ハイレゾ・フニオチ
どれだけ時代が変わっても相変わらずレコード愛好家は存在し今後も絶滅しないだろうと思えるのは彼らは奇をてらっているわけでも懐かしさを追い求めているわけでもなく純粋にレコードの音を愛しているわけで逆行どころかこんな時代だからこそ静かに針を下ろす緊張感を選んでいるのだから最近よく耳にするハイレゾは確かに音の緻密さでいうと比べものにならないのかもしれないけれど彼らにとってみればそもそもその緻密さを求めておらずレコードの程よい情報量が心地いいのでハイレゾは彼らにとってきこえなくてもいい音まできこえてしまうtoomuchな音になってしまうのと同様に情報というのはほどほどが望ましいものなのに音楽だけならまだしも「きこえなくていいものまできこえてしまう」世の中全体のハイレゾ化にフニオチを隠せない。
太郎
マギワ・フニオチ
閉店間際というほどマギワではなかったけれど入るなり閉店時間を伝えられたかと思いきや座るなりラストオーダーですけどカマイマセンカと尋ねられてカマイマセンを交えながら注文したまではよかったけれど窓際だからかマギワだからか暖房が効いているとは思えない寒さが体を覆っていたので空調上げてもらえませんかと低調に依頼してみればなんとも空調が壊れているとのことで湯気の立つ厨房で食べるわけにもいかず箸が震えるほどクソサムイなか食べることになった僕としては閉店時間よりもラストオーダーよりもこの空調崩壊こそまず先にカマイマセンカと尋ねて欲しかったという表情を浴びせてみれば彼女の口から飛び出したお湯お持ちしましょうかと冗談なのか真剣なのかずいぶんと原始的な暖房を推奨するアンビリバボな言葉を浴びるなんて予想だにしなかった今年最後の明太としめじの和風パスタはいつもよりはやく冷たくなって。
太郎
コメコフニオチ
いつからか耳にするようになった米粉でつくったコメコパンというやつはなぜにどうしてこんなにもおいしいのかわからなくてそれがいつもと違うからなのか天性のもちもち感なのか店舗の雰囲気によるものなのか無性に会いたくなることがあるのだけどショーケースの中にならぶコメコたちはそれがシンプルであればシンプルであるほど惹かれるものがあるなかでついつい手を伸ばしてしまうカレーパンに関していえば粉とはいえコメ&カレーという組み合わせにもしかしてこれはつまりカレーライスということですかという気持ちが若干顔にでてしまうレジの前。
太郎
買い替えフニオチ
数年前に購入した灯油ファンヒーターの調子が悪く修理をしてもらおうと購入したダーマヤに電話をしてみたら「部品交換とかするよりも新しいの買っちゃったほうがお安いですよ」なんてどこか想定していた言葉を発射してきてたしかに実際はそうなのかもしれないけど外見上なんの問題もないこのストーブを処分する気には到底なれず意地でも修理で突き通すんだと車に積んで持っていったあの日から2週間ほどたってもまだ帰ってこないのはおそらく修理するシステムがしっかりしてないからなのだろうけど一体この国のモノを大切にする心はどこへいってしまったのだろうかそれを取り戻さない限りなにをやってもうまくいかないよきっと。
太郎
ズームインフニオチ
朝の番組というとそれは夜リモコンを向けてのんびり選択する感覚でも他人に勧められて見るものでもなく自分の精神状態にあったものいわば生活を共にする伴侶ないし家族の一員のようなものなのでいきなりテイストが変わってしまったらなかなか受け入れることは困難なのでほかのチャンネルに身を委ねてしまうのではないかと思うのだけど鳥の旅立ちだけがその原因ではないにしても富士を意識してこれまでと違う層のお客さんを獲得しようとするのはいいとしてもこれまでの味を支えてくれた常連さんを裏切るようなことをしたら必ずや命は短いものになるだろうと唱える謎の男にズームイン。
太郎
芥川フニオチ
単なる気のせいかもしれないけど画面を通して見た感じだと芥川賞を受賞した女性というのは毎回同じような雰囲気な気がしてヒトミカネハラリサワタヤミエコカワカミそして今回のマリコアサブキみなどこか神秘的と言うか小悪魔的というかとにかく独特のフェロモンが溢れていまにも画面からこぼれてきそうなほどなのだけどやはり同じ文学つまり同じ言葉を吸収していると同じような空気を醸しだすようになるのか逆に芥川賞という言葉がそうさせているのかと思ってためしにナナキノミに芥川賞という文字を重ねてみたらなんだか別の雰囲気になってしまったのでむしろ木の実ナナ賞をいつか。
太郎
お正月フニオチ
別に海外の人たちが正しいというわけではないけれど彼らがこの時期しっかりと家族でバカンスを楽しんでいるのに対しいつも日本の舵取りをする人たちが年中無休で頭を悩ませていることに毎年フニオチを感じずにはいられないのは確かに政策も政局も大切かもしれないけど休むことも大切であって特に日本人はそれが苦手な人種だからリーダーたちが率先してそれを実行しないといつまでたっても質の良い労働には質の良い休暇が必要であることが浸透せず休むことのできないもしくは休むことが悪いとされる風潮を払拭できないのでたとえ誰かに休んでいる場合かと野次をとばされてもこの島に必要なのはこれだと胸を張って休めばいいわけでいい加減経済的なものさしだけで世の中を測っていないでもっと新しいものさしおよび価値観で世界を見たり国民の規範となる格好いい生き方や言動を誰かしてくれないものだろうかたとえば今日はいい天気だったねとか結局余裕がないのかな。
太郎
あけおめフニオチ
ここまで追い込まれてもいまだに手をつけずにいるのはもともと面倒くさいことを後回しにしてしまう性質だからというよりも今年はもういいかとどこかでその卒業を意識しているからで知人なんかはもう一切出していないなんていう情報を耳にしてしまったものだからなんだかその自由を手に入れた感じに憧れて今年こそはと意気込むのだけど結局いつも風習というよりは社交辞令の圧力に屈して筆を取る羽目になるのだからこうやって葛藤しているくらいならもう描いちゃったほうがいいよといわんばかりに届く蒼井優からの年賀状。
太郎
親不知フニオチ
人間の体っていうのは良くできているのかいないのか疲れが溜まるとどこかにそのしわよせがくるようで殊にいつもはなんでもないのに疲れのせいで急に歯が痛みだしたりするからきっとこの奥歯を揺さぶる頭痛のような痛みと歯茎が突き破られそうな感じはまさしく抵抗力を失った隙に伸びてきた親知らずの仕業に違いないからこれは厄介なことになる前に適切な処置をするべきだと世界中が愛に酔いしれている中ひとりデンタルクリニックを訪ねてみればこれは親知らずじゃなくて疲れで歯茎が炎症を起こしているだけというかアナタ親知らず全部抜いたじゃないですかと過去の履歴を伝えられながらお薬を塗りこまれてそういえばそんな気もした今日はオヤシラズイヴ。
太郎
バーベキューフニオチ
河川敷でのバーベキュー利用に有料化の動きがあるとの情報が僕を久しぶりのフニオチフェイスにしてしまったのは大量のゴミを処理するとはいえすぐお金で解決(社会の自浄作用を信用していないという意味で)しようとすることとか施設ならまだしもみんなの河川敷(イメージ上)にお金を払って踏み入れたらきっと川もいつもと違って見えるしお肉もいつもほどおいしく感じなくなっていつもと質の違う笑顔になりそうだしやがてはバーベキューが高級料理に扱われてしまうのではないかと危惧する僕の頭の中で大量のゴミが本来のバーベキューのダイゴミを半減させてしまうというまさにフニオチワールドが広がるのだけど都会だろうと田舎だろうとバーベキューを勝手にできないこの島は以前は自由にできたことがどんどんできなくなってしまう時代の流れはもう誰も止めることはできないとは思いたくない。
太郎