今井宏オフィシャルブログ「風吹かば倒るの記」Powered by Ameba
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Mon 240429 JALが心配だ/国内線のお弁当/松明の中に武者絵が見える 4523回

 航空会社について、エッセイでも小説でもその筆者は(仮名)に相当の苦労や気遣いをなさっているようで、何しろ21世紀の日本には「主な」という形容詞にふさわしい航空会社が2つしかない。(仮名)も何も、どちらのことなのかは、どんなに工夫してもすぐに分かってしまう。

 

 山崎豊子原作、テレビドラマにもなった「沈まぬ太陽」では、太陽の沈むことのないほど世界に空路を拡大した航空会社「NAL」が登場する。

 

 20世紀終盤、航空史に残るあまりに悲惨な墜落事故の当事者となり、国民からも世界からも厳しい糾弾に晒されて経営危機を迎える「国民航空NAL」の苦悩が、小説でもドラマでも生々しく描かれていた。

 

 しかしいやはや、「NAL」とは、虚構として余りにも巧妙な設定だ。ワタクシなんかだと、「JANA」ではどうか、「NAJA」ではどうか「JALAN」ではどうか、何しろ悲惨な事故の記憶が今も生々しいから、その辺のことをあんまりいじくり回すのは控えなきゃいけないが、とにかくBIG2だ、(仮名)はなかなか難しい。

       (3月14日、奈良を訪問する)

 

 しかし、先週末にニュースになったJALのパイロットたちとCA諸君の大宴会については、こりゃもう(仮名)なんか使っている場合ではない。あんなに良識と正論をふりかざす天下の朝日新聞が、社会面のベタ記事1本で済ましてしまったのが何とも解せないが、この際今井君が天下の良識となって真っ赤に燃えあがろうと思う。

 

 だってこんなんじゃ、安心してヒコーキに乗れないじゃないか。まあワタクシは、JALには2年に1回しか乗らないANA派に属しているが、伝えられた通りのエゲツない行動がJALのパイロットとCAさんたちに広まっているのであれば、そりゃたいへんだ、航空会社は違っても、万が一「同じ穴のムジナ」というか「同じANAのムジナ」だったら困る。

     (3月14日、奈良・東大寺を訪問する 1)

 

 伝えられるところでは、ダラスの空港に到着したパイロットのオジサマは、「同乗したクルーとダラス市内のレストランで18時ごろから食事」「メンバーは機長含むパイロット3人、客室乗務員4人」。おお、20世紀の大学生なら「合コン」と呼んだ類いのド派手なヤツじゃないか。

 

 21時、ホテルに帰る。ところが、終わらない。ホテルのラウンジで、同じメンバーで宴会を続行。おお、今井君も世界中のホテルラウンジを利用するが、これって、ラウンジで最も迷惑なグループじゃないか。下手すりゃ7人グループ全体で「カスハラ」を演じかねない。というか、7人グループの存在自体が、すでにホテルへのカスハラに近い。

 

 途中で4人のCAのうち1人は自室に帰ったんだそうな。しかし23時、機長の部屋での「部屋飲み」に移行。おお、ここまでで5時間、しかも激烈な合コンだ。パイロット3人、CA3人。30歳から40歳代の男女3人ずつ合計6名、泥酔したお部屋で、いったいどんな世界が展開されたの? 想像するのさえ、ちょっと下卑てないか?

     (3月14日、奈良・東大寺を訪問する 2)

 

 男子の宿泊するお部屋の敷居を女子3名がまたいで、何と「お開き」は午前2時なんだとさ。23時から3時間、いったい何をやってたの? まさか真剣な社員研修じゃなかろうし、まさか「サービス向上の取り組み」とかじゃなかろうもん。

 

「途中でCAがまた1人帰った」というから、おお、お部屋に残るは男子3名と女子2名。これも「伝えられるところ」であるが、彼ら彼女らの飲酒量は、最初のレストランから通算で「ワイン7本、缶ビール12~18本」なんだとさ。

 

 こういう要するに常軌を逸した「乱痴気騒ぎ」について、JALからは「2度とこういうことが起きないように万全を尽くして参ります」という声明があったと、正論と良識の府・朝日新聞は小さなベタ記事の中でホンの数行書いているだけだが、いや諸君、そんなんじゃ今井君はイヤなのだ。

 

 何しろその部屋飲み 要するに合コンの果ての乱痴気騒ぎが「お開き」になったのは「ホテルスタッフから騒音を注意されたため」なんだとさ。機長どんは、「少し酔いが深かったせいで、足元がおぼつかなかったと思われる」。そのため「このまま部屋の辺りにいると少しうるさい」ので、いったんロビーに移動するように指示されたんだとさ。

 

 しかもロビーに戻る際に「少し声が大きくなり、受け応えが困難な状態になった」ため、ホテルスタッフが警察に通報したという。機長は49歳、乗務歴21年ちょい、機長歴は1年1か月。いやはや、こりゃたいへんだ。

     (3月14日、奈良・東大寺を訪問する 3)

 

 というか、こりゃワタクシは今回のグループ全員を、しばらく乗務から外すべきだと感じるのだ。JAL側は「2度とこのようなことがないように」とおっしゃっているが、「このようなこと」とは、正確には何を指すのか。

 

「機長の翌日の乗務を不可能と判断し、当該フライトを欠航とし、乗客には他社便を利用していただいた」というのだが、航空会社のおっしゃる「このようなこと」がその事情を指すのなら、今井君は全く納得できない。

 

 そりゃ、乗務員の皆様は立派なオトナでいらっしゃる。勤務時間外にどんな合コンや乱痴気騒ぎに及んでも、何しろ徹底的に自由な社会だ。その責任を問うことは行き過ぎなのかもしれない。

 

 しかし諸君、オトナ男子3人&オトナ女子4人、出張先のホテルの部屋で4時間も5時間も一緒に泥酔して、地元の警察まで登場する大立ち回りを演じた日本を代表する航空会社を、ベタ記事1本で放置していいのでござるかな? 

 

 ワタクシは、この2年から3年の日本の航空会社が何だか情けないのだ。あえてレッドチームとブルーチームと言っておくが、かつて「スチュワーデス物語」の舞台となったツルのマークのレッドチームがこんな有様じゃ、教官♡風間杜夫と、新人スッチー♡堀ちえみが泣いちゃうじゃないか。

(3月14日、東大寺二月堂にて。まもなくお水取りのクライマックスになる 1)

 

 ANAのほうについても、実はいま少し心配しているのが、機内のお弁当なのだ。諸君、国内線プレミアムクラスで供されるお弁当、この2年ほどクオリティの急速な低下に気づかずにはいられない。

 

 もちろん、コロナの影響での経営の苦悩は分かっている。しかしいくら何でも、今のお弁当は考えたほうがいい。あれならむしろ「お弁当は廃止いたしました」とハッキリ言ってくれたほうがいい。

 

 10年前のANA国内線では、「有名シェフや一流料亭とのコラボ」を高らかに謳い、プレミアムクラスのお弁当をどんどん高級化させていた。

 

 当時の機内誌バックナンバーを紐解けば明らかであるが、有名シェフ&料亭のお名前も誇らしく掲載し、「1800円相当」いや「2000円相当」とまで機内誌に明記した豪華なお弁当を、CAさんたちが嬉しげな笑顔で配っていた。

 

 今や、あのプライドたっぷりの面影はない。羽田と福岡を往復して、往路は冷たい稲荷寿司、復路は冷たいちらし寿司。大阪便なら、稲荷寿司の隣に冷えきったタコ焼きが1個ドヤ顔で居座り、小さな紙皿の中のラタトゥイユやらサラダや野菜のおひたしも、特に食欲をそそるものではない。

 

 だって10年前なら、2段重ねのホカホカなお弁当に、別添えで1皿ホットフードもついていた、「ヒコーキでお弁当が出るから、空港では何にも食べなくていいよね」とニッコリ頷きあうカップルなんてのも多く存在したのである。

(3月14日、東大寺二月堂にて。まもなくお水取りのクライマックスになる 2)

 

 今や出張のオジサマ連には、空港のレストランで思い切り腹ごしらえ、ラウンジでもまた思い切り腹ごしらえ、ヒコーキに乗り込むや否や「あ、機内食というかお弁当というか、あれは必要ありませんので」と悲しそうに断るオカタが目立つ。

 

 CAの皆様にも高いプライドがあるので、乗客が断っても「お持ち帰りになさいますか」「ドリンクだけでもいかがですか」「焼き菓子のお持ち帰りもできますよ」と頻りに勧めるが、何しろあの冷たい稲荷寿司とちらし寿司とタコ焼きに辟易したばかりだ。どこまでも「いいえ」「必要ありません」と、オジサマたちは礼儀正しく断り続ける。

 

 どうだろう、もうヤメにしちゃったら。国内線のフライトなら、ほとんどが1時間ちょい、どんなに長くても沖縄便の3時間だ。「何が何でもお弁当を食べさせなきゃ」「何が何でも機内食!!」という固定観念を捨てちゃえば、そのぶん経営にもプラスに働くじゃないか。

 

 相手は、たった1時間ちょいのフライトに+5000円も支払うプレミアムシートの上客だ。搭乗前に、ほとんどの乗客がメシぐらい済ませている。無理に酒なんか出すから、10分でワイン1瓶を痛飲してカスハラに及ぶオジサマだって生まれてくる。

 

 お弁当もなし、ワインも酒も焼酎もなし、たった1時間から2時間足らずのフライトを、あくまで静かに平穏に、余計なアナウンスもオファーも何にもなしに、黙って眠らせてくれるような、オトナの航空会社に脱皮してみたらどうだろう。

(3月14日、東大寺二月堂にて。まもなくお水取りのクライマックスになる 3)

 

 コロナ以前、ワタクシ今井は「機内で新聞を配る習慣をおヤメになったらどうか」と、このブログでたびたび勧めてきたのである。コロナの頃に、やっとそれが実現したばかりだ。

 

 新聞紙は、まず独特のニオイがあって臭気を嫌がる人もいるだろう。新聞をガサガサやる音がどれほどうるさくて周囲の迷惑になっているか、気づかない航空会社であってはならないはずだった。

 

 そして何よりもあの頃、機内で平気で配布されていたスポーツ新聞について、ワタクシ今井はこのブログで何度も書いたはずだ。

 

 スポーツ新聞をめくればナンボでも登場する風俗店やら何やらの広告、大きな挿絵の風俗小説やら、写真入りのポルノ記事、その類いの新聞を読みふけるオジサマの隣の席には、妙齢の女子なんかも座っていらっしゃる。彼女たちの困り果てたというか呆れ果てた表情、ワタクシは今も忘れられない。

(3月14日、東大寺二月堂にて。まもなくお水取りのクライマックスになる 4)

 

 もっと昔、1990年代のヒコーキでは「週刊誌の配布」も普通だった。1990年代の若き今井君は、駿台予備学校・福岡校への出張があって、JANANALのヒコーキを毎週1回往復利用していた。

 

 すると今のCA、当時はまだスチュワーデスの名で呼ばれていた女子社員が、平気でオジサマたちに「週刊現代」「週刊ポスト」やら「フォーカス」「プライデー」「フラッシュ」なんかを配って歩いたのである。

 

 するとそこには、今や口にするのもオゾましいが、「ヘアヌード」と言ふものがデカデカと掲載されていた。いやはやトンデモナイ時代だったが、女子高生の水着姿だの、女子大生のミニスカ姿だの、今なら「盗撮」でひっつかまりそうな写真が堂々と掲載され、オジサマたちさえ困り果て、妙齢の女子連はうんざりして目を背け、やがてお弁当が配られてみんなでそれを食べた。

 (お水取りの後は、近鉄奈良駅そば「一条」で晩酌を満喫 1)

 

 いや、その数年前までは、「ヒコーキの中での喫煙」「新幹線の中での喫煙」「通勤電車の中での喫煙」まで、全て当然、「何の不思議があるんです?」というのが、日本中どころか世界中のオトナの思いだったのだ。

 

 しかし諸君、すでに喫煙は新幹線でも全面禁止だ。ヒコーキの中での週刊誌配布も2000年ごろに完全にオシマイ。コロナをきっかけに、ヒコーキの新聞配布もオシマイになった。過剰なサービスは、可及的速やかにオシマイにすべき時代なのだ。

 

 ならば、プレミアムクラスのお弁当もヤメにしていいんじゃないか。顧客層にいろいろアンケートをとって、もしも「ヤメにしていい」という人々が多数を占めるなら、中途半端なサービスはサッサとヤメにして静かな機内環境を実現し、搭乗から到着までほぼ何のアナウンスもない静寂をこそ、最大のサービスと考えていたたきたいのだ。

 

 そのお弁当ないし機内食のぶん、ポイントなりマイルなりで還元して頂ければ、それが最もありがたい。事前の予約の段階で、「お弁当不要」のボタンをクリックなりタップして、例えば2,000マイルでも3000マイルでも付与されるなら、いやはやそれこそ日本の誇るフラッグシップじゃないか

 

 そういう地道な工夫をしていただければ、乗務する人々のストレスもグッと低減、「ダラスに着いたら男子3人女子4人、ホテルの部屋で警察沙汰の乱痴気騒ぎ」の類いの愚かな事件とは、きっと無縁な業界になれると信じる。

 (お水取りの後は、近鉄奈良駅そば「一条」で晩酌を満喫 2)

 

 さて、遅ればせながら本日の写真のご説明であるが、ほぼ全て3月14日の奈良・東大寺でのものである。

 

 誰が教え込んだのか、奈良のシカたちは鹿せんべいがほしくなると、観光客の前で何度もお辞儀をするようになってしまった。

 

 外国人観光客を中心に、シカが寄ってくると、シカに軽くお辞儀をしてみせて、シカの側にもお辞儀を求める。すると、状況を察したシカたちは、頭を2度3度と下げてお辞儀のカッコをしてみせ、鹿せんべいを見事にせしめるのである。

 

 気難しいようだが、今井センセはそういうことをシカに教えてほしくない。シカには、卑屈になってほしくない。もっと毅然としていてほしい。鹿せんべい欲しさに観光客にお辞儀なんかするシカたちであってほしくないのだ。

 

「そんなの、いらないよ」「いりません!!」と、角をふりたてて観光客集団をシカトするシカであってこそ、神の使いのシカとして相応しいじゃないか。

 

 シカ諸君、お辞儀なんか、しちゃいかん。もっとシッカり毅然として、野生の魅力を振りまきながら元気に疾駆したまえ。ママ鹿の皆さん、「そんなのいらない!!って、プンとソッポをむきなさい」「そのほうがカッコいいわよ」、そう子鹿たちに教えなきゃ。

 

 ところで、長々と書いてきた本日の記事の最後に、驚くべき写真を1枚提示したい。今からちょうど2年前の3月14日、同じ東大寺二月堂「お水取り」で感激した時のものである。

(2年前、2022年3月14日の東大寺二月堂。並ぶお松明の炎の中に、驚きの武者絵があった 1)

 

 次回のブログには、本年 → 2024年3月14日のお水取りの写真を多数掲載する。今日最後の2枚は、もう1度確認するが、一昨年 → 2022年3月14日のものだ。

 

 実は2年前には全く気づかなかったのだが、この写真の燃え盛る松明の炎の中に、2人の武者の横顔がありありと写って、勇ましい武者絵さながらの豪快な笑顔で対峙しているのだ。

 

 諸君、連休中でヒマもあるだろう。ぜひ上の1枚、左から向かって2つ目と3つ目の松明の炎を、大きく拡大してみてみたまえ。対峙する2人の横顔を確認できるはずだ。

 

 まあ、面倒だと言われないように、下に拡大しておいた。どうだい、2人の武者の燃え盛る豪快な笑顔にしか見えないじゃないか。「偶然だろ」と笑うもよし、「青森のねぶたかいな」という連想もよし。ぜひ「無視」だけはヤメてくだされよ。

(2年前、2022年3月14日の東大寺二月堂。お松明の炎の中に、驚きの武者絵があった 2)

 

 今井君が、何かトリックをつかってこういう写真を合成するタイプの人間でないことは、長い熱心な読者の皆様なら、誰でももちろん分かっていらっしゃるはず。これは、絶対にワザと作ったものではない。しかも、武者1人ならともかく、2人の武者が向かい合って写っている。

 

 いやはや3月14日の奈良の夕暮れ、お水取りのクライマックス♡お松明の始まる寸前にこれに気づいたワタクシは、感激のあまりゾッと鳥肌(ないしサブイボ)が立ったものだったが、読者諸君も連休の中日、ワタクシ同様の感激サブイボに震えていただきたいのである。

 

1E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 1/2

2E(Cd) Solti & Chicago:HÄNDEL/MESSIAH 2/2

3E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 1/2

4E(Cd) Bonynge:OFFENBACH/LES CONTES D’HOFFMANN 2/2

5E(Cd) Avner Arad:THE PIANO WORLS OF LEOS JANÁĈEK

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