ジャン=ピエールの霧の中の原風景

ジャン=ピエールの霧の中の原風景

こだわりの食とお酒を味わった思い出や情報を綴ります。

私にとって味覚とは思い出です。

周りの雰囲気。

一緒にいる人。

シェフやギャルソン・ソムリエの眼差しや笑顔。

そして作り手のこだわりと情熱。

ブリュッセルやブーローニュの森の中にひっそりと佇むシックなレストラン。
ドーヴィルの路地裏にあるバーや漁師町マルセイユの本物のブイヤ・ベース。
トリノのバールやヴェネツィアの立ち呑み居酒屋。
ブルターニュのプレサレやオマールの鬼殻焼きをだしてくれる一見寂れたレストラン。


日本でもそういう雰囲気を感じさせるお店を紹介していきたいです。
私の味の思い出がお伝えできたら嬉しいです。

京都から茨木まで阪急電車に乗ってフランス料理店ジャマンを訪れた。



ジャマンと聞いてピンと来る方はどれくらいいらっしゃるだろうか。

ジャマンは、あのロブション氏がパリで最初に開いたお店である。

その時にロブション氏を支え一緒に勤務されていたのがこの店のオーナーシェフである。

少し前まではパティスリーとサロンドテも同じ建物内に併設されていたが、今はパティスリーは独立して移転したようだ。



始めにアミューズブッシュが出される。



お酒はシャンパーニュから始めた。



前菜はフォアグラを使ったものだ。



自家製の焼きたてのパンはとても美味しかった。


カポチャのポタージュは濃厚だ。



魚料理は金目鯛の包み焼きだった。

閉じ込められた香りを楽しむ。



そして、飛び抜けて素晴らしく圧巻だったのが、和牛トゥルヌドのペリグーソースだった。

これこそ正にジャマンの味だろう。

ペリグーソースには惜しみもなくたっぷりと黒トリュフを使っていた。



グラニテの後に、



デセールが出される。



コーヒーとともに、



ミニャルディーズも出された。

味はクラシックでしっかりしている。



全体的にとても美味しかったが、20年前で時が止まっているようで、その間進化しているグランメゾンと比べると何か物足りなさも少し感じた。

京都で朝早めにオープンしてくれる甘味処の一つが大極殿本店のカフェである。



夏など暑い朝に一番で入店してかき氷を食べたりすると最高である。
さて、今は春なので暖かい日であってもまだかき氷はメニューにない。



しかしながら、春を感じさせるメニューはしっかりと載せられていた。

まずは、桜の琥珀流しだ。



桜餡というか桜を使ったソースが絶妙な味わいで実にいい。

つるっとしたジュレもこれまたたまらない。



もう一つは、白小豆と赤小豆がミックスされたぜんざいを注文した。



その上にはこんがりと香ばしく焼かれた小さめの草餅が3つ浮かんでいる。

ぜんざいの味わいと草餅との相性が実にいい。



落雁のような干菓子も桜味だ。






午前中昼には少し時間がまだあるこの時間帯の甘味は私に元気を与えてくれるのである。



京都の朝早い時間に亀屋陸奥に立ち寄る。



目的は上生菓子と




味噌松風だ。



上生菓子は、きんとんと、



蕨餅を買った。

両方とも美味しい。

蕨餅は築地の茂助団子のように中に漉餡が入っているタイプだった。



そして、味噌松風を摘む。

これはお徳用袋のようで小振りのひと口サイズ味噌松風が沢山入っていた。

しみじみと美味しい。



味噌松風は松屋常盤が元祖だと思っていたが、亀屋陸奥で初めて作られたと初めて知った。



味噌松風が織田信長との戦い時の石山本願寺での非常食だったのだということを知り、今さらながら西山本願寺目の前にある亀屋陸奥の意味合いが理解できたのだ。

北野白梅町駅から歩いて上七軒の方に向かい、なるかみというお店で、


京都のクラシックな背脂醤油とんこつラーメンを食べることにした。



メニューをみると、このお店の名物らしいえびめしと餃子のセットもあったので、ラーメンとともに注文した。



まずは、生ビールをお願いする。



そこへ焼きあがったばかりの餃子がカウンターの上に置かれた。



餃子は焼き目の部分がカリカリで実に美味しかった。

生ビールにこれ程合う食べ物はなかろう。



そして、ラーメンの着丼である。

このラーメンが確かに昔ながらの京都背脂醤油ラーメンで少しも脂っこくなくさっぱりと食べられる。

しかしながらコクがあって実に美味しい。



えびめしは、炒飯に海老が載っているのではなく、えびめしそのものが海老の風味に溢れているのだ。

食べたことのないやきめしであった。



この店の料理は何を食べても美味しかった。

いつまでも続けていただきたいお店だった。


船岡温泉までタクシーで向かい、



チェックインをして、



町屋一棟貸しの船岡温泉ゲストハウスに向かった。

そこは二階建ての立派な建物で室内は新しく綺麗である。

和室が3部屋以上あり、トイレも2つある。

キッチンも立派な冷蔵庫もある。

2階の寝室には能ができそうな板の前があった。

10人くらいは軽く宿泊できるところだった。

浴室は狭いですので、船岡温泉の方に行かれてくださいと言われたが、浴室内は広く立派な設備が施されていた。

何とそこには立派な庭までついていたのだ。

セキュリティは最新式の押しボタン式の施錠システムで非の打ち所がない。

唯一不満なのは枕が低めで合わないことくらいだろうか。

さて、荷物を置いて外にでることにした。

船岡温泉からこの建物まで来る途中に気になる店があったので、改めて立ち寄ってみた。

自家焙煎珈琲ガロである。



店内には、伝説の漫画雑誌ガロや様々な哲学書が棚に置かれていた。

そして、こだわりのスピーカーからはジャズが流れている。

樽の上には焙煎された様々な種類のコーヒー豆が入れられている。

注文を受けたらそこから豆を持っていって、豆を挽きそれぞれサイフォンでコーヒーを淹れてくれるのだ。



最初は喉が渇いていたので水出しダッチアイスコーヒーをお願いした。

その水出しコーヒーはすっきりはしているがコクがある。



その後は、メニューにあったイエメンモカマタリを思わず注文してしまった。



イエメンモカは香り高く、コクがあって、苦味、酸味のバランスが素晴らしかった。



あまりにも美味しかったので、その日の夜、船岡温泉に入った後、再訪した。

私は、インドネシアのトラジャを、



同行者はブルボンイエローを注文した。



いずれも香り高く、個性的で美味しい。



翌日も立ち寄りたかったが、開店時間には既に京都を発っているので泣く泣く諦めたのである。

近くに来たらまた是非とも再訪したい。