- 前ページ
- 次ページ
とっても久しぶりの更新になってしまいました。
L.S.MODELSから発売になったCIWL WL-S(S型寝台車)エジプト仕様を入手しました。
このエジプト仕様WL-Sは見た目の通りアイボリーに塗装された車体色が最大の特徴ですが、
場所柄なのか実車の写真や資料は少なく、編成や運用の実態はよく分りません。
メーカーもおそらくそのままでは売れないと思ったのか(?)ワゴンリの紋章が印刷された布で車両を包んだり、当時のポスターのレプリカが入っていたり、色々充実しています。
模型自体はこれまで発売されているLSのワゴンリ客車各種と同様の細密感あふれる出来で、
鑑賞するだけでも楽しめます。白い車体に金のエンブレム、アラビア文字標記の組合せは新鮮です。
さて、この「白いワゴンリ」ですが、様々な情報を組み合わせると、
1928年 新製 No3570~3577の8両が該当。船積み時の写真あり
1956年 3月22日に4両が脱線事故に遭遇。写真あり。
1960年 ルクソール駅で客扱い中の写真が存在
1964年 エジプトからワゴンリ社が撤退
1967年 エジプトにハンガリー製寝台車・食堂車が投入され置換
ということは確認できました。
(1928年の次の記録が1956年なのは、その間が第二次大戦・第一次中東戦争・エジプト革命と激動の時期だったからでしょうか)
ほかに撮影年代が不明確な写真を何枚か確認しましたが、駅で1両だけを撮影したものやバラで留置中のもので、
いずれも当時の編成を紐解くには情報が不足しています。
第二次大戦後の編成の様子が垣間見えるのは1956年3月の事故の写真で、
鋼製と思わしき荷物車+WL3573+WL3577+WL車番不明+WL車番不明+木造ダブルルーフ車という順で連結されているのが見て取れます。
この事故ではWL-Sのうち1両が車体1/4くらいの所まで隣の車両に食い込むように大破しており、
1両は間違いなく廃車になっていると推測されます。
(他の3両も脱線で台車が外れていたり、車体が半分盛土から落ちていたり、だいぶ損傷しており復旧したかは疑問。)
仮に1956年の事故で4両すべてが廃車されたとしたら、エジプトのWL-Sはその時点で半減したことになり、
その後の運用はだいぶやりくりに苦労したのではないかと思います。
何れにせよ、連結相手となるであろうエジプトの鋼製荷物車や謎の木造ボギー車が製品化される可能性は限りなく低いでしょうし、
そもそも牽引機はどうなんだ…などと言い出したらキリがありません。
飾って鑑賞しながら、“WL-Sエジプト仕様が製造された当時の1928年はエジプト王国成立から間もない時期で、
イギリスの影響が強かった時期なので車体標記は英語が主なのだろうか…“などと歴史に思いを馳せるのもアリでしょうし、
模型と割り切ってプルマンや他の寝台車と連結して「白いワゴンリ」を楽しむのも良さそうです。
製品のプロトタイプは1969年から1989年頃までポーランド国内のヴロツワフやポズナンで製造されたUIC-Y型客車で、
東ドイツ製のいわゆるY/B70型より低い屋根と角ばった窓が特徴です。
ユーゴスラビアのGOSA製UIC-Y型ともまた異なる、ポーランド独自のタイプです。
現在発売されているのはTYPE112Aと呼ばれる9コンパートメントの1等車のみです。
(但し、ここで紹介するように1等車塗装のまま2等に格下げされたバージョンも発売されています)
製品は美しい塗装と繊細な作りで、ACME製品に近い感じです。
床下も必要十分な出来ですね。
・床下中央部
・台車も良い出来。転がりもいいです。
最近、TLK(国内急行)カラーの発売も開始され、今後の2等車発売やバリエーション展開も期待されます。
薄いパープル色の部分はACME製品と並べても大きな違和感は感じないので、大いに活用していきたいところです。
・試しに並べてみました。