年末年始にブログ更新する予定が、諸々ありましてすいません。

新章です。

大阪万博は大丈夫なのかな?と問題を投げかけていましたが、
ここのところのニュースでは、すでに大丈夫ではない感じです。

 

 
否定の否定。
なぜ、「間に合います」と言わないのか。
間に合わないの反対語は、間に合います。
そもそも「間に合う」の反対語は、「遅れる」ですよね。

なんに対して「間に合わない」とか「間に合わないことはない」と言っているかというと、
万博のパビリオン工事が、です。


「遅れる」は、(完成はするけど)遅れる。という意味で前提条件の主語を肯定しつつ情報を付加しています。
「間に合わない」は、完成するのかどうかわからない。(完成しないかもしれない)という意味で前提条件の否定も含みます。

万博の工事が遅れるの真意は、完成時期が見えている、だからこそ「遅れる」と言い切れるのですが、
万博の工事が間に合わないは、完成時期に言及していない、いつまでか見えない、という意味を含んでいる。

その否定「間に合わないことはない」ならば、どうかというと、完成時期がいつなのか見えないというわけではない。
ならば、いつなのか?と問わなければならないんですが、自見大臣には見えているんでしょうかね。

そして、こんな記事が世間をアッと驚かせました。

 


ゼネコンなどでつくる日本建設業連合会の宮本洋一会長(清水建設会長)の22日の記者会見で飛び出した。
「(リング)内側のパビリオンなどの建設は、これから着工するものも多く、
今後すべてのリングがつながった際には、内側への重機や資材の搬入に制約が生じる」
 

リングが邪魔になっている、との清水建設会長の記者会見です。

 

そもそも、宮本会長は昨年から再三再四「このままでは、万博の工事が間に合わなくなる」と発言し続けていました。

その警告をいつも、自見大臣も吉村大阪府知事も斎藤経産大臣も、否定。
「間に合わないことはない(いつできるかは知らんけど)」という、間に合うの否定の否定。

 

なんで、「間に合う」と言わないのか不思議です。

 

 

 

 

 

 

もう間もなく2023年暮れようとしています。
前回のブログが11月6日でしたから、約2か月近くも空いてしまいました。
そして、この2か月、大阪万博の夢洲会場どうなっていたでしょうか?

 

 

2025年大阪・関西万博の海外パビリオンの建設が遅れている問題で、年内に着工する国がゼロと確定した。
日本国際博覧会協会の幹部が21日、取材に明らかにした。複数の国が24年1月中旬ごろの着工を予定しているという。

ということだそうです。
たしか、年内に着工しないと間に合わないとか言ってましたよね?
むしろ、年内に着工するから間に合うとも言っていた。

その年内があと3日です。

大丈夫なんでしょうか、きっとダメでしょう。

ところが、なんです。
パビリオンは全然前に進んでいないのですが、なぜか会場の木のリング工事だけは進んでいる。
それがいいのか悪いのか、
木のリング工事があるから、なんか進んでいるように見える。

でも、これは万博会場の回りを囲むもので、万博の本質ではないですよね。
あったほうがいいのかもしれないけどもなくてもいいものです。

 

 

いわば、ラッピングですよね。
この中に、万博パビリオンが包まれていることが前提。
 

ま、中身と一体というのであれば
551の豚まんの皮の部分です、万博のリングというものは。


 

あくまで中身が主役のはずなんですが、その木のリングで大騒ぎになっている。

それは、「日本の伝統の木造建築」なんてことを言って正当化しようとしたからです。

 

 

全然、伝統とか関係ないんですよ。
むしろ、アートというか現代美術として計画されているものです。
そこらへんを解説しておきました。

 

 

ま、そういうわけで、万博の中身は全然、進まないまま、外身だけが進んでいる状況ですね。

そんな中で、実際の工事はどうなんだ?出来るのか?
あと、前回まで書いていた「橋の話」はどうなっているんだ!という声も高まってきましたので、

例の「浮く橋」の問題について、年末年始スペシャル企画として、ブログを再開したいと思います。

 

つづく

 

 

 

 

夢洲にかかる橋、夢舞大橋は橋脚が水に浮いている橋で、
実際は船なんだと、製作も三井造船であったの続きです。

図面もありましたよ。

諸元はこうです。

橋の長さ876.6メートル、路面からの高さ30メートル近くありますね。
総重量はというと、2万5271トンです。

東京タワーが4000トンといわれていますので、その6本分に相当します。

 

橋って重いんですねえ。

 

橋は自分の重さだけでなく、そこを通る車両の重量も支えなくてはいけません。
それだけでなく、横から受ける風とか、地震とか、そういう力にも耐えなければいけない。


人間でもそうですが、荷物を持ったりしていなくても自分の体重を支えなくてはいけない。
つまり、存在するだけで支えている重量を「固定荷重」といいます。
普段重さを感じなかったのに、太ってきたりすると、よっこいしょと、なにかの拍子に自重を感じるでしょう?
それは固定荷重が増えているからです。
次に荷物を載せるとき、建物では家具とか設備とか建築そのものではないが、置いておくものそれを「積載荷重」といいます。

 

では、橋はどうなんでしょうか?
橋は、自重以外では通り抜ける人や車両を支えます、が、その荷重は動いていますよね。


動く荷物はけっこうやっかいなんです。
活動する荷重?という意味なのか「活荷重(かつかじゅう)」といいます。


橋全体で考えると、上図のように全体の荷重で大きいけど左右でバランスしている場合と、
片側にズレている場合とでは、曲げる力とか振動とかが変わってくるからです。


重たいものが左右にある天秤棒でかつぐことができるのと似ています。


これ片手だとけっこう苦しいことになるのはわかりますよね。

なので、建築の検討よりも非常に難しい。
動的な動きを意識しないといけない。


 

で、どこにどういう力がかかるか、いろいろ条件を変えたりしないといけない。
 

 

車列の平均的な流れとか、

どこが弱いか強いか、振動で思わぬところに負担がかかってしまうこともある。

「活荷重」で検討、っていうのは建築の方ではあまりない、土木設計の醍醐味ともいえるでしょう。

 

その「活荷重」なんですが、通常の橋だと橋桁と橋脚に分けて考えることができると思うんです。

橋脚は固定されている、そこに橋桁が載っている、という状態だから。

しかし!夢舞大橋はそうではない。


ポンツーンっていうのが浮きです。
ビート板みたいなものです。

これが、解析実験の様子ですが、
浮いていますね。


 

つまり、夢舞大橋は橋脚が固定されていない。
浮いている、波で揺れる。
第2の活荷重ともいうべき、予測不能な力が橋にかかっているんです。

これ、どのように解決したのか!

当時はゴミを捨ててるだけの島でしたから、今日のように主役になっていなかったんですが、

まったく、これはプロジェクトXですよ。

 

風の中の昴

砂の中銀河
みんなどこへ行った
見送られることもなく

です。

 

つづく