なちゅの市川綜合研究所

なちゅの市川綜合研究所

「別に勝たなくてもいいので、負けないこと」を志向しております。
本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報等に基づき、作成されています。
当ブログの情報に全面的に依拠することはお控えいただき、最終的なご判断はご自身でお願いいたします。

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【8923】トーセイ(東証プライム)  BY

現在値 2,470円/100株  P/E 10.6  P/B 1.40  11月配当優待 

マンション開発から出発し、不動産流動化へ。都心に事業基盤。
配当金は11月の年1回、合計73円のため、配当利回りは約2.96%となります。

トーセイは株主優待制度を実施しており、11月時点の単元保有株主に対して、当社運営ホテルの共通宿泊券3,000円相当を1枚進呈しておりますので、単元保有時の想定配当優待利回りは約4.17%となります。また、継続保有期間1年超・2年超・5年超でクオカードを1千円・2千円・3千円別途進呈していますので、長期保有により同利回りは最大約5.38%となります。

業績を確認していきます。IFRSとなります。

■2021年11月期 売上高 617億円、税前利益 103億円、EPS 142.6円 

■2022年11月期 売上高 709億円、税前利益 127億円、EPS 181.6円

■2023年11月期 売上高 794億円、税前利益 153億円、EPS 219.7円

■2024年11月期 売上高 921億円、税前利益 165億円、EPS 231.7円 ce

□2024年2月1Q 売上高 348億円、税前利益 91.9億円、EPS 132.9円(4/5) 

□2024年5月2Q 売上高 717億円、税前利益 144億円、EPS 200.5円 四e 

 

2023年11月期の売上高はYoY+12.0%の794億円、税前利益はYoY+20.1%の153億円となり、直近公表見通し並みの水準で着地しました。再生事業は売却を予定していた青梅物流を翌期送りにしたものの、JREから取得した大塚トーセイビルⅡの再販があったほか、賃貸事業のリーシングの進捗、好調な個人向け区分販売、ファンド事業のAUM積み上げも進んで大増勢となりました。ホテル事業についてもGOPはYoY4倍の20億円を確保したものの、開発事業については端境期で案件が減少し、同セグのみ減収減益となりました。


進行期である2024年11月期の予算については、売上高がYoY+15.9%の921億円、税前利益はYoY+7.8%の165億円を見込んでいます。開発事業では、青梅物流と自由が丘商業の合計127億円分を売却予定としています。再生事業は中小型物件を中心に50物件318億円の販売、ファンド事業のAUM積み上げのほか、ホテル事業も強い回復が進む公算です。4月5日に開示済の1Qは売上高348億円&税前利益91.9億円と想定超の好進捗が確認されるものの、期ズレした大型物件である青梅物流の計上によります。

 

当社は終わった期を最終年度としていた3年中計で、目標としていた計数が大幅過達となったことから、新たに2026年11月期を最終年度とする新3年中計を公表しています。売上高を794億円→1,232億円、税前利益を153億円→190億円まで其々引き上げる計画としています。新中計での取組事項は、新規投資高2,603億円を軸とするものの、投資原資のための自己資本比率目標は34.6%(当初:33.4%)、ネットD/E目標は1.34倍(当初:1.31倍)とレバを増やさない形となっており、事業創出CFをそのまま充てる保守的な方針となっています。

 

業績の原資となる足許の棚卸資産残高はYoY+170億円の1,182億円に順調に拡大しており、中計期間は年間1,000億円~1,125億円ペースで仕入れる計画です。仕入れルート拡大のために不動産M&Aを活用する方針であり、2023年にはLIXILリアルティの不動産流動化部門のカーブアウトに100億円を投じ、年間200億円分の仕入れを手当てしています。また今後はPEファンドの投資先企業の不動産オフバラニーズ等を掘り起こしにいく方針です。

 

ファンド事業については、外資マネーを背景に私募ファンドの受託物件が積み上がっており、2022年の大手町プレイスの政府保有床(4,364億円)といった大型物件の受託も進んでいます。海外ファンドの投資意欲は依然として高水準であり、ドライパウダーも潤沢に残っている状況にあるため、環境なりの順調な拡大が見込まれます。なお足許ベースのAUMは2.43兆円に達しており、中計目標の3兆円の達成が十分射程に入ります。

 

株主還元については、新中計期間において段階的に配当性向を35%水準まで切り上げることとし、7円増配の年73円配(同31.5%)を予想しています。なお会社側では、現在の含み益を考慮した0.95倍台のNAV倍率と、管理事業やファンド事業をSOTPで計算した潜在的企業価値を4,391円と試算しており、なお割安水準にあるものと解されます。
 

*参考記事① 2023-11-10 1,907円 BY

【8923】トーセイ/青梅物流の売却を余裕の“翌期送り”、フィービジネスの力強い成長が続く。

 

*参考記事② 2023-04-10  1,460円 BY

【8923】トーセイ/AUM2.3兆円が射程、会社側試算の実質BPSは3,464円に達する。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人(東証インフラ) Not Rated

現在値 86,400円/1株  P/E  28.1  P/B 1.02 5月分配 11月分配

丸紅をメインスポンサーとするインフラファンド。サブスポンサーはみずほ銀行、みずほ信託。
予想分配金は5月・11月の年2回の合計6,015円配のため、分配金利回りは約6.96%となります。

業績を確認していきます。 

■2022年05月期_第5期 営業収益 15.2億円、経常利益 3.04億円 DPU 2,980円 

■2022年11月期_第6期 営業収益 20.0億円、経常利益 4.88億円 DPU 3,005円

■2023年05月期_第7期 営業収益 25.5億円、経常利益 4.42億円 DPU 2,980円

■2023年11月期_第8期 営業収益 28.4億円、経常利益 6.71億円 DPU 3,010円  

□2024年05月期_第9期 営業収益 32.5億円、経常利益 5.69億円 DPU 3,000円 ce修正 

□2024年11月期_第10期 営業収益 34.4億円、経常利益 7.78億円 DPU 3,015円 ce
 

2023年11月期_第8期の着地については、営業収益が第7期比+11.6%の28.4億円、経常利益は同+51.9%の6.71億円、DPUは同+30円の3,010円(うち利益超過分配;OPD1,233円)となり、予想比減収増益となりました。季節要因から増収期となる一方、天候不順や再エネ発電設備が多い九州電力管内で出力制御を余儀なくされたため、発電量は想定以下となりました。なお夏季を跨ぐ偶数期のため、第7期比でOPDを579円削減し、減価償却費P/Oレシオは38.2%に縮小させています。


進行期である2024年5月期_第9期の予想も修正しており、営業収益は第8期比+14.2%の32.5億円(従予:26.7億円)、経常利益は同▲15.2%の5.69億円(従予:4.79億円)、DPUは同▲10円となる3,000円(従予:2,980円、うちOPD1,705円)に修正しています。本来は季節要因で減収期ながら、昨年11月に5th_PO(※後述)を実施した分の上乗せにより2桁の増収を見込むものの、石川県能登地震による罹災影響やケーブルの盗難、出力制御といった下振れ要素が発生しており、未達の可能性が燻ります。なお、第8期比でOPDを472円積み増し、減価償却費P/Oレシオは51.6%に上昇します。

 

今回開示の2024年11月期_第10期の予想は、営業収益が第9期比+6.0%の34.4億円、経常利益は同+36.6%の7.78億円、DPUは同+15円の3,015円(うちOPD1,245円)を予想しています。季節要因で構造的に増収となるほか、5th_PO取得物件の巡行化が寄与します。なお、夏場を挟む第9期比でOPDを460円削減し、対減価償却費のP/Oレシオは37.6%に減少させます。

 

当法人は昨年末に5th_POを実施しており、約50億円(@85,107円)を調達し、16物件・107.4億円分を取得しています。上場4年以内で5度目という連続POで資産規模は上場時の約6.7倍に到達し、北陸電力管内で8割超という“一本被れ”の状態から物件分散が進んだものの、後から増やした九電物件で出力制御を受ける皮肉な状況となっています。ただ九電管内の出力制御に関しては緩和に向けた動きが出ているほか、中長期的には九州エリアは電力需給ひっ迫が予想されるため、いずれ解消する論点と解されます。

 

当法人は中期目標として現在の資産規模676億円超(185.2MW)を1,000億円まで拡大させる方針であり、丸紅・プロスペックAZ・みずほ丸紅リースといったスポンサー各社のパイプラインは、150MWを確保しています。LTVは49.2%と他インフラファンド比でやや低水準にあるものの、取得物件高騰や出力制御等の理由でアクリーティブなPOが難しくなっており、成長シナリオは不透明な状況です。


*参考記事① 2023-11-01 91,000円 Not Rated

【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人/九電管内の出力制御痛い、次回POは不透明な状況。

 

*参考記事② 2023-04-08 91,300円 Not Rated

【9287】ジャパン・インフラファンド投資法人/LTV活用で連続PO実施も、分配金成長は低位。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。 特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。


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【3994】マネーフォワード(東証プライム) OP

現在値 5,568円/100株 P/E --.- P/B 11.3  11月無配 株主優待なし


個人向け資産管理アプリ「マネーフォワードME」と法人向け会計・人事クラウドが柱。

配当基準日は11月末ですが、配当実績はありません。


業績を確認します。 

■2021年11月期 売上高 156.3億円、営業利益▲10.6億円 EPS▲30.0円

■2022年11月期 売上高 214.7億円、営業利益▲84.6億円 EPS▲176.4円 

■2023年11月期 売上高 303.8億円、営業利益▲63.2億円 EPS▲116.9円

■2024年11月期 売上高 407.5億円、営業利益▲28.9億円 EPS▲33.2円 ce中央値

★2024年11月期 売上高 411.2億円、営業利益▲21.6億円 EPS▲44.7円 COS.

□2024年2月1Q 売上高 95.4億円、営業利益▲9.9億円 EPS▲24.3円(4/12)

□2024年5月2Q 売上高 190.0億円、営業利益▲17.0億円 EPS▲33.2円 四e

2023年11月期の売上高はYoY+41.5%の303.8億円、営業利益は同+21.4億円の▲63.2億円、SaaS_ARRは同+42%の231.5億円となり、7期連続の予算過達(*売上高)となりました。特に法人向けがインボイス導入による特需恩恵があり、ARPA上昇や低水準の解約率(0.7%)に支えられ、中堅企業/ARRは同+71%、SMB/ARRは同+46%と高成長を持続しました。個人向けも金融関連サービス連携上限策の通期化で課金売上がYoY+32%に伸長

したものの、利益面については追加的な広告費投入もあり赤字縮小は限定的となりました。

 

進行期である2024年11月期の予算は、売上高(下限値)はYoY+30.0%の395.0億円、SaaS_ARRはYoY+29.6%の300.0億円と3割成長の維持を見込みます。法人向けはインボイス特需が剥落するものの、同業他社の値上げによる流入顧客の取り込み等も進み、課金法人顧客数の成長モメンタムは足許でも加速しています。値上げしたSMB向けも顧客の離反が起こっておらず、X事業以外は総じて好調が持続します。4月14日開示済の1Qは、売上高95.4億円&営業利益▲9.9億円、SaaS_ARRは255.0億円と好進捗しているほか、EBITDAは5億円に黒転しています。

 

当社は中長期財務ターゲットとして、2024年11月期までの4年間は売上高CAGR30~40%を目指す方針としていましたが、達成公算が強まったことから今回ロールしています。2028年11月期までの5年間で売上高を407億円→1,000億円に、SaaS_ARRを300億円→800億円にに引き上げるとともに、長期的なEBITDAマージン40%~50%をガイドしています。

 

これまでトップライン重視で広告宣伝費や人件費等の先行投資により高成長路線を維持してきたものの、(SaaS銘柄に対する利益重視風潮の高まりもあり)売上成長から利益コンシャスに転換する方針します。取組事項は、①法人向けのバックオフィス機能拡充、②事業間シナジー創出、③SaaS×Fintechによる価値創出、④MAとグループ戦略の最適化の4本を柱に挙げています。

 

①は既に会員数がスケールしてきたことから、基幹機能である会計を軸とした“組み合わせ型ERP”であるプロダクトの強味を活かしたクロスセル・アップセルによりARPA増額を目指すほか、依然69億円程のARRに過ぎない中堅企業市場の深耕を図ります。③は資金決済法の改正や全銀ネットのデータ解放(API方式移行)を契機に、当社のSaaSプラットフォームの金融決済を強化します。注力中のB2B法人カードの発行枚数は既に40万枚に上ります。

 

④MAについては、2017年にクラウド記帳のクラビスを8億円で買収したほか、2018年には経営分析のナレッジラボとクラウドサポートのワクフリを、2019年にSaaSマーケティングのスマートキャンプを20億円で相次いで買収したほか、昨年11月にはビジョナル(4194)から専門サイト運営のビズヒントを買収しています。また、2022年にはインドネシアSaaSのMekariにも追加出資して筆頭株主(42.7%)成りしており、此方は長期目線で期待がかかります。

 

これら取組にくわえ、基礎となる顧客数の拡大モメンタムが目下でも衰えていないことから、新規顧客・既存顧客の両面で成長期待がかかります。かつては湯水のごとく投じていた広告宣伝費も抑制的になっていることから、年率3割超のトップライン成長を維持しながらも、翌期の黒字化は確定的な情勢と解されます(EBITDAは進行期で黒字化予定)。

 

*参考記事① 2023-04-19   5,910円 OP

【3994】マネーフォワード/法人向けARR高成長と、カードや組込型金融の急拡大が見込まれよう。

 

*本記事の内容記述は一般に入手可能な公開情報に基づき、作成されています。特定の証券・金融商品の売買の推奨ないし勧誘を目的としておらず、本記事に基づいて投資を行い、何らかの損害が発生した場合でも責任を負いません。

 

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