憧憬☆カトマンズ (文庫ダ・ヴィンチ)/KADOKAWA/メディアファクトリー
¥680
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内容紹介
自分探しなんて、しない。きっと、私たちは大丈夫!
「女による女のためのR‐18文学賞」受賞作家・映画『花宵道中』原作者による、
痛快&爽快!
ワーキングガールに元気をくれるウルトラハッピーストーリー
29歳の、私たち。
派遣の生き方、正社員のやり方、仕事か恋か、外見か内面か、
悩みは尽きない年頃だけど、それでもウルトラハッピーに生きていく!
爆笑ガールズトーク満載、読めば元気が出ること間違いなし!
一年後の30歳、何があるかはわからないけど、
きっともっとイカした大人に近づいているはず!
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憧憬☆カトマンズ
脳膜☆サラマンダー
豪雪☆オシャマンベ
両国☆ポリネシアン
解説:山内マリコ
内容(「BOOK」データベースより)
外資系ITサポートセンターで働く29歳の派遣OL・後藤。
ユーラシア大学時代からの親友・中尾と、飲み屋で本音トークを繰り広げる日々。
自分探しなんてまっぴら、腹立つことや悔しいこともいっぱいあるけど、
私は私で、きちんと生きてる!全ワーキングガール必読、仕事に恋に悩む、
アラサー女子の憂鬱を吹き飛ばすウルトラハッピーストーリー。
解説は、作家の山内マリコ。
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「面白いよ」と読書仲間にすすめられて 読んだ一冊。
作者本人の解説にあるように「ウルトラハッピーエンド」な話。
自分の心を飾ることなく、愚鈍と思われるほとまっすぐに
自己に忠実に生きようとする主人公の女性達。
「あり得ないハッピーエンドな話」を作者は目差して書いたというこの作品。
面白い!
さら~っと2~3時間で読めてしまう。
この作者には、同じような「アラサー小説」(?)が、後数冊あるらしい。
微妙にリンクしているらしいので、読んでみようかしら。
今は、夏休みである。
しかも、夏休みが終わりかけている時期でもある。
この時期、子供さんの居る家庭では
宿題をどう片づけるのか?で、盛り上がっているのでは?
(現に、私の知人宅でも 大騒ぎの真っ最中だ)
そして、夏休みの宿題で思い出されるのが
「読書感想文」だ。
感想文指導の時、
「面白い」だけではなく、どこが どういう風に面白いのか。
それによって、どう考えが発展したのか書きなさい。
などと、言われたし、また そう指導もしてきた。
「いやいや、面白いものは 面白い以外、書き方がないだろう?」
と、当時の私は思っていたわけだが、今になってみると
当時の飾らない自分の考えを、きちんと文章にして残しておけば よかったなと
後悔している。
ということで、この作品について 何を感じたのか、思考がどのように発展したのか
残しておこう。
まず、この表紙である。
先にあげた本でもそうだが、表装とはとても重要だ。
それが、好みであれば 例え作者を知らなくても 手に取ってみるのでは?
それくらい、視覚に訴えるものは読書欲に影響する。
で、この表紙である。
最近、この手のイラスト表紙が流行りで よく見かける。
概ね、このイラストは評判が良いようだが、
私は、なるべくなら避けて通りたいと思う種類なのだ。
しかし、この表紙の二人、みょ~~に友人に似ている!
いや、単数ではなく、複数形として友人達に似ている!
そんな訳で、妙に親しみをもって 読み始めることができたのである。
私がハッピーエンドが好きだということを
良く知っている読書仲間から勧められた本なので
安心して読み始めた。
総ページ数243ページということは
小説としては、普通の分量ではあるが
連短編なので、サラサラと2~3時間で読めてしまい、
感覚としては、短編の部類に入れたいくらいだ。
それほど軽快に読み進められる。
内容としては、なにしろ主人公が元気だ。
主人公は、何も考えていないように見えるだろうが
実は、目的を見つけたら とことん進んでいく強さを持ち、
偽りのない、正義感を持っているのだ。
会社とは・・・いや、社会とは
兎角偽りで飾られている。
仕事場での主人公たちも、最初は偽った姿で過ごしている。
しかし、時間を追うごとに元々持っていた芯に
従って行動するようになる。
「今」だけしか見えてない無かった学生時代から
アラサーになり、少しだけ将来を見られるようになった
主人公達が、偽らずに生きていくには、結局は
シンプルに生きるのが一番いいのだと
選び取っていく姿が、清々しい。
ウルトラハッピーエンドな
軽い作品だが、私はこんな重い課題が思い浮かんでしまった。
「今の自分に偽りはないのか? 誰に恥じることなく まっすぐ生きているのか?」
幸せの鍵は、きっと そこにある。