MEG "BEAUTIFUL"


(自分的に)記念すべきVol.10がMEG。最近、megから大文字MEG表記にアーティスト名を変えました。もちろんいつもの中田ヤスタカプロデュース。ですが、今回の作品はよりMEGらしさが出ている気がします。アルバムリリース前に、中田ヤスタカ以外のUKAWANIMATIN, TEI TOWA, THE LOWBROWS, hadouken! などのプロデューサーとシングルなどで交流を経ての中田さんとの再タッグのせいもあるのか、彼女のボーカルもいつもよりもエフェクトがかかっていない(中田ヤスタカがプロデュースのcapsule、Perfume、以前のmeg、鈴木亜美などはどの声を聴いても生・初音ミクという感じくらいに、何重にも声が重ねて=ダビングしてあって色んなエフェクトがかけられています。)感じで、YUKIに似た彼女の感じがより伝わりやすいです。

自作の歌詞についてはおいておいて、これまで中田さんが手がけてきたいわゆるエレポップの枠には収まらず、ダンストラックとして1曲1曲が成立しています。それに、Bossa House風の変化球を入れたり、曲順も練ってあって、何というか今まで作られた単なる1ポップシンガーMEGのアルバムとはひと味違いました。やっぱ、今売れに売れているというMEGのブランド・CAROLINA GLASER by cheryl(カロリーナ・グレイサー by シェリール)のプロデュースを彼女自身がやっているから、MEGの存在感というか発言力もUPしたんですかね。サマソニでのパフォーマンスも楽しみです。

CAROLINA GLASER by cheryl

今回のジャケも、通常のCDジャケットを縦置きにするようにデザインされていて、ヒンジ部の透明のところに"BEAUTIFUL"とタイトルが入っていて、何か高級感があるジャケになってます。この作品には1曲も入ってませんが、hadouken! プロデュース、THE LOWBROWSのちょっとトランシーなRemixが入っているシングル FREAK のジャケもめちゃお洒落でした。



MEG "FREAK"


PUBLIC/IMAGE.SOUNDS


2009年、上半期現在のところベスト盤に入ります!! Public-image.orgというWEBマガジンがオーガナイズしたコンピレーションですが、環ROYxNEWDEAL、Traks Boys x イルリメ、元・Magnolia の岸眞衣子(ほんとヤバイ!)、七尾旅人 x やけのはら、DOKAKA(Bjorkの作品にも参加している独特なHUMAN BEATBOXERで彼の最高傑作クラスの出来。世界の街を旅してますw ちょっといっこく堂に似た職人性を感じます)などコラボーレションしたメンツも含め、全部オリジナル曲のコンピレーションなんて早々ないし、それをまとめているのがWEBマガのPublic-imageってところがまた今っぽいです。彼らが取材や自主企画イベントを通してできたネットワークの結晶らしいですが・・・

流通AVEXだし、もっと頑張って宣伝してくれ~ というくらいぜひ聴いてもらいたい、ってか聴くべき秀作。数ヶ月前にリリースされた東京のアンダーグラウンドアーティストをまとめた曽我部恵一監修のコンピ ”PERFECT!” もよかったけど、あっちよりももっと洗練された感じがします。いやー、最高!

ちなみに、上記の"PERFECT!"のジャケットデザインもPublic-imageの母体であるデザイン集団ADAPTERが手がけています。ジャケのテイスト↑↓ 似てますよね?



Perfect! - Tokyo Independent Music -


Lily Allen "It's Not Me, It's You"


2月にリリースされたものなので新譜ではありませんが、Lily Allenの2ndアルバムです。前作"Alright, Still"があまりに衝撃的なデビュー作だっただけに、2枚目のジンクスではありませんが、正直、期待を上回るアルバムではありませんでした。

マイスペースの女王、酔いどれヤングセレブetc、色々なパパラッチ的呼び名があり、その名に負けない言動のLily嬢ですが、歌の内容は、アルバムタイトル”It's Not Me, It's You=私じゃない、あなたよ!”からして強気な通り、前作同様、彼氏や社会・つまらない毎日へのFUCK!!!でイッパイですが、トラックがイマイチ、というか丸くなった感じがしました。(邦楽で喩えたら、一十三十一がミドリを歌ってるような感じ?)それは、先に挙げた1stでの劇的な成功により、生活環境がマイスペースの向こう側から一気にこちら側に引っ張り出された彼女の、制作やアイデアに費やす時間の変化が影響しているのかな、と勝手に想像しつつ。。。

ポジティブにいうと、よりバラエティが広がって、単なるブレイクビーツからサイケデリックフォークなど色々なサウンドエッセンスを取り入れてる、ネガティブに見ると1stを最初に聴いた時に感じた、なにこれ!!! みたいな斬新さ、特にダブやスカの要素をサンプリング感丸出しで取り入れたブレイクビーツに、Lilyのかわいいラップが乗った感じが薄れたのが残念。それでも、やっぱりイイ曲いっぱいなんですけどね。

これが、プロムドレスにスニーカーだった彼女が、今回、大人のパーティドレスに着替えて落ち着いてしまったのか、更なるステップへの過渡期なのかは次作に。




Lily Allen "Alright, Still"

曽我部恵一BAND "ハピネス!"


ロックンロールの秀作アルバムだと思います。気持ちのベクトルは全く違うけどなんとなくThe Libertines(リバティーンズ)のUp The Bracketを聴いた時と似た印象。

The Libertinesのド下手なんだけど、とにかくロックなエナジーに満ちてて「これしかできないけど、いいから聴けよ!」みたいな生き様と、危ないヤツらだけど、とにかく心に染みるメロが書ける天才、そしてそれゆえに身を滅ぼしていくロッカー。

そんなアーティストとは正反対で、バンドとしてきれいにまとまってて、明日の夢や、夜空の星、掴み取りたいハピネス、そんな「きれいな青春」を歌ってる世界は前作「キラキラ!」と変わりないんだけど、どこかThe Libertinesと共通する、つらい現実や退廃した世界、そして小さな幸せをささやかに望んでいるような歌詞表れているややネガティブな匂いを、その明るい楽曲の裏に感じてならないです。

でも、どれもいい歌なんだけど、ちょっとソガバンの今の方向にはやや食傷気味なのも事実です。



The Libertines "Up The Bracket"


Ladyhawke "Ladyhawke"


New Young Pony Club, Cut Copy, The Presets, WOLFMOTHERなど優秀なアーティストを輩出しているだけでなく、洒落たデザインのレーベルTシャツでも有名な、最近オーストラリアで躍進中のレーベル・MODULARより、Ladyhawke(レディーホーク)の紹介です。

'80s New Wave/POPSの影響をバッチリ感じつつも、1つ1つの音には現在進行形の新しさを感じるこのアルバム。ベースラインが超気持ちイイです。トム・クルーズやシュワルツェネッガー、エディ・マーフィーなどが出ていたような'80s 娯楽映画のテーマソングになりえる感じ、あるいは、今年のNYコレクションのランウェイでプレイされていてもおかしくないハイセンスさで、時代を感じさせない内容が幅の広い印象でした。でも、リアルに'80s サウンドを通ってきた人からすると、Cyndi LauperやJoan Jett、Duran Duran, Joy Divisionなどのリバイバル・リメイクに過ぎないのかな?

基本は彼女のちょっとガーリーで気だるいボーカルと、アンビエントなシンセを軸にしたエレクトロですが、雰囲気もののアルバムとしても最高です。セレクトショップやサロンのBGMとか。ちなみに、リズムセクションの他、シンセなども彼女自身がマルチインストゥルメンタリストとして複数の楽器を弾いているそうです。最近流行りの女性ものエレクトロ(Lady GAGAとか)とはひと味もふた味も違う、内容の濃いアーティストです。



PANICO "Subliminal Kill"


今日は、ちょっと古い話題になりますが、フランスのNew Wave パンクリバイバルの火付け役であるTIGERSUSHIより2005年にリリースされた、チリはサンチアゴのダンスパンクバンド"PANICO"の紹介です。ジャケもかっこいいんだけど、ちょうど時代はRaptureやRadio 4などのDFA絡み・NY勢がロックを4つ打ちにして、Rock meets Dance Musicとしてチヤホヤされていた頃。そんな折りに、チリにもこんなイカしたヤツらがいたんです。!!!(チック・チック・チック)に似たニオイがしますね。

で、なんで今更こんな古いアルバムを紹介しようかと思ったかというと、PANICOって誰かに似てるんです。否、時間軸的に誰かがPANICOに(真)似てるって言った方がいいのか!? 特に5曲目のAnfetaminaooとか・・・ iTunes 入れてる方は http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewAlbum?id=60738191&s=143462 から試聴してみて下さい。

そうです。今やEMI とウェディングしてしまったthe telephonesですねぇ。まぁ、TIGERSUSHIはマニアックなレーベルなので、ハイトーンボイスのエモってことで似ちゃっただけかもしれませんが・・・たまたま。。。邦楽バンドでDiscoooooooooo、とかDance, Dance, Dance とかタイトルに入れたりジャケ写にミラーボールをこれでもかって使ってみたり(某パンダ)すんのって我ながらダサいって事に気がつかないんですかね。か、よっぽどレーベルのディレクターがセンスマイナスなんですね。

ということで、the telephones meets PANICO でした。違うかw





the telephones "Love&DISCO E.P."




DOPING PANDA "majestic trancer"


back number "逃した魚"


僕は普段、詞を重視してる日本語ロックのアーティストはほぼ全く聴かないのですが(仕事柄、全般的にチェックはしてますが)、今日紹介するback numberは別格でした。

詞のどことなく喪失感を感じさせる内容とイントネーション、詞の内容をよく理解したメロディーのシンクロ具合がすっごいシックリ来て、全然込み入ったアレンジとかはしてないんだけど、ほんとメロディ勝ちって感じで!2曲目の"春を歌にして"など、イントロと、聴く側の想像力をつつく具体性のある歌詞だけで、次のBUMP OF CHICKENやRADWIMPSレベルに到達する可能性を感じさせました。次世代センチメンタル・ギターロックってキャッチも伊達じゃない、みたいな。ベタ褒めしてますが、まだまだペラいところもありますけど、将来性の片鱗を感じるアーティストって彼らみたいなのを言うのかな、と思います。

ミスチルとかドリカムとか、人気のある大御所J-POPアーティストは、やっぱりそれなりに売れる理由があって、わかりやすくて共感できる歌詞と圧倒的なボーカルの歌唱力。そんな心にくる歌詞をうまく歌われたら誰だって好きになってしまいますよね。彼らにも、そんなところ、想像力をかき立てる詞にそんな共通項を垣間見ました。

今の若いアーティスト、特にバンドにはそんな芸当をできる人達が皆無です。若い衝動やエネルギーをステージで表現してくれるのは、また別の次元の活動で、作詞・楽曲作りのレベルが(下品ですが)うんこ過ぎます。あぶらトリ紙よりも薄いペラペラな歌詞しか書けない。「君がいなくて寂しいよ」みたいな。好きな人がいなくて寂しいのは100人中100人誰もがそうで、何か違う言葉・言い回しを聞いて、「あぁ、そういう時もあったな」と聴く者に想像させるのが音楽という芸術の役目なはずです。

まぁ、平和な日本には、恋愛とか自己愛的なものしか詞のテーマになるものがないのかもしれませんが。。。海外のアーティストだと、貧困・自分の生い立ち・戦争・政治や、あるいはもっとメルヘンじゃないけどファンタジーに富んだ想像力のある歌詞が多いですよね。

ブログのタイトルにあるように、音楽について愚痴ることも多いので、今日はネガティブな筆になってますが、ライブでアーティストがステージから冷めたオーディエンスに対して、「楽しんでますかー?」「もっとかかってこいよー!」「拳をあげろ~」「何かすべってますね(とバンド内で内輪笑い)」とか言ってると、音楽活動辞めてくれ、と本気で思います。

えっと、ということでVol.4はback numberについてでしたが、彼らの次の作品も楽しみです。



KASABIAN "West Ryder Pauper Lunatic Asylum"(邦題:ルナティック・アサイラム)


KASABIANの3rdアルバムですが。。。総括すると残念な感じです。どのバンドにもありがちですが、KASABIANも初期エネルギーを、作曲活動という意味では、"Club Foot"と1stアルバムで使い果たしてしまったのではないでしょうか。2ndの"EMPIRE"では、そのタイトルが示すとおり、帝王とも言うべきライブの評価の高さと彼らのステージステータスがそのままアルバムのスケール感となって、やや勢いは衰えたもののファンの期待はそれほど裏切らなかったと思います。

ですが、今作は、1曲目の"Underdog"から「アレレ?、Club Footじゃ?」みたいな感じで、それでも3曲目の'70sジャムっぽい感じから4曲目に入る流れくらいまでは勢いあったんですけど、それ以降がorzでした。喩えて言うなら、ライブでどうやって聴けばいいの?みたいなつまらない曲が多かったです。アコースティックな曲が多くてもいいんだけど、それなら中途半端なものではなくFleet Foxesくらいな牧歌的ロック(コーラスワークやアレンジ)を聴かせて欲しいし。アルバムのラストを静かに締めくくるための曲みたいのが、中盤にガッツリなボリュームで入ってます。それが、メンバーいわくの「このアルバムは聴く者が審判を受ける作品」ということであれば、僕は<わからない>方の部類に入ります。

KASABIANはライブでは鉄板な、もうすでにヘッドライナークラスのアーティストで間違いないんだけれけど、今作に関して言えば、ちょっとインスピレーションが足りなかったのではないかと思います。でも、アルバムがイマイチだった重責は、僕はプロデューサーのDan The Automatorにも大いにあると思います。ビートの魔術師とかって言われているけど、Galacticとか、彼の手にかかったおかげで作品がグレードダウンしたアーティストをいくつも見てます。明らかに、今作はこれまでにあったKASABIANのビート感・エナジーが失われてますんで。。。Dan(日系人のナカムラさん)がなぜ人気Pなのか全くわかりません。Hip-Hop以外の畑に手を出さんで欲しいもんです。

Franz Ferdinandがダメダメ2ndから今回の3rdで持ち直したような奇跡をKASABIANの次作に期待してます。Franzの3rdはマジでいいですよ。蛇足ですが、Franzの1stに入ってる"This Fire"のシングルカットのカップリングにしか入ってないけど"Love & Destroy"は名曲です。



Franz Ferdinand "This Fire" incl. 01. This Fire 02. Love & Destroy 03. Missing You




Autokratz "Animal(国内盤)"

Digitalism、Cazals、Guldas*Masayaご本人(個人的にはメゾンなどのコンピよりも、Fox'n'wolfの動向が一番気になる)などを輩出し、フレンチエレクトロブームを創り出した第一人者レーベル:Kitsune の新たなアーティストの1st アルバムです。

ジャケットの上品な雰囲気からも伝わるように、Kitsuneのこれまでのハウスオリエンテッドな固いサウンドというよりは、印象、ニューオーダーとかに近い感じ。昨年~今年にかけてのトレンドな潰した感じのエレクトロ(もうすぐ死語)サウンドは入れつつも、なかなかキャッチーなメロディーとWhisper系のボーカルが入ってます。

”21世紀のアンダーワールド”(なんかアンダーワールドがまだ現役なのに没後Tributeしてる感じでやなキャッチ・・・)と言われつつ、実際、彼らのオープニングアクトも各地やってるみたいです。アンダーワールドうよりも飽きが来ない曲・曲順でよかったです。あとは、必殺のアンセムチューン "Stay The Same"、それの80Kidzリミックス(女性Voが加わって、いい意味でJ-POPな感じの軽さ・フルカワミキ的感?が加わってました)、それに"What You Want, What You Got?"も広がってていいす。

ちなみにこのアルバム前にリリースされていたシングルコレクションも秀逸。


Autokratz "Down & Out in London & Paris"

KRAZY BALDHEAD "The B-Suite"


今日は八景島シーパラダイスでBig Beach Festival '09を見る予定だったのが、生後6ヶ月の子供を連れて行くプランだったこともあり、雨のためキャンセル。ってか、深夜バイトで戻ってきた妻が、翌日出かけるってこと知ってたのに同僚と飲んで朝帰りしてきたのがまずムカついてしょーがない・・・絶対夕方起きて、それから都内出発したらもうFatboy Slimのプレイ終わってるわ。

で、何でKRAZY BALDHEADの紹介というと、ノーマン・クックとの禿げ繋がりwではなくて、↑のBBFに出るDEXPISTOLS(メインステージとは言え、12時オープニングからのブッキングはかわいそう・・・)回りのマドモアゼル・ユリアが、Track MakingやRemixではなくラップでフィーチャーされてるから、という遠い理由で取り上げました。以下、面倒くさいのでP-Vineからのプレスリリースをコピーしようかと思ったけど、それだとブログの意味ないすね。

ユリア嬢、聞くところに寄ると特にマネージャーとかついてなくて、セルフマネージメントみたい。それであのバイタリティーは驚くなぁ。あ、また脱線。今回は KATANA POWA って曲でシャカゾンビのBIG-Oと一緒にフィーチャーされてます。何、誰紹介のつながり?誰か教えて!曲は、最初だけエキゾチックなシタールとかハープみたいな音が入ってますが、あとはいつものピコピコ。BATMANになる前のBATMANが修行に訪れたチベットの山奥の寺院で修行中のシーンでBGMに流れてそう。

このアルバム自体は、まずジャケがちょっとクリスマスっぽくってカワイイですが、ジャケが奇抜なのでいつも評判のED BANGER RECORDS(JUSTICE、BUSY P、SEBASTIANやレーベルコンピで有名)からのリリース。ED BANGERは、音をズイズイひずませたグルーブが特徴的な、Kitsuneと並んでフレンチエレクトロブームを牽引するレーベルですが、今作KRAZY BALDHEADに関してはちょっと違って、クラッシュ感はあまりなく、ちょっとだけBUGGLESを聴いてるような印象。ややきれいめでつまんない。Dan Deaconと同じような超DTMな感じが漂ったCDです。

飽きっぽいので、レビューも突然終了しますがあしからず。