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この度、今年が生誕100年にあたる中村真一郎先生の思い出を、120ページほどの冊子にまとめました。
ご興味を持っていただける方は、メッセージでご連絡をいただけると幸いです。

福永武彦、加藤周一、入野義朗、武満徹といった方々とのあまり知られていない(と思います)エピソードもいくつか書きました。

表紙のデザインは佐々木綾乃さんが担当してくださいました。

先に、欅坂46の「キミガイナイ」という曲が、歌詞にマーラーの名前が出てくる初めてのポップスではないかと書いてしまったが、PANTAの「マーラーズ・パーラー」(1976)という曲があったことを思い出した。
もっとも、この曲とマーラーとの関係はよくわからない(確か橋本治は、このマーラーというのはグスタフ・マーラーのことではないと書いていた)のだが。

マーラーが出てくる初めてのポップスではないとは言っても、一般に広く知られることになると予想される欅坂46のようなアイドルの曲にマーラーの名前が出てくるのは初めてと考えてもよいのではないだろうか。
歌詞にマーラーが出てくる既存の曲をご存知の方、ご教示ください。
執筆中の「日本におけるマーラー受容の歴史」に取り入れるのも面白いかと思っています。
欅坂46のデビューカウントダウンライブでの、「キミガイナイ」のステージの振り付けというか演出が、映画「マーラー」と関連があるらしいということで、ネット上でさまざまなことが言われている。
曲の初めのところで横たわったまま担がれて出てくるところで、それが葬列を暗示しているらしいということらしい(曖昧な言い方ですみません)。

マーラーの棺が担がれていく「映画」と言えば、ケン・ラッセルの「マーラー」の中の有名なシーンであろうか。
そこで使われているのは、まず第5番第1楽章、続いて第1番第3楽章、火葬炉のところでは第9番第1楽章、その後、灰が出されてからのシーンでは第7番第3楽章であった。
どれも非常に効果的に使われている。

だが、欅坂46のイメージとはあまりにもかけ離れているのではないだろうか。
4月6日にリリースされる欅坂46のデビューシングル『サイレントマジョリティー』に収録されている「キミガイナイ」という曲の一節が

「誰が聴いているのだろう マーラーの憂鬱な交響曲」

となっているらしい。

ポップスの歌詞にマーラーの名前が出てくるのは初めてのことではないだろうか。

「憂鬱な」という表現がとても不本意ではあるけれども、今までマーラーに縁のなかった人がマーラーに興味を持つきっかけになると嬉しい。
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『マーラーを識る』資料10、p.39。ボールト/ロンドン・フィルハーモニー盤(rec.&rel.1958)。Mahler/Symphony No.1/Adrian Boult/London Philharmonic Orchestra(Everest SDBR3005)