今日は「再び"wear"」をまとめたいと思います。
"wear"は以前にも取り上げていますが基本的なところをまた確認しておきます。
まずひとつ問題を示しておくと、例えば"wear a black shirt"というフレーズを日本語に訳すとどうなるでしょうか?今回はこのようなフレーズの訳に関するところを探っていきます。
では『ロングマンExams英英辞典』で"wear"の意味を見てみましょう。
"wear"
ON YOUR BODY
to have something such as clothes, shoes, or jewellery on your body
ex) Susan was wearing a black silk dress.
He wore glasses for reading.
I'm wearing a scarlet dress to the party.
ロングマンにはON YOUR BODYとあり身につけるものの意味とあります。具体的には服や靴や宝石などを"to have"している「状態」を表しています。この「状態」がポイントになります。
1つ目の例文では"wearing a black silk dress"とあります。通常"wear"は状態を表すので"-ing"形にはしませんが、"-ing"形にすることによって「一時的な状態」を表すことになります。したがってこの例文ではスーザンは普段は着ない"a black silk dress"
を着ていたということになります。
2つ目の例文では読書のためにメガネをかけていたということですね。このように"for ~"とつなげる形も覚えておくといいかもしれません。
3つ目の例文では1つ目と同じで"-ing"形で普段着ないようなものを身に着けてパーティーへ行った感じですね。
"wear"の意味を確認したところで最初に示した問題を考えてみます。"wear a black shirt"ですがどう訳したでしょうか?「黒いシャツを着る」と訳したならこちらの意図した答えに誘導されてしまいましたね(※手の内を明かすとここではあえて文ではなくフレーズにして「着る」と答えやすくしました)。答えとしては「黒いシャツを着ている」となります。
ロングマンで確認したように"wear"は"to have"の「状態」ということで「着ている」や「身につけている」となります。基本単語ですが"wear"の間違いやすいところかもしれません。
では「着る」は英語で何というでしょうか?答えは"put on"ですね。こちらも同じくロングマンで見てみましょう。
"put on"
to put a piece of clothing on your body
ex) He took off his uniform and put on a sweater and trousers.
"put on"は「着る」や「身につける」という「動作」を表します。例文に出ているように"put on"の反対語としては"take off"
「脱ぐ」がありますね。こちらも合わせておさえておきたいですね。例文では制服を脱いで、セーターを着てズボンをはいたとなります。
英語の"wear"や"put on"はいろいろなものに使われますね。服だけでなくズボンやスカート、帽子、メガネ、手袋、香水などにも使えます。一方日本語では服なら「着る」、ズボンなら「はく」、帽子なら「かぶる」とそれぞれ動詞を変えなければなりません。この点は日本人が"wear"や"put on"を使うときにはいちいち動詞を考えなくて済むので簡単かもしれません。逆に英語話者が日本語の「着る」「はく」「かぶる」などの使い分けを覚えるのは大変かもしれません。
最後に"put on"の例文についてふれておきます。英和辞典で"put on"の例文を見ると"put on a hat"や"put on a coat"などある意味無難な?ものがあげられています。
でもいろいろなものを身につけるときに"put on"は使えるので、
"He put on trousers."や"She put on her skirt."という単純な例文もあっても良さそうな気もしますがあまりないと思います。なぜだかわかるでしょうか?
"put on a hat"なら帽子をかぶる前の状態がありますね。これを考えると"She put on her skirt."だとスカートをはく前の状態があることになります。"He put on trousers."も同じくズボンをはく前の状態があります。これらを表現、描写するとなるとそれらの身につける前の状態からはく動作を見ることになります。あまり具体的なことはあえて言いませんが、このようなことがあるので"She put on her skirt."などの例文はさけられているのかもしれません(もしかしたら意味的に考えすぎかもしませんが…)。
このような理由も"wear"と"put on"の「状態」と「動作」の違いがわかると見えてくることかと思います。