Uguisu's Valley

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買ったCDの感想・レビュー(と少々の雑記。。)を自分が忘れないために書き留めるブログです。

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Release:2015/02/02 Country:Denmark
Genre:Experimental/Progressive Metal
score 86-91/100



01. The Same War
02. Stray the Skies
03. Starburn
04. Owls
05. Your Mind is a Helpless Dreamer
06. Emily
07. Gutter Moon
08. A Stare Without Eyes
09. Feed the Creatures
10. Inmazes

今回紹介するのは、デンマークはコペンハーゲン出身のバンドVola。
これまでの活動ではEPまでのリリースとなっていたようだが、本作「Inmazes」にて、初のフルレングスアルバムリリースとなった模様。

このバンドの音楽性はFacebookの自己紹介欄に案外正確に書いてある。ササっとまとめると、メタル、エレクトロニカ、70年代プログレ、インダストリアル、エクストリームミュージックを取り込んだ、ジャンル・ボーダーレスなエクスペリメンタルロックバンドといったところであろうか。この部分だけ見ると非常に興味の湧くバンドである。

それで以上を踏まえつつ実際に聴いてみると、確かにその通りであるんですわな。
タイトなドラムと電子音とグルーヴィーなへヴィサウンド、そしてエモーショナルなヴォーカルである種の独特な空間を作り出し、以降、この空間で奏でられる音は、限られた空間の中で反射しながら綺麗に響くこととなる。
へヴィリフが空間の柱となっていることは間違いなさそうで、これがまた結構な轟音で変則的。でも、俗にいうdjentとかテクニカルなんちゃらと少し違って感じるのは、電子音との調和によって、上手いこと角張りを無くしているからであるかもしれない。時に破壊的な一面も見せるが、全体としては丸いのである。

ミドルテンポな楽曲で構成されており、わかりやすい刺激こそ少ないが、引くところは引き、アタックするところはアタックするといったメリハリ、そして独創性のある空間と、耳馴染みの良さ。これらが一定の次元で成り立っていることから、個人的には好印象。
70年代プログレの影響もあるみたいな書き方されていたと思うが、個人的にはへヴィなアプローチが中心となっており、且つモダン・エレクトロなサウンドとの調和性も強調していることから、かなり今風なサウンドが前面に出ている1枚なのではと思ってみたり。こういう感じ、最近のノルウェー系スタイリッシュ・プログレメタル勢に思うところと同じなのだが、ついにデンマークでも似たような音を出すバンドを発見してしまったわさ。というわけで最近の北欧のプログレメタル勢のスタイリッシュさは尋常じゃない。ほんとお洒落。
そしてここまできて気づく。マスタリングはJens Bogrenなんだなと。どうりで耳馴染みが良い。

取っ掛かりという部分では少し強みに欠けるも、それを補って余りある総合力の高さが素敵な作品です。
メタルとして、プログレとしてってわけでもなく、ちょっとへヴィで、ちょっとプログレッシヴな作品として聴けちゃう気がします。これは次も注目。どんな風に変化しても、このサウンドが軸にある限り強い気がする。
あけましておめでとうございます。

随分長いことお休みしていましたが、休んでいるだけで音楽はボチボチ聴いていたので、自分自身の備忘という意も込めて、2014年のベストアルバムをトップ10形式でまとめたいと思います。

No.10
Lazer/Wulf/The Beast of Left and Right



ギターを中心としたテクニカルなプログレッシヴメタル。だが、それだけなら似たようなバンドはかなりいるだろう。では何が違うのか。それは文章で伝えるのが少々難しいところだが、個人的には「ドリフト感」という言葉で現したい。まだ荒削りではあるけれども、この独特なドリフト感がその荒削り感と上手い具合にマッチし、良い世界観を表現できていると思う。ほぼインストながら、咆哮と無骨な演奏でタイトル通りの狂暴さが伝わってくるのも良い。というわけで面白い1枚でした。


No.9
Tusmørke/Riset Bak Speilet



現代に生きる暗黒祭囃子ことTusmørke。前作「Underjordisk Tusmørke」の時点で相当な独自性と面白さを持ったバンドであったが、今作でもそれらは勿論健在。というか、それどころかもっと面白く洗練されて帰ってきたと思う。抽象的な話だが、このバンドの良いところはやっぱりファンタジーな世界に一瞬で誘ってくれてくれるところであろう。それを今回も、前作とはまた少し違う形で体験できたのだから、これ以上幸せなことはない。


No.8
Stolas/Allomaternal



デビュー作となる前作「Living Creatures」では今後に期待できるポスト・ハードコアバンドの1つであったStolas。しかし、今作ではどうだ?大きく成長したのか、それとも期待程ではなかったのか。答えはもうおわかりだと思うが、印象としては圧倒的に前者。つまりは、大きく、否、とてつもなく大きく成長したように思う。コンセプトを持たせた散漫にならない一貫した作品作りを行った効果が出ているのだと思うが、それにしてもここまで素晴らしいバンドになるのかね。驚きと共に益々彼らが好きになる1枚でした。


No.7
Temples/Sun Structuresl



すでに色々なところで取り上げられているサイケロックの超新星、それがTemples。尚、なぜそんなに取り上げられているのかは、彼らの音楽を聴けばその理由がよくわかる親切設計。クラシカルなロックをベースに、サイケと確かなポップセンスが異常なまでによく混ざり、結果、どういう原理かはわからないけど、とても聴きやすい作品になっています。古いか新しいかでいったら古い。でも、これもある意味新しい形って強引に思わせる何かがあるから困ったもんだ。


No.6
Ne Obliviscaris/Citadel



Between the Buried and Meに肉薄する若き獅子Ne Obliviscaris。BTBAMに挑戦するってどういうことかというと、エクストリームサウンド、轟音でも響く綺麗なメロディセンス、芸術的な楽曲構築力、これらを高い次元で兼ね備える必要があるってこと。しかし、これ程までに高いハードルだとわかっていつつも、このバンドは相当に肉薄しているように感じる。まあ挑戦なんて恐らくしていないのだけれども、いつの日かBTBAMを超える作品をリリースしてくれそうだから期待も高まるってもんよ。長くなりましたが、要は今作も前作に引き続き、美しい1枚でしたってこと。


No.5
Opeth/Pale Communion



大きく舵を切り、レトロプログレバンドへの変貌を遂げた前作「Heritage」。だが、これが全くササらなかった。どこに聴きどころがあるのか最後まで理解できず、レトロプログレ大好きな自分でさえ、どう聴いても良い感触が得られなかった。プロデュースしたSteven Wilsonがソロで新しいプログレの道を切り開いているのはあまりに対照的な光景でもあり、それなりにショックでだった。そして今作も前作に引き続きレトロプログレ路線。凄く嫌な予感しかしなかったが、ここにきて一転。相当に聴きやすい作品となり、年間を通じてマストな1枚となった。激変の理由は色々考えられるけど、個人的にはメロディがキチンと整理されたかなと思う。つまりは耳通りの良いサウンドというわけだ。それに元から在った高い楽曲構築力が地盤にあるわけだから、そりゃ前作で発揮されなかったポテンシャルが、このタイミングで全開放されてもおかしくないよねと。本当に素敵な作品でした。


No.4
Snarky Puppy/We Like It Here



超クールなジャズアルバム。ジャズは全然わからないけど、それでも尋常じゃないぐらいササったのは、仄かに漂うプログレ臭と、緊張感という名のスリルを敏感に感じたからであろうか。正直誰にお薦めするべきかはわからないが、とりあえず聴いてみると、予想の遥か上を超えた体験ができることは間違いないと思う。これライヴ一発撮りのライブアルバム的な?位置づけの作品でもあるって書き込みをどこかで見た気がするけど本当だろうか。だとすればこんなライヴを生涯に一度でも見てみたいものである。


No.3
Bloodshot Dawn/Demons



すでに日本でも評判の良いメロデスバンドだったが、新作「Demons」では更に評判を高めそうな最高に熱いメタルが出来上がってしまっている。今作の音楽性を簡潔にまとめると、圧倒的にカッコ良く、しかもクサさまである大正義なメタルである。ならこれで燃えないわけではないだろうよと。もう1曲目からやられました。凄い1枚。まさにこういうのが聴きたかったってわけですよ。


No.2
Toehider/What Kind of Creature Am I?



世界は広い。こんなバンドがいるのだから。ジャンルに縛られないミクスチャーロックのような多様性を含みながら、プログレッシヴなスピリットも持ち合わせ、多彩なギミックで変幻自在のサウンドを轟かせる。但し、一方で意味不明にならないシンプルさ、ストレートさも兼ね備えており、単純にパワーで勝負したいところはパワー重視、メロディをアピールしたいところは素直に綺麗なメロディをアピールするといった大衆性もある。と、演奏だけでもこれだけ凄いのに、更にヴォーカルがハチャメチャ上手いときたから恐ろしいにもほどがある。文句無しの凄い作品、凄いバンド。


No.1
Motorpsycho/Behind the Sun



錚々たる作品の中から、自分が選ぶ2014年のナンバー1はこの作品。ノルウェーのレジェンドMotorpsychoの新作「Behind the Sun」。実は前作「Still Life with Eggplant」であり、前作の感触があまりによかったため、今作にかかる期待も大きかったが、まさかここまでやってくれるとは。書くと長くなるので、ここでは書かないが、一言言いたい。この作品でロックの勝利を感じることができると。最後まで聴き終えた時、自然と拳を握り締めているに違いないと。そう、つまりは、それだけのエネルギーに満ち溢れた壮大な作品なんです。これをもってして、ロックの勝利を大に感じたい。このMotorpsychoってバンドは、このブログを書き始めてから知ったけど、本当に偉大なバンドで出会うことができてよかったと思う。というわけで、2014年最高の作品はMotorpsychoの作品でした。


2015年も凄く聴きたい作品がすでに何個かあって楽しみ。気が向いたらのんびり聴き入ろうっと。
また、2014年に最も頑張ったバンドは、個人的にBABYMETALだなと思いました。
遅れましたが、あけましておめでとうございます。
すでに旬は過ぎた感がありますが、当ブログ的2013年のベストアルバムを発表します。

No.10
Ihsahn/Das Seelenbrechen



毎回悩ましい作品を出してくれることで有名な闇皇帝ことIhsahn。但し、その方向性は奇作気味になりつつあるも、"もの"になれば面白そうという雰囲気は確かにあった。んで本作「Das Seelenbrechen」は、その面白そうな方向性がついに"もの"になった作品。メタルというよりは、新たな観点でのダーク・プログレと思って聴いております。

No.9
Laura Stevenson/Wheel



2013年のフォーク・ロックで良いものを選べと言われたら絶対に選びたい1枚がこちらUS出身のシンガーソングライターLaura Stevensonによるアルバム「Wheel」。天性の歌唱から紡がれるそよ風のような歌声と表現力は他の追随を許さず、絶対的な癒やしを運ぶ。本作はそんな彼女の魅力が詰まった1枚だと思います。

No.8
Derdian/Limbo



数あるシンフォ系パワーメタルバンドの中でも、高い楽曲構築能力と独特のまわしが魅力のバンドDerdian。前作までのヴォーカルが脱退となったらしくどうなるか心配であったが、正直一切問題無かったかと。それどころかむしろ本作「Limbo」ではその"高い楽曲構築能力"がいかんなく発揮される方向にシフトチェンジされておりそれがたまらんのね。ドラマ有り、名曲有り、パワー有り。3点揃った傑作だと思います。

No.7
Motorpsycho/Still Life With Eggplant



もうだいぶベテランのバンドなのだが、結局のところどんな音楽を演っているのか非常に説明のし辛いバンドである。しかし、今回はハッキリわかる。本作「Still Life With Eggplant」は間違いなくプログレッシヴロックだと。編成もすっかりシンプルになってしまうも、潤沢な展開と、それを生み出すヘヴィでサイケなアプローチがかなり良いのよね。おまけにメロディやカッコ良さといったわかりやすい部分のサウンドも凄く良い。意外にもこのバンドで一番好きな作品かもしれません。

No.6
Oranssi Pazuzu/Valonielu



スペースブラックメタルという謎の音楽性を持つ1枚。Hawkwindあたりから脈々と続くスペイシーでサイケデリックなサウンドを、ブラックやメタルといったジャンルで包んでみたというのが、スペースブラックメタルの正体なんかなと思う。だが、それでも決してこけおどしなどではない、ガチのヤバさがあり、爆発する瞬間までの持っていき方がとにかく上手い印象。初めはその奇抜さに惹かれているだけかと思いましたが、今では展開そのものが好きなんだということがわかりました。

No.5
Emma Ate the Lion/Songs Two Count Too



昨年はマスロックやポストハードコアなんてジャンルにも割りと挑戦していたが、その中で発見したバンドが、このEmma Ate the Lion。極めて複雑な感じを表にはあまり出さず、抜群のメロディセンスと疾走感で畳み掛ける叙情派ハードコアのように思えるも、時としてYesを高速で展開しているようなおかしさや、邦ポップのような異常に親しみやすいサウンドを生み出している。これはなにかおかしいなと思う。でも最終的には気持ち良いメロディに押されてしまいます。

No.4
In Vain/Ænigma



バンドが深淵に秘める隠れた魅力を強引に表に引き出し、アピール力を何倍にも高める敏腕プロデューサーJens Bogren。彼が昨年手掛けたバンドは相当な数だが、その中でも最高だったのがこのIn Vainというバンドの新譜「Ænigma」。音楽性自体はBarren Earthみたいな北欧デスと思ってもらって間違いないのだが、格別凄いなと思うのは激情的な、流星のようなメロディ。演奏は激しいしデスも多め、でも最終的にはクリーンヴォーカルによる大正義メロディで片付ける。あまりに直情的過ぎるとも思いましたが、そんな疑念を吹き飛ばすメロディラインの良さです。

No.3
Haken/The Mountain



ブログ開設当初から気にはしていたバンドで、若きプログレ界を牽引する存在、でもあともう少し欲しいって立ち位置のバンドだったはずなのだが、ここにきて一気に完成してしまった。完成させるに至るプロセス自体は非常に単純なもので、純粋に無駄を削ぎ落しただけなのであろう。だが、大手レーベルに移籍したことを踏まえてもここまでエクスペリメンタルな高い完成度を持った作品が急にできるものであろうか。但し、この疑念もこのバンドのポテンシャルがそれだけ高かったという一言で片付くのかもしれない。山を登るどころか、数段抜かしで頂上に立ってしまった1枚ですね。

No.2
Moon Safari/Himlabacken vol. 1



本当に凄いバンドMoon Safari。昨年の来日公演も最高だったが、その後リリースされた新譜「Himlabacken vol. 1」も最高だった。圧巻のコーラスワークと意表をつくプログレッシヴな演奏。これだけでも最高なのに、今作はアルバムとしてのまとまりも相当なもんではなかろうか。いつ聴いても捨て曲の無い内容だし、サクっと聴けるバランス。おまけに何をとっても最高だから言うことがないのよね。でも本当に好きなのは、声に出して歌っているときです。これがもう気持ち良いのなんのってね。

No.1
Steven Wilson/The Raven That Refused to Sing (And Other Stories)



彼の歩く道が今現時点で正解の道であるということを叩き込んだ1枚。意表とか奇抜とかそういった生易しい言葉ではなく、オリジナルの道を歩くことに成功している人なんだと思います、Steven Wilsonって人は。特に文句のつけようがない名盤。墓まで持っていきそうな勢いです。



以上でベストアルバムの発表は終わりです。去年の反省を活かして10枚にまとめましたが結構難しかったです、他にも良い作品は山ほどあったので。でもその分、結構良い感じにまとめられたかもしれません。