ノバスには同盟や連邦の他にも脅威が存在する。
それが原住生物の連中だ。
厳密に言えば生物兵器やトレーダーに敵対するテロリストも含まれるのだが。
奴等は我等が帝国はもとより、同盟や連邦よりも知能は劣るが楽観視出来る存在ではない。
俺がノバスに派兵された間もない頃、管理者様が慌てた様子で通信を送ってきたことがあった。
補給部隊が原住生物に襲撃されて全滅し、物資の全てを略奪されてしまったという。
後方支援用の老朽化したギアを持つとは言え帝国兵士の部隊を全滅させる力は持っているということだ。
この惑星ノバスは特に攻撃的な原住生物が多い。
親しい本国の研究者の一人がこう言っていたのを思い出される。
「惑星ノバスは我々が入植する遥か以前に栄えた文明があったと思われる。
あの原住生物共はその文明が残した生物兵器の末裔ではないだろうか?」
真偽は定かではないし、俺の関知するところでもないが…
迷惑な遺産を残してくれたものだと思わなくもない。
ヘロディアンの介入もありえると彼の研究者は言うが、
これ以上敵が増えるのもややこしいのでその仮説は否定しておいた。
話が逸れたが、原住生物は同じ種族でも2種類のランクが存在する。
生息帯広範囲で見かけるノーマル級。
生息帯の極一部で見かけるエース級。
同一生物であるはずなのだが、大きさからして倍以上違う。
俺自身、エース級の原住生物に腕を持っていかれたことが何度かあるほどだ。
そして、突然変異なのかその種族の頂点に立つ存在なのか、
ピットボス級と呼ばれる化け物も存在する。
正直な話、奴等を狩れと指令を受けた時は良い気分がしない。
まだ同盟や連邦の連中を狩る方が数倍も楽だろう。
さて、そろそろ出撃の時間が近付いてきた。
部屋の外が騒がしい…。
気が乗らないので出撃を拒否する、なんて溶鉱炉行きな事は言えない俺は愛用の銃を手に取った。
帝国に栄光を、ピットボス討伐部隊に勝利を。