コロナ禍でこがばあとぽえっとの所属している

詩の同人「正午の会」もお休み続きで、

そんな中、二人でもメール合評会をすることに。

お互いに詩を創って合評する、

出来上がった作品に、お互いアンサーポエムを創る

という流れです。

それだけでは今一つ緊張感に欠けるため

このブログで発表することにしました。

しばしお付き合いくだされば幸いです!

 

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 トランジットピアノ 

            こがばあ

 

オスロ ロンドン アムステルダム・・・

世界の都市を結ぶ

あちらこちらの空港や駅、街角

人々の行き交うロビーに

ピアノが置いてある

  空港ピアノ 駅ピアノ 街角ピアノ

 

税理士 靴磨き パイロット 旅行者

恋人たち 恋を失ったばかりの人 父親と女の子・・・

さまざまな人たちが

吸い寄せられるように

ピアノに近づき

奏でては去ってゆく

柔らかい表情で

 

人々の思いもここでトランジット

ピアノが

それぞれの思いを音に変えて

ロビーのドームに響かせるのか

 

戦後の夏の日々にもしも もしも

ピアノがあったら

私はなんの曲を弾いただろう・・・

弾けもしないのに ときどき思う

 

空白のときを埋める

喜びを受けとめる

確かな音で

今の日々が光をましてゆく

 

ピアノは

音楽は

こころの トランジット

    

   (NHKのTVで繰り返し放映中の作品)

 

〈アンサーポエム〉

 

    トランジットびと

             ぽえっと

 

   あちらこちらをさ迷い歩いて

   ここまで来たものの

   何人かのトランジットびとがいた

   その時代ではその人の影響を受ける

   始まりは期待と希望にワクワクするものの

   終わりは大抵悲惨だ

   毎回自分の未熟さが原因で

 

   皆に迷惑をかけつつも得たものはあったはずだ

   でも思い出すと憂鬱になるので

   なにもかもすべて忘れてしまうことにする

   忘却とは完全に忘れてしまうことではない

   細胞に記憶されたことの重なりが

   今の行動になっている

   だからいま 直感で生きられる

 

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庭宇宙の六月

           ぽえっと

 

つやつやな剣先葉が押し合う中から

勢い良く伸びる長い茎の先に

ヘラのようなもの

最初は平べったく やがて膨らんで

薄皮を透かし粒々デコボコ

スッとひとすじ割れてお目見え

まだ色付かない蕾たち

控え目だけど サキマスヨ

と それぞれ主張して

 

アガパンサス

百合型の中花が集まりボール状に咲く

梅雨空に揺れる青

その青はーー

新しい未来の色だ

 

アパートのベランダに置いて行かれた鉢を引き取った

合わない小さな鉢から溢れていたのを

庭に植えて四十年近く

四十倍くらいに増えました

 

多すぎる人間の悪さにより

失われてゆく彼らの仲間もあろうが

地球規模の話より

わたしの庭にいてくれる君達と

お互いの心地よさについて

話し合うのがいい

この小さな庭宇宙の

大きな夢について

話し合うのがいい

 

 

〈アンサーポエム〉

 

    無題 

            こがばあ

 

   アガパンサスが

   いつの間にか空に向けて

   茎を伸ばしている

   夫が玄関わきに植えた花

 

   小さい庭のどの花も

   いつの間にか植えられて花開き

   ときを彩る

   あるじは居なくても