拝啓 桜見物の好季節となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
↑ちょっとやってみたかったので、最初だけ堅苦しいですがこの後は普通なので、最後まで読んでくれる人がどのくらい居るか分からないけれど、目を通していただけると幸いです。
｢自分の気持ちに嘘をつきたくない｣そんな決意を抱えながらも、なんとなくで始めたのがメイドの世界でした。
面接に受かる自信が無く、運試しくらいの心意気だったので最初にお店から面接合格の電話がかかってきた時はドキドキしながらも、内心飛び跳ねるくらい嬉しくて舞い上がっていた事を覚えています。
いざこの世界に飛び込んでみると、私が普通に生きていたら体験出来ない様な事ばかりでした。
文字に起こそうとすると上手く思い出せないけれど、今思えばとても貴重な時間を過ごす事が出来たと思います。
最初は苦手だったエプロンのリボン結びも、いつの間にか綺麗に結べる様になりました。
勿論全てが楽しい事だけでは無かったけれど、都合の良い人間なので思い返すと素敵な思い出たちばかりで、今考えてもこれは本当に私の人生なのか？と何かの間違いなんじゃないかと現実を疑ってしまいます。
でもこの約1年半の間に起こった出来事や経験した事、感じたものは間違いなく全て現実だったし、私にとってもうひとつの青春だったと言えます。
普通に生きていたら絶対に関わる事が無いような、真っ直ぐなのか捻じ曲がっているのかよく分からない、少しだけ不器用な、けれど私にとってはものすごく温かい、そんな人達と友情とは違うけれどそれと似通った不思議な絆を築く事が出来て心から楽しかったと思います。
何者でもなかった私に、束の間の夢を見せて下さり本当にありがとうございました。
誰かの人生にとっては、いずれ忘れてしまう位本当に下らなくて、なんの思い入れも悔いも無いちっぽけな世界だったかもしれません。私も最初は憧れや夢や何か目標があって始めた訳では無く、ぼんやりと半年も続けば良い方だろうとか考えていました。
でも気付けば私にとって、凄く大切な居場所のひとつになっていました。
胸を張って、以前の自分と変わる事が出来たとは言えないけれど、皆のお陰でほんの少しだけ、こんな自分でも生きていて良いんだと自分を肯定する事が出来るようになりました。
メイドを含め、ここに居る皆と出会えた事で、自分本位に生きる事の大切さを学んだ気がします。
いずれ皆の記憶から私が消えてしまっても、きっと私だけはここで過ごした楽しい時間を生涯忘れない気がします。
最後に、皆がこの先心身共に健康であるよう願っています。
今まで本当に、お世話になりました。
さよなら。
える