いつも貴方の笑顔の為に!
『ブルーマウンテン・ファミリー』ありがとうございました!!
最高のキャスト&スタッフ、そして劇場・配信でご覧になってくださった大勢のお客様のお陰で、無事に終演を迎えることが出来ました。
沢山の思い出を生み、掛け替えのない財産となった本作について、このブログで色々綴って行きたいなと思います。
※以下、本編のネタバレを含む内容となっておりますので、未視聴の方は是非アーカイブ動画をご覧になった上で先にお進みください
11/6 21:00まで、何度でも繰り返しご視聴出来ます!
『ブルーマウンテン・ファミリー』が生まれるまで
前回公演の「マイノリティ・アソート」が終了してすぐに今回の脚本演出のオファーを受けまして、勢いありすぎーずの制作会議に参加いたしました。
その時に制作サイドからお願いされていたのが
・誰でも気軽に見られる作品であること
・『家族』がテーマの作品であること
・1本90分前後の長編作品であること
・14人のキャストが登場出来る話であること
以上の4つでした。
実は長編の家族モノの話を書いた経験が無く、初期段階から色々手探りな中で脚本を作っていました。
コメディとシリアスのバランスや、14人と言う大勢のキャストが活躍するバランス、そして見てくれるお客様に何を残せるのかという核の部分。約1カ月の制作期間の中で本当に沢山悩みました。
試行錯誤の上に生まれたのが、『なんでも屋・ブルーマウンテン』と言う土台の設定と、20年前と現在を行き来しながら進んでいくストーリーラインでした。
家族で経営しているなんでも屋、そこに集まって来る個性的な客、そんなちょっと変わった世界観だから描ける家族愛のお話。
亡くなった父と母に見守られながら成長していく5人兄弟の青山家、その対比として描かれた根来家、血の繋がりは無いけれど確かな絆で結ばれたジンギ―兄弟、色々な家族の在り方を描けたのではないかと思います。
ではここからは!そんな家族たちに命を吹き込んでくださった素晴らしいキャスト達をご紹介していきます。
青山健太郎 堀江一眞さん
ブルーマウンテンリーダーで楽観的な長男の健太郎を演じてくれた堀江さんは、今回初めましての役者さんでした。
頂いていた資料や周りの人達からの評判を聞き、お任せして間違い無いなと感じたのですがズバリその通りでした!
基本は穏やかにみんなを見守っているのですが、時折お茶目なジョークを挟んできて場を和ませてくれる。その生き様は正に健太郎兄さんそのもの。
終演後にお話しさせて頂いた時も、これからのエンタメ業界の在り方について色々な考えを聞かせて頂きとても勉強になりました。勝手ながら「お兄ちゃんみたいだな~」と思いながらお話を聞いておりました(笑)
回を追うごとに増えていく多様なアドリブも、終盤の展開で義晴と対峙する時のカッコイイ兄ちゃんのお芝居も、どちらもとても素晴らしく、健太郎をお任せして良かったと心から思いました。
物語の主役でありながら、特別な力も大きな悩みも持たない平凡な人間である健太郎。だけど周りの人間を引き付ける不思議な魅力を持った人物。そんな健太郎を見事に演じて下さった堀江さんに大きな拍手を!!
青山春香 三橋加奈子さん
ブルーマウンテンの金庫番で真面目な長女の春香を演じてくれた三橋さんは、勢いありすぎーずでは何度かご一緒していたのですが、思い返すといつも変な役にキャスティングしていたので(笑)、今回は正統派のキャラクターをお願いしました。
三橋さんは稽古中も周りをサポートすることがとても上手で、そんなところがブルーマウンテンのサブリーダーで家族のみんなの面倒を見ていた春香と上手くリンクしていました。
一見しっかり者で強く見える、だけど本当は青山家の中で一番繊細で脆い春香を見事に表現してくれた三橋さん。
終盤でひまりに悩みを打ち明け、そこからはじまる『同じ歳の親と子の会話』は、この物語を作る上で一番最初にやりたいと閃いたとても思い入れのあるシーンでした。
ひまりが歌う「ゆうきのうた」を聞いて涙を必死に堪えながら芝居をする三橋さんの姿を見て、僕も凄く感激してまいました。
思い描いていた通りの春香を演じて頂き、ありがとうございました!!
青山夏葉&コウジロウ 古谷静佳さん
ブルーマウンテンの暴力担当でツンデレ次女の夏葉を演じた古谷さんは、前回の公演でもご一緒させて頂いたのですが、その時は短編作品であった為あまり沢山お芝居を見られなかった事を残念に思っていました。
ですが今回は長編作品でキャスティングで出来る言うことで、意気揚々と夏葉役をお願いしました。僕としては何の不安も無いベストな配役だと思っていのですが、本人的にはイマイチピンと来ていなかったみたいです(笑)
強めな言葉遣いや態度が目に付きやすい夏葉ですが、本当は誰かを思いやる気持ちが強い優しい女の子で、そんなギャップのあるキャラクターを可愛らしい声を持った古谷さんに演じて頂くことで見事に表現することが出来ました。
秋乃じゃなくても「なっちゃんカワイイ♪」「なっちゃんカッコイイー!」となったお客様は多かったのではないでしょうか。
兼ね役のコウジロウも、「天使みたい」と評されるに十分な素晴らしいお芝居でした。唯一青山家を二人も演じてくれてありがとうございました!!
青山秋乃 小原莉子さん
ブルーマウンテンの誘惑担当でセクシー三女の秋乃を演じた小原さんは、今回初めましての役者さんでした。
とにかく色々な現場に引っ張りだこでスケジュールが合わなかった小原さんでしたが、数少ない稽古でこちらの演出を即座に吸収してモノにしてくださり、驚くほどの速さで秋乃の芝居を完成させてくれました。
三女でありながら一番余裕のあるお姉さんのような立ち振る舞い、クルミちゃんに嫉妬する時の年相応な女の子の顔、茂夫さんを誘惑する時のセクシー&悪い女のお芝居、それら全てが見ている人達を強烈に惹きつけていました。
終盤のアクションシーンの時、「大好きななっちゃん×大好きな極道モノのセリフ=カッコイイー!!」と自らの立場を忘れてはしゃいでしまう姿が、とても可愛らしく印象的でした。
次またご一緒する機会がありましたら、もっと沢山お芝居についてお話させて頂きたいです!!
青山幸次郎 久下銀河さん
ブルーマウンテンの参謀で引き籠り次男の幸次郎を演じた銀河さんは、前回の公演で座組は一緒でしたが作品は別でした。
その時演じていたキャラクターがとても色気のある人物だったので、今回は真逆も真逆な陰の塊のキャラクターを「ある種の挑戦枠」としてお願いしたつもりでした。
ですが蓋を開けてみれば、当初の印象などすぐに吹き飛ばしてしまうほど生き生きと幸次郎を演じていました(笑)
オンライン稽古で一人だけ衣装を着ていたり、僕が思いつかないような独自なキャラクターの掘り下げをしていったり、毎回とても高い熱量を持って参加してくれていて、ある意味一番面白い仕上がりになったのは幸次郎かもしれません。
95%はヒッキーな幸次郎でしたが、不意に見せる普通の弟としての顔や、回想シーンの15歳の幸次郎が泣きそうになりながら家族への想いを語るシーンも非常に印象的でした。本当にどうしてああなってしまったんでしょうかね彼は(笑)
終演後に「言われた事はなんでもやります!」と語っていた姿に役者魂を見ました。カッコいいぞ銀河さん!
ケンタロウ&駒A 内田真広さん
楽観的な長男の少年時代ケンタロウを演じた内田くんは、勢いありすぎーずでは何度かご一緒しておりました。
普段からとても真面目で優しい人である事を知っていたので、ヤンチャなケンタロウの役は割と反対の印象だったのですが、
何と言いますか「内田ワールド」な捉え方でケンタロウに挑んで行き、他では中々見られないタイプのヤンチャなキャラクターへと仕上がって行きました。
ケンタロウは中盤でブルーマウンテンのリーダーになる決意をするシーンが印象的なのですが、いつもヘラヘラしていたケンタロウが真面目な顔つきで妹達に語り掛ける姿を見た時、内田君にお願いして良かったなと思いました。
兼ね役の駒Aは、イメージ通りのやられ役感を出してくれて嬉しかったです(笑)
長男としてみんなを守ってくれて、ありがとうございました!!
ハルカ&根来美晴 平山笑美さん
真面目な長女の少女時代ハルカを演じた平山さんは、今回初めましての役者さんでした。
春香役の三橋さんのことをよく知っていた分、そこにリンクする人を外部から見つけられるか最初不安だったのですが、平山さんのサンプルを聞かせて頂いた瞬間に即決いたしました。ハルカ→春香へのルートが平山さんの声とお芝居からハッキリと見えたのです。
思春期ゆえの難しくて面倒くさい部分の表現が非常に上手で、「ああ、みんなこういう時期を通って大人になったよなー」となんだか懐かしい気分になりながらお芝居を見ていました。
それを一番的確に表現していた「お母さーん!」というセリフ、あまりにもお気に入りだったので前説にも採用させて頂きました(笑)
兼ね役の美晴は、わずか2つのセリフで伝えたかった美晴の人間像を全て伝えてくれました。本当に凄かったです。
幅広い演技でこの作品を支えてくださりありがとうございました!!
ナツハ&駒B 唐沢百恵さん
ツンデレ次女の幼女時代ナツハを演じた唐沢さんは、何度かご一緒しての印象は『ボーイッシュな役が得意な女優さん』でした。
それは本人もそう思っていたようで、だからこそ幼女役が来た時は目を疑ったそうです(笑)
演出側の意図としては「暴力担当になる女性の要素が垣間見える幼女」を演じて欲しくてのオファーだったのですが、最後まで悩みながらナツハと言う役に向き合っていました。
後半のひまりが回想する子供達の成長シーンで、すこしだけ大人になったナツハが自分の長所について悩む姿が、稽古中悪戦苦闘する唐沢さんとダブって見えてとても印象的でした。
兼ね役の駒Bは色々な悩みから解放されたせいか、とてもイキイキと演じてくれていました(笑)
新しい事にいっぱいチャレンジしてくれて、ありがとうございました!!
アキノ 藤澤友里さん
セクシーな三女の幼女時代アキノを演じた藤澤さんは、何度かご一緒したことがあったので「何を任せても安心できる枠」に勝手に入れてある役者さんでした(笑)
前述したナツハの意図と同じように、「誘惑担当になる女性の要素が垣間見える幼女」を演じで欲しくてのオファーだったのですが、唐沢さんとは対照的に役所を掴み過ぎていた為にセクシー要素を押さえて貰う事に力を注いでいました(笑)
子供特有な舌っ足らずな感じのお芝居や泣いたり笑ったりの豊かな感情表現が非常に上手で、流石安心枠の女優さんだなと心の中で拍手していました。
代役として秋乃をやって貰う事も有ったのですが、小原さんとはまた全然違う面白さの誘惑担当キャラクターをいつも楽しそうに演じてくれていました。
数々のサポートをしてくれて、ありがとうございました!!
城島茂夫&青山慎之介 勝杏里さん
ジンギスキーの店員でエセ関西弁の茂夫を演じた勝さんは、今回初めましての役者さんでした。
現場稽古から合流だったのですが、最初から完成度抜群の演技を見せてくださり、稽古場を常に爆笑させていました。
だげどそれだけでは決して満足せず、最後までひたむきにクオリティを上げようと尽力する姿に、プロとしての信念を見た気がしました。
エセ関西弁についても、脚本に無い部分を埋めながら構築してくださり、絶妙な塩梅のエセ感へと仕上げてくれました。
コメディ要因として生み出した茂夫が、僕が思ったよりも遙かに面白くて熱いキャラクターになったのは、勝さんが真剣に役に向き合ってくれたお陰だと思っています。
兼ね役の慎之介(青山父)も、抜群のお芝居を見せてくれました。ラストシーンでのひまりとの会話は何度見てもグッと来ます。
コメディとハートフル、二つの大事な部分を担って頂きありがとうございました!
平泉誠 打田マサシさん
ジンギスキーの店長で渋すぎる声の誠を演じたダーウチさんは、前回の公演でご一緒した時にツッコミをお願いしたので次一緒になったらボケをやって欲しいなと思っていたら、何の偶然かピッタリのキャラクターが生まれたので一切迷うことなくお願いしました(笑)
ダーウチさんはことあるごとに「俺はボケてるつもりはない」と言うのですが、それがまた誠と言うキャラクターにピッタリで、「不器用な生き様が面白い」キャラクターにとことんハマっていました。
誠の何言っているか分からないセリフ、台本上では「ネコカフェジンギスキーの店長です(渋すぎて何て言っているか分からない)」と書かれているのですが、それをあの形に創り上げたのはダーウチさんのセンス100%です。僕から指定しなくても面白くしてくれるだろうなと言う信頼の結果でした。
ちなみに初見で聞き取れたお客さんは居たのでしょうか?(笑)
僕は役者さんの気持ちが乗ってセリフが多少変わってしまうことを咎めないタイプなんですが、終盤で茂夫に「お前が居なきゃ寂しいよ…!」と泣きつくセリフだけは変えないで欲しいとお願いしました。
その意図を汲んで見事な芝居をしてくれて嬉しかったです!
根来胡桃 なりた雛糸さん
ネコミミ付けた根来の妹ちゃんの胡桃を演じたなりたさんは、前回の公演で座組は一緒でしたが作品は別でした。
その時から抜群の存在感ある芝居をする人だったので、今回も存在感抜群のクルミちゃんをお願いしました。
ネコミミを付けてネコみたいな挙動をしながらネコ撫で声で喋る女性を、あんなに違和感なく演じられる女優さんを僕は他に知りません。それくらい文句の付け所のないハマリ役でした。
「ニャンコニャラリラニャリロリロリーン!」と言う詠唱も、演じる上で滑舌に苦戦して欲しいと言う意地悪な気持ちから生まれたセリフなのですが、稽古から数えて本番まで一回も噛む姿を見ませんでした。ちょっと悔しいくらい見事でした(笑)
後半から暗い表情を浮かべる事が多くなってしまったクルミちゃんでしたが、エピローグで義晴が春香に想いを伝えるシーンを見て歓喜する姿に「良かったねクルミちゃん」と、作者としての立場を忘れた感想を抱きました。
秋乃が嫉妬するくらい見事なナチュラルボーンサークルクラッシャーを演じてくれて、ありがとうございました!!
根来義晴 津田顕輝さん
新しいオーナー&根来のお兄ちゃんを演じた津田くんは、何度か見て来てとにかくエリート声の印象が強かったので迷う事無く義晴役をお願いしました。
個性的で賑やかなキャラクター達の中で唯一悪役ムーブで孤軍奮闘するポジションだったので、演じる上でかなりプレッシャーの有るキャラクターだったと思います。
声を張り上げずに人を追い込む芝居と言うのはとても技術が居るので、色々なことを演出としてお願いしました。その一つ一つに真摯に取り組んでくれたお陰で、義晴というキャラクターは出来上がって行きました。
もう一つ大事な要素として、ラストで憑き物が落ちた義晴が春香に改めて告白をするシーンでは、
「三橋さん(春香)となりたさん(クルミちゃん)をキュンキュンさせないと駄目だから」と、あえて圧を掛けてお願いしました。本人的にはもしかしたらここが一番悩んだかもしれません(笑)
沢山悩みながら最後まで演じ切ってくれて、ありがとうございました!!
青山ひまり 福山沙織さん
ブルーマウンテン2代目リーダーで青山母のひまりを演じたおりさんは、長い付き合いながらここまで長編の作品でご一緒したのは初めてでした。
家族モノの脚本を作る最初の段階で、「おりさんが母親で三橋さんが娘だったら面白くない?」と言う、若干悪ノリが混じったアイディアを元に、ブルーマウンテン・ファミリーが作られて行きました。
普通に見れば逆の配役の方が見やすいと思うのですが、
「子供達が幼い頃に亡くなった母が、20年の時を経て自分と同じくらいの歳に成長した子供達と再び会う話」
と言うフィルターを通すと、何故か違和感なく見れてしまう。そんな想定をして作り上げた設定だったのですが、その想定を超えて自然な親子として見えるようになったのは、ひまりという母親になろうとするおりさんの努力のお陰でした。
劇中歌でありエンディングテーマにもなった「ゆうきのうた」は、曲が必要なシーンだけ書いて作詞作曲は全部おりさんに丸投げしました(笑)
劇中では子供に向けて歌う子守唄のような感じに、エンディングではみんなの背中を押す応援歌になるような曲にして欲しかったのですが、どちらも見事すぎるくらい意図を汲んでれた仕上がりでした!
配信チケットを買うとテーマソングも付いて来るそうなので、みんな買ってくれよな!(笑)
誰からも愛される太陽のようなお母さんを演じてくれて、ありがとうございました!!
そして、今回も物語を素敵に彩ってくれた音楽隊の多田さん、SHEARTさん、青木さん、マリィさん。
舞台監督の谷さんにプロデューサーの原田さん、当日サポートをしてくれた劇場スタッフのみなさん。
本当に多くの人達の力を借りて生み出されたこの「ブルーマウンテン・ファミリー」
一人でも多くの方に見て頂き、楽しんだりほっこしたりしながら、家族の大切さを感じて貰えたら幸いです。
以上、ブルーマウンテン・ファミリーの振り返りでした!
勢いありすぎーずは、2023年10月に第4回公演が決定しているそうです。
僕がどんな形で関われるかはまだ分かりませんが、ご縁が有ればまたみなさんへ楽しい作品をお届けする為の一員になれたらと思います!
その日が訪れるまで、みなさんが日々笑顔で過ごせる事をお祈りしております!!!
勢いありすぎーず第3回朗読劇
『ブルーマウンテン・ファミリー』
脚本・演出 小林昂平