諸国でも干ばつが深刻化し、メキシコシティでは周辺の水がめが底をつく「Dia Cero(ディア・セロ)=ゼロデイ」の到来までささやかれる。メキシコは3月末時点で国土の7割が干ばつ状態だったという。

水不足はパナマ運河の水位をも下げ、テロ攻撃で不安定化しているスエズ運河と共に、世界の物流を妨げている。両運河の機能低下による南米大陸、アフリカ大陸を大周りする海運ルートはコストだけでなく、エネルギーの消費を大幅に押し上げている。

パリ協定にも関わらず、2023年の世界の二酸化炭素の排出量は過去最大だった。ここにAI投資、ビットコイン、物流の非効率化などにより、新たに発生する膨大な電力需要で、排出量が加速する見込みとなっている。それが温暖化を産み、またその温暖化が稼働率の低下や非効率化などで、新たなエネルギー需要を作っている。


欧州裁判所は、温暖化対策は人権だと判定した。実際に世界中で多くの人々が異常気象による熱中症や自然災害で命の危機に晒されている。損害保険の支払いも自然災害が圧倒的多い。そのことで、保険料が急騰している地域も多い。

快適か安全か? 究極の選択とはしたが、安全でない快適などは持続不可能だ。人類には他の選択肢などないと言える。人類はそろそろ自然に対する刹那的、場当たり的な態度を改めてもいい頃ではないか?

 

 


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