医療保険の加入義務化は違憲…米高裁http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110813-OYT1T00250.htm米ジョージア州アトランタの連邦高裁は１２日、昨年３月に成立した医療保険制度改革法が合衆国憲法に違反するとの判決を下した。
同法を成立へ導いたオバマ政権は連邦最高裁に上訴する見通し。政権が内政の最大成果として誇示する同法に高裁が違憲判断を下したことで、同法に反対する野党・共和党が法律撤廃に向けた攻勢をさらに強めるのは確実だ。
医療保険改革をめぐっては、フロリダ州など全米２６州の共和党系知事らが各地で違憲判断を求めて提訴。２０１４年に発効する同法が医療保険への加入を個人に義務づけ、非加入者に事実上の罰金を科した点について、「連邦議会がこうした法を可決させることは憲法上の権限を越え、同法は違憲」と主張している。最高裁でどういう結果が出るか楽しみになってきましたね。
ちなみに、この違憲判決は今回に限ったものではなく、既にいくつか前例が出ています。
米医療保険制度改革法、連邦地裁が違憲判決2011年 2月 1日
http://jp.wsj.com/US/Politics/node_178433米バージニア州連邦地裁、医療保険改革法の主要条項で違憲判断2010年 12月 14日
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-18611420101213つまり、国民皆保険制度を否定する強い意志と思想がアメリカ人の中に確実に存在するのです。最近日本のテレビでは先進国で国民皆保険制度がないのはアメリカだけだと喧伝する番組が多く流されています。そして、もし保険なしで大病にかかった場合の医療費がどれだけ巨額なものになるかを示して視聴者を脅しています。
しかし、実際にはアメリカは民間による保険制度が充実しており、当然保険なしで治療費を払わなければならないケースは極一部に限られます。概算ではアメリカ在住者の６分の１程度が保険未加入とのことですが、その多くは貧困層か違法滞在者、そして犯罪者です。
簡単に言えば、アメリカ人にとって医療保険はあくまで自己責任のリスク管理のためのものであって、政府が、つまり全国民が税金を払ってまで提供すべき性質のものではないということです。病気や怪我が心配な人は民間の保険を利用すればよい。保険に加入するかどうかは個人の自由であって、強制的に金を取られるのは筋違いである。それがアメリカ式の考え方なわけです。
こういうアメリカの超現実主義的な発想というのは、他にもあらゆるところで見られます。典型的なのが銃の合法所持ですね。アメリカ人にとって銃を持って自らの身を守るのは個人として当然の権利であるとする意見が依然として根強いのです。一般市民が銃を所持する事で誤って起こる事故よりも、誰もが自分の身を自分で守れることの方を優先する。医療保険も同様です。保険に加入できない人たちの問題よりも、今現在民間で保険を使って必要なサービスを得ている人たちのことを優先する。
つまり、ごく一部の不運な犠牲者や元々利益を得る権利がない無法者を国家として助ける義理はないということです。
この考え方こそが、アメリカという国家を戦後半世紀以上にわたって世界に君臨させてきた原動力だと思います。では、振り返って見て我が日本はどうか。
今の日本は乞食とタカリが一番偉そうにふんぞり返っている状態ですよ。乞食が王様の国、それが今の日本。日本の国家財政が借金まみれになっている最大の原因は、肥大した社会保障費にあります。そのガン細胞を切除することなく、外国の軍隊に頼らなければ防衛もままならない貧弱な国防予算を削って財源を健全化しろなどと言う。ましてやそれで減らした分を社会保障費に充てろとさえ言う。
この数十年で、いつの間にか日本人は自分で賄えない出費を国家が肩代わりしてくれるのが当たり前だと思うようになってしまった。国家とは、国家財源とは、すなわち税金のことです。つまり、医療保険も年金も生活保護も、国家がもともと持っている金を支払っているわけではなく、全ては見ず知らずの他人様が税金としてお金を出してくれているから成立する。こんな有り難いことはないでしょう。真面目に考えたら涙が出るような慈善じゃないですか。それを、やれ金額が足りないとか、やれ減らすなど許せないとか、果ては貰った金で毎日パチンコ通いですか。
今の日本を歴史上のいろいろな事例に例える話をよく聞きますが、私が一番近いと思うのはローマ帝国の末期です。完全にパンとサーカスでしょ。繁栄を極めた国家の国民は、手厚い社会保障で国にたかるのが当然だと思うように堕落し、テレビ新聞という娯楽で骨抜きにされている。一方では、異民族が大量流入しまた国境を脅かし、裏で政治の実権を掌握しつつある。
年金制度を止めなさい。
国民健康保険を止めなさい。
生活保護を止めなさい。弱者は神様ではない。弱者を基準に国家を設計してはならない。社会保障と福祉は国家ではなく宗教が担当すべきです。国家が個人の生命を保証してはならない。何故ならば、もし個人が国家の社会保障に頼るようになれば、その個人は他人を必要としなくなるからです。介護が必要な年齢になっても、あるいは事故で障害を負っても、仕事を失っても、それらを国家が補助してしまえば、もう人間には家族も子供も必要なくなってしまう。それが今この日本で起こっている社会の行き詰まりの本当の底の底の原因なんですよ。
アメリカという国家は、この社会保障が人心を蝕むという問題を正確に把握しているんだと思います。彼らの徹底した個人主義と理由のない施しの拒絶。弱者を決して特別扱いしない公平性。それこそがアメリカの強さの秘密です。
繁栄を続ける国家はその国民が堕落していないことが前提にある。そのためには友愛という甘い自己満足を否定する強い意志を育てる必要があります。一定の確率で死んだり病気になったり十分な収入が得られない不運な人が存在することを現実として受け入れる。それは仕方がないことだということ。不運な人をむやみに助けてはならない。
「もし自分が同じ境遇になった場合を想像してみなさい！さあ、私はあなたの未来かもしれない！だから私に金を払いなさい！それがあなたの保証となるのです！」
この揺さぶりに屈してはなりません。自分の力で立てない人間は死ぬ定めにある。このあまりにも当たり前の法則を一度でも崩してしまえば、世界は乞食で溢れかえります。
今の日本の社会の原型は、戦後GHQがアメリカでは実現できなかった理想の平和平等国家の実験として作り上げた側面が強いのです。その机上の空論はほどなく朝鮮戦争の勃発と冷戦の深刻化によって見捨てられることになりました。そのことに気がついていないのは当の日本人だけなんですよ。
今日も池上彰がいかに戦後のGHQの政策が人道的で民主的ですばらしかったかと白痴向けのテレビ番組でほざいてましたが、戦後のGHQ改革はその方針転換と顛末まで含めて議論しなければなんの意味もありません。
サヨクにとっては、GHQが彼らを日本の救世主として育ててくれた改革前期までで話を終わらせて美談にしたいのでしょうが、その後GHQが赤化を恐れて手のひらを返した現実を直視しなければなりません。平和憲法を押し付けた当のアメリカ自身が日本にその憲法を改正して再武装するように求めたんですから。
サヨクが似非保守を騙ってまで何故異様なまでにアメリカを敵視するのか。それはGHQ後期の赤排斥が原因なんですよ。よく反米保守とか言ってる連中のコアはこのGHQ産左翼から右翼に転向した残党なんです。だから右翼のくせに競争原理を否定し共産主義みたいな政策を支持する。反米保守の中身はサヨクです。そして、彼らサヨクは今でもGHQ前期の空想的国家論の中に生きている。また、一般の日本人もその影響を受けている。
標準的日本人にとってのアメリカは、今でもあの平和憲法を強制したGHQを通して見た空想的理想主義者のアメリカなんです。現実のアメリカは国民皆保険制度なんて、貧乏人に金をばらまく悪政だと考える現実主義者でしかないんです。
もし、米最高裁でこの違憲判決が覆るようなことになれば、アメリカは真の意味で弱体化を始めると思います。違憲となれば、まだまだ当分安泰でしょうねえ。今のドル安誘導のえげつない大芝居を見てアメリカの時代は終わるなどと言っている馬鹿をよく見かけますが、アメリカの抜け目なさと冷酷さは本当に背筋が凍るものがありますよ。
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