質問を頂きました。

(このブログに頂いた質問は、同じような疑問をお持ちの方のために公開しています。)

 

 

手術をするとなると、まとまった休みが必要となりますが(わたしは会社員なので有休取ります),

現在の入院期間はどのくらいが多いのでしょうか?

短いところでは5日とか聞くこともありますが、あまり短いとその後が心配です.

4週間としているところは確かに安心できますが,仕事もあるし有休の残りが少ないとそんなに長く休めないのがつらいところ.

術式同様、入院期間も病院によって決まっていると思うので、病院選びの決め手になります.

 

 

質問ありがとうございます。

 

入院期間の話は、以前、このブログのどこかで詳しく話した気がするので、探してみてください。

 

おおざっぱに言うと、

どんな術式であっても、

(ご高齢の患者さんや、他の関節が悪い患者さんなどを除き、)

2週間もあれば、杖歩行での退院は可能ではないでしょうか?

 

(独歩で退院できるかは、患者さんによると思います。)

 

全国の入院期間の正確な平均値はわかりません。

 

(後述する)DPC方式の病院であれば1~2週間、そうでなければ2~4週間くらいではないでしょうか?

 

 

患者さん目線からすると、一般的には、入院期間は短いほどいいですよね?

 

それは、

「痛みもなく、歩きも以前のようになっている」

という前提のはずです。

 

私はよく患者さんに言うのですが、

人工股関節術後のリハビリは

「昔を思い出す」

のではなく、

「新しく作っていくもの」

です。

 

魔法で時間を巻き戻しているのではなく、関節を新しく作り直したのですから、

「歩きを作り直す」

「歩きを新しく作る」

という意識があった方がいいです。

 

人工関節の手術は文字通り、「関節」を変えているだけなので、筋肉や靭帯などは自分のものです。

 

手術を受けるまでの間に、固くなったり弱ったりしていることが多いです。

 

また、変形性股関節症は軟骨が擦れていて、且つ骨頭が偏位しているので、一般に脚長は(健常より)短い状態です。

 

人工股関節では、足が(健常な長さに)伸びる訳ですから、術前と脚長の感覚も違うはずです。

 

ですので、

「手術したからと言って、すぐに颯爽とした歩きにはなりにくい」

と思っていた方が良いと思います。

 

(それでも、ほとんどの患者さんはきちんと歩けるようになります。)

 

 

次に、入院日数について話すと、

一般に、大きな病院の方が入院期間は短いです。

 

経営的に、DPCの「入院期間I」「入院期間II」以内に退院させて、たくさんの患者さんを回転させた方が、より黒字になるからです。

(以前、具体的な金額を話しました。)

 

「ゆっくり入院したい」

「もう少し入院期間を延ばしたい」

という希望を言っても、だいたい通りません。

 

(というか、主治医をしている若い先生達には、そんな権限はありません。)

 

私が佐賀大学(DPC方式)に在籍していた時は、術後数日の時点で、

「来週の〇日に退院してもらわないといけないのですが、家に帰るのと転院先を探すのは、どちらがいいですか?」

と聞かなくてはいけませんでした。

 

(ちなみに、私が現在在籍している東佐賀病院は、DPC方式ではなく、且つ地域包括ケア病棟を持っているかため、入院期間は特に制限がないです。)

 

なので、

「平均入院期間が短い」

という言葉だけでは、参考になりません。

 

「平均5日で退院」と言っても、「転院」も含まれるからです。

 

説明を聞くときに、きちんと質問することをお勧めします。

 

人工股関節手術に限らずですが、

「手術した後、系列のリハビリ病院へ転院」

というパターンは結構多いです。

 

基本的に、病院のホームページというのは、患者さんを集めるために作成されているので、

やはり実際に話を聞くことが大切です。

 

 

人工関節は一生付き合っていくものです。

 

そして、1回手術してしまったら、やり直しは難しいです。

 

脱臼率しろ、出血にしろ、感染にしろ、再置換術は初回手術に成績が劣ります。

 

多くの方が入院日数にこだわるのもわかりますが、

「一生という目線でも考えて頂けたら」

と思っています。

 

 

(急いで作ったので、上手くまとまりませんでした。すいません。)

 

以上です。

少しでもお役に立てれば幸いです。

 

最近、まじめな質問コーナーが続いているので、別の話をさせてください。

 

(需要があるかわかりませんが・・)

 

 

先日、「連載30周年 名探偵コナン展」を見てきました。

 

お客さんが多くて、午前10時開演予定で8時30分から並んでいたのですが、

前倒しで9時10分から開演になりました。

 

中は結構ボリュームがあって、1時間以上は必要でした。

 

一部を除いて、ほとんどが写真撮影可で、

(見せる人もいないのに)

結構、写真を撮ってしまいました。

 

連載が開始されてから、もう30年になるんですね。

 

青山先生へのインタビューコーナーもあって、最初の10年くらいは多忙で、平均睡眠時間は3時間だったらしいです。

 

(最初、トリックを考えるのが嫌で、超能力で謎が解ける主人公にしたかったのに、編集者に、きちんとした推理モノにするよう、言い渡されたそうです・・・。)

 

私は、その前の「YAIBA」が好きだったので、本当に息が長いですね。

 

 

(グッズ売り場では、迷った挙句、30周年記念マグカップを買いました。3300円・・・)

 

 

ちなみに、私は「劇場版」派です。

 

「新しい劇場版に出てくる新キャラの情報を仕入れるために、必要な部分だけコミックやアニメを見る」

というスタイルです。

 

そして、

「劇場版では、どれが好きか」

という話題がよく出ますが、

私の一番は

「天国へのカウントダウン」

です。

 

相当前の作品ですが、今見ても面白いです。

(光彦君が男前です。)

 

 

非常にどうでもいい話ですいません。

 

 

『連載30周年記念 名探偵コナン展』公式サイト (conanten-30th.jp)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

質問を頂きました。

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いつもありがとうございます。
両側変形股関節症です。
右足の痛みが限界で手術を受ける決断しました。
左足の痛みはあまり無いのですが、ガクッとなる頻度が増えました。

両足の手術を希望しましたが、「右足の手術をしたら足の長さが揃うから大丈夫だ」と言われました。

心配です。
両側同時の手術は医師も患者も大変なのでしょうか?

 

 

質問ありがとうございます。

 

はじめに言っておくと、私個人的には、両側同時手術は好きではありません。

 

(「右足の手術をしたら足の長さが揃うから大丈夫だ」の意図は分かりかねますが・・)

 

否定しているのではなく、私個人として、好みではないということです。

 

手術は上手くいけば何の問題もないのですが、残念ながら、手術に100%はありません。

 

両側ということは、

出血量、感染、血栓、脱臼などのリスクは単純に2倍ですし、痛みの部位も2倍(左右2か所)、

もしも何か起きた時の後悔は2倍以上でしょう。

 

また、

「両側同時に手術」なら、「仰臥位での前方アプローチ系」と思いますが、

本当に「同時」なら術者は当然2名のはずです。

 

(一人の術者が、左右を順番にするなら、手術時間が2倍ですね。)

 

つまり、本当に「両側同時」なら、

お願いした先生とは違う先生が、片方を執刀していることになります。

 

関東の、非常に有名な病院で手術を受けた患者さんで、

現在、私が外来フォローしている方がいますが、レントゲンを見たら、片方は悲惨でした。

 

初診の時、

「こっち側、どうしたんですか?」

と聞いたら、

「片方は有名な○○先生がしてくれたんですけど、反対側は若めの先生が執刀されて、術中骨折を起こしてしまって・・・。」

「しばらく、荷重をかけてはいけない、と言われました。」

と言われていました。

 

2人の術者がいるとして、普通に考えたら、全く同等な実力ということは少ないですよね。

 

でも、実力が上の先生が、手術中にもう1人の先生に目が配れるかと言うと、

自分も手術に集中しないといけない訳ですから、それは難しいでしょう。

 

一生に1度の手術なので、(「一生に1度の手術になって欲しい」ので、)

リスクは最小限に、安全が一番、後悔しないことが一番だと思っています。

 

 

以上です。

質問者様の手術の成功を祈っています。

 

質問を頂きました。

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人工股関節置換術において、関節包温存について伺いたいです。
温存は、脱臼リスクを少なくするためと思うのですが、「関節包はいずれ再生するので長期的には問題ないとのことで温存に拘らず切除する」という医師もいらっしゃるようです。

温存派の医師が、関節包が緩い患者に対して、関節包に必要な緊張を保たせるために、術足を(2センチほど?)長くしたというケースを聞きました。
温存と切除で長期的には違いがないのであれば、ここまでの脚長差をつけることにあまり意味はないように思うのですが、いかがでしょうか?

脱臼リスクを少なくするための方法としては、骨頭を大きくするとか、オフセットを大きくするなど他にも方法はあるのかなと思ったりする次第です。
もし、お答えいただけるようであれば、お願いします。

 

 

質問ありがとうございます。

 

多分、今は人工股関節手術の際は、(前方侵入でも後方侵入でも)関節包を温存することが多いと思います。

 

確かに切除しても、関節包のような組織が再生されますが、脱臼は術後早期に多いので、後ろの壁はあった方がいいでしょう。

 

また、緩さについては、

変形性股関節症では、関節包は変性して硬いことが多いのですが、骨頭壊死のような場合は緩い時があります。

 

骨頭を大きくしても緊張自体は強くならないので、ハイオフセットがいいかもしれませんね。

(患者さんの股関節によって違いますが、一般的にの話です。脚延長しないと緊張が保てないことも確かにあります。)

 

 

以上です。

 

ちょっと詳しくて、よくわからない方も多かったかも知れませんが、せっかくの質問だったので答えさせて頂きました。

少しでもお役に立てれば幸いです。

 

質問を頂きました。

(このブログに頂いた質問は、同じような疑問をお持ちの方のために公開しています。)

 

 

高齢者が転倒して大腿骨を骨折すると人工股関節術が行われますが、変形股関節での人工股関節術との違いや難度を教えて下さい。
地元の病院では高齢者が多く、高齢者の手術が多いようです。

 

 

 

質問ありがとうございます。

 

この違いは実は、整形外科で勤務したことがない看護師さんや、他の科の医師でもわかっていないことが多いです。

 

質問文に、

「高齢者が転倒して大腿骨を骨折すると人工股関節術が行われますが、」

とありますが、一般に、高齢者の骨折に行われるのは人工股関節ではありません。

 

非常に簡単に言うと、

 

大腿骨頸部骨折に対して行うのは、「人工骨頭挿入術(人工骨頭置換術)」、

変形性股関節症に対して行うのは、「人工股関節全置換術」です。

 

股関節は

「臼蓋側(屋根側)」

「大腿骨頭側」

の2つの関節面に分かれます。

 

変形性股関節症は両方(上下)の軟骨が傷んでいるので、両方を置き換える必要があり、「人工股関節全置換術」になります。

 

これに対し、大腿骨頸部骨折は、関節(軟骨)が傷んでいる訳ではなく、

「大腿骨側」の「骨折」なので、

骨頭側だけ取り換えて、臼蓋側は何もしない「人工骨頭挿入術(人工骨頭置換術)」になります。

 

レントゲンは非常に似ているように見えますが、全然違います。

 

 

整形外科医側からのイメージとしては、

 

「人工骨頭挿入術(人工骨頭置換術)」は、若手医師が最初の方に執刀を任せてもらえる手術。

「人工股関節全置換術」は、習熟した医師が行うことが多い手術。

 

という感じです。

 

大腿骨頸部骨折に対してであっても、

患者さんが若くて活動性が高い場合や、

股関節自体が悪い場合は、

臼蓋側(屋根側)も取り換えて、「人工股関節置換術」を行うこともあります。

 

 

ただし、一般には、先述のように、

「人工股関節置換術」の方が「人工骨頭挿入術(人工骨頭置換術)」より

手術自体が難しく、脱臼率も高いことから、

骨折に対しては「人工骨頭挿入術(人工骨頭置換術)」を選択する病院が多いと思います。

 

 

 

以上です。

少しでもお役に立てれば幸いです。