なちゅの市川綜合研究所

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「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

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【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人(東証REIT) OP

 

現在値 151,500円/1株 P/E 21.8  P/NAV0.94  5月分配 11月分配 


丸紅をスポンサーとする総合型。2010年にNCIを吸収合併、用途・地域分散を強調。
予想分配金は年2回の合計7,300円配で、分配金利回りは約4.82%となります。


業績を確認していきます。

■2022年05月期_第37期 営業収益 241億円、経常利益 96.2億円 DPU 3,112円

■2022年11月期_第38期 営業収益 244億円、経常利益 96.6億円 DPU 3,144円

■2023年05月期_第39期 営業収益 250億円、経常利益 99.3億円 DPU 3,204円

■2023年11月期_第40期 営業収益 253億円、経常利益 103.7億円 DPU 3,371円

□2024年05月期_第41期 営業収益 257億円、経常利益 107.6億円 DPU 3,500円ce修正

□2024年11月期_第42期 営業収益 263億円、経常利益 107.6億円 DPU 3,500円ce

 

2023年11月期_第40期の落着については、営業収益は第39期比+1.2%の253億円、経常利益は同+4.4%の103.7億円、DPUは同+167円の3,371円と上振れ着地しました。オフィスの期末稼働率は前提の96.9%に対し97.8%まで大きく回復したほか、訪日客の回復等により沖縄・東京をはじめとするホテルRevPARの回復も顕著となり、歩合賃料は一段増となりました。また、第39期末取得の大阪ベイタワー10%(26.3億円/NOI4.0%)、グランダ宮の森(14.2億円/NOI5.8%)が巡行化したほか、グランルージュ栄の譲渡益310百万円を計上しました。

 

進行中である2024年5月期_第41期の見通しも修正しており、営業収益は第40期比+1.4%の257億円(従予:252億円)、経常利益は同+3.8%の107.6億円(従予:104.0億円)に増額する一方、DPUについては同+429円の3,800円(従予:3,400円)まで増額しています。オフィス期末稼働率は97.8%→98.0%と微増前提、好調なホテルはRevPAR前提は横引きます。東松戸SC(22.0億円/NOI4.9%)ほか第40期取得物件が巡行化するほか、栄の譲渡益が剥落するものの、川崎東芝ビルの譲渡益の一部が分配金水準を底上げします。


今回公表の2024年11月期_第42期の予想については、営業収益が第41期比+2.6%の263億円、経常利益は同変わらずの107億円を見込む一方、DPUについては同▲200円の3,600円程度が予想されます。ホテル第41期取得の虎ノ門ヒルズBT(84.0億円/NOI3.3%)、や大阪ベイタワーの追加取得分が巡行稼働する一方、3期に分割して計上する川崎東芝ビルの譲渡益相当額の分配金が減少(9億円→3億円)するため、減配予想となります。

 

当法人の投資論点は日本コマーシャル投資法人(NCI)を合併した際に生じた内部留保(98.2億円弱)の活用で安定分配する一方、ハイピッチの物件売却も進めており、含み益顕在化との合わせ技(NCI合併起因のRTA同様に、配当準備積立金方式で自由度のある内部留保が可能)で、出来上がりの分配金を仕上げています。

 

DPUは新型肺炎禍で3,100円下限としていたものの、ホテル市況の鋭角的な回復で、目標としていた2025年5月期を待たずに3,400円(実勢では3,500円)に達する見通しです。また当法人の最大の懸案事項であった、組入上位物件(5位)である川崎東芝ビルの東芝デバイス&ストレージへの一棟貸しが2024年5月期に解約となるものの、上述のとおり売却が決定したため、当面の見通しはかなりクリアな状態になったものと考えられます。

 

*参考記事① 2023-11-14  149,800円

【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人/ホテル回復進み、実力ベースEPU3,400円が射程。

 

*参考記事②  2022-10-26  145,700円 OP

【8960】ユナイテッド・アーバン投資法人/自社株買い合わせ技で、巡行3,100円の奪回が視野。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

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【3139】ラクト・ジャパン(東証プライム) BY

現在値  2,555円/100株  P/E 10.6 P/B 0.99  11月配当 5月株主優待

旧東食系。乳原料・チーズ、食肉加工品の食品専門商社。北米、欧州、豪に拠点。
配当は11月末一括の62円配当のため、配当利回りは2.43%となります。

ラクト・ジャパンは株主優待制度を導入しており、5月末の単元株主に対して1,000円分のクオカードを進呈しておりますので、配当優待利回りは約2.81%となります。なお、3年以上継続保有の株主に対しては、クオカードではなく乳製品カタログギフトを進呈しており、仮に3,000円相当と試算した場合の同利回りは約3.60%となります(ギフト内容:欧州産チーズ、アイス、バター詰め合わせ等から一品)。


業績は以下の通りとなります。

■2021年11月期 売上高 1,108億円、経常利益 26.8億円 EPS 198.7円 

■2022年11月期 売上高 1,474億円、経常利益 31.3億円 EPS 231.6円

■2023年11月期 売上高 1,583億円、経常利益 28.4億円 EPS 206.4円 

■2024年11月期 売上高 1,600億円、経常利益 34.0億円 EPS 240.9円 ce修正

□2024年2月1Q 売上高 397億円、経常利益 11.1億円 EPS 82.2円(4/12)

□2024年5月2Q 売上高 800億円、経常利益 18.0億円 EPS 130.4円 ce修正

 

2023年11月期の売上高はYoY+7.4%の1,583億円、経常利益はYoY▲9.1%の28.4億円となり、予算割れとなりました。柱の乳原料・チーズ事業は、食品メーカーの断続的な値上げにより消費者心理が想定以上に冷え込んだほか、円安による輸入乳原料高騰で在庫の脱脂粉乳の消化が優先されたことから、乳原料・チーズともに数量減となりました。他方で食肉事業については、外食・中食(惣菜)需要増で、フローズンポークを中心に堅調に推移しました。

 

進行期である2024年11月期通期見通しは1Q時点で微修正しており、売上高YoY+1.1%増の1,600億円、経常利益はYoY+19.4%の34.0億円を見込んでいます。乳原料・チーズ事業は、インフレによる消費者心理の悪化が下押し要素となるものの、脱脂粉乳の高在庫消化がいよいよ本格化するとみられ、需給改善期待がかかります。食肉事業についても、外食需要の回復だけでなく、人手不足の外食加工向けの続伸が見込まれ、低調だったアジア事業のチーズ製造・販売も正常化で底入れします。既開示の1Qは売上高397億円&経常益11.1億円で進捗しており、為替影響もあり上振れ圏と解されます。

 

進行期は2025年11月期を最終年度とする中計の中間年度であり、向こう3年で売上高を1,474億円→2,000億円へ、経常利益31.3億円→40.0億円へ引き上げる計画です。2015年頃の脱脂粉乳高在庫政策(9~10万t)が重しとなり、年末時点こそ5万tまで下落したものの、今度は為替影響による商流変化影響など事業環境の悪化がみられ、進行期予算もマイルストン予想を下回っている状況です。尚、10年長計では2032年11月期に経常益60億円(10年CAGR6.7%)を目標としているものの、会社側では事業環境の回復前提が0.5年~1.5年遅れている認識を示しており、不透明な状況です。

 

今次中計での取組事項は、①機能性食品強化、②輸出事業展開、③サプライソース多様化、の3点が挙げられています。①は世界的に流行する“スポーツニュートリション”に代表される高付加価値製品の強化であり、提携・協業等により輸出・三国間貿易を展開する方針です。②は健康志向の強い香港・台湾等の富裕層の間で日本産製品の人気が高いことから、農水省が推進する乳製品輸出政策に後押しされる形で拡販を進めます。

 

③は近年の世界的な気候変動で安定供給の難易度が増していることから、調達先の多様化を図る方針であり、拠点開設済の米州・豪州・オランダ・イタリアを中心に、契約形態の多様化を図るとともに、乳原料だけでなく取り扱う食肉の多様化(豚肉以外の牛肉・鶏肉)を進めます。また、SGでは約35億円を投じてチーズの新工場を建設中であり、上期着工予定となっています。

 

株主還元については、自己資本比率が節目の30%を大きく超過したほか、所謂“PBR1.0倍”議論への対応から配当性向を早々に中期目標の25%まで切り上げており、進行期は14円増配となる年62円配(配当性向25.7%)を予想しています。
 

*参考記事① 2023-11-16 2,005円 BY

【3139】ラクト・ジャパン/懸案の脱脂粉乳の高在庫漸減も、乳価上昇による商流変更影響を受ける。

 

*参考記事② 2023-04-11 2,015円 BY

【3139】ラクト・ジャパン/中計を固定方式に変更、脱脂粉乳の高在庫削減が追い風となろう。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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【9286】エネクス・インフラ投資法人(東証インフラ) NT

現在値 85,200円/1株  P/E 27.9  P/B 1.05 5月分配 11月分配

伊藤忠エネクスをメインスポンサーとするインフラファンド。サブスポンサーはSMTBなど。
予想分配金は年2回の合計6,000円配のため、分配金利回りは約7.04%となります。

業績を確認していきます。

■2022年05月期_第5期 営業収益 27.8億円、経常利益 8.56億円 DPU 3,030円変

■2022年11月期_第6期 営業収益 26.7億円、経常利益 6.50億円 DPU 3,000円

■2023年05月期_第7期 営業収益 28.2億円、経常利益 5.07億円 DPU 3,000円
■2023年11月期_第8期 営業収益 42.0億円、経常利益 8.64億円 DPU 3,000円

◇2024年05月期_第9期 営業収益 43.0億円、経常利益 9.10億円 DPU 3,000円ce修正

◇2024年11月期_第10期 営業収益 42.4億円、経常利益 7.90億円 DPU 3,000円ce

 

2023年11月期_第8期の実績については、営業収益が第7期比+48.7%の42.0億円、経常利益は+70.5%の8.64億円と増収増益ながらも計画線着地となりました。偶数期のため季節性要因により発電量が増加したほか、6月PO(※後述)で取得した高崎Bが一部寄与しました。ケーブル盗難による非営業減収もあったものの、発電量は計画比101%となる137,096MWhを確保しました。DPUを巡行水準の3,000円に戻すものの、業績未達分の8円はOPDの積み増し(1,139円)で補填しています。

 

進行期である2024年5月期_第9期の予想も修正しており、営業収益は第8期比+2.4%の43.0億円(従予:42.0億円)、経常利益は同+5.4%の9.11億円(従予:8.37億円)に増額しています。6ヵ月“期分け”の奇数期に該当するため、季節性要因で発電量が減少するものの、6月30日取得の高崎Bが巡行化し、DPU3,000円(EPS1,635円/OPD1,365円)を維持します。

 

今回公表の翌2024年11月期_第10期の予想については、営業収益が第9期比▲1.3%の42.4億円、経常利益は同▲13.3%の7.90億円を見込んでいます。6ヵ月“期分け”の偶数期に該当するため、季節性要因で発電量が上昇するものの、減収予想のため前提が保守的な可能性があります。なお、地代負担軽減のため本年4月に高萩の借地(一部の地上権付土地)を取得していますが、未織込となっています。DPUは巡行の3,000円を維持し、その内訳はEPS1,417円・OPD1,583円となります。

 

当法人は2023年2月の3rd_POで約113億円(@87,945円)を調達し、高崎Bを252億円で取得しています。国内インフラファンドの保有物件では、当法人の松坂に次ぐ2番目の発電設備容量を誇る特別高圧物件であり、本件取得により出力制御影響を受ける九電管内比率は1%まで低下させています。なおFIT単価については、32円(隣接の高崎AのFITは40円)と松坂水準の低さとなります。

 

また本件取組により中長期的目標はであったAUM1,000億円を突破(1,012億円)し、上場インフラファンド首位に踊り出ています。スポンサーパイプラインは水力・太陽光合算で依然25.8MW程有しているものの、足許LTVは57.0%とかなりの水準に達しているだけでなく、(アセットバックではない)非常にコストの高いメザニンローン(基準金利+200bps.)での借入れも実施しており、特有のレバレッジの高さが割引要素となります。


*参考記事① 2023-04-15  92,100円 NT

【9286】エネクス・インフラ投資法人/国内初の風力発電所取得も、ローン負担が重い。

 

*参考記事② 2022-10-1 95,700円 NT

【9286】エネクス・インフラ投資法人/インフラ資産高騰で、外部成長はスポンサーの態度次第か。 

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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