英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は"slump"を取り上げたいと思います。

 

"slump"には動詞と名詞の意味があります。今回は名詞の方を見てみます。

 

日本語でも「スランプ」というカタカナが使われますが、英語の意味とは使用頻度的に違いがありそうです。その点も確認しておきます。

 

ではいつも通り『ロングマンExams英英辞典』"slump"の意味を見てみましょう。

 

a sudden decrease in prices, sales, profit etc

 

ex) a slump in car sales

 

このロングマンの説明でわかるように、景気や利益などについて使われるものですね。ちなみにこれがロングマンでは1番目の意味となります。

 

例を見てみると、"slump in"というつながりが示されていますね。これはコロケーションとして覚えておきたいものです。つまり"slump"がどこでのことかを示すのに"in"が使われるということです。この例では車の売り上げについてとなります。

 

では日本語で使われる「スランプ」は主にどのような意味でしょうか?「スランプ」はスポーツ選手などに使われるイメージがあります。これは選手が不調に陥ってしまう感じですね。「スランプに陥る」や「スランプから抜け出す」などと使われますね。

 

この不調の意味は英語にはあるのでしょうか?同じくロングマンでは3番目にあります。こちらも見てみましょう。

 

especially AmE a period when a player or team does not play well

 

ex) in a slump

The Dogers have been in a slump for the last three weeks.

 

こちらは主にアメリカ英語で使われるものです。意味は選手やチームがうまくプレイできないときということですね。

 

形としては"in a slump"というものがあります。これはメタファー的に考えると、"slump"という空間の中にいる[入る]感じと言えるでしょう。例文ではドジャースが"slump"に陥っていることが示されています。

 

日本語の「スランプ」は不調の意味を思い浮かべますが、英語の

"slump"の方は使用頻度的には景気や利益などで使われるものが主な意味で、選手やチームの不調の意味は主にアメリカ英語で使用頻度的にはロングマンでは3番目であることを覚えておきたいですね。

今日は「再び"wonder"かしら?」をまとめたいと思います。

 

"wonder"は以前にも取り上げていますが、気になる点を改めて考えてみます。

 

まずは『ロングマンExams英英辞典』"wonder"の意味を確認してみましょう。

 

to think about something that you are not sure about and try to guess what is true, what will happen etc

 

ex) I wonder how James is getting on.

     What are they going to do now, I wonder?

 

意味の方は確信が持てないことについて考えて、何が真実か?何が起こるかなどをあれこれ思い巡らす感じですね。

 

具体的にどう使われるのか1つ目の例文を見てみると、ここではまず最初に"I wonder"があり"how ~"についてあれこれ考える感じです。"how"のあとはS+Vの形になっているパターンになります。

 

次に2つ目の例文を見てみると、今度は最後に"I wonder"が来ていますね。この文ではまず"What ~"と述べて、そのことについてあれこれ考えているという感じです。こちらは"What"のあとは疑問文の形になっているので1つ目の例文のパターンとは異なる点を確認したいですね。

 

ここまであえて"wonder"の訳語を示していませんが、皆さんはどのような訳語を覚えているでしょうか?個人的には「~かしらと思う」という訳語を学生の頃最初に覚えた記憶があります。このときなんかはっきりしないというかしっくりこない訳語だな~と思ったのでこのことをいまでも覚えています。

 

なぜ「~かしらと思う」はピンとこないのか?ポイントは「かしら」ですね。日本人の感覚としては「~かしら」は主に女性が使うイメージがないでしょうか?個人的には普段の会話で「~かしら」ということばは使いません。なので"I wonder ~"で「~かしらと思う」と訳すのは場合によりしっくりこないと感じてしまいます。

 

では英和辞典の"wonder"の訳語はどうなっているでしょうか?これはいくつか見てみると違いがあって面白いです。確かに「~かしらと思う」を載せている英和辞典は多いですが、色々訳語に工夫している英和辞典もある印象です。「~かなと思う」や「~かどうか知りたいと思う」などもあるので文によってうまく使い分ければいいかと思います。

 

今回「かしら」が気になったので国語辞典を見てみると、確かに「女性が使うことば」という説明がありましたが、中には「近年、男性も使う」と示しているものもありました(『学研現代新国語辞典』)。自分は「~かしら」は使いませんが、他の男性が「~かしら」と使うのは聞いたことがあるので、男性が使うというのも全くないとは言えないのかもしれません。また現在は性別を区別しない傾向があるので、ことばの面でもこのような使い分けが変わっていくことが考えられそうです。

 

そう考えると英和辞典の「~かしらと思う」は古い訳語という感じもしなくなってきます。これから10年20年して男性も「~かしらと思う」をよく使うようになれば、"wonder"の訳語としてピッタリと感じる日が来るかもしれません。日本語の感覚の変化によって英語に合う日本語訳の変化も徐々に起こりうると考えられそうです。

今日は"reprimand"を取り上げたいと思います。

 

"reprimand"は使用頻度はそれほど高くはなく、普段あまり目にしない単語かと思います。今回は英文を読んでいたら出くわしたので確認しておきます。

 

まず発音にふれておくと最初の/re/の部分にアクセントがあるので最初を強く読む感じになります。見慣れない単語はどう発音するのか確認が必要ですね。

 

では『ロングマンExams英英辞典』"reprimand"の意味を見てみましょう。

 

to tell someone officially that something they have done is very wrong

 

ex) The military court reprimanded him for failing to do his duty.

 

意味の方はまず誰かに公式に言うとあります。何を言うかは

"that"以下でその人がした何かについての間違いを指摘する感じですね。つまり誰かが何かを行った状況があって、それについて公式に間違っていると伝える感じですね。

 

具体的に例文を見てみると、主語の"The military court"が彼に伝えたということで、何についてかはここでは"for ~"のことが示されています。ここでは彼が行うべきことが何だったのかわかりませんが、それを怠ったり失敗したことで軍が大変な状況に陥ったというようなことが考えられそうですね。

 

"reprimand"では"officially"というのが一つポイントで、公に非難するような感じがあります。これがわかるとロングマンの例文で"The military court"が使われていることも理解できると思います。通常辞書の例文はよく使われそうな言い方だったり、場面や状況が示されることが多いので、例文での単語の使われ方からそのニュアンスなどをとらえることが大切になります。