英語の世界観

英語の世界観

私達はことばを通して世界を見ている。そして使うことばによって、見えてくる世界が異なることがある。英語の世界観とはどのような世界であろうか。普段意識しないことばから、その世界観を探りたい。現在ときどきロンドン記事アップ中♪

今日は「再び"wear"」をまとめたいと思います。

 

"wear"は以前にも取り上げていますが基本的なところをまた確認しておきます。

 

まずひとつ問題を示しておくと、例えば"wear a black shirt"というフレーズを日本語に訳すとどうなるでしょうか?今回はこのようなフレーズの訳に関するところを探っていきます。

 

では『ロングマンExams英英辞典』"wear"の意味を見てみましょう。

 

"wear"

 

ON YOUR BODY

 

to have something such as clothes, shoes, or jewellery on your body

 

ex) Susan was wearing a black silk dress.

      He wore glasses for reading.

      I'm wearing a scarlet dress to the party.

 

ロングマンにはON YOUR BODYとあり身につけるものの意味とあります。具体的には服や靴や宝石などを"to have"している「状態」を表しています。この「状態」がポイントになります。

 

1つ目の例文では"wearing a black silk dress"とあります。通常"wear"は状態を表すので"-ing"形にはしませんが、"-ing"形にすることによって「一時的な状態」を表すことになります。したがってこの例文ではスーザンは普段は着ない"a black silk dress"

を着ていたということになります。

 

2つ目の例文では読書のためにメガネをかけていたということですね。このように"for ~"とつなげる形も覚えておくといいかもしれません。

 

3つ目の例文では1つ目と同じで"-ing"形で普段着ないようなものを身に着けてパーティーへ行った感じですね。

 

"wear"の意味を確認したところで最初に示した問題を考えてみます。"wear a black shirt"ですがどう訳したでしょうか?「黒いシャツを着る」と訳したならこちらの意図した答えに誘導されてしまいましたね(※手の内を明かすとここではあえて文ではなくフレーズにして「着る」と答えやすくしました)。答えとしては「黒いシャツを着ている」となります。

 

ロングマンで確認したように"wear"は"to have"の「状態」ということで「着ている」「身につけている」となります。基本単語ですが"wear"の間違いやすいところかもしれません。

 

では「着る」は英語で何というでしょうか?答えは"put on"ですね。こちらも同じくロングマンで見てみましょう。

 

"put on"

 

to put a piece of clothing on your body

 

ex) He took off his uniform and put on a sweater and trousers.

 

"put on"「着る」「身につける」という「動作」を表します。例文に出ているように"put on"の反対語としては"take off"

「脱ぐ」がありますね。こちらも合わせておさえておきたいですね。例文では制服を脱いで、セーターを着てズボンをはいたとなります。

 

英語の"wear"や"put on"はいろいろなものに使われますね。服だけでなくズボンやスカート、帽子、メガネ、手袋、香水などにも使えます。一方日本語では服なら「着る」、ズボンなら「はく」、帽子なら「かぶる」とそれぞれ動詞を変えなければなりません。この点は日本人が"wear"や"put on"を使うときにはいちいち動詞を考えなくて済むので簡単かもしれません。逆に英語話者が日本語の「着る」「はく」「かぶる」などの使い分けを覚えるのは大変かもしれません。

 

最後に"put on"の例文についてふれておきます。英和辞典で"put on"の例文を見ると"put on a hat"や"put on a coat"などある意味無難な?ものがあげられています。

 

でもいろいろなものを身につけるときに"put on"は使えるので、

"He put on trousers."や"She put on her skirt."という単純な例文もあっても良さそうな気もしますがあまりないと思います。なぜだかわかるでしょうか?

 

"put on a hat"なら帽子をかぶる前の状態がありますね。これを考えると"She put on her skirt."だとスカートをはく前の状態があることになります。"He put on trousers."も同じくズボンをはく前の状態があります。これらを表現、描写するとなるとそれらの身につける前の状態からはく動作を見ることになります。あまり具体的なことはあえて言いませんが、このようなことがあるので"She put on her skirt."などの例文はさけられているのかもしれません(もしかしたら意味的に考えすぎかもしませんが…)。

 

このような理由も"wear"と"put on"の「状態」と「動作」の違いがわかると見えてくることかと思います。

今日は"touch wood"を取り上げたいと思います。

 

英文を読んでいたら出てきたので確認します。

 

"touch wood"はイギリス英語の表現で、アメリカ英語では

"knock on wood"となります。それぞれ使われている単語は難しくはないですがどのような意味になるでしょうか?

 

一つ動詞の感触にふれておくと、"touch"は軽い感じがあるので他動詞になっていますが、他動詞の"knock"は殴るなどの強い感じがあるので"on"がある意味大切になっていると考えられます。なのでアメリカ英語の場合は"knock on wood"と"on"を忘れないようにしましょう。

 

では『ロングマンExams英英辞典』"touch wood"を見てみましょう。

 

"touch wood"

 

said just after you have said that things are going well for you, when you want your good luck to continue

 

"going well"や"good luck"があることから幸運が続くようにというおまじない的な表現であることがわかります。これは実際に木製のものにふれたり叩いたりする場合もあれば、ことばで

"touch wood"と言う場合もあるようです。

 

ロングマンには例文がなかったので『ジーニアス英和辞典』(G5)の説明と例文をあげてみます。

 

今の幸運を逃さないように木をたたいて魔よけをしたことが始まり

 

"Are you in good health?" [健康ですか]

"Yes, knock on wood."  [ええ、このまま続けばいいのですが]

 

文化的に木をたたいて魔よけをしていた習慣があったのでしょう。例文では健康な状態が続くようにということで"knock on wood"が使われています。このようにうまくいくようにと願うときに使える表現ですね。なので"touch"や"knock"という動詞から始まっていても命令文ではないので「木を叩け」などとしないようにしましょう。

今日は"hobby"を取り上げたいと思います。

 

"hobby"は中学で習う単語で意味も知っている方が多いでしょう。でもそのニュアンスだったり使い方に関しては自信はあるでしょうか?それを確認するために簡単に"hobby"を使っていくつかの英文を作ってみるといいかと思います。"hobby"を使ってアウトプットするならこう言うな~というものを紙に書いたり頭に思い浮かべるだけで大丈夫です。

 

では実際に『ロングマンExams英英辞典』"hobby"の意味を見てみましょう。

 

"hobby"

 

an activity that you enjoy doing in your free time

 

ex) What are your hobbies?

     Susan's hobbies include reading, cooking, and drama.

     Retirement gave him the time to pursue his hobbies.

 

意味の方はフリーの時間に楽しむ活動ということですね。

 

自分で作った英文と比較しながらロングマンの例文を見るといろいろな違いが見えてくると思います。

 

まず1つ目の例文は相手の"hobby"を聞く文ですが、"hobbies"と複数形になっていますね。これは相手の"hobby"が複数あるという前提と言えるでしょう。日本人が作る文だとここを複数形にしないで"What is your hobby?"というものになりやすいかもしれません。これでも英文になっていますがこの場合"hobby"は単数が前提となってしまうので、ロングマンのような複数形の方が相手に聞く場合には無難かと思います。こういった小さいようで細かいところがある意味英語を使うときには大切ですね。

 

次に2つ目の例文を見てみます。ここでは動詞に"include"が使われています。この動詞が使えた人はある意味上級と言えるかもしれません。日本人の感覚では普通出てこない単語かと思います。おそらく日本人の作る英文では"My hobby is ~"のようにbe動詞を使うでしょう。このときも複数のイメージがないのがまた日本人的かもしれません。ロングマンの例文では"include"を使い複数のものがあげられています。つまりこういったものを含んでいますよ~という感じですね。ここには"hobby"が複数あるという認識がないと"include"が使えないので、この点をおさえてきたいですね。

 

一つここで"reading"にふれておくと、いくつかの英和辞典では

"hobby"の中には読書は含まないという考え方があります。

"hobby"は何かを収集したり楽しむという積極的な活動と考えるなら、読書は"pastime"にあたるというものです。ロングマンに

"reading"があるので完全に間違いとは言えないと思いますが、

"reading"の分類はファジーなところにあってどちらかというと

"pastime"よりなのかもしれません。

 

そして3つ目の例文ではリタイアしたことによって"hobbies"に使う時間が増えた感じでしょうか?ここでは"retirement"が一つポイントで、"hobby"は仕事との対比がありますね。つまり働いていない自由な時間で楽しいことをするという感じです。なのでリタイアで仕事をしなくなったので楽しいことにますます専念できるような姿が想像できそうです。

 

自分で作った"hobby"の英文と比べてどうだったでしょうか?意外とうまく使いこなせてなかったのではないでしょうか?これは英語でアウトプットする練習をあまりしていないことが原因かと思います。

 

単純に"hobby"=「趣味」と覚えただけでは使いこなせません。「趣味」という訳語には単数・複数の意識もありませんし、内容的にも英語の"hobby"とズレもあるので、使い方などを例文を通して学ばなければなりませんね。