「花粉症とクロルフェニラミンOD6㎎錠発売中止の話」への読者さんのメッセージ
上記の3月12日の記事に関して、不正確な部分があり読者さんからメッセージを頂いています。読者さんの了解を取り、以下にアップしました。(青の部分)
kyupin先生のブログをいつも楽しみに読んでおります、ありがとうございます。
私は保険薬局の薬剤師で、精神神経科の処方せんも応需しているので、ブログで勉強させていただいております。
2024年3月12日のブログ「花粉症とクロルフェニラミンOD6㎎錠発売中止の話」の抗ヒスタミン剤のトータル1日薬価についての考察は、興味深いものでした。
後半にあった「これ(クロルフェニラミン2㎎錠)はたくさん飲めるが、OD錠ではない」の記述について、メールいたします。
文中のOD錠の語は、徐放錠が正確かと思います。
ODはOrally Disintegratingの略で、OD錠は口腔内崩壊錠の意味になります。
2023年7月に販売中止となった抗ヒスタミン剤は、d-クロルフェニラミンマレイン酸塩徐放錠6mg「武田テバ」です。
今は、先発品のポララミン錠2mgも、その後発品「武田テバ」、同「NIG」も流通が滞っておりますので、皮膚炎に対しては、アタラックスに切り替えた処方せんも見るようになりました。
アタラックス錠(規格10mg/25mg、ヒドロキシジン塩酸塩、分子量447.83)
アタラックス−Pカプセル(規格25mg/50mg、ヒドロキシジンパモ酸塩、分子量763.27)
効能又は効果(ともに)
蕁麻疹、皮膚疾患に伴う瘙痒(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症)
神経症における不安・緊張・抑うつ
末筆ながら、kyupin先生のご健勝をお祈り申し上げます。
なお、クロルフェラミンは眠い薬だが向精神薬を飲みなれている人にはあまり眠くならない。かなり重症なアレルギーの人で、アレグラ(フェキソフェナジン)やザイザル(レボセチリジン)で全然効かない人はクロルフェニラミンを希望する。特に医療関係者はそうである。
そのような人に、クロルフェニラミンは眠くならないですか?と聴くと、時間が経てば慣れていくと言う。
市販の睡眠改善薬にドリエルという薬があるが、これは抗ヒスタミン薬の眠さの副作用を利用したものである。主な成分はジフェンヒドラミン塩酸塩で、これも時間が経てば慣れる傾向がある。ドリエルとクロルフェニラミンは同じような薬といえる。
ドリエルやクロルフェラミンのような抗ヒスタミン系の薬を睡眠薬として服薬することは推奨されない。新しいタイプの睡眠薬、デエビゴ、ベルソムラ、ロゼレム(市販されていない薬)のようなタイプがずっとマシだと思う。
風格のあるサバトラ猫
体が大きく風格あるサバトラ猫。少しわかりにくいかもだが、右耳がカットされていてオス猫である。多くの地域猫の耳のカットを見ていると、平均してオス猫の方が体が大きいのがわかる。
最初こんな風に近づいてきた。
目つきは鋭いけど、周囲の猫との様子を見ると性格は穏やかだった。
サバトラとは、シルバーグレーの毛にブラックの縞模様があるネコである。キジトラはよく見るが、サバトラはさほど多くはない。珍しいかどうかは知らない。
僕の目の前を悠々と歩いていく。実に落ち着いている思った。
猫には個性があり、いつも落ち着きなく動きが多い猫と、このように落ち着いている猫もいる。
お腹に少し白い部分がある。このように腹のところに白い毛が少しだけ入っているサバトラは、サバ白と呼ばれるらしい。
このサバとは魚のサバである。またサバトラは正式な猫の種を言っているわけではない。
クリニックで自立支援法の診断書をあまり勧めない理由
民間の精神病院は基本、外来患者さんに自立支援医療(自立支援法)を勧める。しかし、心療内科及び心療内科クリニックではあまり勧めないことが多いと思う。
なぜそう思うかと言えば、クリニックから転院してくる患者さんがその制度を知らないことが稀ならずあるからである。
診断書は書くこと自体は簡単で、近年はクリニックはほぼ電子カルテになっているので一層、容易になった。コピペで済む部分が大きいからである。
昔はクリニックに通う患者さんは平均して働いている人が多いことや、主治医が自立支援法の診断書を書くのが面倒だからではないかと思っていた。(実際、かつて精神科病院ではそのように言われていた)
また、積極的に書かない理由として、公的機関に提出することにより、患者さんが精神科に通院していることが他人に漏れてしまうなど、精神科のスティグマを利用する悪質なアドバイスもあったと思われる。公的機関がそのようなことを外部に漏らすのは違法行為である。普通、心配するには及ばない。
就労して年収がある程度あると除外されたり支払い上限が設定されるので、年収が高ければ高いほど自立支援法を受ける意味が薄れる。また年収が高いと、3割負担が1割負担になったとしても、その人にとって大した差ではないと思う人もいるかもしれない。(思う人は主治医)
そのようなこともクリニックであまり勧めない理由の1つだと思われる。
市町村民税が235000円以上、年収だと833万円以上では自立支援法は対象外になるが「重度かつ継続」だと自己負担上限が2万円であった。ただし、令和6年4月からはこの2万円の上限がなくなる。(この特例措置は令和9年3月31日まで延長されたとのことです。訂正します)
ただし、外来治療で自己負担が2万円までかかることはまずない。デイケアに毎日来て、訪問看護も受けるような人は自己負担2万円の打ち止めに達する可能性がある。精神科は医療費が安いからである。(自費で支払ったとして、外来だけで月20万円に達することはほぼないと言う意味)。
年収が概ね400万から833万の間の人は上限が1万円になる。これは1割負担で1万円なので、つまり自費で10万円と言う意味である。クリニックの場合、デイケアをしていることがほとんどないため、月に来院する日が1日か2日の人が多く、1万円はまず超えない金額である。
自立支援法を受けない場合は3割負担になるので、高価な薬を処方されている人は結構支払わないといけないケースもあると思われる。例えばジスバルなどである。
上記から抜粋。
今回、遅発性ジスキネジア治療薬が新発売された。ジスバルという商品名で白のカプセルである。40㎎の1剤型しかなく、かなり薬価が高い。1カプセル約2331円もするため、1か月で7万円もかかる。しかも適宜増減でき80㎎まで投与可能なので14万円までかかりうる。
ジスバルを処方されるような人は自立支援法を受けるべきだ。薬だけ切り取って計算してみても、21000円負担と7000円負担は大差である。自己負担上限が低い人はなお良い。
年収290万から400万くらいの人は月の自己負担上限が5000円まで下がる。大雑把に言えば、それ以下は上限2500円である。地方の民間精神科病院で外来通院する人のほとんどは、上限が5000円か2500円である。
だから自立支援法を受けると、月間で5000円か2500円以上は窓口で支払う必要がない。
精神医療費が比較的安価なこともあるので、クリニックではさほど影響がないと思うかもしれないが、3割負担が1割負担になることは結構大きいと思う。月間6000円支払うところが2000円になるからである。
たまに、民間の精神科病院から転院してくる長期通院中の人が自立支援法を受けていないことがある。これはたぶん、その人の年収的に、その人にとってたいした負担ではないと主治医が判断していると思った。つまり患者さんを見て判断しているのであろう。
あるいは、長期に通院しそうにない患者さんは、自立支援法診断書を書いたとして、診断書料金と診断書を書く労力が無駄になることもある。これも勧めないのは、患者さんを見て判断していると思う。
細かすぎて微妙な点を挙げれば、自立支援法は通院する病院と院外薬局が決まってしまうので、本人が転院したいと思う時、それを病院に伝えなくてはならない。言わないで転院したとしても、自立支援法も引っ越しになるので、結果的に伝わってしまうのが患者さんにストレスと言うか気になることであろう。(地方により、2つの病院を指定できることあるらしい。あるクリニックに通院し、他の病院のデイケアに通うのは自立支援法でも可能)
しかし前病院やクリニックがある場合、紹介状がないと診ないという病院やクリニックもあるので、そこまで自立支援法の有無は関係しない。
自立支援法は、基本、精神科の薬に限られているため、例えば、甲状腺剤は精神疾患に適応がないので認められない。うつ病や双極性障害の治療マニュアル的には使う場面があるが除外されているのである。同じ理由で抗癌剤やリウマチなど膠原病の薬、降圧剤などもそうである。
一方、便秘薬はたいていの向精神薬で副作用として挙げられているので、安価な便秘薬であれば認められる。一方、アミティーザやリンゼスは高価なので不可である。
この辺りの線引きはかなりローカルな面があり、地方によれば認められているところもあると思われる。
このような話が出るのは、既に予算的に自立支援法が継続できるか怪しくなっているからだと思う。これは精神医療そのものも破綻しかねない話である。
かつて、外来で麻酔下ECTを実施し1ヵ月の外来医療費が軽く100万を超え、自立支援法のチェックの先輩精神科医から苦情が来たのは今は昔の話である。なぜ100万を超えたかと言うと、当時まだ麻酔下ECTが「まるめ」ではなかったからである。(麻酔をするだけで大変な額)。
この話は2000年以前の話だが、査定はされず、今後は入院させて麻酔下ECTをするように注意を受けた。更に、自立支援法は高額医療を想定していないと言われたのである。
このように、自立支援法も厳格な運用をすべき時代が来ているのである。
正しい評価をしない職場
会社全体で、社員を正しく評価をしなかったなら、社員の士気も上がらず、次第に業績が下がっていくと思う。今回は、会社のある部署で部下に対して正しい評価をしない上司の話である。
実は、2009年の過去ログに今回のテーマと似ている記事がある。これは詳しく書いているので興味がある人は読んでみてほしい。
部下について正しい評価をしない上司は、一部の社員のメンタルヘルスを悪化させる。その結果は、「適応障害」であろうが、適応障害は診断基準的には長期間診断を続けられないため、長引いたときは「うつ病」などの診断に変更される。この理由で精神障害者保健福祉手帳には「適応障害」の診断は不可である。
上記のリンクの「人をうつに陥れる達人」は誰から見ても明白なパワハラを行っているが、今回の記事は、そのレベルのいつもパワハラをする人を対象にしていない。
人を選ばずパワハラ的な言動を行う上司は、部下が多数「適応障害」に陥るので、時に同じ職場から3名うちの病院に受診し、皆同じ上司の苦情を言う事態になる。また、当初はパワハラの対象にならなかった人も、パワハラが理由で辞める人が続出するうちに自分にも順番が回ってきてパワハラを受けるようになる。
過去に、同じ職場から3名初診というのは僕の診ている範囲だけで実に3回もあり、日本が未だに言葉の暴力が頻発する体育会系会社が多く存在していることがわかる。同じ職場から複数名初診したら、その上司に問題があるのは明白である。
一方、初診した本人だけ上司のパワハラを非難するケースは、本人に問題があり、上司が平均的なボリュームで何度も叱責していることも良くあるので、本人の疾患性も仔細に診る必要がある。本人に問題があるケースは、発達障害的な疾患性があることもしばしば診られる。例えば、社交辞令で女性のお客さんに「○○さんに似てますね」と言うと叱責されるのは当たり前である(○○さんは力士)。
今回の記事は職場全体ではなく、特定の部下に著しく不当な正しくない評価をする上司の話である。そのよく叱責される部下は他の社員よりむしろ出来が良かったりするのである。
僕はなぜその上司はそのような奇妙な心理に陥っているのか興味を持った。社員の正しい評価をしないことは、長期的には良い人材が会社の残り辛くなるので、会社が傾く結果になりかねない。
1つの可能性として、その上司はその部下の才能に嫉妬して、辛く当たっているのではないかと。その行動はその上司の自己評価の低さを反映している。しかも部下が自分の言葉でどのように感じるのか読めており、心の理論的には正常に近いと思われる。
また、そのような上司は、客観的にみて仕事ができない部下を高く評価し持ち上げたりするため、社員全員の評価はめちゃくちゃな事態になる。仕事ができない部下を評価して、対象になっている能力の高い部下をクサらせるのは、悪意と言ってよいであろう。これはその能力の高い部下への嫌がらせである。
しかしその上司を呼び、なぜそのようなことをするのか問えば、たぶん、その対象の部下の「発奮を促したかった」くらいに言う可能性が高い。だからこそより悪質なのである。
日本では小学校から高校まで飛び級がないが、一方、高校以降大学までは留年はある。
つまり日本は、飛びぬけていると刈られる社会なのであろう。
失われた30年間は、このような日本社会の欠点も深く関係していると思う。