嶌子の日記
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『カルチェ・ラタン』

模擬試験をサボり、雨の中寝室で読書に没頭した一日。


カルチェ・ラタン (集英社文庫)カルチェ・ラタン (集英社文庫)
佐藤 賢一

集英社 2003-08-20
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『カルチェ・ラタン』 佐藤賢一著

※カルチェ・ラタンとはフランス、パリの
ラテン語を話す (=教養のある) 学生街の事。

1536年パリ、ある靴職人が行方不明になった。
その事件に着手した新米夜警隊長ドニ・クルパンは
元家庭教師で天才的推理力を持つ神学僧ミシェルに協力を求める。

二人が捜査を進めるうちに
やがてパリの闇夜にうごめく巨大な陰謀が明らかに・・・。
(本書、解説より。)

主人公はパリ有数の船会社の次男坊、ドニ。
彼は決して優秀とは言えない成績で、どうにか大学を出たものの
コネで就いた職もパッとせず、夜警隊長とは名ばかり。
古参隊員のイジメにはあうし、部下からは馬鹿にされるし・・・。
"泣き虫ドニ" という、不名誉なあだ名も返上出来ずにいます。

そしてもう一人の主人公、マギステル・ミシェル。
パリ大学きっての秀才、16歳で教養諸学の各種教員免許を取得し
20代のうちに大学の学位を総なめにしてしまった、神童。
(簡潔に記してますが、本文を読むと彼の凄さか解ります。)

またこの神童、ミケランジェロの "ダヴィデ像" に
例えられる程の、長身で美丈夫。
ただ、素行が問題で女癖が悪く、高級娼婦や未亡人を恋人に持ち
彼女達からも金を巻き上げ、"パリ不良大学総長" なんてあだ名まで。

彼のおかげで、ドニは大学を卒業出来た様な物なんですが
それというのも、試験問題を大学から盗み出したり
不出来な教え子の筆下ろし (未遂) を迫る始末。
ちなみに "マギステル" とは、先生といったような意味だとか。 

そんなチグハグな元・教え子と元・家庭教師コンビが
事件解決の為、学生街を拠点にパリを駆け回ります。


私この頃の世界史って苦手なんですよね・・・。
宗教が人々に根ざしてるだけじゃなく、政治や国をも動かすって
やっぱり実感がわかない、ピンと来ないんです。

本書の中にも、カトリックだプロテスタントだ
各派がどうの異端がどうのと、
難しい (私にとっては) 記述もあるんですが
それを抜きにして、本質は 『泣き虫ドニの成長記』 であり
『マギステルの神・信仰に対する模索』 という事に尽きます。

当初、主人公二人に関してさほど魅力を感じる事はありませんでした。
ドニは人間臭い・・・と言えば、聞こえは良いのですが
彼の言い訳じみた言動が卑小に思えるし、マギステルにしても・・・。

それが読み進むにつれ、ドニが自分で考え答えを導く様だとか
ちゃらんぽらんな(笑)マギステルの背負う過去や苦悩。
女性に対してとことん不誠実なくせに、
ある "モノ" に対しては、犠牲的と言える程の思いを捧げてるし
それらが見えてくると、俄然物語に引き込まれていきます。

現に嶌子はこの2日、カルチェ・ラタンの住人でした。


ネタバレになりますが
事件解決後ドニは、師をを介し仲間となった面々
そしてかけがえのない師自身の旅立ちを見送る事となります。
旅立つ師は、見送る弟子に別れの言葉を言う事はありませんでしたが
振り返る事もありませんでした。

全てを手に入れる事だって出来た天才、
望めば教皇の地位とて、夢ではなかったかもしれません。
それでもマギステルは、それらに囚われる事よりも
ドニの言葉を借りるならば "真実の神を探す為" 旅立ったのです。

読後に訪れる、爽快感と一抹の不在の寂しさ。
一人パリに残り、自ら選んだ現実に幸せを見出したドニ同様
もう一度マギステル・ミシェルの活躍を、
ドニとの冒険を見たいと思わずにはいられません。


そして2日間 (厳密に言うなら丸1日) カルチェ・ラタンの住人だった嶌子も
そろそろ現実に戻らねば・・・そう思うと、やっぱり寂しいなぁー。

擬似恋愛

週末から風邪の症状が酷くなり、仕事も休んでいました。

金曜日から丸4日、薬を買いに行く以外は部屋に篭り
ひたすら寝る、寝る・・・時々薬を飲んで、また寝る。

『もう寝飽きたわっ!!』 と、持って行き所の無い怒りを抱え
今朝目覚めてみると、大分楽。声も出るようになってるし。

よし今のうちに、と部屋の空気を入れ替え、掃除をし
パジャマ&シーツ類を洗って布団を干し
数日振りにシャワーを浴びて、すっきりした所でございます。


体調を崩してから、約一週間。
全く受験勉強に手を付けられずに居たんですが
その間考える事といったら、やはり勉強についてなんですよね。

『はぁ、テキストあそこで止まってるけど
 絶対前に戻ってやらんと、忘れてるわぁー。』

『解説CD聞けてないし、やる事ばっか溜まってく・・・。』

で、ふと病床 (大袈裟) で、夢うつつの中気付いたんですが
こんなに調子が悪い中、考えるのは勉強の事ばかり
(家人すまん。)
私、そんなに勉強好きなの? えぇ、これってもしかして恋!?

『(テキストを) 全然、見る事が出来てない。』

『(解説CDの講師の) 声、全然聞けてない。』

こんな風に布団の中でまで、想い煩うなんて。恋以外にないでしょ!?
よし、これは受験勉強じゃなくて、擬似恋愛だっ!!
体調復活したら、思う存分想いの丈をぶつけてやるんだから!!


こんな事を、布団の中で考える日々でした。
さぁ、明日から仕事も復活。擬似恋愛の成就にむけて頑張るぞっ!!

『ファウスト』 2

先の日記にも書きましたが、
昨日 グノー『ファウスト』 を見てきました。
約1月前にMETで上演された作品のライヴビューイングです。

・・・良かった。

構成は実際の上演に沿ったもので
休憩時間中には出演者のインタビューを挟む等
上映時間合計3時間53分(!!)、でも全く中だるみも無く
最後まで楽しませてもらいました。(お尻は痛くなってきましたが・・・。)

設定を現代に置き換えたと聞いていたので
『はて、いかがなものか?』 と思っていたんですが
予想以上にこれも良かった。

ちなみに本来の舞台は、近世。
宗教色を色濃く反映した作品ですが
今回舞台を第二次大戦前後、ファウスト博士は絶望する物理学者です。
(序盤、広島の原爆ドームや被爆後の日本と思しき演出がされてます。)
 
ちなみにキャスト等は
ファウスト:ヨナス・カウフマン
マルグリット:マリーナ・ポプラフスカヤ
メフィストフェレス:ルネ・パーペ

指揮:ヤニック・ネゼ=セガン 
演出:デス・マッカナフ

検索していて知ったのですが、本来マルグリットは
ゲオルギューを予定していたようですね。

主役の二人はもちろんの事、メフィストフェレス役の彼が良かった~。

コミカルな所を残しながらも、本来の "悪魔" としての
性分が所々垣間見れるような演技、あと風貌がマッチしてました。
"黄金の子牛" のダンスも面白かったし、とにかく声が好き!!良い!!

上映が今週いっぱい、金曜日までなので
出来たらもう一回見に行きたいなぁー。





こっからは余談。(小声)

ファウスト博士役のカウフマンが良い男でした。
歌える上に、あれだけ容姿に恵まれるなんてズルイよね。

一度歌い始めてしまえば、どんな "どすこい" なソプラノでも
病魔に蝕まれた絶世の美女に見える (聞こえる?) し
ジャガイモなバリトンも、希代のプレイボーイとなってしまう
オペラの不思議マジックってあると思うんですが
最近の歌手 (に限らず演奏者) は、皆さん容姿も整っているんですね~。

いやね、少し前から女性歌手はゲオルギューだとか
ネトレプコだとか、美しい人が出てきたなぁとは思ってましたが
男性歌手もしかりなのですね。

マリオ・デル・モナコ (古) くらいしか
カッコイイ人思い浮かばなかったからなぁー。
って、私が知らなさ過ぎるんですが・・・。


$嶌子の日記-J.カウフマン@ファウスト

(↑ 公式HP より。)

$嶌子の日記-ヨナス・カウフマン1


勢いに任せて、ポストカード
(と今シーズンのライヴビューイングパンフ) 買っちゃいましたよ。

 
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