こーへーの声

こーへーの声

小林 昂平、愛称はこーへーです。脚本の仕事をしてます。
「すーぱーかみしばい」、略して「すーかみ」と言う名前のリーディング団体の主宰をやっております。すーかみの詳細は公式サイトにてsu-kami.jimdo.com
twitterもやってます。@kk10124にて。

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いつも貴方の笑顔の為に!

 

『ブルーマウンテン・ファミリー』ありがとうございました!!

 

 

 

 

 

 

最高のキャスト&スタッフ、そして劇場・配信でご覧になってくださった大勢のお客様のお陰で、無事に終演を迎えることが出来ました。

沢山の思い出を生み、掛け替えのない財産となった本作について、このブログで色々綴って行きたいなと思います。

 

※以下、本編のネタバレを含む内容となっておりますので、未視聴の方は是非アーカイブ動画をご覧になった上で先にお進みください

 

 

 

11/6 21:00まで、何度でも繰り返しご視聴出来ます!

 

 

 

 

 

 

 

『ブルーマウンテン・ファミリー』が生まれるまで

 

前回公演の「マイノリティ・アソート」が終了してすぐに今回の脚本演出のオファーを受けまして、勢いありすぎーずの制作会議に参加いたしました。

その時に制作サイドからお願いされていたのが

・誰でも気軽に見られる作品であること

・『家族』がテーマの作品であること

・1本90分前後の長編作品であること

・14人のキャストが登場出来る話であること

以上の4つでした。

実は長編の家族モノの話を書いた経験が無く、初期段階から色々手探りな中で脚本を作っていました。

コメディとシリアスのバランスや、14人と言う大勢のキャストが活躍するバランス、そして見てくれるお客様に何を残せるのかという核の部分。約1カ月の制作期間の中で本当に沢山悩みました。

試行錯誤の上に生まれたのが、『なんでも屋・ブルーマウンテン』と言う土台の設定と、20年前と現在を行き来しながら進んでいくストーリーラインでした。

家族で経営しているなんでも屋、そこに集まって来る個性的な客、そんなちょっと変わった世界観だから描ける家族愛のお話。

亡くなった父と母に見守られながら成長していく5人兄弟の青山家、その対比として描かれた根来家、血の繋がりは無いけれど確かな絆で結ばれたジンギ―兄弟、色々な家族の在り方を描けたのではないかと思います。

ではここからは!そんな家族たちに命を吹き込んでくださった素晴らしいキャスト達をご紹介していきます。

 

 

青山健太郎 堀江一眞さん

ブルーマウンテンリーダーで楽観的な長男の健太郎を演じてくれた堀江さんは、今回初めましての役者さんでした。

頂いていた資料や周りの人達からの評判を聞き、お任せして間違い無いなと感じたのですがズバリその通りでした!

基本は穏やかにみんなを見守っているのですが、時折お茶目なジョークを挟んできて場を和ませてくれる。その生き様は正に健太郎兄さんそのもの。

終演後にお話しさせて頂いた時も、これからのエンタメ業界の在り方について色々な考えを聞かせて頂きとても勉強になりました。勝手ながら「お兄ちゃんみたいだな~」と思いながらお話を聞いておりました(笑)

回を追うごとに増えていく多様なアドリブも、終盤の展開で義晴と対峙する時のカッコイイ兄ちゃんのお芝居も、どちらもとても素晴らしく、健太郎をお任せして良かったと心から思いました。

物語の主役でありながら、特別な力も大きな悩みも持たない平凡な人間である健太郎。だけど周りの人間を引き付ける不思議な魅力を持った人物。そんな健太郎を見事に演じて下さった堀江さんに大きな拍手を!!

 

 

青山春香 三橋加奈子さん

ブルーマウンテンの金庫番で真面目な長女の春香を演じてくれた三橋さんは、勢いありすぎーずでは何度かご一緒していたのですが、思い返すといつも変な役にキャスティングしていたので(笑)、今回は正統派のキャラクターをお願いしました。

三橋さんは稽古中も周りをサポートすることがとても上手で、そんなところがブルーマウンテンのサブリーダーで家族のみんなの面倒を見ていた春香と上手くリンクしていました。

一見しっかり者で強く見える、だけど本当は青山家の中で一番繊細で脆い春香を見事に表現してくれた三橋さん。

終盤でひまりに悩みを打ち明け、そこからはじまる『同じ歳の親と子の会話』は、この物語を作る上で一番最初にやりたいと閃いたとても思い入れのあるシーンでした。

ひまりが歌う「ゆうきのうた」を聞いて涙を必死に堪えながら芝居をする三橋さんの姿を見て、僕も凄く感激してまいました。

思い描いていた通りの春香を演じて頂き、ありがとうございました!!

 

 

青山夏葉&コウジロウ 古谷静佳さん

ブルーマウンテンの暴力担当でツンデレ次女の夏葉を演じた古谷さんは、前回の公演でもご一緒させて頂いたのですが、その時は短編作品であった為あまり沢山お芝居を見られなかった事を残念に思っていました。

ですが今回は長編作品でキャスティングで出来る言うことで、意気揚々と夏葉役をお願いしました。僕としては何の不安も無いベストな配役だと思っていのですが、本人的にはイマイチピンと来ていなかったみたいです(笑)

強めな言葉遣いや態度が目に付きやすい夏葉ですが、本当は誰かを思いやる気持ちが強い優しい女の子で、そんなギャップのあるキャラクターを可愛らしい声を持った古谷さんに演じて頂くことで見事に表現することが出来ました。

秋乃じゃなくても「なっちゃんカワイイ♪」「なっちゃんカッコイイー!」となったお客様は多かったのではないでしょうか。

兼ね役のコウジロウも、「天使みたい」と評されるに十分な素晴らしいお芝居でした。唯一青山家を二人も演じてくれてありがとうございました!!

 

 

青山秋乃 小原莉子さん

ブルーマウンテンの誘惑担当でセクシー三女の秋乃を演じた小原さんは、今回初めましての役者さんでした。

とにかく色々な現場に引っ張りだこでスケジュールが合わなかった小原さんでしたが、数少ない稽古でこちらの演出を即座に吸収してモノにしてくださり、驚くほどの速さで秋乃の芝居を完成させてくれました。

三女でありながら一番余裕のあるお姉さんのような立ち振る舞い、クルミちゃんに嫉妬する時の年相応な女の子の顔、茂夫さんを誘惑する時のセクシー&悪い女のお芝居、それら全てが見ている人達を強烈に惹きつけていました。

終盤のアクションシーンの時、「大好きななっちゃん×大好きな極道モノのセリフ=カッコイイー!!」と自らの立場を忘れてはしゃいでしまう姿が、とても可愛らしく印象的でした。

次またご一緒する機会がありましたら、もっと沢山お芝居についてお話させて頂きたいです!!

 

 

青山幸次郎 久下銀河さん

ブルーマウンテンの参謀で引き籠り次男の幸次郎を演じた銀河さんは、前回の公演で座組は一緒でしたが作品は別でした。

その時演じていたキャラクターがとても色気のある人物だったので、今回は真逆も真逆な陰の塊のキャラクターを「ある種の挑戦枠」としてお願いしたつもりでした。

ですが蓋を開けてみれば、当初の印象などすぐに吹き飛ばしてしまうほど生き生きと幸次郎を演じていました(笑)

オンライン稽古で一人だけ衣装を着ていたり、僕が思いつかないような独自なキャラクターの掘り下げをしていったり、毎回とても高い熱量を持って参加してくれていて、ある意味一番面白い仕上がりになったのは幸次郎かもしれません。

95%はヒッキーな幸次郎でしたが、不意に見せる普通の弟としての顔や、回想シーンの15歳の幸次郎が泣きそうになりながら家族への想いを語るシーンも非常に印象的でした。本当にどうしてああなってしまったんでしょうかね彼は(笑)

終演後に「言われた事はなんでもやります!」と語っていた姿に役者魂を見ました。カッコいいぞ銀河さん!

 

 

ケンタロウ&駒A 内田真広さん

楽観的な長男の少年時代ケンタロウを演じた内田くんは、勢いありすぎーずでは何度かご一緒しておりました。

普段からとても真面目で優しい人である事を知っていたので、ヤンチャなケンタロウの役は割と反対の印象だったのですが、

何と言いますか「内田ワールド」な捉え方でケンタロウに挑んで行き、他では中々見られないタイプのヤンチャなキャラクターへと仕上がって行きました。

ケンタロウは中盤でブルーマウンテンのリーダーになる決意をするシーンが印象的なのですが、いつもヘラヘラしていたケンタロウが真面目な顔つきで妹達に語り掛ける姿を見た時、内田君にお願いして良かったなと思いました。

兼ね役の駒Aは、イメージ通りのやられ役感を出してくれて嬉しかったです(笑) 

長男としてみんなを守ってくれて、ありがとうございました!!

 

 

ハルカ&根来美晴 平山笑美さん

真面目な長女の少女時代ハルカを演じた平山さんは、今回初めましての役者さんでした。

春香役の三橋さんのことをよく知っていた分、そこにリンクする人を外部から見つけられるか最初不安だったのですが、平山さんのサンプルを聞かせて頂いた瞬間に即決いたしました。ハルカ→春香へのルートが平山さんの声とお芝居からハッキリと見えたのです。

思春期ゆえの難しくて面倒くさい部分の表現が非常に上手で、「ああ、みんなこういう時期を通って大人になったよなー」となんだか懐かしい気分になりながらお芝居を見ていました。

それを一番的確に表現していた「お母さーん!」というセリフ、あまりにもお気に入りだったので前説にも採用させて頂きました(笑)

兼ね役の美晴は、わずか2つのセリフで伝えたかった美晴の人間像を全て伝えてくれました。本当に凄かったです。

幅広い演技でこの作品を支えてくださりありがとうございました!!

 

 

ナツハ&駒B 唐沢百恵さん

ツンデレ次女の幼女時代ナツハを演じた唐沢さんは、何度かご一緒しての印象は『ボーイッシュな役が得意な女優さん』でした。

それは本人もそう思っていたようで、だからこそ幼女役が来た時は目を疑ったそうです(笑)

演出側の意図としては「暴力担当になる女性の要素が垣間見える幼女」を演じて欲しくてのオファーだったのですが、最後まで悩みながらナツハと言う役に向き合っていました。

後半のひまりが回想する子供達の成長シーンで、すこしだけ大人になったナツハが自分の長所について悩む姿が、稽古中悪戦苦闘する唐沢さんとダブって見えてとても印象的でした。

兼ね役の駒Bは色々な悩みから解放されたせいか、とてもイキイキと演じてくれていました(笑)

新しい事にいっぱいチャレンジしてくれて、ありがとうございました!!

 

アキノ 藤澤友里さん

セクシーな三女の幼女時代アキノを演じた藤澤さんは、何度かご一緒したことがあったので「何を任せても安心できる枠」に勝手に入れてある役者さんでした(笑)

前述したナツハの意図と同じように、「誘惑担当になる女性の要素が垣間見える幼女」を演じで欲しくてのオファーだったのですが、唐沢さんとは対照的に役所を掴み過ぎていた為にセクシー要素を押さえて貰う事に力を注いでいました(笑)

子供特有な舌っ足らずな感じのお芝居や泣いたり笑ったりの豊かな感情表現が非常に上手で、流石安心枠の女優さんだなと心の中で拍手していました。

代役として秋乃をやって貰う事も有ったのですが、小原さんとはまた全然違う面白さの誘惑担当キャラクターをいつも楽しそうに演じてくれていました。 

数々のサポートをしてくれて、ありがとうございました!!

 

 

城島茂夫&青山慎之介 勝杏里さん

ジンギスキーの店員でエセ関西弁の茂夫を演じた勝さんは、今回初めましての役者さんでした。

現場稽古から合流だったのですが、最初から完成度抜群の演技を見せてくださり、稽古場を常に爆笑させていました。

だげどそれだけでは決して満足せず、最後までひたむきにクオリティを上げようと尽力する姿に、プロとしての信念を見た気がしました。

エセ関西弁についても、脚本に無い部分を埋めながら構築してくださり、絶妙な塩梅のエセ感へと仕上げてくれました。

コメディ要因として生み出した茂夫が、僕が思ったよりも遙かに面白くて熱いキャラクターになったのは、勝さんが真剣に役に向き合ってくれたお陰だと思っています。

兼ね役の慎之介(青山父)も、抜群のお芝居を見せてくれました。ラストシーンでのひまりとの会話は何度見てもグッと来ます。

コメディとハートフル、二つの大事な部分を担って頂きありがとうございました!

 

 

平泉誠 打田マサシさん

ジンギスキーの店長で渋すぎる声の誠を演じたダーウチさんは、前回の公演でご一緒した時にツッコミをお願いしたので次一緒になったらボケをやって欲しいなと思っていたら、何の偶然かピッタリのキャラクターが生まれたので一切迷うことなくお願いしました(笑)

ダーウチさんはことあるごとに「俺はボケてるつもりはない」と言うのですが、それがまた誠と言うキャラクターにピッタリで、「不器用な生き様が面白い」キャラクターにとことんハマっていました。

誠の何言っているか分からないセリフ、台本上では「ネコカフェジンギスキーの店長です(渋すぎて何て言っているか分からない)」と書かれているのですが、それをあの形に創り上げたのはダーウチさんのセンス100%です。僕から指定しなくても面白くしてくれるだろうなと言う信頼の結果でした。

ちなみに初見で聞き取れたお客さんは居たのでしょうか?(笑)

僕は役者さんの気持ちが乗ってセリフが多少変わってしまうことを咎めないタイプなんですが、終盤で茂夫に「お前が居なきゃ寂しいよ…!」と泣きつくセリフだけは変えないで欲しいとお願いしました。

その意図を汲んで見事な芝居をしてくれて嬉しかったです!

 

 

根来胡桃 なりた雛糸さん

ネコミミ付けた根来の妹ちゃんの胡桃を演じたなりたさんは、前回の公演で座組は一緒でしたが作品は別でした。

その時から抜群の存在感ある芝居をする人だったので、今回も存在感抜群のクルミちゃんをお願いしました。

ネコミミを付けてネコみたいな挙動をしながらネコ撫で声で喋る女性を、あんなに違和感なく演じられる女優さんを僕は他に知りません。それくらい文句の付け所のないハマリ役でした。

「ニャンコニャラリラニャリロリロリーン!」と言う詠唱も、演じる上で滑舌に苦戦して欲しいと言う意地悪な気持ちから生まれたセリフなのですが、稽古から数えて本番まで一回も噛む姿を見ませんでした。ちょっと悔しいくらい見事でした(笑)

後半から暗い表情を浮かべる事が多くなってしまったクルミちゃんでしたが、エピローグで義晴が春香に想いを伝えるシーンを見て歓喜する姿に「良かったねクルミちゃん」と、作者としての立場を忘れた感想を抱きました。

秋乃が嫉妬するくらい見事なナチュラルボーンサークルクラッシャーを演じてくれて、ありがとうございました!!

 

 

根来義晴 津田顕輝さん

新しいオーナー&根来のお兄ちゃんを演じた津田くんは、何度か見て来てとにかくエリート声の印象が強かったので迷う事無く義晴役をお願いしました。

個性的で賑やかなキャラクター達の中で唯一悪役ムーブで孤軍奮闘するポジションだったので、演じる上でかなりプレッシャーの有るキャラクターだったと思います。

声を張り上げずに人を追い込む芝居と言うのはとても技術が居るので、色々なことを演出としてお願いしました。その一つ一つに真摯に取り組んでくれたお陰で、義晴というキャラクターは出来上がって行きました。

もう一つ大事な要素として、ラストで憑き物が落ちた義晴が春香に改めて告白をするシーンでは、

「三橋さん(春香)となりたさん(クルミちゃん)をキュンキュンさせないと駄目だから」と、あえて圧を掛けてお願いしました。本人的にはもしかしたらここが一番悩んだかもしれません(笑)

沢山悩みながら最後まで演じ切ってくれて、ありがとうございました!!

 

 

青山ひまり 福山沙織さん

ブルーマウンテン2代目リーダーで青山母のひまりを演じたおりさんは、長い付き合いながらここまで長編の作品でご一緒したのは初めてでした。

家族モノの脚本を作る最初の段階で、「おりさんが母親で三橋さんが娘だったら面白くない?」と言う、若干悪ノリが混じったアイディアを元に、ブルーマウンテン・ファミリーが作られて行きました。

普通に見れば逆の配役の方が見やすいと思うのですが、

「子供達が幼い頃に亡くなった母が、20年の時を経て自分と同じくらいの歳に成長した子供達と再び会う話」

と言うフィルターを通すと、何故か違和感なく見れてしまう。そんな想定をして作り上げた設定だったのですが、その想定を超えて自然な親子として見えるようになったのは、ひまりという母親になろうとするおりさんの努力のお陰でした。

劇中歌でありエンディングテーマにもなった「ゆうきのうた」は、曲が必要なシーンだけ書いて作詞作曲は全部おりさんに丸投げしました(笑)

劇中では子供に向けて歌う子守唄のような感じに、エンディングではみんなの背中を押す応援歌になるような曲にして欲しかったのですが、どちらも見事すぎるくらい意図を汲んでれた仕上がりでした!

配信チケットを買うとテーマソングも付いて来るそうなので、みんな買ってくれよな!(笑)

誰からも愛される太陽のようなお母さんを演じてくれて、ありがとうございました!!

 

 

そして、今回も物語を素敵に彩ってくれた音楽隊の多田さん、SHEARTさん、青木さん、マリィさん。

舞台監督の谷さんにプロデューサーの原田さん、当日サポートをしてくれた劇場スタッフのみなさん。

本当に多くの人達の力を借りて生み出されたこの「ブルーマウンテン・ファミリー」

一人でも多くの方に見て頂き、楽しんだりほっこしたりしながら、家族の大切さを感じて貰えたら幸いです。

 

 

 

 

 

以上、ブルーマウンテン・ファミリーの振り返りでした!

勢いありすぎーずは、2023年10月に第4回公演が決定しているそうです。

僕がどんな形で関われるかはまだ分かりませんが、ご縁が有ればまたみなさんへ楽しい作品をお届けする為の一員になれたらと思います!

その日が訪れるまで、みなさんが日々笑顔で過ごせる事をお祈りしております!!!

 

 

勢いありすぎーず第3回朗読劇

『ブルーマウンテン・ファミリー』 

脚本・演出 小林昂平

勢いありすぎーず朗読劇「マイノリティ・アソート」

ご来場・ご観劇誠にありがとうございました!!

 

昼夜公演共に劇場が満席、終演後の物販で劇団員チェキが完売すると言う正に勢いありすぎな公演となりました!

 

今回は脚本演出を担当させてもらった2つの作品とそのキャスト、

後は僕が関わらなかった作品とキャストについても少しだけ綴っていこうと思います。

 

 

あ、配信チケットが6/19まで販売しておりますので、是非ともご購入してください!

配信チケットURL

https://kipz.fun/mall/event/1473

なんと、セカイノミライと不思議のシェアハウスのテーマソングが特典としてDL出来るそうですよ!

 

 

 

 

 

 

「Good Morning?」

今回頂いたオファーは「マイノリティをテーマにオムニバス朗読劇をやるので短編が二つ欲しい」(要約)と言うモノでした。

それにプラスして「会場がライブハウスだから歌を元にして話を作るのも面白そうだよね」と言う流れになり、「Good Morning」と言う曲を使わせて頂く事になりました。

原曲が「爽やかで可愛らしい朝の歌」だったので、そこにマイノリティ要素を詰め込んで行った結果かなりオリジナル設定が加わったことと、どったんばったん大騒ぎな朝を描いた内容になった為、「Good Morning」に「?」を加えたタイトルにしました。

「身近に感じられるライトなマイノリティ作品」を目指して書いた本作。その登場人物と演じてくれたキャストを紹介していきたいと思います。

 

 

咲:沼倉遥香さん

マイペースな女子高生の咲は「マイノリティな耳」を持った女の子。

思った事をポンポン言っちゃう自由な子でしたが、後半ではホラー展開の引き金を引く意外なポジションへと変わりました。

演じてくれた沼倉さんは声はとても柔らかく可愛らしいのですが、強い芯を持った役者さん。

咲も自分を曲げない女の子だったので、声質と人間性が両方マッチしたベストキャスティングになりました。

稽古の時に沢山質問をしてくれて、ちゃんと自分の中の疑問を消化してから毎回お芝居をしてくれていました。初めての朗読劇で本作に出演して頂きありがとうございました!

 

結衣:唐沢百恵さん

しっかり者の女子高生の結衣は「マイノリティな目」を持った女の子。

3人の中ではお姉さん的立ち位置だけど、BLスイッチが入った時は誰にも手が付けられなくなる、振り幅の大きい子でした。

演じてくれた唐沢さんはとても真面目で、少しでも時間の有る時に演出を聞きに来てくれたり、BLモードのシーンも本当に試行錯誤しながら取り組んでくれました。悩みや不安と向き合いながら成長してく姿はとてもカッコ良かったです。

初めての朗読劇と言う事でしたが、ドタバタコメディとライブパートどちらも見事にやり切ってくれました。頑張ってくれてありがとうございました!

 

美穂:最上みゆうさん

ヤンチャな女子高生の美穂は「マイノリティな舌」を持った女の子。

ワガママに見えるけど本当はハブられるのが怖くて、だから自分のマイノリティから目を背けていた一番リアルな子でした。

演じてくれた最上さんは3人の中では一番朗読の経験値が高く、演出の要求に対する反応が早くてとても助かりました。

唯一原曲の「Good Morning」に関わっていたキャストさんだったのですが、「今作の美穂」と言う似て非なる役をしっかり演じ切ってくた事には感謝が絶えません。

衣装の提案などもしてくれたお陰でJK3人娘は大好評でした。ありがとうございました!

 

寮母さん:三橋加奈子さん

勢い学園女子寮の寮母さんは、ウルトラギックリ腰から生霊になるというある意味一番マイノリティなキャラでした。

元々は3人娘だけで話を作る予定だったのですが、どうしてもパンチの有るキャラが欲しくなって急遽追加しました。

演じてくれた三橋さんは「不思議のシェアハウス」との兼ね役で、登場シーンで言えばあちらの方が圧倒的に多かったにもかかわらず、寮母さんとしての稽古も積極的に参加してくれました。

短いシーンでインパクトを残せる役者さんとしてキャスティングをしたのですが、その期待に見事に応えてくれました。贅沢な起用をさせてくれてありがとうございました!

 

 

 

「14歳喫茶」

何年か前に書いた脚本で偶然今回のテーマに合致した内容と尺だったので、少し手を加えるだけで出来上がりました。

しかしそれはあくまで配役が決まるまでの事で、キャストが決まってからは結構細かく修正を入れて行きました。

どうして修正が必要になったのかについては、キャラ&キャスト紹介と共に綴って行きます。

 

勇気正義:打田マサシさん

自他共に認める熱血刑事「ジャスティスデカ」の正義。

熱血刑事を自称してたり、単独で潜入捜査に来てたり、常識人のようでいて実はこの人も結構ヤバい人です。

演じてくれた打田さんは、パワフルででもどこか抜けてる所が非常にジャスティスデカにピッタリでした!

ラストシーンで14歳(以下)に戻される場面は、最初はあそこまで戻す想定では無かったのですが、打田さんの芝居を見て「あーこれもアリだな」と思ったので採用させて貰いました。

アドリブの引き出しの多さも見事でした。結構台本に無いツッコミをしているので配信を見返しながらどこがアドリブだったのか当ててみて下さい!

 

支配人:ジェーニャさん

14歳喫茶を束ねるミステリアスな人物の支配人。

上述した修正を一番したのが支配人でした。元々の支配人は海外暮らしの設定も無かったし男性をイメージしたキャラでした。

ただ今回ジェーニャさんに演じて貰った事で、初期の支配人よりも更にミステリアス度が上がりました。

基本日本語だけど偶に英語やロシア語を混ぜて喋るという、「国籍の緩急」を持ったキャラはジェーニャさんにしか出来ない唯一無二のお芝居でした。

「こんなに沢山喋るキャラなんて初めて!」と言ってましたが、それを感じさせない見事なお芝居をありがとうございました!

 

チュニ―:藤澤友里さん

中二病の14歳のチュニー。難しい漢字とか横文字とかが大好き。多言語を操る支配人にも多分憧れてます。

チュニ―君に加えた修正は、登場したあとすぐにマイクに乗せない長アドリブを入れた事です。

稽古初日に藤澤さんの芝居を見て、「あ、イケる子だな」と思ったので30秒以上のアドリブを考えて来てと要求し、そのアドリブを「もっと興奮しながら!」とか、「このタイミングでターンして!」とか、とにかく無茶振りを重ねたのですが、それら全てに彼女が応えてくれたことで「博識ぶった痛々しい」チュニ―君の魅力がグッと増しました。

ちなみに包帯や大量の安全ピンは藤澤さんが自主的な発想で身に付けたモノです。恐らく彼女も中二病です。

 

ハンコ:古谷静佳さん

反抗期の14歳のハンコ。世の中を舐め切っている、男なんてみんなチョロいとか思ってるかもしれません。

ハンコは最初気だるげな女の子がたまに暴言を吐くくらいのバランス感覚だったのですが、演じている古谷さんの罵倒があまりにも見事だったのでむしろそっちをベースにしようと思いました。それにより盗バイ君と付き合っていると言う設定にも納得がいくものになり、また一段お話が面白くなりました。

ジャックナイフな面がありつつも、痴漢未遂で悲鳴を上げる所や支配人に泣きつくところの可愛らしさを計算で出来ちゃうハンコを見て、女の子って怖いなと思いました。

あ、古谷さんはそんなこと無いと思います。……そうですよね?

 

盗バイ:雨澤裕貴さん

盗んだバイクで走り出すのは15の夜やろーがい!な盗バイ。雨の日に子犬に傘とかあげてそう。

盗バイ君は元々の設定から殆ど変わっていないのですが、ただ単純に雨澤さんのクオリティが高かったです。

お客さんからもキャストからもあれだけ盗バイ君フィーバーが起きたのは、雨澤さんの力あってのことでした。

はたから見るとメチャクチャやってるだけみたいに見えますが、ここのセリフはちゃんと聞かせて、ここからまたセリフを壊してと、1文字刻みで調整しながら稽古に臨んでいました。正に職人芸です。

噂によると将来バンドのボーカルになってファンを食いまくるとか。あ、それは別の世界線の話かな?

 

天子:京亜耶奈さん

健気で貧しい守ってあげたい系ヒロイン……を見事に演じてみせた天才子役の14歳の天子。一番の邪悪。

ハンコとか盗バイが14歳より大人びているキャラだったので、天子はむしろ14歳より下に見える14歳にしました。

オーディションで京さんのボイスサンプルを聞いた時に「芝居がうまいな~」とひたすら感心していたら、「あれ、これ天子にピッタリじゃない?」と思い、キャスティングさせてもらいました。

天子ちゃんだけは14歳喫茶に入るまでのバックボーンを明確に決めていたのですが、それだけで一本話が書けちゃいそうだったので丸ごとカットしました。よければ他の14歳も含めて描かれなかった背景について色々妄想してみて下さい!

 

 

音楽隊の皆さんと全9曲の劇伴

「Good Morning?」で3曲と、「14歳喫茶」で6曲、計9曲の劇伴を音響監督の多田さん率いる音楽隊の皆さんに作って頂きました。

語彙力が無くて本当に恥ずかしいのですが、依頼した当時のリストをそのまま載せたいと思います。

 

「Good Morning?」劇伴リスト

1.賑やかな朝の曲    
2.間の抜けたコメディ曲 
3.ホラーな曲      

「14歳喫茶」劇伴リスト
1.14歳喫茶の曲  
2.中二病の曲    
3.反抗期の曲    
4.盗バイの曲    
5.天才子役の曲   

6.盗バイの曲(大団円Version)

 

各曲がどのシーンで使われたのか、是非配信で見返しながらお確かめください!!

 

 

 

「セカイノミライ」

僕が書いた作品では無いのですが、せっかくなので少しだけコメントを。

再三「クズたちの物語」と紹介されていましたが、僕の目には「遅れて来た青春の中に居る人達」の話に見えました。

ライブハウスと言う特性を一番生かしたラストシーンは、とても大好きな幕の降ろし方でした。

 

Seishi:雨澤祐貴さん

クズだけど憎めない、後半の慟哭で一気に引き込まれ、ライブシーンはひたすらカッコ良かったです。

この出番の前に盗バイだったので、「喉を大切にしてね」と毎回声を掛けていた気がします(笑)


中川”Docker”勇人:打田マサシさん

まともに見える人が一番ヤバいのお手本と言うキャラでした。朗読劇だけど視線の使い方が抜群に上手かったです。

コメディが上手い人は芝居が上手い人だと思っているので、今回の二役はどちらもハマって当然だなと思いました。


Greta:福山沙織さん

付き合いの長い座長ですが、実は低いトーンで芝居する時の福山さんが好きです(勿論テンション高いのも好きですが)

スレているように見えて実は可愛げが有る、と言うキャラがビジュアル込みでとても似合っていました。


Sayaka:藤井アユ美さん

今回初めましてで結局まともにお話しできませんでしたが、楽屋でのムードメーカーぶりが凄かったです。

グレタとは真逆のギャップを見事に演じてて、普段とは全然違う印象を叩きつけられました。スゲーです!


GODs-S:岩倉龍兵さん
ビジュアルがあまりにも「ドラムの人」感が凄くて、実は一番奇跡のキャスティングだったんじゃないかと思いました。

不器用にお酒に逃げるシーンと最後のエアドラムの見事さが印象的でした。

 

マスター:まうさん

見守る大人の女性、初舞台のまうさんが一生懸命その役として生きようとしているの伝わってきました。

「アメダス」と言う音声作品でご一緒した時より、確実に成長している姿を見せてくれて嬉しかったです。


大下:内田真広さん

自前のベースを背負っている時の姿がただのバンドマンでした。普段とは違う刺々しい芝居がギャップが有って魅力的でした。

ああいうオラついたバンドマンてモテますよね、羨ましい限りです。


ヒカル:有谷颯希さん

こんな健気な子に面倒を見て貰いたいと、そんなダメ男みたいな事を思わされました(笑)

挙動の一つ一つがキャラに有っていてとても可愛らしかったです!


伊藤:福田けいこさん

常に笑みを浮かべて余裕を漂わせているのがヤリ手感が有って良かったです。

是非僕にも仕事を回して欲しいです!何でもしますから!!

 

 

 

「不思議のシェアハウス」

僕が書いた作品では…(略)せっかくなので少しだけコメントを。

「マイノリティ」と言うテーマに一番真っ向から挑んでいた意欲的な作品でした。

一番の長編でしたがテンポの良い演出と掛け合いが合わさって、実際の尺ほど長く感じさせないのが見事でした。

 

薪絵学:津田顕輝さん

自分の腹の底は見せず、相手の腹は緩やかに捌いていく、そんな難しい役どころを見事に演じ切っていました。

色気の有る声の津田君にとてもピッタリの役だったと思います。


神岡役:久下銀河さん

見た瞬間に「奇麗」と思わせられる男性って凄いなと感じました。

一緒に芝居を出来る機会が有ったら、メチャクチャカッコイイ役をやって欲しいです!


榎本葉:京亜耶奈さん

こちらは本当に守ってあげたい系の女の子でした。

深いトラウマを抱えた女の子が少しずつ解れていくさまがとても良かったです。


平井幸:山田悠太さん

カワイイ以外の言葉が見つからないですね、多分その辺で見かけても「あ、女の人だ」って普通に思いそうです。

最期のシーンの怒涛のセリフ回しは熱量がビシビシ伝わって来て素晴らしかったです!


鷹見泉:三橋加奈子さん

この音で芝居出来る女性声優さんを身近では殆ど知らないので、とても稀有な御方なんだなと改めて感じました。

強さの中に秘められた優しさと言うのが、三橋さんの人柄ともリンクしていて良かったです。


黒田桜:なりた雛糸さん

この作品の中で一番好きなキャラでした。作品の雰囲気を壊さずに空気を和らげてくれるバランスの取り方がお見事!
一緒に芝居を出来る機会が有ったら、真逆のパターンも見てみたいと思いました。

 

亘理義光:影山貴広さん

とにかく心地よく耳に入って来る声色なので、いつまでも聞いていたかったです。

だからこそ最後のシーンが、甘い毒のように心に沁み込んでいったのかなと思いました。


亘理可奈子:斎藤真寛さん

愛情深い人なんだと一目で分かるし、一声で伝わる素敵なお芝居でした。

悪意が無いのが一番怖いです、そんな事を改めて気づかせてくれました。

 

 

 

 

何だか後半はお客さんの感想みたいなコメントも混じってしまいましたが、全キャストコンプリートしました!

今回芝居では関われなかったキャストさんとも、また機会が有ればご一緒したいと思います。

 

勢いありすぎーずは今後とも精力的に活動していくと思われます。

皆さんの声が届けば第3回公演も…?となるかもしれないので、今後とも応援よろしくお願いいたします!

 

 

それでは本日はここまで。ご覧頂きありがとうございました!

 

「Good Morning?」

「14歳喫茶」

脚本・演出 小林昂平

 

2021年最後のブログになります!

今年は去年よりも大変な世の中では有りましたが、それでも色々なお仕事をさせて頂きました。

オファーをくれた業界関係者の方々、そして応援して下さった皆様、誠にありがとうございました。

そんな一年の締めくくりとして、1週間限定の無料公開を終えた「おねパラRPG」のド級のネタバレブログを書いて行きたいと思います。

シナリオの最後の最後の部分まで触れて行きますので、是非ゲーム本編をクリアした後でご覧下さい!

 

 

 

 

「お願い叶えてパラドレストRPG」が出来るまで

 

 

2020年の夏ごろ、「コロナでやる事無いからゲームでも作っか!」と言うドラゴン〇ールの主人公みたいな軽いノリで始まった当企画。

じゃあ何を題材にしようかと色々考え、「どうせだったら自分が過去に描いた脚本をゲームにしたら楽しくね?」と言う結論に居たり、選ばれたのが「お願い叶えてパラドレスト」でした。

こんな感じの見切り発車極まりない企画でしたので、最初は本当に暇つぶしくらいの感覚で作っていました。それが気が付くと「約10時間のシナリオ&一部のイベントボイスまで収録した大作」になっていったのですから、人生とはどう転ぶか分からないモノですよねぇ(笑)

 

 

 

 

 

キャラクターの裏話

 

グレイ  (ゲームCV:小山博愛)

 

 

 

今作においてグレイに与えられたテーマは「アールが出来なかった冒険を経て人間らしさを手に入れる」事でした。

「お願い叶えてパラドレスト」本編では殆ど語られる事の無かったグレイの過去の部分に焦点を当て、そこから現在の挫折と葛藤、そして未来への決意を抱く流れをストーリーに組み込みました。

グレイと言うキャラクターが非常にRPGとマッチせず最初は動かすだけでも一苦労でした(笑)

だけどマオやリドリーと言った爆発力のあるキャラ振り回されていく内に謎のリングと出会い、彼の運命は大きく変わって行きました。

そして今回何よりも描きたかったのが「エピローグ」のシーン。おねパラ本編で一度ボツになったオチを今度こそ形にしようと言う所から本作のストーリーは作られて行きました。

幾年もの月日を経てアールを完成させたグレイでしたが、それを支えてくれたのは本当の意味で相棒となったマオと、冒険を共にした仲間達、そして「いつか友達になる」と約束したリドリーの存在でした。

どれだけ優れた才能を持っていたとしても一人では成し遂げられない事が有るのだと、この作品を通して感じて貰えたら嬉しく思います。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「だからテメーも見つけてみろ。この広い世界の何処かに有る、テメーだけの生きる理由って奴を」

リドリーとの最終決戦後でグレイが放った言葉。演じた小山博愛さんの優しさと不器用さが混じったこのセリフがとても好きでした。

 

 

 

 

マオ (ゲームCV:姫野つばさ)

 

 

前作で主人公ムーブ全開だったマオに今回与えた課題が「アールくんの代わりにグレイの助手になる!」事でした。

冒頭こそ貯め込んだストレスが爆発してメチャクチャやっていましたが、それ以後は基本的に「どうしますマスター?」と、グレイの判断を基準にして行動しようとするんですよね。この辺にマオの成長が見られるようにしました。

しかしゲイルとレアの登場で物語が大きく動いた際、何かを独りで抱え込んでいるグレイの姿を見てマオの感情がまた爆発します。

そこで改めて「マスターの隣にはいつも私がいます」と伝える事で、再び孤独に堕ちかけたグレイを救う手助けをしました。

そんな感じの主従関係に着地するのかと思いきや、リドリーが敵対した事で誰よりも動揺していたマオに今度はグレイが手を差し伸べます。

どちらかが一方的に支えるのではなく、お互いに支え合うと言う形を見つけた事で二人は本当の意味で相棒になる事が出来ました。

エピローグにマオを出さなかったのは、この二人が最終的にどんな関係になったかはプレイヤーの想像に任せようと思ったからです。

相棒として添い遂げたのか、男女として結ばれたのか、お好きなエンディングを思い浮かべて下さい。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「…ありがとうマスタ―。それじゃあ私のお願い、叶えて下さいね!」

決戦前夜にグレイの優しさに感謝したマオの言葉。演じた姫野つばささんの甘くなり過ぎないけどときめきたいセリフの塩梅が良きでした。

 

 

 

ライラ (ゲームCV:野田あゆ美)

 

 

これまで激動の人生を歩んできたライラの今作テーマは「ミイナのお姉ちゃんになる」事でした。

1年前はとにかくミイナにキツく当たっていたので、今作ではとにかく甘々でラブラブなお姉ちゃんにしたかったのです。

メインストーリーは割と真面目な展開が多かったので、トークスポットなどのサブ要素でライラにはギャグギャラとして活躍して貰いました(笑)

ただそれだけで終わるワケにはいかないので、一つの大きな壁として「幻影の試練」を与えました。

「二人のミイナ」についての結論は一度出したにもかかわらず、いざ目の前に死んだはずのミイナが現れた事でその心はいとも簡単に流されかけてしまいました。

一見強そうに見えて本当は誰よりも脆い心を持ったライラが、ミイナとならその弱さを乗り越えられると証明してみせる事で、最後の成長を示したシーンでもありました。

エンディングでミイナと共にまた旅に出たライラでしたが、是非ともミイナに寄って来る男を排除するだけの人生ではなく自分だけの幸せも見つけて欲しいと思います

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「喰らえ、ワイルドトリガー!!」

ライラの戦闘ボイスの中で特にお気に入りだったスペシャル技のセリフ、実にRPGらしい熱量とセリフ回しでワクワクしました!

 

 

 

ミイナ (ゲームCV:橘ゆき)

 

 

ライラと同様に激動の人生を歩んできたミイナのテーマは「普通の女の子になる」事でした。

誰かの役に立ちたいと言う献身的な要素はそのままに、だけど要所要所で本音をポロリと言えるようになったのはこの1年間でのミイナの成長が見える部分だったと思います。

パーティーメンバーにボケが多いので必然的にツッコミに回る事が多くなった本作ですが、ツッコミってある程度相手との信頼関係が無いと出来ない行動なんですよね、そうじゃないと多分「あはは…」って苦笑いして終わっちゃうと思いますから。

そんなツッコミキャラを確立した事が役に立ったかは分かりませんが、最終的には「幻影の試練」に惑わされるライラに思いっきりビンタ出来るくらいにまで成長出来たミイナ。

生霊となっていたもう一人のミイナと最後に会話し、そして自らの存在を認めて貰えた事は彼女にとって非常に大きな意味を持ちました。

ライラ共々、もう決して自分の在り方に悩んだりすることは無くなったと思います。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「私がみんなを救います!!!」

ミイナの戦闘ボイスで特にお気に入りだった超スペシャル技のセリフ、優しさだけでなく強さも手に入れたミイナの成長が見えた瞬間でした。

 

 

 

 

ドミニク・シャドウファング (ゲームCV:大久保貴)

 

 

ドミニクさんの課題と言うか意識した点は「パーティー内の頼れる大人である」事でした。

傲慢で上から目線な面が目立つドミニクですが、前提として「名家の四男である」という事を今今作では強く意識しました。

シナリオ内で幾つかトラブルが起きた際、あのグレイが問いかける相手として選ばれたのがドミニクでした。グレイやマオより一回り年上の人間としての立ち位置を確立する事で、パーティーとしての広がりが生まれて行ったのです。

フィリアスカとの関係は以前よりも更にエンジン全開のように見えていましたが、やはり根底の部分には大人として冷静に見ている所も有ったりして、その辺りが「幻影の試練」でニセモノを見分けるシーンに繋がって行きました。

決戦前夜に語った「お金の力だけでは解決できない事が有ると知った」と言うのが、今後ドミニクを更に成長させる道となって行くのだと思います。言うて彼もまだまだ完成された人間では有りませんからね、次に会う時にはどんな男になっているのか期待したい所です。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「この勝利をフィリアスカに捧ぐ…!」

戦闘勝利後のドミニクのセリフ。男らしい力強さとドミニクらしい内容とのバランスが良かったです。

 

 

 

ビューティートリニティ 

(ゲームCV:ジード/三浦浩一 フィリアスカ/小林涼花 カーバ/大川颯太)

 

 

 

今作でもやっぱり扱いに困ったのがビューティートリニティでした(笑)

まずパーティーメンバーを決める際、普通なら8人居るなら8人を戦闘キャラにするのが一番素直だったと思います。

でもそんな決め方だとおねパラらしくないしトリニティらしくないなと思い、「3人で1人前って事にしよう!」となりました(笑)

元々の設定からしてモンスターと戦える人物って限られるんですよね、それを物語の中で何とか強引に理由付けして行ったのですが、トリニティに関しては上記の理由付けをする事で戦えるようになったと言う設定にしました。

その結果、3人分の戦闘スタイルを一人で駆使出来るので「攻撃も回復もバフデバフも出来る万能キャラ」になりました。中盤以降に参戦するキャラって中々戦闘で使って貰えない事が多いんですが、トリニティに関しては十分にその価値が生まれたと思います。

シナリオ内での動かし方も、他のキャラみたいに「成長」とか「立ち位置」とかは殆ど意識せず、この3人はとにかく自由に暴れさせる事にしました。

RPGらしさを持ちつつも「お願い叶えてパラドレスト」である事を守れたのは、この3人が居てくれたお陰でした。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「トリニティフォーメーション!!!」

やはりこの3人ならこのセリフしかないと思います。バラバラの個性を一つに纏める際の編集作業がとても楽しかったです(笑)

 

 

 

 

リドリー(ゲームCV:小林昂平)

 

 

序盤のチュートリアルキャラに見せかけて、道具屋兼情報屋としてパーティーの役に立つキャラに見せかけて、実はラスボス。

そしてグレイの対比として作られた「影の主人公」となったのがこのリドリーでした。

グレイがかつて在籍していた組織に「NO.666」としてリドリーも囚われていた。そして「星降りの夜」に彼はグレイと全く同じ事を願った。

だけどそのお願いを叶えたのはグレイだけで、自分はそれからも救われる事は無く最低の人生を歩む事しか出来なかった。

「アールと出会えなかったグレイ」のIFストーリーとして生み出されたリドリーは、とにかく救いの無い存在として描きました。

いや、本当は救いの手が有ったにも関わらずそれを見ようとしていなかった。その事に気付いたのが「そんな貴方だったから、私は友達になりたいと思ったんです!!」と言うマオの言葉を聞いた後でした。

妙なテンションで人と接していたのも、グレイの事を急に親友と呼んだりしていたのも、全ては「生い立ち故に友達の作り方が分からない」事が原因でした。

だからマオに言葉にされるまで、自分に友達が出来ていた事に気付けなかった。そんなリドリーにグレイが見せた「夢」によって心の闇が払われ、もう一度一人の人間として生きる事を決意出来たのでした。

 

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「俺は…俺はっ……俺は人間だ!!」

決戦の後にリングを壊せとグレイに促された後のセリフ、積もり積もった心の闇を自らの手で振り払うこのシーンが好きでした。

 

 

 

 

ゲイル(ゲームCV:川上勇馬)

 

 

ザ・悪役と言うポジションで、今作のストーリーの元凶とも言うべき存在。

ゲイルが居なければグレイもリドリーも普通の人間として生きられたかもしれない。

しかしそうなるとアールもレアも生まれなかったし、「星降りの夜」にまつわる数々の出会いも無かったかもしれない。

彼のやった事は到底許される事では有りませんが、その全てが悪い結果になったかと言うとそうではなかったと思います。

「至高の生命」と言う誰よりも秀でた力を求めた理由を「人間の根源的欲求」と作中では言っていましたが、恐らくはそれだけではないと思います。

彼自身にも誰にも言えない挫折や葛藤が有って、それが大きく歪んでしまった結果あのような凶行に走る事となってしまった。

そう言う意味ではゲイルは「マオと出会えなかったグレイ」のIFストーリー的存在だったのかもしれません。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「これが至高の生命だ!!!」

一度しか聴けないゲイルの戦闘セリフ。追い詰められたゲイルがそれでも自らが頂点である事を誇示する姿が好きでした。

 

 

 

 

レア (ゲームCV:三浦小季)

 

 

リドリーとゲイルがグレイの対比で作られたのに対し、レアはアールの対比として作られたキャラでした。

肉体のベースなどは人間でありながら心を持たないレアと、見た目はロボットなのに実に人間らしい心を持っていたアール。

しかしレアも心を持っていないワケでは無く、ただ自身のプログラムの中にその情報が無かっただけだった。

「知らないから気付く事が出来ない」言う悲劇はリドリーに通づる部分でもあり、そしてようやく気付いたその心は、自身を捨て駒としか思っていなかったゲイルに向けられてしまっていた。

そんなレアに心を動かされたマオが彼女に寄り添う為に「友達になろう」と手を差し伸べます。戸惑いながらもその手を取ったレアがこれからどんな世界を知って行くのか、それもまたプレイヤーの皆さんのご想像にお任せしたいと思います

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「スコーピオンが壊滅しました」

初登場時のレアのセリフ。その冷たい声色から伝わる人間とは違う異質感が好きなセリフでした。

 

 

 

御使い(ゲームCV:かわもとゆうき)

 

 

この人をどうやって今作に出すか?と言うのはギリギリまで悩みました。

この手のジョーカー的キャラって出し過ぎると卑怯な感じがしてしまうし、だからと言って設定上出さないワケにはいかない。

そこで思い付いたのが、「終盤でラスボスに惨敗した後に最後の可能性となって貰おう」と言う展開でした。

後半はどうしてもグレイとマオに話の焦点が向いてしまいがちだったので、改めて全員に見せ場を作るために「幻影の試練」と御使いにしか出来ない大きな壁を作って貰う事にしました。

そして試練を乗り越えたグレイ達が「新たな力の試し打ち」としてサンドバックにする相手としてもちょうど良かったです(笑)

最後の戦いへとグレイ達を送り出した後に一言残すズルい感じも、実に御使いさんらしいなと思いました。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「頑張りなさい、愛しき人の子達よ」

上述した最後のズルい言葉。御使いが人間と言う存在に抱いている感情を内包したこのセリフが好きでした。

 

 

 

 

アール (ゲームCV:玉城美来)

 

 

エピローグが最初に決まっていた事は先にも言いましたが、それ以外で出せるシーンは無いか?と言うのがアールの課題でした。

いくつか出番を作る事は出来たのですが、やはり一番印象的だったのは「幻影の試練」でのグレイとの思い出のシーンでした。

ゲイルとレアとの激闘や、リドリーとのドラマが有った後に、改めてグレイが「何の為にこの世界を生きるのか」を再確認するきっかけとなったのが、アールがグレイにとって掛け替えのない無い存在であったかを思い出すこのシーンでした。

これが無ければ最後にリドリーを立ち上がらせる事は出来なかったかもしれない、そう言う意味ではアールの存在はリドリーにとっても救いになっていたのかもしれません。

そして対比となっていたレアとは一度も関わる事は有りませんでしたが、これから先きっとマオやグレイが色々な話をレアに教えてあげる事で、彼女が人間らしく生きていく道標になって行くのだと思います。

命が尽きても尚、多くの人に影響を与える存在。願わくば僕もそんな人間になれたらいいなと思います。

 

ボイス収録で好きだったセリフ

「おはようございますマスター………随分、老けましたね」

物語を締めくくったこのセリフ、問答無用で大好きです。

 

 

 

 

 

以上で「お願い叶えてパラドレストRPG」解体新書を終わります。

僕にとって本当に大切で大好きなこの作品を語って2021年を終えられる事を嬉しいです。

沢山の思い出をしっかりと心に仕舞い込んで、2022年を気持ちよく迎えたいと思います!

 

ではここまでお付き合い頂いて誠にありがとうございました!皆さん良いお年を!!

 

皆さん大変お久しぶりです!

情勢的な問題で表立った活動を最近まで殆どしておりませんでしたが、12月に入ってお客様の前で作品を上演出来るという嬉しいイベントに遭遇したので、久々々々にブログを書く事に致しました!

それでは早速、新作脚本の「L.C.Christmas」について綴って行きたいと思います。

ちなみにネタバレを多分に含む内容ですので、是非とも好評配信中のアーカイブ動画を視聴してからご覧下さい!(露骨な宣伝)

 

 

 

 

 

「L.C.Christmas」が生まれるまで

 

新作とは言いましたが、実はこの作品4年くらい前に一度お蔵入りになった脚本が元でした。

構想を立てたまでは良かったものの、ショートと言うには長すぎてロングと言うには短い尺の難しさと、内容的に上演時期が余りにも限定されると言う理由で、どこにもお披露目する機会が持てなかったのです。

それから長い熟成期間を経て、今回のイベントの主催である上原ぺこさんからお話を頂き、尺の問題も時期の問題もクリアできる奇跡的な噛み合いを見せた為、「L.C.Christmas」は日の目を浴びる事となりました。

 

 

 

登場人物とキャストについて

 

柊真冬 (上原ぺこ)

クリスマス作品の主人公だからという非常に安易な理由でまず名前が決まりました。

名前だけ見るとどちらかと言えばクールな印象だったので、そこは天の邪鬼精神で正反対の明るく無邪気なキャラ付けに。

初期設定ではサンタの代わりに真冬がサンタクロースになり、サンタは真冬の代わりに人間になると言うエンディングでした。

ただどうしてもその着地に納得がいかなくて、色々と試行錯誤した結果あのエンディングに辿り着きました。

ハッピーエンド信者の僕にとっては主人公が涙を流して終わると言うのはかなり異例な結末で、だからこそとても印象深い作品となりました。

真冬演じるぺこさんは「こういうキャラ苦手」と良く言っているのですが、僕は出会った時からぺこさんの明るい芝居が好きだったので今回も何の不安も無く真冬と言うキャラクターをお預けしました。

明るくて純粋で人の心の痛みに寄り添う事の出来る柊真冬と言う女性は、ぺこさんだから表現出来たと思っています。

 

 

サンタ (森山幸央)

「サンタクロースはお伽話の様な善良な存在じゃない」と言う僕のねじ曲がった妄想を体現したのがサンタと言うキャラでした。

中盤までは本当に良い所の無いヤツだった分、後半からは出来る限りオイシイ立ち回りになるようにしました。

アフタートークで多くのキャストさんが「サンタを演じてみたい」と言っていたのは、この辺が原因かもしれません(笑)

初期設定では「黒須三太」と言う名前で真冬の代わりに人間となり、春や沢木と仲良くしていると言うエンディングでした。

しかし最終的に辿り着いたのが「出会いと別れのセリフが全く同じで、でも全く異なって聞こえる」と言うラストでした。

色々悩んだ甲斐が有って、今まで書いて来たラストシーンの中でもトップクラスにお気に入りのモノに仕上げることが出来ました。

サンタ演じるゆっきーは今回唯一僕がキャスティングした役者さんで、主催のぺこさんからサンタ役を探して欲しいと言われ、即決でオファーを出しました。

闇属性のイケメンであるゆっきーはサンタと言うキャラにこれでもかというほどハマっていたのですが、最後の方で出て来た人間時代のキラキラ輝く芝居には苦戦していました(笑)

闇と光が融合したハイブリッドサンタのラストセリフは、きっと多くの方の心に刺さったと思います。

 

 

トニーチョ (澤崎柚希)

喋るトナカイで名前がトニーチョ。大半の方が某海賊団の船医さんを思い浮かべる事と思います。

だからこそ中身は極力違うモノになるようにしました。不器用で口下手で可愛げなんて微塵も無いけれど、本当はいつも誰かの事を案じている。そんなとても面倒臭くて、だけど愛おしいキャラへとなっていきました。

初期設定ではクイーンと対立する事を選び、ガチガチのバトル展開の中でムキムキマッチョのモンスターに変身する予定だったのですが、

「結局チョ〇ッパーじゃね-か!」と突っ込まれそうだったのでボツになりました(笑)

トニーチョ演じる澤崎さんは真反対の明るくお喋り上手なキャストさんでした。スケジュールが合わず中々一緒に稽古が出来なかったのですが、稽古外の時間でも役作りの事を沢山考えてくれていたので、それを擦り合わせる事で何とかトニーチョのキャラに辿り着く事が出来ました。

劇中では殆ど可愛げの無いトニーチョでしたが、彼女の声とビジュアル(コスプレ含む)が加わる事で、脚本段階では想定していなかった不思議な愛嬌を兼ね備えたキャラクターになりました。真冬との別れ際のさり気ない微笑みがとても可愛かったです。

 

 

花村春 (矢浦左來)

メインのキャラがかなりぶっ飛んでいる設定だったので、なるべくリアルな人間像になるように心がけました。

親友である真冬の事が大好きなのに、自分に出来ない事が平然と出来てしまう彼女に嫉妬してしまい、そんな自分を醜く感じてしまう。

自分の中に相反する気持ちが生まれてしまった経験、誰しも一度は有るのではないでしょうか?

初期設定では真冬の対になるキャラとしてもっと大人しく控えめなキャラの予定でしたが、その要素は沢木さん相手にだけ残し、普段は真冬と対等な親友に見えるように明るいキャラになりました。

春演じる矢浦さんはとても真面目で奥ゆかしい人、だけどステージに上がると演技でもダンスでもスゴイパワーを発揮するザ・舞台人て感じの人。

そんな二つの顔を持つ彼女は春と言うキャラクターにピッタリで、稽古を重ねる毎に熱量を増していく演技は見ていてとてもワクワクするものでした。沢木さんに想いを告げるシーンは個人的にもスゴくお気に入りです。

 

 

沢木洋介 (譽田唯生)

春と同様になるべくリアルな人間像を心掛けつつ、だけど物語を動かす為に一つ爆弾を仕込む事にしました。

爽やかだから沢木さんと何の捻りも無く名付けましたが、一見そう見える人こそ実は…って言うのも現実で良く有る話だと思います。

初期設定では春じゃなくて真冬の事が好きという事にしていたのですが、三角関係を面白く書ける自信が無くてボツになりました(笑)

思えばいつも僕が恋愛をネタにする時は1対1の構図なんですよね。このパターンを打破出来る日は来るのかな?

沢木演じる譽田さんは何て言うか沢木さんみたいな人。これは主催のぺこさんからも同様の意見を頂いております。

譽田さんはとても自然体な演技をする人で、役者が陥りがちな欲しがり演技や余計な力みなどが無いナチュラルな佇まいが印象的でした。

等身大で沢木さんを演じられる分、最後の春とイチャイチャするシーンではそのギャップにやられました。職場でイチャついてんじゃねーぞ!!

 

 

クイーン (東藤未沙)

一番言葉で説明するのが難しいのがクイーンと言うキャラクター。語り部で、登場人物で、人間じゃなくて、純正なサンタクロースでもない。

色々な要素を足していった結果、ミステリアスと言う言葉で片付けられない難解なキャラクターになっていきました。

初期設定ではクイーンではなくキングで、お伽話の様なヒゲの生えたジジイのキャラクターでした。ただイメージ的には堕ちたサンタクロース、略して「堕サンタ」だったので、やはりお伽話のイメージから遠ざけた造りにしたいと思い現在のキャラに着地しました。

クイーン演じる東藤さんは控えめなんだけど実は面白い人で、小屋入り前くらいにようやくちゃんと人柄が見えた気がしました。

難解な役作りに最後まで悩んでいたのですが、小屋入りしてからお芝居が目に見えて良くなりました。話を聞くと最終稽古後も一人で猛練習していたそうで、その熱意がしっかりと形になっていました。

冒頭の長台詞にクイーンにやって欲しい表現の殆どが集約されていたのですが、その難しい芝居を見事に演じ切ってくれました。

 

 

 

 

 

 

 

最高の芝居をしてくれたエルクリキャストの皆さん、同イベントを盛り上げてくれた「アカリちゃんのこと」のキャストの皆さん、

支えてくれたスタッフの皆さん、そしてご来場・配信視聴をして下さった皆さん、本当にありがとうございました!

みんなと過ごしたあの時間が、僕にとってのクリスマスプレゼントでした!!

 

 

上原ぺこプロデュース 朗読ライブvol.2

配信【昼の部】

 

 

配信【夜の部】

 

 

 

※アーカイブ視聴期限: 2021年12月16日(木) 23:59 まで。備考欄に扱いにしたい演者名を必ずご記入ください。

大変お久しぶりなブログの更新です。

困難な情勢が続いておりますが皆様お元気ですか?

僕は1日3食食べるくらいには元気です!

 

 

 

 

 

 

2021年5/22,23日に公演を予定していた「すーぱーかみしばいヨンテンゴ」ですが、

昨年に引き続き、今年もやむを得ず中止する事になってしまいました。

この決断に至るまで僕自身がどんな事を考えていたのかを、こちらのブログで綴っていこうと思います。

長くなるでしょうし、色々とっ散らかると思いますので、ヒマでヒマで仕方ないと言う方だけお付き合い下さい(笑)

 

 

 

 

 

 

 

遡る事1年前、2020年の5月にすーぱーかみしばいは記念すべき5周年目の公演「すーぱーかみしばい5」を行う予定でした。

しかし公演の情報公開直後に1回目の緊急事態宣言が発令され、すーかみ5はキャストの顔合わせを果たす事すら出来ないまま公演中止を余儀無くされてしまいました。

当時はコロナウイルスに対する知識が今に比べて殆ど無く、未曽有の危機に対して対抗策を持たない以上はリスクを負う事は出来ないと考え、即座に中止の判断を下しました。

とてもとても、本当に本当に、悔しかったです。

あの当時の僕が集められる最強メンバーを迎えての公演、果たす事が出来ていたらどんな輝かしい未来が待っていたのか。

今でも時折そんな妄想をしてしまうくらいに、僕の中では心残りな事件でした。

 

 

けどいつまでも下を向いているわけにはいかない、世界中の人達がみんな同じように苦しみながらも戦い続けている。

だから僕も再起を図る事に決めました。この時はまだ未来に対する強い希望を持てていたからです。

キャストやスタッフやお客様からも温かい言葉を頂けたお陰で、すーかみ5は中止では無く延期と言う方向で話が進んで行きました。

「1年経てば情勢は変わる」、そう信じて、2021年の5月に向けて準備を続けていきました。

 

 

だけど現実はそうはなりませんでした。1年の間に目まぐるしく情勢は変化し続け、今となっては2020年より情勢は悪くなってしまいました。

この事について誰が悪いとか国がどうこうとか、そう言う話には僕はあまり興味が有りません。

ただ「変えようのない現実」を受け止め、自身と周りの人間にとって最善の行動を模索する事の方が重要だと思ったからです。

 

 

2021年の1月、2回目の緊急事態宣言を経て僕はすーかみ5の公演を断念しました。

だけどこの情勢下でも自分に出来る事はまだ有るのではないか?このまま終わってしまえば1年前から何も進歩出来ていない事になってしまうのではないか?

そんな思いの果てに考え付いたのが、今までの公演よりも規模を縮小した番外公演「ヨンテンゴ」でした。

これまでのすーかみに関わってくれた人達、そしてすーかみ5に出演予定だった演者、つまりは全幅の信頼の置けるメンバーを揃え、少ない準備期間と稼働日数でリスクを減らし、それでも楽しめる公演を成立させられるようにと僕達は動いていました。

2回目の緊急事態宣言も明け、今度こそ皆様にすーぱーかみしばいをお届け出来る!そう信じて頑張っていました。

 

 

ですが2021年4月末、リモートでの顔合わせを済ませた直後に3回目の緊急事態宣言が発令されました。

今思えば、この時点で僕は止まるべきだったのだと思います。安全を第一に考えればここで止まるべきだった。

だけど1年前の無念と、共に戦ってくれている仲間達を何とか舞台に立たせてあげたいと言う思い、そして楽しみに待ってくれているお客様に作品を届けたいと言う願い、そんな色々が積み重なった結果、ギリギリまで戦い続けようと言う決断に至ってしまいました。

 

 

そこからの僕は、今まで以上に色々な事を考え続けました。

感染対策の更なる拡充、全体のスケジュール再調整、最低限の収益確保の為のライン作り、何度も何度も考え、考え、考え尽しました。

そんな日々を続けている内に、いつの間にか僕の頭の中は「誰かを楽しませる為に公演を行う」のでは無く、「とにかく公演を成立させる」と言う目標にすり替わってしまっていました。

迷走する僕の立ち振る舞いや言葉の紡ぎ方を見て、ひょっとしたら不快に思う人が居たのかもしれないし、ひょっとしたら心配をさせてしまっていたのかもしれません。

もっと誰かに頼ったり、時には本音を吐き出す勇気が僕に有れば、今とは違った結末も有ったのかもしれない。

そう思うと、自分の未熟な振る舞いの数々を反省するばかりです。

 

 

5/7、3回目の緊急事態宣言の延長が決まる一方でイベント業界の条件緩和も発表されました。

普通なら喜ぶべき発表だったのかもしれません、だけど僕にはどうしてもそうは思えませんでした。

感染リスクが日々増え続けているのに、国がOKしたからと言って本当にその通りにしていいのか?

勿論、今でも戦い続けている人達を否定したい訳では有りません。前例の無い情勢下で絶対的な正解なんて誰にも出せない以上、結局は自分なりの答えを見つけるしか無いのですから。

悩んで悩んで悩み抜いた結果、辿り着いた答えが「公演中止」でした。

「エンターテイメントは人に生きる活力を与えるモノであって、どんな理由が有ろうと人を脅かして良いモノではない」

時間が掛かってしまいましたが、それが僕の見つけた答えでした。

 

 

先にも言いましたが、もっと早くこの答えに辿り着けていたらお客様や関係者へのダメージが少なくて済んだのは紛れも無い事実です。

感情に揺さぶられて冷静さを失くし、迅速な判断を下す事が出来なかったのは主宰としての落ち度に他なりません。

何度謝っても足りないと言う事は重々承知しておりますが、

この場を借りてもう1度だけ謝罪させてください。

この度は誠に申し訳ございませんでした。

 

 

正直な事を言うとこの一か月とても苦しかったです。どんなに考え行動しても報われない、現実の壁に押し潰される日々が辛かった。

だけどそれ以上に、「みんなとお芝居を作れるのが楽しかった」

この気持ちが有ったから僕は頑張る事が出来ました。

短い間だけど僕に幸せな時間をくれたキャストとスタッフには、どれだけ感謝してもしきれません。

これから先どんなに大変でも諦めずにこの業界で生き続けていれば、いつかまたみんなと同じ現場に立てる日が来る事を信じております。

まだまだ未熟者ではありますが、これから先もどうか仲良くしてください。

 

 

ここから話は変わりますが、

すーぱーかみしばいの今後について、改めてここで明言しておこうと思います。

 

 

お客様を招いての「劇場公演」という形は、コロナウイルスの脅威が完全に消え去るまで行う予定はありません。

多くの人達に迷惑を掛けてようやく辿り浮いた一つの答えを、

僕はこれから己の信念として大事にしていこうと決めたからです。

 

 

だからと言ってそれまで何もしないと言うつもりも有りません。

時代は日々変化し、表現の仕方も多様に広がっております。

いつかまた、皆様に何らかの形でエンターテイメントを届けられるようになって帰って参りますので、気長にお待ち頂けたら幸いです。

 

 

 

長いお話に付き合ってくれてありがとうございました。

小林昂平はこれから先も脚本や演出として、何かしらのエンターテイメントを作り続けて行きます。

ブログは中々更新しないヤツですが、今度とも応援して頂けたら嬉しいです!(笑)

 

それではまた会う日までお元気で!こーへーでした!!

公式からも発表が有りましたが、
この度すーぱーかみしばい5の公演を取り止める事となりました。


キャストやスタッフ、そして日頃応援して下さるお客様に万が一の事が有ってはいけないと言う思いと、
事態の終息をギリギリまで待ち、何とか公演を行いたい気持ちとの間で揺れてしまい、中々決断を下す事が出来ませんでした。
誠に申し訳ございません。


今はまだ世間も後ろ暗く、多くの方が不安や苦しみに苛まれている事とは思いますが、
未来への希望を捨てることなく、すーかみ5は2021年への延期に向けて企画を最検討中です。


公演取り止めの連絡を関係者各位に回した時、沢山の人達が暖かい言葉をくれました。

まだ顔合わせも始まっていない作品にも関わらず、再開を望んでくれる人達が沢山いました。

不安と孤独に押しつぶされそうだった僕は、その言葉達によって救われました。

負けてはいけないなと、強く強く思いました。


今回出演予定だったキャストは本当に素晴らしい人達ばかりでした。
スタッフも僕が信頼出来る人達を集める事が出来ていました。
そして『こんなご時世だからこそお客様に見て欲しい』と思う脚本を、仕上げている途中でした。
未曽有の事態によって奪われた数々の夢や希望を、必ず取り戻す。
その為にも「Take back story」と言う作品を、このまま終わりになんてしたく無い。
そんな想いが、今でも胸の中で燻り続けております。


ですがそれは「今」では有りません。
人間にとって最も大切な「命」を守る為に、僕は一度立ち止まる事を決めました。
ですから皆様も、自分と周りの人の命を守る為に取るべき選択について、今一度考えてみて下さい。
この度の決断が、一つでも多くの命を守る事に繋がってくれれば誠に幸いです。


世界中の人々が苦しみから抜け出し、安心してエンタメを楽しめる日がまた訪れる事を、心の底から祈っております。


すーぱーかみしばい主宰
小林 昂平

皆様お久しぶりです!

Twitterやラジオなどで既に宣伝はしておりましたが、本日10/17より遂に!

 

 

「すーかみ4」DVD発売です!!

 

 

今日は手短に、DVDの購入方法についてご説明させていただきます!

 

 

1.すーかみ公式サイトの「shop」ページを開きます。

そこから販売サイトのURLを踏んで頂き、購入ページへと飛びます。

※画像参照

 

 

 

 

 

2.購入ページで必要数をカートに入れ、その後購入方法を選択します。(手続きが面倒である場合はゲスト購入の方が手短に済みます)

※画像参照

 

 

 

 

 

3.必要事項を記入して頂き、決済方法を選択します。(クレジット決済以外は手数料300円をお客様に負担して頂く事となります)

また、ゲスト購入を選んだ方は「PAY ID」の利用規約のチェックを外さないとエラーが起きます。※画像参照

 

 

 

 

4.必要事項の確認を済ませたら購入確定ボタンを押して下さい。

これにて作業はすべて終了となります。※画像参照

(発送には数日いただく場合がございます、予めご了承ください)

 

 

 

 

以上で説明をは終了となります。

もし何かご不明な点がございましたら、すーかみ公式サイトの「info」ページへとご連絡ください。

 

すーぱーかみしばい4「お願い叶えてパラドレスト」が一人でも多くの方の手に渡り、楽しんで頂ければ幸いです。

それでは本日はこの辺で!!

早いものでもう5月ですね!皆様連休はいかがお過ごしでしょうか?

僕はと言うと大量の画像データと映像データと格闘しながらこのブログを書いております。

GWなんてもう何年も満喫してません。ちくせう。

 

 

 

 

さて、本日はハンターチームの面々をご紹介いたします!

僕の独断と偏見とひとつまみの愛情を持って書いていくので、キャスト陣は…(略)

 

 

 

 

井上雄仁(ゆうじんさん)

グレイ 役

 

主宰からのお願い「お酒も良いけどごはんも食べてください」

 

 

ゆうじんさんはまんまグレイさんみたいな人でした。

口数は決して多くは無いけど、ちゃんとみんなを見守ってくれている人。何か問題があったら手を差し伸べてくれる、不思議な安心感のある人でした。

実は最初ドミニクをお願いする予定だったのですが、後述するゆーまくんの出演が決まり、顔合わせギリギリで「やっぱりグレイも見せてください!」と無茶振りをしました。でもあの時の判断は間違っていなかったと今では確信しています。

作中のアールくんのお願いと主宰からのお願いが奇跡的に被った辺り、ゆうじんさんがグレイを演じるのはどこか運命的なものが有ったのかもしれません。グレイはお酒飲まないけど。

クソ雑魚マスターとからかわれるシーンの全てがハンターチームのグレイとアールのコンビに凄くハマっていて、見ていてとてもほっこりする組み合わせでした。脚本家としてとても嬉しかったです。

 

好きだったセリフ

「ご苦労だった、アール」

ミイナとの戦いでボロボロになったアールを労うグレイのセリフ。

ゆうじんグレイはずっとこの言葉を言ってあげたかったのかなって、そう思わせてくれる素敵なセリフでした。

 

 

 

 

梨本りえ(なっしー)

マオ 役

 

主宰からのお願い「そのままの君でいてね」

 

 

なっしーはハンターチームのエンジンでした。お芝居で人を引っ張れるスゴイ人。

シャイな人が多いハンターチームを序盤から引っ張ってくれて、自由に振舞っているように見えていて本当は誰よりも沢山の悩みを抱えながらお芝居をしていました。

脚本の構成上とチームカラーの2つの理由でどうしても彼女に頼る部分が多く、負担も大きかったと思いますが、最後まで戦い抜いてくれた彼女のガッツは正にマオそのものだったと思います。

本業が舞台女優さんなので、色々と制約の多いリーディングは彼女の魅力を損ねてしまう恐れもあったのですが杞憂でした。

だってリーディングの一番の魅力は、お客様に向けての正面芝居から伝わる熱気。なっしーの熱量が伝わらないなんてことあるわけないのだから。

最後までハンターチームを引っ張ってくれて、ありがとう。

 

好きだったセリフ

「そうだよ、この世界はまだまだアールくんが知らない事でいっぱいなんだよ、だからもっと冒険しよう!こんな所でお別れなんてイヤだよ!」

パラドレストと運命を共にしようとするアールを引き止めるマオのセリフ。

梨本マオの作り笑顔が少しずつ崩れていく様に想いが溢れていて、好きなセリフでした。

 

 

 

 

 

三浦小季(さきちゃん)

アール 役

 

主宰からのお願い「優秀過ぎます、助手になってください」

 

 

さきちゃんはお若いのに凄く安定感が有りました。高性能ってこういう事よね。

劇中の芝居も振り付けも高いクオリティでさらっとこなし、けど決して奢らない性格だから稽古を重ねる毎にどんどんパワーアップしていく。

顕著だったのはDPPで星降りの夜を解説するシーン、最初はただの早口だったのが段々とペースを掴んで行き、お客様に聞き取れる範囲と自分の滑舌の限界ギリギリのラインに見事着地させました。もはや職人芸。

何でも完璧にこなせそうなさきちゃんだけど、意外と手先が不器用だったり絵を描くのが苦手だったりと、そう言った部分を照れ臭そうに自分から口にする所が、可愛らしくて好感が持てました。

稽古中何度も「アールが大好きです」と言ってくれて、凄く嬉しかったです。ありがとう。

 

好きだったセリフ

「ボクも本当はもっと冒険がしたかったです。だけどそれ以上に、ここにいる皆さんと世界中に広がる命を守りたい!だからボクに行かせてください」

ささやかな願いを押し殺して、自分の使命を果たそうとするアールのセリフ。

さきちゃんアールが辿り着いた人間らしさのゴールが見えて好きなセリフでした。

 

 

 

 

 

川上勇馬(ゆーまくん)

ドミニク 役

 

主宰からのお願い「オシャレのセミナーとかあったら紹介して下さい」

 

 

最後の最後に出演が決まったゆーまくん、ラストワン賞の男。

ゆうじんさんの時にも書きましたが、最初はグレイをお願いする予定でした。ただ僕は二人の出演していた舞台を見ていてなんとなく芝居感のイメージを覚えていたので、直前になって思い直し二人の配役を変更しました。ゆーまくんに関してもこの決断は間違いなかったと思います。

何て言うか気品がある人なんですよね。あれで僕より年下とか信じられない。

無理に飾らなくてもオーラが滲み出てるから、自然体でドミニクを演じられる人でした。今回の座組で大変貴重な「欲しがらない人」、役者って言うのは基本欲しがりの集まりなので、このスタンスは素直に尊敬できる部分でした。

普段の人柄はドミニクと正反対で温厚な優しいお兄ちゃん。小屋入りしてからはよくライラミイナの姉妹にイジラレていて主従感ゼロ。なんとも微笑ましい光景でした。

色々サポートもしてくれて、ありがとう。

 

好きだったセリフ

「フェレアゥスカァ……(ねっとり)」

フィリアスカとの茶番のシーンの1セリフ。

台本上では「フィリアスカ」ってちゃんと書いてあります。どうしてこうなった。

 

 

 

 

田代佳穂(たしろん)

ライラ 役

 

主宰からのお願い「『尊い』と『推せる』以外のコメント待ってます」

 

 

たしろんはお姉ちゃん役だけど妹キャラでした。声のカッコよさと中身の可愛さのギャップが魅力。

ギリギリまでライラのお芝居を掴むのに苦戦していました。当然だよね、本作の一番ダークサイド担当だったんだから。

迷走していた時期もあったけど、座組のみんなのアドバイスを取り入れてから少しずつ芝居に変化が見え始め、何とか本番までにライラを完成に持っていくことが出来ました。

きっと沢山努力したのでしょう、打ち上げでギャンギャンに泣いていたのがその何よりの証拠だったと思います。

たしろんは本作キャラクター達への愛が強く、特にカーバ推しだったみたいでずっと「尊い!推せる!」ってハシャいでいました。こっちのチームでは僕はジード役だったので複雑な心境だったのを覚えています。

自分以外のキャラも好きになってくれて、どうもありがとう。

 

好きだったセリフ

「……ごめん、ごめんミイナ」

ミイナの本心を知り、ようやく過ちを認める事が出来たライラのセリフ。

たしろんライラの隠してきた弱さが零れ落ちた、良いセリフでした。

 

 

 

 

 

橘ゆき(ゆきちゃん)

ミイナ 役

 

主宰からのお願い「面白いキャラしてるので初日からちょうだい!」

 

 

ゆきちゃんは顔合わせから打ち上げまでで一番印象の変わった人。主宰からのお願いはそのまんまの意味。

基本的にはしっかりしている子です。ミイナ同様クールビューティなのかな?って思ったのが第一印象。

けどフタを開けてみれば変な子、独特のワールドを持った変な子、変な子of変な子でした。

ゆきちゃんが素を見せ始めてから座組の雰囲気が変わった気がします。一定の線引きをしていたハンターチームがより仲良くなるきっかけがゆきちゃんだったのかもしれません。そこまで考えての行動だったとしたら恐ろしいほどの策士。

ゆきちゃんの演じるミイナにはしっかりとした強さが見えました。前のブログで「作中一番意志が強いのはミイナ」と綴りましたが、その辺りを見事に理解して表現していたと思います。

あ、いきなり人に体当たりするのは危ないからやめましょうね。

 

好きだったセリフ

「そんなのかんたんだよ、わたしはおねえちゃんがだいすきだから…だから、ほんとうにこころのそこから、おねえちゃんのおねがいをかなえたかっただけなんだ」

ライラの問いに、堂々と自分の想いを主張したミイナのセリフ。

ゆきちゃんミイナの強さを存分に反映させたこのセリフが好きでした。

 

 

 

 

小林涼花(すずちゃん)

フィリアスカ 役

 

主宰からのお願い「自虐は控えめに。お前もカワイイぜ!」

 

 

すずちゃんは人の気持ちを上げてくれる才能の持ち主、相手がどんな言葉を欲しているかが分かる優しい人。

人の良い所ばかりを見つけているので、自分の良い所には目を瞑りがち。作中でジードとカーバが「いよっ!イイ女!!」と言ったシーンは、そんなすずちゃんを励ます(いじる?)為に稽古後の飲み会から生まれたアドリブでした。お前もカワイイぜ!

フィリアスカは表面的なインパクトが強いキャラでしたが、すずちゃんはその内面に強く目を向けていました。フィリアが心の奥底に持つ『孤独』をしっかりと捉えてお芝居に組み込んでくれていたのです。

ドミニクとの茶番のシーンでの猿芝居は、毎回絶妙なバランスでした。欲しがらない二人だからこそ出来た名シーンだったと思います。

僕の事も沢山持ち上げてくれて、どうもありがとう。

 

好きだったセリフ

「ジードぉ……カーバぁ……出ておいでぇ………」

二人とはぐれ、思わず不安がこぼれ出たフィリアスカのセリフ。

あまりに可愛すぎてハートを鷲掴みにされました。姐さん一生ついて行きます!

 

 

 

 

小林昂平(こーへー)

ジード 役(いちおう脚本家)

 

主宰からのお願い「この項目考えるのに腰痛にならないでください

 

 

俺やで!と言う事で壮大な自分語りパート2!

ジードは普段から任される事の多いポジションだったので最初はあまり不安は有りませんでした。ただカーバが稽古を重ねる毎にどんどん面白くなっていくので、次第に危機感を覚えるようになりました。

なんとか対抗しようとジードにもボケを盛りまくっていると、演出の西原さんから「それだと二人共オイシクないよ」と言われ、方向性を見つめ直すことに。

結果的にこの修正は大成功でした。ジードがフリとなってカーバが落とす。脚本家のクセにこの構図の面白さに本当の意味で気が付いたのは、本番のお客様のリアクションを見てからでした。

慣れているキャラからも学ぶことが有る、大変勉強になりました。

 

好きだったセリフ

「ちょっとくらい変わったってカーバはカーバだ、オレの大事な弟だって事に変わりはねえ」

ライラの意味深な質問に対し、迷うことなく返したジードのセリフ。

数少ないジードのカッチョイイこのセリフが、演じていて一番楽しかったです。

 

 

 

 

 

大川颯太(ふーた)

カーバ 役

 

主宰からのお願い「泣きそうになるのが早いので、千秋楽まで頑張れ」

 

 

ふーたはすーかみ1からずっと口説き続けていた人、4年目にしてようやく振り向いてくれました。

過去一度だけ舞台で共演した役者友達でしたが、当時から彼の芝居に対しての情熱とプロ意識の高さは尊敬していました。

4年経った今でもその能力は健在で、寧ろ4年間の技術的な研鑽も感じられてより頼りがいのある役者に成長していました。

逆班で僕は同じ役を演じていたので、僕のカーバとは全然違う魅力のあるふーたのカーバから、盗める部分はしっかりと盗ませて頂いてました(笑)

そして何よりも、ジードを演じている上で伝わってくる『兄者への愛』。設定上その気持ちに気付いてはいけなかったのですが、心の奥底で受け止めながら芝居をさせてもらっていました。

カーバとしてもふーたとしても、支えてくれてありがとう。

 

好きだったセリフ

「アンコラコラコラコラコラコラアン!?」

10年前にヤンチャだったときのカーバの決めセリフ。

真面目な奴を選ぼうとしたけど無理でした。あまりにもキャッチ―過ぎる。

 

 

 

 

山下勝弘(かっちゃん)

御使い 役 

 

主宰からのお願い「本音で喋ってる時は何か合図ください」

 

 

かっちゃんはリアル御使い。鋼鉄の心臓を持ったきまぐれクソ野郎(誉め言葉)

とにかく笑いへの貪欲さがスゴイ。逆班の御使いはギリギリの線引きが上手かったのですが、かっちゃんはその線を飛び越えていく。限界を超えた先に有る笑いを取りに行く、アドリブの怪物。

もちろん稽古中は失敗もありました。その後きっちりペースを崩して噛み倒したりもしました。でもそんな人間らしい部分も含めて僕はかっちゃんという役者さんが大好きになりました。

そしてアドリブに目が行きがちだけど、前提として芝居がメチャクチャ上手い人でした。好き放題やっているように見えてちゃんと空気を感じながら芝居をしている。そんなかっちゃんだからこそお客様は笑ってくれたのだと思います。

実は陰で細かな質問やアドバイスもしてくれました。ハンターチームを支えてくれて、どうもありがとう。

 

好きだったセリフ

「そこまでです、世の中には解き明かさない方が面白い事も存在するのですよ、アール」

最後に何かに気が付いたアールを制した御使いのセリフ。

終始きまぐれだった御使いの感情が初めて見えたセリフ、大好きでした。

 

 

 

これにてハンターチームのお話はおしまい!

終演から一週間経ちましたが、未だ熱気冷めやらぬすーかみ4!

ネタバレも解禁されたので、今一度ご感想をTwitterなどで頂けますと、キャスト・スタッフ一同狂喜乱舞致します!!

#すーかみ4

#おねパラ

でお願い致します!!

 

 

 

 

さて、本日はキャストのお話。まずはトレジャーチームの面々をご紹介いたします!

僕の独断と偏見とひとつまみの愛情を持って書いていくので、キャスト陣はクレームを送る場合個人LINEで留めておいてください(笑)

 

 

 

 

小山博之(こやまる)

グレイ 役

 

主宰からのお願い「カワイイポイント稼ぐのやめてください」

 

 

こやまるは見事なまでに『バランサー』でした。

ヤンチャっこが多いトレジャーチームで基本的にはイジラレ役。かわいいかわいい言われて、照れて耳まで真っ赤にするくだり、マジで何万回も見せられた気がする。

その一方でナイーブ色が強い座組の悩みを聞いてあげる相談役を自ら買って出るシーンも多かったです。本当に優しい人だ。

稽古初日からグレイさんに髪色を寄せてきたり、逆チームの稽古にも顔を出したり、言葉には出さなくても作品に対する情熱は誰よりも高かったんじゃないでしょうか。

主人公っぽくない主人公・超絶天才キャラ、二つの難しいキャラクター性を見事に表現して見せたのは、彼がこれまで積み上げてきた技術の高さが有っての事だったと思います。マジリスペクト。

 

好きだったセリフ

「良いワケねえだろ!頭の中で何万通りもシミュレーションをした、けどもうこれしか方法が思い浮かばねえんだ」

終始冷静を貫いていたグレイが唯一感情を露わにするセリフ。

こやまるグレイが込めたアールへの思いが伝わってきて好きでした。

 

 

 

 

姫野つばさ(ひめさん)

マオ 役

 

主宰からのお願い「アドリブのクセがスゴイ!」

 

 

ひめさんは一見可愛らしいのに、中身は超絶に大人。なんて言うか名探偵コナンみたいな人。

忙しい人なので稽古合流が遅かったけど、持ち前の真面目さと絶妙なキャラクターでスグに座組に溶け込んで行きました。周りの人を惹きつける不思議な魅力が正しくマオでした。

自頭の良さがマオとは正反対なんだけど、それを完全には殺さずに自分なりのマオを作り上げていく様を見て、この人スゲーなーって思ってました。アドリブのクセがスゴイんじゃ。

他の仕事も抱えつつなのに劇場入りしてからの気遣いも半端なかったです。毎公演前、龍角散ダイレクトを配り歩く『ダイレクトおばさん』にはいつも助けられていました。

色々な人にかわいいかわいい言ってコミュニケーションを図っていましたが、あなたも十二分に可愛い人でした。本当にありがとう。

 

好きだったセリフ

「その私に分かる事がどうして分からないんだよ!!!」

全てを拒絶するライラの心を全力でこじ開けようとしたマオのセリフ。

姫野マオが言葉だけでなく体ごと突っ込んでいくのが見えて凄く好きなセリフでした。

 

 

 

 

漆畑美来(みらいちゃん)

アール 役

 

主宰からのお願い「つぶらな瞳が過ぎます。浄化する気ですか?」

 

 

みらいちゃんは真っ白なキャンバス。直視していると浄化されてしまいそうな何かを持って居る人でした。

いつも舞台を掛け持っているみらいちゃんも稽古合流が遅かったのですが、本格的に参戦してからの彼女の芝居には驚かされました。

だって『高性能ロボを』名乗っているのに全然高性能感無いんだもん!なのに芝居にはアールらしい純粋さが沢山詰まっているから何の違和感もなく見れてしまう。脚本家目線で見ててとても衝撃的な事件でした(笑)

その純粋さを貫いてくれたからこそ、ラストシーンでのアールとのお別れはより切ないものとなりました。最後まで笑顔なみらいちゃんのアールはとても愛おしい存在となりました。

稽古の合間にヒョコヒョコと誰かの隣に行っては、気まぐれなセリフを言って帰っていく。その自由な振る舞いに癒されていたキャストも多かったんじゃないでしょうか。

僕は癒されてました、ありがとう。

 

好きだったセリフ

「沢山の出会いが有って、沢山傷ついて、沢山の事を学びました。きっとこれが『冒険』という物なんですよね」

沢山の事を学習したアールが辿り着いた一つの答え。

みらいちゃんアールの純粋さが一番反映されていたこのセリフが好きでした。

 

 

 

 

 

大久保貴(たかちゃん)

ドミニク 役

 

主宰からのお願い「エロい吐息は程々に頼みます」

 

 

すーかみ3から引き続き参加してくれたたかちゃん。相変わらずすーかみ愛の強い人でした(笑)

僕がたかちゃんのお芝居で一番尊敬している所が『お客様の心を掴む速さ』

登場した瞬間にそのキャラがどんな人なのかが伝わってくる情報量の濃さが、今回ドミニクをお願いした一番の理由でした。実際その部分に触れたお客様からのコメントも多かったです。

役作りに決して妥協を許さないたかちゃんは、最後の最後まで苦しみながらドミニクと言うキャラと向き合っていました。

だからこそ、最終稽古で演出の西原さんに褒められた時に心から喜んでいました。あんな風に自分を追い込めるストイックさが有ったから、たかちゃんのドミニクは魅力的に映ったのだと思います。頑張ってくれてありがとう。

 

好きだったセリフ

「申し遅れた。私の名前はドミニク・シャドウファング、以後お見知りおきを」

いきなり現れたドミニクが高らかに自己紹介する時のセリフ。

上述したたかちゃんの役者としての魅力が詰まったセリフにガッチリと掴まれました。

 

 

 

 

 

野田あゆ美(あゆみん)

ライラ 役

 

主宰からのお願い「幸せになってください」

 

 

あゆみんは自分の心を生け贄にしてモンスター級のお芝居を召喚するデュエリスト。

トレジャーチームの誰もが、最初は彼女のお芝居のパワーに引っ張られていたのではないでしょうか。お客様から「ライラ役の人が凄かった」と言うご感想も沢山いただきました。

それくらい圧倒的だったライラへの愛情の深さと理解力。そしてミイナへの依存。

毎回の稽古で打ち合わせしてないと不可能なくらいミイナとお揃いの何かを身に着けていたあゆみん。正直ちょっと怖かったです(笑)

作品としてのクオリティを少しでも上げようと、あゆみんは裏で色々な提案をしてくれました。キャストの衣装やモニターの映像の一部に、彼女の努力の結晶が混じっていました。

3,500円に恥じないリーディングを作ることが出来たのは、彼女の影の努力のお陰でした。本当にありがとう。

 

好きだったセリフ

「もうやめろ!!!ミイナ!!!!!」

10年間拒絶し続けたミイナをようやくライラが受け入れるきっかけとなったセリフ。

最早語るまでも無いあゆみんライラの愛情が集約されたこのセリフが好きでした。

 

 

 

 

 

横山媛奈(ひめちゃん)

ミイナ 役

 

主宰からのお願い「お兄ちゃんて呼んでください」

 

 

ひめちゃんは沢山の事を考えている人、ただそれが少しだけ表に出にくい人。

今回2チーム合わせても最年少だったひめちゃん。初めての事だらけでいっぱい苦労したと思います。

ただでさえミイナと言う役はとても繊細な芝居が要求される難しい役。それをリーディングと言う特殊な形で表現しなければならない為、尋常では無いプレッシャーを抱えながら稽古に臨んでしました。

けどひめちゃんが逃げずに戦おうとする姿を見せてくれたお陰で、僕も座組のみんなも、何よりライラが最後まで彼女に寄り添ってあげる事が出来ました。ライラとミイナのラストシーンが沢山のお客様から好評だったのは彼女の頑張りのお陰です。

打ち上げの時に心の底から笑いながら「この公演に出られて良かった」と語ってくれました。お兄ちゃんは嬉しいです。

 

好きだったセリフ

「いいの?わたし、ミイナで良いの?」

満身創痍の中でライラから認めてもらえたミイナのセリフ。

ひめちゃんミイナの儚さがセリフと一体となっていてとても好きでした。

 

 

 

 

 

谷口優衣(ゆいちゃん)

フィリアスカ 役

 

主宰からのお願い「寝てください、お父さんは心配です」

 

 

ゆいちゃんもすーかみ3から続投で出演してくれました。そして企画書の段階でフィリアスカを熱望していました(笑)

心の繋がりを大事にしてお芝居を作るゆいちゃんは、個も勿論だけどビューティートリニティと言うチームの作りもとても深く考えてくれました。

僕が主宰と両チーム出演を抱えていた為に中々時間を割けず、彼女には沢山の負担をかけてしまいましたが、そんなゆいちゃんを座組のみんなが支えてくれたお陰で、少しずつフィリアスカとビューティートリニティは出来上がっていきました。

ビジュアル面でも極力フィリアスカに近づこうとしていたゆいちゃん。正直全キャラクターの中で一番再現不可能だと思っていたフィリアスカがあれほどのクオリティになったのは、彼女の努力の賜物でした。

フィリアスカとトリニティを愛してくれてありがとう。

 

好きだったセリフ

「仕方ないから、私も約束してやるわ」

アールが残した約束の言葉に、彼女らしく返したセリフ。

ゆいちゃんフィリアスカの成長が籠っていたこのセリフが好きでした。

 

 

 

 

 

三浦浩一(みこー)

ジード 役

 

主宰からのお願い「イケメンであざいとか、どっちかにしとけ」

 

 

みこーは客演最多の3回目の出演。すっかり可愛がられポジションに定着しました。

本人にも伝えましたが、今回の脚本が出来上がった段階で僕は絶対にみこーと絡みのある芝居がしたいと考えていました。

その結果生まれたのが、みこージードとこーへーカーバの兄弟。普通に考えたら配役逆だろと思われても仕方がない組み合わせでしたが、僕はむしろ『だからこそ面白い』と考えていました。

だって兄弟って必ずしも兄がヒエラルキー上とは限らないじゃないですか。弟が上に見える兄弟像だって絶対に面白い。その目論見はお客様の笑いと言う形で証明して頂きました。

みこーのジードが程よくヘタレな中二病でいてくれたお陰で、僕はすんなりカーバになる事が出来ました。毎公演終わる度に二人でハイタッチをするのが僕のささやかな楽しみでした。

付き合いの長さから、細かなお手伝いも沢山頼んでしまいましたがイヤな顔一つせず引き受けてくれました。

ありがとう、これからもよろしくな。

 

好きだったセリフ

「そうだー、二度とそんな酷い事言うな!傷つくからー!!」

ビューティートリニティが登場して2個目のジードのセリフ。

登場して早々にヘタレな部分がにじみ出た、みこージードらしいセリフで好きでした。

 

 

 

 

 

小林昂平(こーへー)

カーバ 役(いちおう主宰)

 

主宰からのお願い「この項目考えるのに徹夜しないでください」

 

 

俺やで!と言う事で壮大な自分語りのターン!!

今回カーバと言う役は、実は念願叶ったポジションでした。

と言うのも、外部で頂ける役は元気・爽やかな役が殆どで、勿論それはそれで有難いのですが、「たまには違う役もやりたいなー」と思っていたのも正直な所でした。

そんな中で今回カーバと言う役が生まれた時、絶対にやりたくて主宰特権で自分をねじ込みました(笑)

ドジバカ兄弟の回想シーンは想定よりもお客様受けが良く、毎回確かな手応えを感じながら舞台裏にハケられるとても有難い体験をさせて頂きました。

こういうダウナーな役のオファー、お待ちしております!

 

好きだったセリフ

「自分よりもヤンチャな人を初めて第三者視点で見て、凄いヤだなって思って、とても冷ややかな感情が芽生えたんす」

兄者が自分よりもヤンチャになった時のカーバの本音のセリフ。

カーバと言うキャラクターを象徴するこのセリフが、演じてて一番楽しかったです。

 

 

 

 

 

かわもとゆうき(ゆうきさん)

御使い 役 

振り付け/構成

 

主宰からのお願い「運動神経2%分けてください」

 

 

ゆうきさんはみんなを導く座組のアニキ。多分2クールアニメの12話くらいで死んで伝説に残るタイプ。

今回の大きな試みの一つである、リーディングなのに振り付けを担当してくれたゆうきさん。2チーム分担当してくれたお陰でハンターチームのみんなからも信頼されてました。

とにかく空間を掌握する事に長けた人で、振り付けとしても勿論でしたが御使いとしてもその能力を存分に発揮してくれました。

アドリブに関しても線引きが絶妙で、ネタ選びも実に入念でした。公演中にTwitterで迂闊な事を呟けなくなったのはゆうきさんの影響です(笑)

言うべきことは言う、でも緩むときは思いっきり緩む、役者としても主宰としても勉強させて頂く事を沢山示してくれました。

ありがとうパイセン、今度飲みに連れてってください!

 

好きだったセリフ

「………確かに聞き届けました。叶うと良いですね、そのお願い」

アールの最後のお願いを受け取めた御使いのセリフ。

セリフ回し、自己演出、共に完璧な締め方でとても好きでした。

 

 

 

これにてトレジャーチームのお話はおしまい。

次回はハンターチームのターンだよ!!

すーぱーかみしばい4

「お願い叶えてパラドレスト」

超満員!御礼!ご来場いただき誠に有難うございました!!!

 

すーぱーかみしばい4回目の公演にして小屋入りの当日にチケットが全て完売すると言う、正しく「嬉しい悲鳴」という体験をさせて頂きました。

少しでも多くのお客様に見て頂きたい一心から増席を決意し、結果お客様にはご不便をおかけしてしまいました。

ですが、アンケートやTwitterやご家族御友人からなど、本当に沢山の温かいご感想を頂く事が出来ました。

間違いなく歴代最強」の作品に仕上がったと、胸を張って言う事が出来る結果を残せたと思います。

 

 

燃え尽き症候群の真っ最中では有りますが、ご来場いただいたお客様や今回の公演に力を尽くしてくれたキャスト・スタッフ一同の為に、色々な事を綴っていきたいと思います。

 

 

 

~お願い叶えてパラドレストが出来上がるまで~

 

「お願い叶えてパラドレスト」は『すーかみでやりたかったことの詰め合わせBOX』な作品でした。

生演奏・振り付け・ドット絵等々、普通のリーディングでは中々見られないであろうモノをこれでもかと詰め込んだ作品。

これらを取り入れようと決めたきっかけは、すーかみ3「それでも僕らは夢を見る」の公演を終えた後でした。

もちろんあの作品も今でも大好きで愛おしい作品です。ですが初めて100分を超える長編リーディングに挑み、その難しさを痛感した作品でもありました。

お客様にもっと喜んでもらえる作品を、リーディングシアターと言う形式を愛してもらえる作品をと思い、僕の脚本の原点である『ファンタジー作品』に全力投球する事に決めました。

今までの僕の作品は「日常+ファンタジー」が殆どでした。しかし従来のやり方では満足の行く結果を出せない、なので今回初めての『完全なファンタジー作品』を作る事になりました。

世界観の構成・そこに生きる人々のバックボーン・それらを組み合わせどういった話を作るのか、今まで書いてきた作品に比べるとスタートラインに辿り着くのすら困難でした。

スランプと言う言葉はあまり好きではないのですが、そんな言葉を思わず使いたくなってしまうほど、とにかく執筆が進まなかったことを今でも覚えています。

苦しみながらも執筆をつづける中で、別の現場でお会いした方や過去にお仕事をさせて頂いた方、とにかく沢山の才能溢れる人達との出会いや繋がりが「お願い叶えてパラドレスト」に少しずつ面白くなる為の可能性を与えて行ってくれました。

『沢山の人達がいてこの世界は成り立っている』と言う、今作のテーマの一つが生まれたのも必然だったのかもしれません。

 

 

~キャラクターのおはなし~

 

 

グレイ(ドクター・グレイ)

 

今作の目標の一つに「主人公らしくない主人公」を作ると言うのが、僕の中には有りました。

夢やロマンを否定し、他者に対しては基本的にはドライ。サブキャラでは作る事が有ってもこういったキャラを主軸にした事は今まで一度も無かったので、この挑戦も新たな可能性を生むのではないかと思いグレイと言うキャラクターが作られていきました。

すーぱー強引なマオに半ば無理矢理パラドレスト探しに協力させられたグレイでしたが、やはり根底には彼女への「感謝」がありました。

親の顔も知らない幼少期、欲しくも無かった天才的頭脳を悪い大人達に利用され生きる事に絶望していた時、アールと出会った。

自分を救ってくれたアールを生み出すきっかけとなったのがマオだったと知り、そのマオが悩み苦しんでいる時に背中を押してやりたいと思った。

不器用だけど彼なりの優しさが育まれていくストーリーが、グレイにとってのメインテーマでした。最初から最後までちょっとだけ分かりにくい人だったと思います。

頂いたコメントの中に「主人公ってグレイじゃなくてマオじゃないの?」という物が有りました。

その解釈も勿論正解の一つだと思います。けど作中で御使いが口にした「無数の中に有る答えの中から自分だけの答えを見つけ出す事が大切」 という言葉に則るのなら僕が出した答えは『今作の主人公はグレイ』でした。

 

 

 

マオ(トレジャーハンター・マオ)

 

グレイを分かりにくい主人公に設定した分、マオはこれでもかと言うくらい直球なキャラに作りました。

猪突猛進、失敗も多いけど持ち前のガッツと運でなんやかんや乗り切り、周りの人間を自然と巻き込むパワーを持っている。

これだけ書くとまあ主人公ですよね、いわゆるヒロイン要素である『可愛げ』とか『守ってあげたい』みたいな雰囲気はナッシング。

大好きだったお父さんの後を追ってトレジャーハンターになり、パラドレストを求めたのもお父さんが何故帰ってこないのかが知りたかっただけ。

幼少期に父に伝えた『世界中の人のお願いを叶えて欲しい』と言う願いが、みんなが幸せになって欲しいと言う純粋な気持ちが生んでしまった『歪み』が、父を死へと追いやり身近な人達を傷付けていた事を知り涙を流す。後半になってようやく組み込む事ができたヒロイン要素でした。

それでも最後はグレイに背中を押してもらい、『ヒロインらしくないけどマオらしい気持ち』を取り戻して前に進む事が出来ました。エピローグでの引退宣言は、最後まで見守ってくれたグレイへの恩返しの気持ちを彼女なりに伝えようとした結果だったのでしょう。

ドクター・グレイと助手のマオ、二人の未来にどんな結末が待っているのかは皆さんが答えを見つけて欲しいと思います。

 

 

 

アール(助手の高性能ロボット)

 

何でもアリな世界観の中でも一番のチートキャラ、人間の様な感情を持ち、掃除洗濯整理整頓をこなしてビームを打つロボット。

主人公はグレイでヒロインはマオだけど、最後の最後に活躍するのはアールでした。言うなれば3人目の主人公でしょうか。

10年間人里離れた場所でグレイと二人で暮らし続け、その生活に不満が有ったわけでは無いけれど、外の世界という物に興味は持ち続けていた。

そんな中でマオが現れ、連れ出された世界はアールにとってどれだけ色鮮やかな景色だったのでしょうか。ドット絵ではない事は確かだと思いますが(笑)

自分自身の存在意義と言う、ある意味一番人間らしい悩みに対し「ドクター・グレイの最高傑作」と言う答えを見つけて生きてきたアール。そんな自分にしか出来ない事を最後の最後で見つけ、大切な人達を守るためにアールは光の中へと消えていきました。

御使いに聞き届けてもらった『最後のお願い』、そのお願いが不確かを何よりも嫌うグレイに、可能性に懸けて挑戦する意思を芽生えさせました。

何年、何十年掛かろうときっとアールは戻ってくるのでしょう。大好きなクソ雑魚マスターのもとへ。

 

 

 

ドミニク・シャドウファング(金持ちのボンボン)

 

数百年続く魔術の家系の四男であるドミニク。シャドウファングと言う名字はすーかみ2「1年ちょっとのヒーロー」から拝借しました。

人間の欲望を具現化したようなビジュアルと言動、本編中盤で裏切り『悪いヤツ感』を滲み出させながらも、実はそんなに悪い人でありませんでした。いい人でもないと思いますが。

望めば何でも手に入ってしまう日常、だけどそこに達成感は無くてむしろ虚しささえ感じてしまう。だけどプライドが高いから自分が持たぬ物を他人が持つことは許せない。そんな矛盾した葛藤を打ち砕く事が彼がパラドレストに求めたものでした。

そんな彼を変えたのがフィリアスカとの出会い。今まで自分の事しか考えず生きてきたドミニクが初めて他者に対して施してあげたいと思った。若干上から目線では有りますがそれがドミニクなりの愛し方なのです。

ドジバカ兄弟と再会し涙を流すフィリアスカを見て彼自身も泣いていた。そういった変化を感じ取ったアールくんが『別人みたい』とコメントしたのでしょう。フィリアスカとの幸せな未来の為に、がんばれドミニク!

 

 

 

ライラ(双子姉妹の強気な姉)

 

本作のダークホース的存在、中盤まではおふざけだらけの今作で後半から一気に話の流れを変える牽引役でした。

ボクは普段ダークな女性キャラクターというものをあまり書きません、理想の女性像を書いては『こんな女いねーよ』と批判される、その繰り返しでした(笑)

けど今回は挑戦の作品、今までやろうとしなかった事をやってみようと言う事で挑戦したのがいわゆる『ヤンデレ』のジャンルでした。

10年前、最愛の妹ミイナを病気で失い、神様に願い縋りついた結果生まれたのが別物のミイナ。

最初はそれでも嬉しかった、共に暮らしていればきっとまた元のミイナになってくれるはず。でもそんな事は有りえるはずもなくミイナは真逆の人間性を芽生えさせてしまった。そして姉妹はすれ違いの愛情を10年も引きずり続ける事になっていく…

欲望塗れなキャラクター達の中でも群を抜いてその気持ちが強かったのがライラ。自分の心も他者の命をも踏み台にして願いを叶えようとした。その果てに待っていたのは、ボロボロになった現在のミイナの姿。

どこまでもライラの願いを叶える為に生きたミイナの愛情が、10年間積もり続けたライラの心の闇を晴らしてくれたのでした。

アールへの贖罪の気持ちを持ち続けながらも彼女はこれから生きていきます。ミイナと、心の中のもう一人のミイナと共に。

 

 

 

ミイナ(双子姉妹の優しい妹)

 

ラスボスと言うと少し違う気はするけれど、バトル展開のクライマックスの相手は彼女でした。倒してはいけないけれど止めなければならない、無双を続けていたアールくんが最後に戦う相手としてはふさわしかったと思います。

アールがパラドレストに生み出された存在と言うのは、そこまで驚きの展開では無かったと思いますが、ミイナまでそうだったと予想できた方はどのくらい居たのでしょうか。

10年前にゼロの状態からミイナの身体に宿り、そこから始まった『ミイナになる為の人生』

唯一の拠り所で有るライラを喜ばせるには、自分がミイナに近づく事しか方法が無かった。会った事すらない人間に近づこうと努力するも上手くはいかずライラに怒鳴られる。そんな日々を10年も続けていても彼女の中の愛情が途絶える事は有りませんでした。

マオ達と出会い、肯定される喜びを知りながらも、否定しかしないライラの傍を決して離れなかった。

御使いに願いを否定され絶望するライラを制してでもミイナになろうとした彼女が、作中一番意志の強い人だったと思います。

元のミイナになる事は出来なかったけれど、もう一人のミイナとしてライラに認めてもらうことが出来た。そういった意味では『ミイナになる』という彼女の願いは果たされたと言っても良いのかもしれません。

 

 

 

フィリアスカ(ビューティートリニティの頭)

 

ライラ・ミイナのエピソードが激重だったので、なんとかそれらを緩和させようと生み出されたのがビューティートリニティでした。

だけど単なるおバカキャラにするのは嫌だったので、彼女達にもちゃんとドラマを与える事になりました。尺の限界ギリギリまで悩まされたのはビューティートリニティのせいだと思っています(笑)

フィリアスカは特に武力も無く頭もそんなに良くない、彼女の絶大な自信を支えているのは己の美貌ただそれだけ。

だからこそ、その美貌が衰える事を恐れて『永久の美』を求めた。美意識などまるで持って居ないはずなのに人から愛されるマオが憎らしかった。彼女は孤独になる事が怖かったのです。

いつからか共に居る事が当たり前になっていたジードとカーバが死んだと告げられ、恐れていた孤独への恐怖が一気に溢れ出した。虚勢を張って取り繕おうとするも、それも長くは続かなくて……

そんな中で駆け付けたジードとカーバ、いつもと変わらぬ間抜けな顔が何故だかとても愛おしく見えて、この時彼女は『永遠の美よりも大切な物』に気が付いたのです。

ドミニクとは割と相性が悪くは無いと思うので、ワンチャンはあるかもしれませんね、ワンチャンは。

 

 

 

ジード(紫電の右腕)

 

ビューティートリニティのヤンチャ担当、喧嘩っ早いのに対して強くないって言うのはどういう事なのでしょうか。

フィリア姐さんの事を心から崇拝し、弟のカーバの事も大切に思っている。意外と一番汚れていない愛情を持って居たのはジードなのかもしれません。

10年前、とても真面目で優等生だった頃、ヤンチャをしていたカーバを止める事が出来なかった。

星降りの夜で真逆の人格になったことをカーバは悔いていましたが、案外今の姿がジードにとっては理想としていたものだったのです。

そしてどれだけ性格が変わってしまっていても『根底』の部分は変わっていなかった。その事に気付いたカーバが少しづつ今のジードを受け入れていくことが今後のこの兄弟の課題となるのでしょう。ジード本人は何も気づいてはいませんがね。

 

 

 

カーバ(すごいひだりうで)

 

ビューティートリニティのツッコミ担当、「すごいひだりうで」は適当にも程が有るだろう。気付けよフィリアとジード。

意外や意外、今作のお笑い担当は御使いのつもりだったのですが、それに匹敵する程お客様の笑いを生んでいたのがカーバのターンでした。

10年前、ヤンチャな自分を止めようとした結果もっとヤンチャになってしまったジード。

その姿を見て改心するのではなく『引く』と言うリアクションを見せた辺り、無理してツッパッていただけなのかもしれません。

兄者の真意を知り、自らの生き方を見つめなおすきっかけをもらったカーバは再登場時、最初あれほどやる気の無かった名乗りを自分なりのアレンジを加えて披露して見せました。

実は嫌いじゃなかったトリニティのノリを受け入れた事で、3バカトリオはどんなチームになって行くのでしょうか。アールくんはすごく気になると思います。

 

 

 

御使い(パラドレストの案内人)

 

すーかみ3「それでも僕らは夢を見る」を見たお客様は「またこのパターンか…」と思ったかもしれません。なんせ書いてる僕自身がそう思いましたから!(笑)

とにかく好きなんですこういうキャラが、物語の枠組みをぶち壊すと言うか、手堅い作品作りを許してくれないキャラが。すーぱーかみしばいには必要なんです。

だけど前作と物語的な立ち位置まで同じにしてはいけないと思い、あくまでMCのような立場で場を回し、ストーリーやルールを時に飄々と時に淡々と解説する役に徹しさせました。彼の気持ちが表面化するのは最後の最後にしたかったのです。

「願いが叶う」と言うのは非常に解釈が難しいと思います。何か一つ欠けるだけで全然想定外の結果になってしまう、現実でも起こりうるこの『歯車の掛け違い』が、今作を象徴するテーマとなりました。

目の前にある現実をどう捉えるのか、グレイが語った「幸か不幸かは考え方一つで幾らでも変わる」と言う『一つの答え』が有る事に気付いてほしくて、パラドレストはあえてお願いから何かを欠けさせていたのかもしれません。

ウソかもしれません、何せきまぐれですから。

 

 

最後に、僕が今作を書きながらよく聞いていた楽曲をご紹介いたします!

本編を見た後なら歌詞に共感できる部分も多いと思いますので、是非ご購入して聞いてみて下さい!

 

曲名「Harvest」

アーティスト:(K)NoW_NAME

 
 
お次のブログではこんなハチャメチャな世界観で戦ってくれたキャスト陣を紹介しますよ!!