私の所属する「わこう法律事務所」では,平成27年7月31日(金)まで,「夏の無料FREE法律相談会」を実施中です。

「弁護士に相談するのは敷居が高い…。」とお思いの方,この機会に,お気軽にご利用ください。

もちろん私も相談を担当いたしますニコニコ是非お越しください。


以下,当事務所HP(http://www.wako-law.com/news/01/1436254568.html )からの転載です。


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当事務所では,埼玉県和光市企業市民活動の一環として,

「夏の無料法律相談会」を開催いたします。

 リーガルサービスを通して,地域の皆さまのお役に立てますよう,期間中はお一人様1時間まで,無料にて法律相談をお受けいたします。(ただし,既に弁護士が受任している案件はご相談不可です)。

 

 「広報わこう」7月号の「インフォメーションプラザ」にも掲載されています。


  和光市民以外の方も,お受けいたします。

  ご相談者の方の秘密は厳守いたします。


【期間】平成27年7月18日土曜日~平成27年7月31日金曜日

【場所】わこう法律事務所

【内容】ご相談は1つの事件につき1時間。別の弁護士が受任中の案件は不可。


【持参】ご相談内容に関する資料(あれば)。

【申込】完全予約制。電話(平日9時半~17時)もしくはメール(info@wako-law.com )


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 私の業務で扱った事例の紹介を中心に書いてきたこのブログですが,このたび,新たなテーマとして「ニュース」を設けました。

 日々のニュースの中から,興味を引いたものをピックアップしてご紹介していこうと思います。


 平成27年5月8日に,大阪地裁で,武富士創業家の武井健晃氏に対し,元顧客らへの損害賠償請求を認めた判決がなされました!!


消費者金融の武富士(現TFK)の倒産で過払い金の返還が受けられなくなったとして、元顧客24人が武井健晃元副社長ら創業家3人に総額約7500万円の賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁(古谷恭一郎裁判長)は8日、健晃氏に対し5人分の計327万5000円を支払うよう命じた。
 「武富士の責任を追及する全国会議」によると、これまでに提訴した19地裁・支部のうち15カ所で判決があったが、賠償命令は初めて。
 古谷裁判長は、健晃氏が2006年5月の役員会に出席し、最高裁判決で利息制限法の上限を上回る「グレーゾーン金利」が原則無効とされ、既存顧客の債務残高が変動することを認識したと指摘。これを顧客に知らせる体制整備を怠ったとして、同月以降に武富士から積極的に返済を求められた顧客の支払い分を健晃氏の責任と認めた。
 


斜体部分「@niftyニュース」(時事通信社提供) より引用。赤字は石井。)

 以前このブログでもご紹介したとおり,私も同様の訴訟を行ってきたのですが,平成27年3月,残念ながら,当方の請求を全て棄却するとの判決がなされてしまいました。

 一部の依頼者の方々は控訴し,ようやく控訴審が始まったところですが,このニュースには非常に勇気づけられました。

 もちろん,今後,控訴審でこの判決が覆される可能性もあるので,手放しで喜ぶことはできないのですが,私の依頼者の方々を含め,過払金の返還を受けられなかった多くの元顧客の方々のために,この判決が確定することを心から願っています。

「事例紹介4」 でご紹介した,アイフルの期限の利益喪失の抗弁に対して期限の利益の再度付与の再抗弁を認めた判決 ですが,アイフルが控訴せず,確定しました!


私が今までに担当した,アイフルを被告として提起した訴訟では,アイフルは必ず控訴していましたから,今回も当然控訴するのだろうと考え,依頼者の方にもそのように伝えていました。

第1審判決を受領してから数日後,アイフルの担当者から,「控訴の兼ね合いもあるので明日までに回答がほしい。」と言って,判決で認容された金額をやや下回る金額での和解の提案がありました。

言下に断ったところ,担当者は,「それでは4日後に判決で認容された金額を支払うので,(利息を含めた)金額を教えてほしい。」と言ってきたのです。

第1審で敗訴した被告が,控訴審の間に利息が増加するのを防ぐため,とりあえず第1審判決で認容された金額を仮払いするケースは時々あるのですが(現に,この判決 のもう1社の被告であるアコムは,今回仮払いをしています。),アイフルは,控訴審が終結するまで支払ったためしがなかったため,どういう風の吹き回しだろうかと思いながらも金額を伝えました。

そうしたところ,アイフルは,約束の期日に,私が伝えた通りの金額を支払ってきたのです。

さらに,後日裁判所に確認したところ,アイフルは控訴しておらず,当方も控訴していないので,第1審判決 が確定したとのことでした。


アイフルが控訴せず,第1審判決で認容された金額をすんなり支払ってきたのは驚きでしたが,依頼者の方のために,本当に良かったと安堵しました。

アイフルは,全国で多数の過払金請求訴訟を追行しているため,控訴するか否かを一律に決める社内の基準があるのだと思いますが,その基準が今までと変わったのか,それとも,基準は変わっておらず,本件がたまたま控訴しない方の基準に当てはまっただけなのか,是非とも知りたいところです。

アコム訴訟外和解を錯誤無効とした判決をいただきました。


前回のアイフルについての記事で取り上げたのと同じ,さいたま地判平成27年3月6日(平成26年(ワ)第718号不当利得返還請求事件)です(アイフルとアコムの両社を被告とした訴訟です。)。


依頼者のご承諾を得たので,判決文 をpdfで掲載します。


以下はその抜粋です。

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(1) 証拠(乙B2ないし4)及び弁論の全趣旨によれば,原告と被告アコムは,平成17年12月21日,原告の被告アコムに対するローン債務について,残元金99万9036円と利息1万8182円の合計101万7218円が残存していること,このうち残元金を,月額1万5000円(最終回9036円)に分割して,原告が被告アコムに支払うこと,被告アコムはその余の債権を放棄することなど内容とする合意をして,その旨の平成17年契約書を作成し,その後,原告と被告アコムは,平成23年7月29日,原告の被告アコムに対するローン債務の残金が8万6781円であること,これを月額1万5000円(最終回1万1781円)に分割して支払うことなどを内容とする平成23年契約書を作成し,さらに,平成24年2月7日,同様に原告の被告アコムに対するローン債務の残額が5万2952円であること,これを月額3000円(最終回1952円)に分割して支払うことなどを内容とする平成24年示談書を作成したことが認められる。


(2) 上記各合意の内容に照らすと,これらが和解契約に該当することは明らかであり,また,過払金返還請求権は,貸金債務と表裏をなすものであり,上記貸金についての和解契約に過払金返還債務が含まれないとすることは困難であって,これらの点に関する原告の主張は採用できない。


(3) しかしながら,本件各契約は,原告が,法的な専門家を代理人とすることなく,裁判や調停といった法的な手続を介することなく締結したものであり,本件各契約で確認したローン債務の額は,約定利率で計算した貸金残額と同額であり(乙B1ないし4),本件各契約締結時において,取引履歴が開示されたことはうかがわれず,過払金の有無や貸金業法43条1項の適用の話も出ていなかったものであるところ,実際には,本件各契約締結時点で,利息制限法所定の制限利率に引き直して計算すると,本件和解契約締結当時の残債務額は,残元金16万5621円と利息2123円の合計16万7744円にとどまり,平成23年契約当時は73万2993円の過払金元本と8万9918円の利息,平成24年契約当時は76万7964円の過払金元本と10万9672円の利息が生じていたことが認められる。


そして,本件各契約の前提と,利息制限法による引き直し計算に基づく残額が大きく乖離していることを原告が認識していれば,およそ本件各契約の締結に至らなかったことは明らかであり,上記のとおり,本件各契約の締結においては,専門家の関与や取引履歴の開示もなく,みなし弁済の適用等の話題も出ていなかったことからすると,本件各契約においては,残債務の存在及び額は当然の前提として争いの対象とされず,原告は,引き直し計算が認められる可能性があることや引き直し計算をした場合の残債務の有無及び過払金の有無等について認識せずに本件和解契約を締結したものと認められ,このことは当時貸金業者である被告アコムも認識していたものと推認するのが相当である。


したがって,原告の意思表示には動機の錯誤があり,かつ,その動機は少なくとも黙示的に表示されて法律行為の内容となったと認められるから,本件和解契約は錯誤により無効であると解するのが相当である。

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アコムの訴訟外和解については,数年前から,錯誤無効とする判例が出始めたように思います。

この傾向は,アコム以外の業者の訴訟外和解についても同様で,先日も,東京高裁にて,新生フィナンシャルの訴訟外和解を無効とする控訴審判決(東京高判平成27年2月25日)がなされました(詳細は,私もよく情報をいただいている,名古屋消費者信用問題研究会のサイト を参照ください。)。


私自身,この訴訟中,「これは誰がどう見ても錯誤無効だろう。」と思っており,勝訴を確信していたのですが,他方では「やはり判決が出るまでは何があるかわからない。」という気持ちもあったので,勝訴判決をいただいてホッとしましたニコニコ


ただ,アコムは,この論点で敗訴すると控訴する方針のようで,代理人から早速,「控訴します。」との連絡が来ました。なお,アコム代理人は,「第1審判決で認容された金額を仮払いする。」とも述べていたので,とりあえず支払いを受けるつもりです。


今後,アイフル同様,東京高等裁判所の控訴審判決をいただくことになると思いますが,同じく最後まで気を抜かないで対処しようと思います。

アイフルの期限の利益喪失の抗弁に対して期限の利益の再度付与の再抗弁を認めた判決をいただきました。

さいたま地判平成27年3月6日(平成26年(ワ)第718号不当利得返還請求事件)です。

依頼者のご承諾を得たので,判決文 をpdfで掲載します。

以下はその抜粋です。


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証拠(乙A2,4)及び弁論の全趣旨によれば,第1取引及び第2取引(以下,併せて「本件各取引」という。)については,原告が約定の支払期日に利息又は元本の支払を怠ったときは,被告アイフルからの通知,催告がなくても当然に期限の利益を失う旨の特約が付されていたこと,原告は,別紙1の1記載の取引のうち「利率」欄が26.28パーセントとなっている取引の次の行の「年月日」において,約定の支払期日から「日数」欄(ただし,「利率」欄が26.28パーセントとなっている行のもの)記載の日数分遅れて弁済をしたことが認められる。

しかしながら,証拠(甲A4)及び弁論の全趣旨によれば,被告アイフルは,支払の遅滞があった場合でも,原告から支払を受ければ,支払がされた日までの遅滞期間を遅延損害金利率で計算し,以後は通常の約定利率での取引を継続していたことが認められ,これによれば,被告アイフルは,期限の利益を再度付与していたというべきである。

なお,原告は,被告アイフルの期限の利益の喪失の主張が信義則に反して許されないと主張するが,原告主張の事情のみでは,被告アイフルの主張が信義則に反するとまではいえず,証拠を検討するも,被告アイフルの主張が信義則に反して許されないとまで認めるべき事情を見出すことはできない。

したがって,本件取引を利息制限法に引き直して計算する際にも,上記遅滞期間についてのみ利息制限法所定の遅延損害金利率を適用すべきである。

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アイフルの期限の利益喪失の抗弁については,最高裁判例が未だ存在せず,下級審判例は①信義則違反で排斥するもの及び②期限の利益再度付与で排斥するものに分かれるように見えます(そのほかにも,時機に遅れた攻撃防御方法で排斥するもの,弁済期主張立証欠缺で排斥するものなども散見されますが,これらは民事訴訟法上の問題であって民法上の問題ではないので,とりあえず脇に置いておきます。)。

私自身は,アイフルの期限の利益喪失の抗弁については,「仮に最高裁判所がこの論点について判断するとしたら,約定利率適用期間については期限の利益再度付与が認められ,遅延利率適用期間については期限の利益再度付与も信義則違反も認められないだろう。」と予想しており,今回の判決については「異存なし。」との感想です。

ただ,アイフルは基本的に全件控訴の方針のようですし,今回の論点はアイフルが全国的に力を入れて争っている論点なので,まず,控訴してくるのでしょう。

今後,東京高等裁判所の控訴審判決をいただくことになると思いますが,最後まで気を抜かないで対処しようと思います。

先日,私が担当した,ある労働事件で,訴訟上の和解が成立しました。

私は労働者側の代理人で,使用者に対して未払いの残業代¥等の支払いを請求した事件だったのですが,この事件の争点の一つに,「『歩合手当』を残業代(割増賃金額)の算定の基礎とするか否か。というものがありました。

残業代は,当該労働者の賃金を基礎として算定されますが,その算定基礎に,基本給のみならず歩合手当も含めるか否かという問題です。


被告である使用者は,原告である私の依頼者に対し,「基本給」や「時間外手当」とは別に「歩合手当」を支払っていたのですが,被告の主張によれば,「『歩合手当=売上-経費-基本給-残業代(割増賃金額)』という計算式に則って算定していた。」とのことです。そして,被告は,「割増賃金額を算定しないと歩合手当額が確定しないという関係にあるため,歩合手当額を割増賃金額の計算の基礎とすることは不可能である。」と主張していました。


これに対し,当方は,歩合手当の算定方法自体は争わなかったのですが,以下の通り反論し,「歩合手当額を割増賃金額の算定の基礎とすべき。」と主張しました。


1 労働基準法37条5項及び労働基準法施行規則21条は,割増賃金算定基礎とならない賃金(除外賃金)を限定列挙するところ,歩合手当は除外賃金として限定列挙されていない


2 労働基準法37条1項及び労働基準法施行規則19条1項は基本給に対する割増賃金及び歩合手当に対する割増賃金を別途計算することを要求するから,基本給に対する割増賃金の計算の後に歩合手当に対する割増賃金の計算を行うことに何らの支障はない(歩合手当が控除する割増賃金額は,あくまで基本給に対する割増賃金額であり,歩合手当に対する割増賃金額は別途算定の必要がある。)。


3 原告に支給された歩合手当の額が,原告が時間外及び深夜の労働を行った場合においても増額されるものではなく,通常の労働時間の賃金に当たる部分と時間外及び深夜の割増賃金に当たる部分とを判別することもできないものであったことから,この歩合手当の支給によって,原告に対して労働基準法37条の規定する時間外及び深夜の割増賃金が支払われたとすることは困難である


結局,本件は和解で決着したので,判決がなされた場合にこの点についての裁判所の判断がどうなるのかはわからずじまいでしたが,和解の交渉段階において,裁判官が被告代理人に対し「被告の主張は理屈が通らない。」旨述べていたので,この点については当方の主張が認められた可能性が低くありません。


そのような裁判官の心証に影響を与えた原因の一つなのではないかと思われるものが,平成27年1月28日に東京地方裁判所にてなされたこの判決 です。

これは,大手タクシー会社に対し,従業員である運転手らが未払賃金の支払いを求めた訴訟ですが,


同社の賃金規則では、運転手に、基本給のほかにタクシーの売上に応じた「歩合給」が支払われることになっていた。しかし、その歩合給から残業代や通勤費に相当する金額を差し引くという規定があり、実質的に残業代が支払われない状態になっていた。


この規定について、国際自動車は「時間外労働をすれば売上が上がって賃金総額も増加するから、労働基準法の趣旨に反するとはいえない」「同様の賃金制度はタクシー業界で一般的に採用されている」などと主張した。


しかし、東京地裁の佐々木宗啓裁判長は「売上が同じ場合、残業をした運転手とそうでない運転手の賃金が全く同じになる」と指摘。歩合給から残業代に相当する金額を差し引くという規定は「(残業代の支払いを使用者に義務づけた)労働基準法37条の趣旨に反し、公序良俗に反して無効」と判断した。


斜体部分は「弁護士ドットコムNEWS」(上記リンクURL)より引用。赤字は石井。)


敗訴したタクシー会社は即日控訴したようですので,控訴審の判断が待たれるところです。


歩合手当は,本来,「売上を上げれば上げるほど多く支給される。」というものですから,労働者のモチベーション向上に一役買っているのは事実ですが,実は残業代不払いの隠れ蓑として利用されていることも少なからずあります。歩合手当を支給する会社に就職する際には,その算定方法を確認し,残業代がきちんと支払われる仕組みになっているかをチェックする必要があるでしょう。

諸事情により,ブログの更新がすっかり滞ってしまいました。心機一転,今後は更新の頻度を上げていく所存です。

久々の更新となりますが,前回に引き続き事例紹介となります。今回は刑事事件です。


窃盗事案などの被害額は,通常,検察官が被害届記載の被害額をそのまま主張し,裁判所が被害届記載の被害額をそのまま認定します。

しかし,中には,「被害届記載の被害額がどう見てもおかしいんじゃないの!?」という事案も散見されます。

とりわけ,「非売品,中古品などを窃取するなどして転売した事案」では,「購入価格」,「転売価格」など複数の金額が登場することが多いため,「被害届記載の被害額をそのまま鵜呑みにしていいの?」という問題が起こりやすいです。


そのような問題が争点となった判決 をご紹介します。

これは,中古エアコンを窃取して転売した事案の被害額について,検察官は「20」(仮定の購入価格すなわち新品としての購入価格)と主張し,弁護人(私)3000円ないし3300」(実際の転売価格すなわち金属としての転売価格)と主張し,裁判所は「5万円」(仮定の転売価格すなわち製品としての転売価格)と認定した事例です。

この争点(被害額の認定)については,私が前回取り扱った事件では私の主張が全面的に認められましたが,今回の事件では「7割ないし8割,認められた。」という感じです。


なお,上記の説明では,裁判所の認定に従って「実際の転売価格すなわち金属としての転売価格」と記載しましたが,私は,「実際の転売価格は,金属としてではなく製品として決定されたのではないか。」との疑いを持っています。

ただ,この事件は,被告人が控訴を希望しなかったため,この判決が確定してしまいました。上級審ではどのような判断がなされるか見てみたかったので,少し残念です。

もっとも,本件は国選弁護事件であるところ,第1審の国選弁護人は,特段の事情がない限り,上級審での国選弁護人に就くことはできないので,仮に控訴されたとしても,私は控訴審判決を知ることができなかった可能性が高いのですが…。


※2015.3.1 判決PDFファイル をリンクしました(第3パラグラフ1行目「判決」からもリンクしています。)。

この度,当ブログの新しいテーマとして,「事例紹介本を設けました。

私が今までに担当した事件の中からピックアップして,判決文(当事者等が特定できないよう,一部マスキング・仮名とさせていただいています。)等と共に紹介させていただきます。もちろん,依頼者の方のご承諾はいただいています。

その記念すべき(?)第1弾として,今回は,「サッカークラブ簒奪事件サッカーをご紹介いたします。


【事件の概要】 ※あくまでも,私の依頼者の視点から見た事実です。

スポーツの指導を行う会社(私の依頼者。以下「依頼会社」といいます。)が運営していた,中学生対象のサッカークラブの運営を,同クラブの指導にあたっていた依頼会社の元従業員や,会員の親らが「簒奪」した上,会員ら50名(当時中学生又は高校生)を原告,依頼会社を被告として,依頼会社が取得した会費の返還等を請求した事件。




【結果】
原告らの請求は棄却(1審判決 参照)。原告らのうち35名は控訴するも,控訴棄却(控訴審判決 参照)となり,当方の全面勝訴



【コメント】

本件では,「『依頼会社から会員の親らへに対し,無償でサッカークラブを譲渡する。』旨の合意が成立していたか。」,「返還請求している会費の対象期間において,依頼会社に債務不履行(サッカーの指導等を行わなかった。)があったか。」等が主な争点となりました。

原告ら(実質的には,「簒奪」を行った会員の親ら)は,「合意は成立していた。」,「債務不履行があった。」と主張しました。

しかし,裁判所は,「会員の親らと依頼会社は,サッカークラブの譲渡契約締結に向けての準備行為をしていたにすぎず,無償で譲渡するとの確定的な合意に至ったとは認定できない。」,「依頼会社と元従業員は,締結交渉中であった指導委託契約締結までの暫定的な合意として,元従業員が引き続きサッカークラブを指導をする旨を合意し,元従業員はこの合意に従ってサッカークラブを指導していたのであるから,依頼会社に債務不履行はない。」旨,全面的に当方の主張に沿った認定をしてくれました。


なお,依頼会社は,本件とは別に,「簒奪」をした会員の親らや依頼会社の元従業員等を被告として,サッカークラブを「簒奪」したことについての損害賠償等請求訴訟を提起しました。

この訴訟において,裁判所は,「(被告らには)サッカークラブを簒奪したことについて不法行為責任が認められる。」,「被告らにはサッカークラブの運営によって○○円の利得が現存し,依頼会社は少なくとも同額の損失を被った。」旨を認定し,被告らの不法行為に基づく損害賠償義務及び不当利得返還請求義務を認めました。







このたび,消費者金融会社等についての情報を発信なさっているブログ,「冬は必ず春となる 勇気でgo! 」様にて,当ブログの記事をご紹介いただきました。ニコニコ管理人様には心より御礼申し上げます。m(_ _ )m



上記ブログには,消費者金融会社等の情報が迅速かつ豊富に紹介されており,私もいつも勉強させていただいています。

ご紹介いただけたことで,より多くの方が記事をご覧になると嬉しいです。

前回の記事「武富士会社更生管財人小畑英一弁護士について 」の記事内に,以下のPDFファイルへのリンクを貼りました。

ダウンロードできますので,ご興味のある方は,是非ご覧になってみてください。ニコニコ


1 小畑英一弁護士の武富士創業者一家らに対する訴訟の第1審(東京地方裁判所平成23年(ワ)第32498号配当金返還請求事件)判決


→第5パラグラフの「1審判決 」からリンクしています。


2 武富士が,「少なくとも平成18年最高裁判決までは,当時の貸金業法施行規則152項に基づいて,18条書面として交付した書面に,契約年月日の記載に代えて契約番号を記載していた。」ことを認めている準備書面


→第6パラグラフの「とある事件の準備書面 」からリンクしています。