思い草へ              

思い草へ              

               ・ 




    

 

 

 

凍る大気のなかで 

たおやかに春は息づき 

花芽の目覚めを育てて うたう 

 

あなたのまなざしの記憶や 

もう思い出せない 肌触りが 

今も わたくしの眠りを温めてうたうように 

 

しずかに目を瞑って 

其のうつくしさを想う  

わたくしのなか 瞬く間に春がひろがる

 

 

 

PHOTO 山本てつや

 

 

 

✿ こんにちは❀

日本列島、寒の戻りに開花予想日は先送りになった模様ですね。
東京では21日→23日→24日と予想更新。

楽しみが先に延びるのも良いもので、ワクワクが長く続くと云うもの。
いずれにせよ、花は自ら時を選んで咲いてくれますから。

待つといたしましょうー❀

 

さて、今日の詩『瞬く間に春がひろがる』に添えて

我が息子たちの伝説的悪戯企画をご紹介いたしましょう(#^.^#)

それは今から十数年前の早春のこと。
当時大学2年生だった息子が深刻な顔つきで問うに…
「母さん、今の季節なら花は何?」と。
いよいよ花束を贈りたい女性でも出現かと思いきや。活動家排除のため校門前に警備員を配置し大捕り物を繰り返す大学、その構内のピリピリ感を和らげるための活動をするとかで(・・? 

つまり…大学の対応にやんわりと抵抗するってことだったのでしょうか(*_*)

 

〈 息子らの極秘活動計画内容 〉

或る早朝、警備員さんが出勤する。前日には何もなかった校門正面の花壇の変化に気付く。

その一面が朝露濡れた花々でうめつくされ、朝の光を受けて輝いている…以上。

…と云う象徴的かつ抽象的な抵抗活動。

ま、イメージとしては美しいと云えば美しいのですが💧
真夜中に大学構内に大量の花苗を持参の上で侵入、一晩かけて植え込み作業?💦

夜勤警備員さんの見回りをどうかわすことができるかが課題?💦

 

捕まった時の懲罰リスク&花壇一面の花苗購入費用リスクに対して効果はあまり見込めないけれどなぁ…と母は想う(-_-;)が「ふ~ん」とだけ返答し企画倒れになるのを待つ。

案の定、一カ月ほど頑張った末に資金が集まらず企画は頓挫イタシマシタ\(^o^)/

でも、母はそんな息子たちの平和構築活動の大ファンでした♡

 

十数年前の大学には、そんな子たちがいたと云うおとぎ話のような本当のお話でした。
めでたし めでたしw

 

2024年3月21日 スノウ

 

あいまいな仕草で時は流れて 

春愁にうつむきがちな心は

足元に咲くものを覚えます 

ふと 夢で触れた何かを感じて

視線をあげた空の手前 

白くマグノリアの静謐が

群れておりました  

冷気の融け込んだ三月の陽に 

わずか数日だけ許された

全き白を透かしながら 

遥かな青を思慕して 

祈りの姿のまま満ち足りて

 

 

PHOTO  HIDE

 

 

✿ いつのまにか3月も半ばを過ぎました。

春を深めながら、時花が駅への道を移ってゆきます。

梅、カメリア、菜の花、河津桜、ミモザ、白木蓮 ❀❀❀

いよいよソメイヨシノ開花近しと予報されています。

あなたの場所ではいかがでしょうか。

 

そもそも、この『桜開花予報』というもの…素敵♡

各TV局が花の開花を競って予報する国が日本以外にもあるのでしょうか。

確かフランスTVに『トリュフ発生予想』があるとか聞いた記憶が…
(↑真偽の程は不明です💦)
トリュフ予想は旬を楽しむ仏グルメ気質なのかもしれませんが

花がいつ咲くかを国中でワクワク待つ日本気質がいとしいですw

ああ、もうすぐ日本中が桜色になるのですね(#^.^#)


2024年3月18日 スノウ

 

 

あなたの眠る海が

光を生みながら打ち寄せる

砂にあがった 小さな桜色の貝殻を 
数分毎に揺らしながら 

 

潮騒は 風にうたう
風は 地を渡ってゆく 

高い防潮堤に遮られても
もういちど 逢いたい

              PHOTO 山本てつや

 

 

十字架 祈りの日に

2024年3月11日、祈りの日を迎えました。

今年もこの詩群に再掲リクエストをくださった貴女に感謝いたします。
くりかえし伝え続けるようにとの励ましは私の支えです。


この耳に今も残る『私たちを忘れないで』という声。
私は今年もその声に背中を押されてこの詩群を再掲しようと思います。

あの日から13年目を迎えた被災地の浜に思いを馳せて

14時46分18秒…心合わせてお祈りいたしましょう。
逢いたくても もう逢えない人を想う多くの心たちに

深い深い慰めがありますように。
 

:::::::::::::::::::::::::::::

 

【 あなたを忘れない 】

 

遠く あの海のうえを過ぎた風は 

潮の匂いを含んだまま

いま私にふく

 

遠く あの木々の間を吹き抜けた風は 

針葉樹のアロマを含んだまま

いま私にふく

 

遠く あの頬をそっと撫でた風は 

あなたの涙を含んだまま

いま私にふく

 

いま 私にふく

 

 

2012年 いわき市浜通りにて PHOTO  HIDE

 

 

 

春まだ浅い あなたの海に
それでも 凍った光の結晶は躍り 
水底から運ばれてきた貝殻たちが
小さく はしゃぎ声をたてている 

三月の海は 哀しいけれど
あの人は今日も 店先に魚と烏賊ゲソを干し
売れた干物よりも多い数のゲソをおまけに付けて
照れくさそうに笑うだろう

受難節の三月十一日
城壁のような堤防に狭められてゆく海岸線の手前で
本当に欲しいのは 思い出よりも今なんだと
ルフランする あなたの声

 

 

            2012年 浜風商店街にて  PHOTO HIDE

 

 

 

【 初めての被災地訪問  】

 

仮設住宅集会所、ふれあい交流の場「ほっこりカフェ」で

そこに住むご婦人方20名ほどとお茶をいただきながら過ごした。

 

「あんたはどこから来たの?」

テーブル向かいの方が声をかけてくださる。

「世田谷のサザエさん美術館がある街からです。駅前にサザエさん一家の銅像が建ってるんですよ。」と答える。
「波平さんの大事な一本毛が盗まれただろ? 前にTVで騒いでたっけ。見たよ。」

「そう、そう」と頷くみなさんの笑顔。

「あの毛、何十年かすれば、いい値がつくお宝になるべなぁ~。」

すかさず入ったジョークに爆笑。

新来の私たちを和ませようと配慮してくださるお気持ちが温かい。

 

前日から福島入りしていたミュージシャンの渡辺さんが
「今日も歌わせてもらおうかなぁ~。」と立ち上がってギターを持つ。

向かいのご婦人が私に言う。

「すごくいい歌でさ、感動するよ。昨日、私ら、泣いちゃったもんなぁ。」

カフェを運営しておられる牧師先生方が大きく頷きながら

おどけた身振りで涙拭き用ティッシュの大箱を各テーブルに配り始めるので

また大爆笑。

 

渡辺さんのギターの弦が弾かれた途端、皆の心がしんとする。

 

≪父の日 母の日≫

お母さん有難う 尊い命を

お父さん有難う 大きな愛を

私を父と母の子供にしたのは神さまです

 

お母さん 言うこと聞かずにごめんね

お父さん 生意気ばかりでした

お母さん ガミガミ小言がうるさい

お父さん 少しは分かって欲しい

それでも 父と母の子供にしたのは神さまです

 

お母さん どんなに心配かけたろう

お父さん たくさん叱られました

お母さん有難う もう一度言います

お父さん有難う 言葉にできない

 

曲が終わった。

最初に涙拭き用ティッシュの箱に手を伸ばしたのは私だった。

皆さんがそれを見て大きく泣き笑いする。

「ほら、やっぱり泣いたな~」

向かいのご婦人が潤んだ温かい目で私をからかう。

私はもう我慢できずに隣のご婦人の肩に顔をつけておいおい泣いてしまう。

 

「な、泣いてしまうだろ?この歌聞いたとき、

私は嫁にいく時に送り出してくれた母さんのこと思い出すよ。」

母と同世代であろうその方はそう言いながら、

まるで子どもにするように優しく私の頭を撫でてくださった。

それからしばらくの間、その方と話す。

 

お嫁に来た時の話やら、お義母さまとの事、初めて夫婦喧嘩した話やら。

失った家での幾つもの思い出を語ってくださるままにお聞きした。

「あんた、結婚してるの? そう、子どももいるの?

結婚はいいことばかりじゃないけどねえ。我慢するも、我慢しないも大事さ。」

私たちは頷き合いながら大笑いする。

 

でも…

私たちは話題の中心になっていたご主人が無事かどうかには触れない。

震災を生き抜いて一緒にこの仮設で暮らしておられるのかどうか。

私たちはそれには一切触れずに笑い合った…。

それが、私たちが出逢った初めての日。

 

 

          仮設住宅からの帰路に高速から見た夕日  PHOTO HIDE

 

 

 

瓦礫の中に凛と立つ 祈る葦たち  

あのひとは 彼らをそう呼ぶ

 

祈る葦たちは内なる声に聞き 日々を生きる

捕れた秋刀魚を開き 

味醂に付けて一夜を待つ

一夜を待ち 一日を生きる


いつのまにか冷えるようになった夕暮れの頃

葦たちは店を閉めて住家である仮設に帰る

そこで温かい魚汁をすすり 

不器用な仕草で愛し合う 

 

とっぷり暮れた秋の夜

濃藍に浮かび上がる山並みのシルエット

そして その向こうの海のうえには 丸い丸い月

 

 

                PHOTO 山本てつや


✿14時40分になりました。

状況の許される方はご一緒に心合わせ祈りましょう。

 

 

 

 

時満ちて 小さき命の咲く朝  

時辿りて 追憶の花 わが胸に咲きぬ  

時移らば やがて この身と消えゆく定めの

 

 時のしずく 縫いとめる如く

三月に咲き散るものたちよ 

春を謳え

 

 

PHOTO  HIDE

 

 

✿ TVから雪の予報がきこえる3月7日の東京ですが…
確かな足取りで春の命は野に息吹いています。

命短し 恋せよ乙女

いいえ、乙女だけではございません!

全生命を応援したい気持ちが膨れ上がりましたっ(笑)

そんな詩です♡

 

2024年3月7日 スノウ

 

 

祈るようにあなたを想う春の日には  

花も木々も鳥たちも あなたの声でささやく 

川べりに広がる 一面の菜の花 

まぶしさに閉じた瞼に そっと口づけたのは    

蜜色の光の厳かな告白 

 

淡いペティキュア 

オープントウのシューズでゆけば 

裸の足首が青む草のアロマに感応して

切ない微熱に疼きだす

たとえば  愛についての
 

 

PHOTO HIDE

 

 

 

✿冷たい風にコートの襟を立て歩いていても
ふと視界に入った菜花の黄色が背筋をまっすぐにしてくれるように。
私にはあの人が在るとおもえば、たちまち人生が耀きだすような…
そんなマジックがこの世界にはあるものです。

今夜はそんなマジック=愛について考察中のスノウです(笑)
そのお相手は触れる事の叶わぬ高嶺の花『推し』である場合も多く

ロックスターやミュージカルスター

アスリートやダンサーかもしれず

もう天に帰った往年の銀幕の女王や映画監督かも
もしくは一世紀前の詩人か哲学者かもしれませんね。

それが誰であれ、どんな関係性であれ、
そんなマジックが人生に起こった事はまさに奇跡!

愛は本当に不思議です。

 

思い出してみましょう。

あなたの隣りで怪獣のごときイビキをかいている、その方。
かつてはその方もあなたの人生に魔法をかけた人物だったはずでw

愛は本当に不思議です(爆笑)

そして…だからこそ人生は愛おしいものに溢れています。

2024年3月3日 スノウ


何処かで はぐれてしまった 花びら一枚を追う 
春の嵐のはげしさ 
湿り気を含んだ疾風にとつぜん背中から抱かれて  
揺れるカメリアの赤が薫る 

うつし世に ただ一輪として咲く花に見蕩れて 
風さえ立ち止まる 刹那 
止まった時間の真空に紛れて 
くちびるが忘れられない名前を囁く 



 

PHOTO 山本てつや

 

 

 

✿ 春一番が吹き荒れた2日間、そこからいきなり夏日寸前の気温…

翌、今日の冷たい雨はすっかり日本列島に冬を連れ戻しました。
そして今週末の天気予報には⛄こんなアイコンが並ぶ寒の戻り(*_*)

三寒四温の緩やかな春へのイメージを覆す現実ですね。

ちなみに三寒四温という言葉ですが…
どことなくフランス語風に聴こえませんか?
Sont quant si on?
サン クワン シオン?(笑)
そんな感じw

さて。
今日の詩は春一番を詠った私のお気に入り過去作です。

ここ数日、アクセス解析にたくさんの過去記事をたどってくださった足跡♡
この詩もどなたかにお読みいただいておりました。
2017年に書いたこの詩は懐かしい想いを運んできてくれました。
感謝です!

 

2024年2月21日 スノウ

 

春呼ぶ鳥の声が 
目覚めはじめた街に響きわたり  

新芽の浅い眠りに疼きをうながす朝  

 

瞼を閉じたまま あなたの命を想えば 

果てしない彼方から 
静かな水が小さく打ち寄せては素足を濡らし 

その余りの静けさに 

私は為すすべもなく漂いながら 

初めて 永遠を近くに感ず 

 

次の刹那 

私の窓辺に野鳥は舞い降りて 
けなげな命の重さが微かな音を立てる 

嘴を花粉で黄染め 蜜をむさぼる鳥の無邪気を 

透きとおる青を仰ぐ気持ちで胸に抱けば 
いつしか 春は来たり 

 

 

 

 PHOTO HIDE

 

 

 

✿まだ2月だというのに東京は4月並みの暖かさです。

もしかして…このまま春なのでしょうか⁉
少し怖いような気もしつつ、ポカポカな一日がうれしいです。
あなたの場所ではいかがでしょう。

 

皆様にはまだお知らせしておりませんでしたが…
一週間ほど前からヒヨドリのピーちゃんたちが4個体ほど

私のベランダに通ってくれるようになりました💚

あの邸宅が更地となって…樹々がことごとく伐採され
そこに生息していた鳥やイタチやリスの類はみな何処かに去って。
今年からはもう私のベランダに飛来する翼は無いとあきらめておりました。
再来がうれしいです❣

あ、今日はバレンタインデーなのですね。
この日は夫がいただいたチョコレートを美味しく食す恵みの日ですw
感謝(*^▽^*)


2024年2月14日 スノウ

 

牡丹の花片のごと

白舞う雪が夜を覆い

この世の音を何もかも吸いとって


無の気配をおもいだす

そこからはじまる 白いnothing

…が、深く青の静寂を聴いている

 

朝には消えてしまうものを
ひと夜抱く 

あなたと逸れてしまわぬよう


 

 

                              

★大雪です
あなたの場所ではいかがでしょうか。
まだまだこれから朝にかけて降り積もる地域もあるようで

豪雪地域の皆さまが心配です。

ただ今 午前1時半の東京はというと
雪が連れてきた真っ白な静けさだけが

世界をすっぽりと包んでいます。

時おり聴こえる雫の音が
朝にはこの白い景色を消してしまう気配を漂わすので
こんな真夜中に私はひとり雪見酒中(笑)

 

2024年2月6日 スノウ

 

群青く  鳥影射す地平に 

薄暮の静けさが戻ってくる頃
眠れる想いは目覚めはじめる 

指に挟んだペンを置き
指先に宿るものを見つめれば 
暮れなずむ生の あえかな溜め息洩れて

 

 

PHOTO  HIDE

 

 

 

復興の道筋見えぬまま、能登半島地震から一カ月が過ぎました。
被災者の皆様が手探りでそれぞれの道を開こうと懸命な姿がTVから流れてきます。
どうか手厚い公的支援・ニーズへのきめ細やかな支援がこれから
を後押しできますように。
深い哀しみを抱いたまま佇む方々に慰めがありますように。

 

 

 

 

そして、2月がめぐりきましたね。
つつましく春を呼んで、どこからか梅の香の漂う頃となりました。
あなたの場所ではいかがでしょうか。

 

実は…
今年1月15日・16日の世田谷ボロ市で梅の植木を手に入れました。
小さな蕾をたくさんつけた1.2mほどの愛らしい姿に一目惚れ♡
いつ咲くかと楽しみで楽しみで仕方ありませんでしたが…
⇩ご覧くださいませ!

 

恥じらうように無垢で可憐な姿を見せてくれました♡


命が咲く。

それだけで世界が耀きだします。
2月からは花々の季節を迎えますね。
美は痛んだ魂になぐさめをもたらすと信じます。

 

2024年2月1日 スノウ
 

 

寒い朝には

夜半に降り積もった記憶が含む

命の水分が凍るので

心は その結晶が集める光を見る
 

 

秘色の淡い空を映して煌めくものは

いつかの涙の塩を含んだまま

冷気に微笑みを呼んでいる

それは あなたの眼差しに似て

 

 

何処からか 春が

この頬に触れた

PHOTO  HIDE

 

 

✿ 微笑みを呼ぶ…そんな写真がHIDE氏から送られてきました。
まるで一枚の絵のような一羽のスズメの写真です。
誰にも養われることのない野の鳥の日々は危険に満ちているでしょうが
この小さな背中はとても力強く未来を見つめているように見えます。


可愛らしい健気さに微笑みをもらいつつ、頭のさがる思いが湧いてきました。
私もこんな背中をしていたい。
そんな気持ちです☆

2024年1月23日 スノウ