新日本プロレスの『NEW JAPAN CUP 2024』を
初出場の辻陽太が5連勝で初制覇した。
■写真提供/新日本プロレス
1回戦=ジェフ・コブ
2回戦=エル・ファンタズモ
準々決勝=成田蓮
準決勝=EVIL
決勝=後藤洋央紀
5人ともキャリアが上であり、
簡単に突破できる相手ではない。
しかも、どの試合も内容が伴っていたから、
完全優勝といっていいほど納得の結果である。
新世代と称されるZ世代(令和闘魂三銃士&上村優也)がそろい踏みした
昨秋あたりから、関係者の間では辻陽太が一枚上と評価されてきた。
私も同じで、辻がアタマひとつ抜け出ていると思って見ていた。
なんと言っても、ニタリと笑ったときの真っ白い歯が印象的。
スポーツ選手でいうと、日本ハム・ファイターズ監督の新庄剛志、
MLBで活躍するボストン・レッドソックスの吉田正尚が白い歯の双璧。
今回の大躍進により辻陽太も‟ホワイト・ティース”三銃士の仲間入りなのだ(笑)。
それはともかく、実際の辻は180㎝そこそこの身長なのに(※公式では182㎝)、
横幅と分厚さがあるから、リングに上がるとはるかに大きく見える。
スピード、パワー、瞬発力、空中戦、切り返し、
オリジナルの荒っぽい攻撃とオールマイティーな男。
さらに、マイクパフォ―マンスも上手いし、
コメントを聞くと発言も理路整然としている。
彼の発信する言葉を確認してみると、
棚橋&オカダ&内藤のエッセンスを感じる。
かつて、藤田和之に‟野獣”と命名したのはゴング時代の私なのだが、
それ以前の若手時代の藤田に付けたキャッチフレーズが‟凄玉”だった。
それ以来の凄玉登場!
そう痛感させられるほど、
規格外の凄みを今大会から感じたしだい。
■写真提供/新日本プロレス
3・20アオーレ長岡大会の決勝のリングで対峙した相手は、
過去3回の最多優勝記録を持ち7回目の決勝進出となる後藤。
最近はYOSHI‐HASHIとの毘沙門としてタッグ屋の印象が強いし、
ファイナルのリングに立つのもじつ8年ぶり。
まして、準々決勝ではデビッド・フィンレーに不戦勝と運もよかった。
ただ、準決勝のSANADA戦を経て決勝のゴングが鳴ったとき、
会場には間違いなく後藤への追い風が吹いていた。
8年前の決勝で内藤に敗れ、失意のなかでCHAOS入り。
一方、優勝した内藤は4月の両国でオカダからIWGPヘビー級王座を奪取。
これを機に内藤は大ブレイクして、現在の地位まで上り詰めている。
今回の『NJC』を制覇し8年越しの内藤へのリベンジを狙う。
また、今年2月に他界した父への弔い合戦であることも口にしている。
ファンは後藤を後押しした。
44歳にしてしっかりコンディションを作ってきた後藤も、
それに応えるかのように全身全霊で辻を潰しにいった。
■写真提供/新日本プロレス
後藤コールで始まった試合だったが、徐々にコールは五分五分に。
終盤になると陽太コールが圧倒するほどに空気が変わっていった。
後藤への声援はたぶんに判官びいきも働いている。
ただ、辻への声援は新時代の景色を見てみたいという期待感に満ちていた。
■写真提供/新日本プロレス
23分01秒の大熱闘を制したのは辻だった。
放送席のゲスト解説についていた内藤はこう言った。
「初優勝ですけど、そういう初めてという感じがしないですね。
あの雰囲気といい。陽太の優勝は番狂わせでもなんでもない。
でも、『後藤、ここにあり!』というのも見せつけたんじゃないですか」
雄弁だった内藤の総評が試合のすべてを表現していた。
試合後、後藤の健闘を称える拍手、コールが館内を覆いつくす。
ただし、そのムードを一瞬で変えたのが辻のパフォ―マンス。
リングサイドの内藤をひと睨みするとリングに招き入れる。
ロス・インゴとして同門の2人が、4・6両国へ向けて火花を散らす。
内藤が厳しい表情で引き揚げたあと、
辻が完璧なマイクで締めた。
「このセルリアンブルーのリングは、世界最高峰のプロレスだ!
そして俺は、この新日本プロレスをさらなる高みへと引き上げる。
なあ、新日本プロレスよ、覚悟はいいか!?
新時代の幕開けだ!!」
この風貌に、このしゃべりの上手さ。
そう、ジェイク・リーにもすこし似ている気がする。
いずれにしろ、エンディングは‟陽太カラー”一色に染まっていた。
■写真提供/新日本プロレス
4・6両国国技館のメインイベント。
内藤哲也vs辻陽太。
IWGP世界ヘビー級選手権までカウントガウンに入った。
もしかしたら我々は、時代が大きく動く瞬間を
目撃することになるかもしれない。
辻陽太は、それだけの勢いと力量、器量を持ち併せているのだ。
というわけで、今回も新日本プロレス・オフィシャルスマホサイトにて
『NJC2024』総括として、準決勝2試合&決勝にテーマを絞り書いている。
まあ、読んでみてね!
4.6両国で“新時代到来”の瞬間を我々は目撃することになるかもしれない」
『NJC』準決勝&決勝を大総括!!【“GK”金沢克彦の新日本プロレス通信】