ピックアップ!
2005年9月に「ポルノ映画館に行く! 」で衝撃的なデビューを果たした「犬鍋製作所」。
定食屋から原発まで、全て笑い飛ばしてしまえ!とばかりに吠えまくる痩せ犬2匹の姿に
OLが泣いた。
今回は2007年4月の活動休止までの貴重な記録の中から評価の高い5作品をピックアップ。
1位 「関ヶ原ウォーランドに行く!
」 Written by ヨース毛
2006年3月11日
*戦闘中のダメ所長う平
●戦争を知らない子供たちを代表して『犬鍋製作所』が戦地へ殴りこみ!
激戦地で二人は何を思う?
時代を超えた「激戦・アクションコメディ」の大問題作! →読む
2位 「鞍馬の火祭りに行く! 」 Written by ヨース毛&う平
*国家の犬とダメ犬
●京都の奇祭!鞍馬の火祭りに『犬鍋製作所』が挑んだ!
裸の男たちが、ロッテリアから警察までをも巻き込み、あたり一面火の海地獄!
果たして二人の運命やいかに!? →読む
3位 「線香工房へ行く!
」 Written by う平
2005年10月22日
*匂いの発信源、職人Yさん
●日本が誇る匂い文化の発信源「線香工房」への潜入に成功した犬鍋製作所が、
世界で初めて「もんこう」の謎を解き明かした!
匂いは嗅ぐものではなかった!? →読む
4位 「原発へ行く!
」 Written by ヨース毛&う平
*ライブ「原発の中心で節電を叫ぶ」
●2006年2月19日に開催された最初で最後(?)の犬鍋製作所プロデュースイベント
「大飯原子力発電所見学ツアー」のドキュメンタリー。
関西電力の協力と圧力の中、人類初、原発で節電ライブを敢行!
しかし、放射能の影響か、関電の圧力か、レポートは中断されたままだ。 →読む
5位 「ヤミ鍋製作所
」 Written by ヨース毛
*ヤミ鍋と3匹の犬
●「ヤミ鍋」という至極高尚な大人の遊びに犬鍋製作所が挑む!
特別ルールでポイントを競うも共倒れ…?
負け犬は誰だ!
第二回は助手の応募が無いため未だ実現していない。 →読む
所長であそぼ☆ワン ~処女受胎編~ (ヨース毛)
処女受胎…
イエス様だの、お釈迦様だの、加藤鷹だの、浅田真央だの…
歴史に名を残す偉大なる人物は皆、決まって処女の母親から生れているものである。
今日、あなたは衝撃の事実を目撃するであろう。
そして、それを、あなたはただ黙って見守るしかないのである。
さぁ、我等が犬鍋製作所ダメ所長う平の恐るべき、『処女受胎』の物語(全て実話)を目撃せよ!
◆◇◆◇◆ 本当にあった!『処女受胎』の話 ◇◆◇◆◇
2007年春。
犬鍋製作所、ダメ所長う平君は本業を忘れ、29歳の春をダメリーマンとして働いていた。
しかし、浮かない顔をしている。
どうやら1年も経たぬ内にクビになったらしい。
これはそんな顔だ。
毛: 「おーい、所長!クビになったかぁ~?」
う: 「よ、ヨース毛… お、おれ… 女の人… 知らないんだ…」
毛: 「なんだ?突然 …どういう意味だい?」
う: 「だ、だから、ど、ど、童貞なんだ、どこが悪いっ!」
毛: 「え… 」
まさかのカミングアウト…
しかも満開のチェリーブロッサムの前でのチェリーボーイ宣言に、
流石の僕も目が毛になってしまった。
そんな僕の様子を見て、いじけだすダメ童貞所長う平…
う: 「いーんだ、いーんだ、
そうやって僕をバカにした目で見てれば…
う… うう…
んが~ ふんがぁ~!!」
毛: 「な、何を!しょ、所長~!!」
う: 「女なんか! こうしてやるっ!そんでもって…」
う :「こんなふうにしてぇなぁっ!」
う: 「こうだっ!」
何か、逆というか、間違ってるようだけど、今の所長にその突っ込みは危険なのでやめておこう。
う : 「あぁぁぁぁ! わかんねぇ、わかんねぇ、
女、女、女女女女、ってどんなぁぁ!!」
やばい、所長が童貞パワーに支配されて、
今や京都御所に咲き誇るチェリーブロッサムよりも
チェリー度が『満開』になってしまっているっ!
う : 「おんなかぬぁ~、どんなかぬぁ~」
もうだめだ!こうなったら奥の手を使うしかないか…
う : 「お、…お、チェリーの精が見える……」
桜娘: 「ハァ~イ☆ チェリーの精、
桜娘(ヨース毛女装時の名)よん☆
チェリーボーイがチェリーガールに何の用かしらん?」
う :「おぉ、チェリーの精よ…
ぼ、ぼ、僕…
お、女の人と、その…
い、いたすというか、その…、
接続、いや…、その…、
交合というか、
おコメしたいんです!」
桜娘:「うふっ、かわいいっ☆
じゃぁ、良いこと教えてあ・げ・る☆
お空にね、穴の空いたドーナツが飛んでたら、
それがアナタの穴よ☆
頑張って食べちゃってね☆
チャオ~☆」
と、まぁ適当にごまかしたが、これもその場しのぎでしかないな…
今後、童貞所長う平はきっとミスドを見るごとに発情してしまうんだろう…
ま、それも面白いか。
桜の木陰で化粧を落としながらそんなことを考えていると、
突然29歳、童貞う平が吠えたっ!
う: 「あ、あれはっっ!!」
な、なんと!
気の狂ったう平をなだめるために、口からでまかせで言った筈の
「空飛ぶドーナツ」が、
京都上空に現れたではないかっ!
②
③
④
毛: 「所長に何かあってはいけないっ!」
優秀な所員である僕は所長の後を追った。
彼の走った後には、ただ枝ばかりになった桜の木と、
無数の花びらが舞い散っているばかりだ。
しかし、29年間溜め込んだチェリーパワーは絶大だ。
「足の速い男子」として、小学生にして早くも『脱チェリー』を果たしたこの僕の
足をもってしても、追いつくことができない。
早くも所長を見失ってしまった…
僕は夜空に消えかかったドーナツの光の尾を頼りに走っていった。
しばらくすると後ろから何やら声が聞こえてきた。
「 …アナアナアナアナアナアナ!」
所長う平だ!
しかし、流石は俺。
知らぬうちにう平を追い越していたらしい。
ふっ、足の速い男子の俺が、チェリーぼーや何ぞに負ける訳があるまいて。
しかし、チェリー満開のう平はこちらに気づいていないようだ。
猛烈な勢いで僕の横を駆け抜けた。
が、その時である!
ずどどどどーん!
う: 「ア、アナ… アナ… ア…」
僕の真横でう平が盛大にコケ、あえいでいる。
毛: 「ぼ、僕は何もしてないぞ!」
嘘ではない。
優秀で心優しい所員の僕が何かする筈が無い。
本当に何もしていないのに、う平はまるで足に何かが絡まったかのように転んだのである。
う: 「なんじゃこりゃ!?」
う平が立ち上がり、吠えた。
手に何やら赤いヒモのようなものを持っている。
訳も解らず、ヒモたぐってみると、
なんと、ヒモはう平の股間から生えているではないかっ!
転んだ拍子に正気を取り戻したう平に確かめさせると、
ヒモは、その、何と言うか、 「彼自身」 の口からしっかりと生え出しており、
「ぬ、抜けない。不思議と、引っ張っても痛くないよ。ほら。」
だそうだ。
「ほら。」と言われても、そんなもの触りたくないので、引っ張ってみるのは遠慮した。
しかし、気になるのはもう一方の端である。
いったいこのヒモは「う平自身」と何を結び付けているのであろうか?
ヒモの先に目をやると、
とりあえず、たぐってみることにした。
う : 「長いなぁ… ほら。」
そんなこと見れば解る。
それより、イチイチ何か言うたびにヒモを触らせようとするなっ!
ヒモはさらに続き、
古く妖しい洋館の中へと伸びていた。
「所長がこんな情けない姿のままでは、今後の活動に支障をきたす」
という優秀な意識が僕の震える足を進ませた。
一方う平は… 他に選択の余地はない。
切れかかった蛍光灯がチカチカと冷たい光を放つ洋館の中へ、我々犬鍋製作所は潜入していった。
洋館に入ると急な階段が迷路のように入り組んでおり、
ヒモはその中の一つの階段を上へと登っていた。
う: 「はぁ、はぁ、ぁ、あな、あ…」
階段を登るにつれ、う平の目つきがおかしくなってきた。
う: 「こ、この先に、ア、アナ…
アナアナアナアナ!」
しまった!
と僕は思った。
この洋館の不気味さと、未知なるヒモの先と、
チェリーパワーと、その他沢山のモヤモヤしたパワーが、
う平の脳ミソの許容量を超えてしまい、再び発作が起こってしまったのだ!
う平は物凄いスピードでヒモをたぐり、階段を登りきった。
ヒモはさらにドアの下から部屋の中へと続いていた。
部屋の中からテレビの音が聞こえる。
誰かいるようだ。
キチガイとなったチェリーう平はノックもせずドアをガバと開けた。
すると、その先には、マスクをした一人の婦人がいた。
ヒモは彼女のマスクの中に続いている。
都合の良いことに、婦人はテレビに夢中で、こちらに気づいていないようだ。
(よし、マスクを取って確かめてやれ!)
ヒモの先の正体が見えてきてう平も気を取り直したようだ。
我々は目で互いの意思を確かめ、そっと婦人のマスクを剥ぎ取った。
う : 「は、はな… 」
なんと、ヒモは婦人の鼻の穴に繋がっていたのだ!
やばい、この衝撃的事実を目の当たりにして今のう平が正気でいられる筈が無いっ!
不安にかられた僕がう平を振り返ると、意外なことにう平は取り乱すどころか何やら嬉しそうである。
う : 「ヨース毛… 俺、わかったよ。
みんなして大そうな事言って俺をだましちゃってさ。
童貞をからかうのも程ほどにしろよ。
アナって、鼻の穴のことだったんだね。
それでセックスってのはこの赤いヒモのことだろ。」
毛: 「ちっ、違う!う平、それ、間違ってるから。君はまだ…」
う平の滅茶苦茶な解釈の間違いを諭す僕を無視して、う平は婦人に迫った。
う : 「僕の子だ!
これは僕の子だ!」
婦人 :「えっ… キャっ!」
婦人: 「あ、あたし、いつの間に…
お腹が大きいわ!
妊娠してるのっ!?
え、でも、さっきまで、…
え、でも何で…
あたし、処女なのに! 」
婦人も自分が妊娠したことに気づいていなかったようだ。
それもその筈、彼女は純潔、正真正銘の処女であるし、
さっきTVを見るまで、確かにそのお腹はペシャンコだったのだから。
婦人: 「ところで、あなたは誰?」
う : 「なーにを今さらぁ~、
恥ずかしいこと言わせるなよぉ~
君と僕はだね、さっき、その男女のだね、
大人の儀式とでも言おうかね、
それを済ませたばかりじゃないか。
その証拠にほら、君のお腹にちゃぁんと
僕等の子ができているだろ?」
毛: 「だから…、その…」
婦人:「え、…あたし、そんな、
鼻水が出るから風邪ひいたかと思って、マスクして、
クシャミしたら、何か鼻からヒモみたいのが出たけど、
テレビ見てたから放っておいたら…
えっ! もしかして、あの赤いヒモが、
その、男女の、大人の儀式だったの!?」
毛: 「いやいや、あのね…」
う : 「何を言ってるんだ、当たり前ぢゃないか。
ほら、赤い糸って言うだろ?
僕等は今日一つになったんだ。
愛してるぜっ、チョチョリーナ。
僕と子供と3人で楽しい家庭を気づかないかい?」
毛: 「え、プロポーズ?早っ、ってか、何か間違っ…」
婦人:「…うふふ、できちゃった結婚ね。
ウチのお父さん、すんごーく恐いのよぉ☆」
う : 「参ったなぁ、アハハハハ…」
婦人:「オホホホホ…」
毛: 「もう知らんっ!」
と言っても、僕の声は初体験を済ませたばかり(と思い込んでいる)
で高揚している二人には全く届かぬ様子。
それにしても、流石の僕もこんな間近で目撃してしまっては、
『処女受胎』は本当に起こるのだと信じざるを得ない。
童貞と処女の間に本当に子供ができてしまったのだから。
しかし、確かに腹の中で生きているこの子、一体どんな子に育つのだろう…
真っ当に妊娠したと思い込んでいる二人は、
どこからかエコー(超音波検査装置)を取り出し、
顔が見えただの手が見えただのキャーキャー騒いでいる。
そんな2人を前に、今日一日のあまりに奇怪な出来事たちのせいで、
僕の脳ミソは痺れ始めていた。
めまいがしたので、僕はそっと部屋を出た。
「あ、あ、あな、
アナアナアナアナアナ!」
ある男の絶叫とともに、春の風が吹いて、花びらが舞い散った。