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ゲームデザインの深淵(1)

どうも。

新田です。

 

僕は小学校のころからゲーム考えたり作ったりしてたわけですが、「ゲームデザインの資料はないものか」と、ずっと探し回っていました。

 

それこそ草ネットのころから探してたわけですが、当時はゲームが出回り始めたばかりで、そういう開発系の資料はなにもなかった。

 

そこで、自前で研究していたわけです。

 

例えば、ナムコの「ゼビウス」は、なぜヒットしたのか?

 

「ゼビウス」は、ソルと呼ばれる隠れキャラや、スペシャルフラッグなどの1UP隠れキャラがあり、それをプレイヤーが探し回っていました。

その探すという行為が、当時のプログラミング雑誌の「ベーシックゲームマガジン」の小冊子と共に全国的に広まったわけです。

 

単に、キャラが隠れている、それを探す、という要素を入れただけで、ゼビウスは大ヒットしました。

もちろん、スクロールゲームであったり、グラデーションを使って無機質な世界観を表現したりと、ほかにも複合要素はありますが、ほぼ「隠れキャラ」というゲーム要素が、「ゼビウス」をヒットさせたわけです。

 

この「隠れ」要素は、その後のゲームに大きな影響を与えます。

 

シューティングゲームでいうと、カプコンの「エグゼドエグゼス」に、隠れキャラが採用されました。

カプコンは「ソンソン」にも、明らかにゼビウスのソルを意識した「たけのこ」が出現するようになっていて、これを探すプレイヤーが大量に出ました。

PCゲームでヒットした「テグザー」にも、隠れキャラが出ていました。

 

そして、この「隠れキャラ」のフィーチャーは、明らかに進化していきます。

 

ゼビウスの作者の遠藤氏はのちの「ドルアーガの塔」で、「隠されたアイテムを出さないと先に進めない」という無茶な内容のゲームを作りました。

しかしゲームが日本を席巻していたこの年、多少の無茶は通り、全国のプレイヤーはドルアーガの各面のアイテムを出すのに必死になり、遠藤氏のゲームはまたもヒットしたわけです。

 

ゼビウスもドルアーガもナムコのゲームでしたが、ナムコは明らかにこの「隠れキャラ」を踏襲した流れを意識していました。

 

次に「隠れ」要素をゲーム全体にまで拡大したのが、「パックランド」でした。

 

このゲームは横スクロールのアクションでしたが、障害物を進行方向とは逆に押すと、隠れキャラが現れ、ゲームが楽になったり高得点を取れるようになっていたわけです。

 

おそらくですが、任天堂の宮本氏は、ファミコンのヒットタイトルを作るときに、この「隠し要素の流れ」と「パックランド」を強く意識していたと思います。

 

そこで出たのが「スーパーマリオ」です。

 

このゲームは、「パックランド」よりももっと複雑に、ゲーム全体に「隠し」要素をフィーチャーしていました。

隠しブロック、隠し部屋、隠しワープゾーン、透明ブロック、それに「ブロックを壊せるか否か」を分ける、チビマリオとデカマリオの「ゲーム性のスイッチ」をゲームシステムに入れ込みます。

 

「隠し」要素によりゲーム全体が謎に満ちた魅力的なものになり、さらにゲームのアクション性の高さ、当時ファミコンにはあまりなかったスクロールゲームの楽しさが相まって、スーパーマリオは大ヒット。

「作っているときから手応えがあった」と、当時の任天堂の社長の山内博氏は言っていました。

ファミコンブームのさなか、このモンスターゲームは生まれたわけです。

 

「隠し」要素は、ゲームの裏方としてさらに進撃を続けます。


スーパーマリオ以降、「隠し要素を入れればゲームがヒットする」くらいの勢いが、この要素にはあったのです。

当時のゲーム雑誌の1コーナーに、「裏ワザ、裏テクコーナー」なるものを生むまでになりました。

というのも、「悪魔城ドラキュラ」などに続いて、数多くのゲームに隠し要素が盛り込まれ始めたからです。

 

任天堂も、スーパーマリオ以降のゲーム、「ゼルダの伝説」や「メトロイド」などに、堅実な要素として、「隠し」要素を盛り込んでいます。

ゼルダに至っては、「隠されたものを見つけないと先に進めない」という、ドルアーガにも似たゲーム性を盛り込んでいます。

(ただし、ドルアーガはノーヒントでしたが、ゼルダはちゃんとそれっぽくヒントを与えていました)

 

任天堂は、ゲームデザインにさらに磨きをかけ、僕が「任天堂システム」と呼んでいる、任天堂が好んで使うシステムをここで開発します。

 

1つの「鍵」を手に入れれば復数の「扉」が開く、という、例のシステムです。

 

ゼルダでは爆弾を手に入れれば、壊れる場所がたくさん見つけることができます。

メトロイドでは、1つの武器を手に入れると、開けられる扉、行ける場所がたくさん増えることになります。

これにより、プレイヤーは「鍵」を手に入れたことで「あそこもいける、ここもいける」と、マップ内を奔走することになるのです。

 

これが、青少年に朝までゲームさせる「中毒」の要素となったわけです。

 

任天堂はこれ以降、マリオシリーズや、「ピクミン」などでもこのシステムを使っています。

 

任天堂にとってこのシステムは、面白さを生むために研究し尽くした結果の「堅い」システムなわけです。

 

(続く)

ゲーム制作なんてもうくっだらねーからやめてやるわ!!!

すみません釣りでした。

 

ゲームメルマガを毎週配信してたころから僕を知ってる人なら、

 

「あの新田がこんなことは言うはずない!」

 

と薄々予測してたと思います。

ちなみにメルマガはまだこちらから登録できます。

が、最近は年に1回なにか配信すればいい頻度なので、「なんか来ればいいな」と思った場合だけ、登録してください。

(たまに重要ななにかを送る予定です。どっちなんや)

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正直言って、ゲーム開発をやめようと思ったことはありません。

ゲームに初めて出会ったのは小学生の頃でしたが、ゲームでヒットを飛ばすことは、その頃からの彼岸です。

 

田舎の東北からゲーム業界になんとか潜り込んだはいいものの、結局やっていたのはベルトコンベアで流れてくる弁当容器にお惣菜を詰め込んでいく作業でした。

いや、ゲーム制作自体は楽しいものでした。

プログラムは没頭すると、昼夜を忘れてしまいます。

 

しかし、僕の目標は「ただ開発する」ことではなかった。

 

「自分で考えたゲームがヒットすること」なのです。

 

作ったもので、高い評価はよくもらうのですが、それでは自己満足の域を出ていない。

ムーブメントを起こして、バズるくらいじゃないとダメでしょう。

 

研究に研究を重ねて、ゲームデザインのフレームワークを考えましたが、こと「ヒット」となると、それだけではダメです。

手堅いゲームはできますが、それは目的ではありません。

手堅いゲームを作って「ああそこそこ売れたな」という感じで人生が終わっちゃ困るわけです。

ゲーム内課金で暮らしていくのとも、ちょっと違います。

 

ヒットを飛ばすには、どういうゲームにするかのセンスと、時流に乗ることがいります。

 

センスとは、要するに「なににこだわっているのか」とか、「いろいろあるアイデアの中でなにをチョイスするか」といったことです。

これはこれまでどういう人生を過ごしてきたかで全然変わってしまうので、運命とでも言うしかありません。

世の中にはなにも考えなくてもヒットを飛ばせるようなセンスを持った人もいます。

 

ひとつ言えるのは、「平々凡々じゃだめ」ってことです。

そこらへんにあるものじゃなく、「感情を揺さぶるなにか」を持っていないといけない。

 

では時流に乗ることとは?

 

これが難しいのですが、世の中には「流行り」があります。

みんながどーっと同じものに注目する現象です。

流行り病です。

 

ゲームプレイの中にもそれはあって、以前は隠しキャラが流行ったり、ポリゴンが流行ったりしていました。

今は、据え置きマシンがスマホになり、放置系ゲームやソシャゲみたいなカードを集める系のゲームが流行っています。

 

この流行りの中で、これから来るであろう流れをいち早く捉えて、それに乗ったゲームを作ることで、そのどーっという流れに乗り、ゲームがヒットする、というわけです。

早めに乗らないと、大手メーカーなんかが先行してしまって、弱小メーカーの出すものは目立たなくなってしまいます。

 

もう何年も前ですが、ソシャゲを作ったことがありました。

しかし開発中にカードバトルの波が訪れて、それ以外のゲームはもう没落してしまいました。

 

ということで、大抵はセンスで勝負することになります。

この領域なら大手はとても出せないようなゲームや、光るような個人のセンスで勝負できるからです。

 

というわけでまだまだ試行錯誤しているわけですが、狙いをさだめて、今もゲーム制作中です。

 

ということでゲーム制作でヒットを飛ばしたいあなた。

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どうぶつタワーバトルの深淵

 

正直いうと、次に「これ」が来ると思っている。

 

どうぶつタワーバトルは単純な「積みゲー」だ。

そのネタはUnityが開発に使われ始めた頃からあった。

 

ではなぜ、今になってこれだけの広がりを見せているのだろうか?

 

積んでいくと微妙なバランスのエスカレーション(激化)があるとか、そういう基本的な内容は置いておく。

 

このゲームには、今後その「波」が来るだろう要素がある。

 

それは「ネット対戦」だ。

 

どうぶつタワーバトルは、ネット対戦である。

 

この、単純なゲームが、向こう側に人がいるという要素があるだけで、


・人に負けたくないという意識

 

という意識が生まれる。

 

また、ゲームは人とやることによって、「拮抗」が多くなる。

似たような勝率の人と人をマッチングすることによって、勝つか負けるかのギリギリの試合が多くなる。

これはAIではまだ実現できない、ゲームの面白さだ。

 

ゲームは単純でもいいから、ネット対戦にする。

それだけで、ゲームは何倍にも面白くなるし、単純な中に複雑な心理戦が生まれる。

 

MMORPGやRTS、FPSなど、大型のゲームではすでに高度なネット対戦ゲームがあるが、インディ界隈での単純な「ネット対戦」は、まだ開拓が進んでいないゲーム市場だ。

 

ここには個人開発者の成功可能性がまだ数多く潜んでいると睨んでいる。

 

ヒットのためにどう差別化していくか?(2)

続きをいきます。

 

例えば、いろいろなRPGがある中で、どういうものだったら

遊んでみたいと思わせることができるか?

 

これについて、「強く」遊んでみたいと思うものはなんでしょうか?

 

「それは人それぞれだ」

 

と思う人もいると思いますが、程度問題に落とし込んでいきます。

より多くファンを獲得できれば、そのゲームはより価値があると言えます。

(というかこう考えないと、より面白いゲームは考えられない)

 

以前お話した、

 

・既知と未知の組み合わせ

 

であること。

これは重要です。

 

・既知であり、概要を把握していて、すぐに遊べること。

・しかし新しく、「新しい面白さ」(つまり新しい感情を味わえる)であることが期待できること。

 

これを基本的に満たしたものが、ヒットにつながります。

新しいこと。

これが重要です。

 

既知とは、「すでにあるジャンル」と考えることができます。

RPG、SLG、アクション、パズル、等々。

 

これに、新しい要素を乗せていく。

ここが、より面白そうと思わせる、大事な部分です。

 

では、どういう風に乗せていくのか?

RPGで言うなら…。

 

ストーリーが新しい。

グラフィックがより美しい。

キャラクタが新しい。

 

バトルシステムが新しい。

 

などがあります。

よくある変化です。

 

スマホのソシャゲなどは、ほんとうにこうした変化しかないゲームが山ほどあります。

 

しかし、本当にヒットするゲームは、この程度の「違い」ではありません。

これまでのゲームを見ると、もっと、システムの根本的な「違い」を作っているものが多い。

 

言うなれば、「新しいジャンル」となってしまうほどの「違い」がある。

 

当時シューティングゲームに大旋風を巻き起こした「グラディウス」は、それまでのシューティングゲームと比べ、

そんなに「自機を強くしていいのか」と思わせるまでに攻撃を派手にし、それに合わせて難度を上げました。

 

また「グラディウスを越えようと思った」として作られた「R-TYPE」は、それまでのシューティングゲームの

「弾を避ける」という遊びを「弾を吸収する」という遊びに変化させました。

それまで誰も疑わないほど常識だった、そのジャンルの根本的な遊び方を変えたのです。

 

SLGでいうと、

SLG+リアルタイム=RTS。エイジオブエンパイア、スタークラフトなど、ヒットゲームジャンルとなりました。

RPGはどうでしょうか?

 

RPG+アクション=アクションRPG。アクション要素を追加したRPGはスーパーファミコンのころからヒットジャンルです。

シミュレーション+RPG=シミュレーションRPG。オウガバトルなど、戦闘部分をSLGにしたことで、ヒットジャンルとなりました。


RPGだけでなく、スーパーマリオもそうです。

当時は、ファミコン雑誌で「裏技」だとか「隠れキャラ」が流行っていて、ゲーム要素としてブームになっていました。

また、ゼビウスの「ソル」から始まった、隠れキャラはゲームの秘密要素として、宝探し的に面白がられていました。

 

スーパーマリオは、それ以前に連綿と続いてきたその「隠れキャラ」要素を拡大し、盛り込んだのです。

単なる「隠れキャラ」を、隠し部屋、隠しブロック、透明ブロック、隠しステージ、隠しワープゾーンにまで拡大。

ゲーム全体が謎に満ちたゲームになり、何度も何度も遊ぶ要素となったのです。

 

このように、「新しいジャンルとなる」ほどの大改造を、これまでのジャンルに加えてしまう。


今、ネットワークTPSの新しいジャンルとして、「PUBG」が「バトルロワイヤル」形式として爆発的にヒットしています。

これも、かつてのマップを移動して殺し合うFPS、TPSの根本的な遊びの改造を施しています。

 

すでにあるジャンルを大改造して、新しい遊びを提案する。

 

これが、ヒットの差別化の要諦です。

 

ご参考まで。

ヒットのためにどう差別化していくか?(1)

あなたの作品が、ほかと同じような作品では埋もれてしまうわけです。

 

「ああ、またこんなゲームか」

ということになってしまう。

 

(そのゲームジャンルが好きな人なら、「やってみるか」となるわけですが。

ただその場合もなんらかの魅力的な違いがないと気を引くことができない)

 

だから、どうにか差別化していかなければいけない。

 

差別化とは?

 

差別化とは、違いを作ることですが、これが単に違うだけではだめなわけです。

あくまで、「ヒットする差別化」でなければならない。

 

ヒットする事自体をまず定義するなら、「注目され、多くの人々の手に渡ること」。

多くの人が欲しいと思い、それを手にするために行動させ、実際に手にする。

ここまでが商業的なヒットのプロセス。

 

そしてゲームクリエイターであるあなたであれば、その後の内容で、楽しませる。

驚かせる。興奮させる。感動させる。

すげえと思わせる。

我を忘れさせて朝までプレイさせる。

面白いと思わせる。

そして、「このゲーム面白い!」と、ネットで書き込ませる。

 

そこまでいけば成功ですね。

 

ではそういうヒットの可能性を生む差別化とはどういうものか?

 

それは、「感じるものの違い」を予想させるものです。

よくある「違い」は、より美しい、よりクオリティが高そう、というものです。

これは、広告などの宣伝で、すぐに予想ができる。

 

「あ、これはクオリティ高そう。きれい」

 

みたいな感じで。

 

でもこれは誰でもやってるわけだし、見た目のクオリティを上げる努力には

限界があります。

美しさには「光」と「均整」が関わっていますが、より美しいと思われるものは

非常に細かい装飾が施される。

細かく作るには、時間がかかるわけです。

 

(美しさをショートカットで表現するには「光」に注目するといいわけですが、

この話はまた後日)

 

ですので、個人や中小企業のクリエイターがいくら時間をかけても、

大手のクオリティには負けてしまう。

だから、個人が「見た目」で勝負してはいけないわけです。

そもそも量が作れない。

 

大事な違い

 

作品が受け手に衝撃を与えるには、「感情」が必要です。

感情を高くさせる必要がある。

見た目の綺麗さ以外で。

 

ではどういう違いで、その感情高さを生むことができるのか?

 

これは例えばいろいろなRPGがある中で、どういうものだったら

遊んでみたいと思わせることができるか? という問いだとわかりやすいでしょう。

 

ストーリーの違い?

出てくるキャラクタの違い?

グラフィックの違い?

 

それもあるでしょう。

例えばIPもので、週刊少年ジャンプのワンピースやナルトなんかの

キャラクタを使ったRPGを出せば、システムがほかと同じでも、

大人気なはずです。

 

しかし、普通はこうしたIPは使えません。
そしてこうしたIPを使ったとして、それはゲームデザイナーの成功ではないはずです。

(プロデューサーの成功ではありますが)

 

IPものの感情高さとは、その作品への「感情移入」があり、つまり、ハマっているから、

高まっているわけです。

 

しかし、IPものであっても、知名度のない「最初」があった。

 

知名度がなくても、どんどんとハマっていく内容で、知らないうちに好きになっていた。

これは、あなたも覚えがあると思います。

 

世界観を好きになったり、

キャラクタが好きになったり、

ストーリーが好きになったりして、ハマっていったわけです。

 

ゲームであれば、遊んでみたら面白くてハマっていく。

 

ここで大事なのは、「面白くて」というところにもありますが、「遊んでみたら」

というところにもあります。

遊んでもらえなければ内容が面白いかもわかりませんから。

 

つまり、まず「新しい」ことで、遊んみよう、と思わせる必要があるわけです。

 

そして、ここが大事ですが、多くの人が、「遊んでみよう」と思わないといけない。

 

「あのシステムのキャラ違いかあ」

 

程度では、だめなわけです。

 

先の、

 

「いろいろなRPGがある中で、どういうものだったら

遊んでみたいと思わせることができるか?」

 

という質問。

 

これにどう答えるか? です。

 

長くなったので続きは次回。

ヒットするゲームを目指してる途中での雑感

 

思うに、「いかにヒットするゲームを作るか」という点では、およその到達点には達した気がしている。

どうすればヒットが作れるのか?

公式化するなら、

 

ヒット=話題性 x 内容 x センス x 開発力

 

こういうことになると思うが、それぞれの変数の定義がとても大事になってくる。

 

●内容

 

僕が今まで教材とかで教えてきたのは、「内容」の部分で、つまりはシステムの部分だった。

どういうシステムを作れば、ヒットにつながるのか?

ヒットしたゲームはどういうシステムだったのか?

というところだ。

 

しかしこの内容も、人に遊んでもらえなければ「無いも同じ」だ。

 

●話題性

 

そこで必要になってくるのが「話題性」。

 

話題性とは、さまざまなものがある。

ざっと上げていこう。

 

1・有名人、有名な会社が作った

2・そもそも有名な素材である(IPもの等)

3・有名人に取り上げられた(Youtuberとか)

4・広告でよく見る

5・一発ネタ

6・「面白い」と口コミになって、ネットでじわじわ広がっている

 

クリエイターとしては、5や6でどうにか広まってほしいと思うわけだが、

世の中のだいたいのムーブメントというのは、

「みのもんたが紹介したから化粧品が売れた」

みたいなのが多い。

 

要するに、影響力のある人が宣伝したから、売れた、ヒットした、というわけである。

これは広告宣伝やマーケティング部門の人ならよくわかってることで、

有名にしたいならすでに有名な人の肩に乗れ、というのはよく使われる。

 

こうした影響力と関係ないのが、「導入期」に出たか、「これまでになく新しい」作品だ。

要するに、話題性のあるハードで、最初に出たゲームということ。

 

ファミコンを思い出して欲しい。

ドラクエは、ファミコン初のRPGだった。

FFも似たような感じで、ドラクエと差別化を図って住み分けた。

スーパーマリオも導入期のヒット作だった。

 

ダビスタ、グランツーリスモ、バイオハザード、

どれもこれまでになかったか、新ハードの導入期に出たものだった。

新しいものだった。

 

ポケモンは終わりかけのゲームボーイ市場に出たが、

通信でのポケモン交換が「新しかった」。

(そしてさらに任天堂がプロモーションしたというのが大きい)

 

まとめていうと、有名人の影響力以外では、タイミングが大事になってくる。

そして、冒険的な新しいタイトル、内容を出す。

非常に複雑で、ピンポイントなタイミングをつかむ必要があるということだ。

 

●センス

 

このタイミングに合わせてゲームを作るということは、非常に難しい。

時代の先読みをする先見力がいるし、同時に素早い開発力もいる。

 

狙ってヒットするものを作るのは、奇跡に近い技だと思う。

 

だから、ヒットの可能性を狙うのであれば、この方法は薦めない。

 

シンプルに、「あなたのセンス」で挑戦することを薦める。

センスというのは、あなた自身の感性だ。

 

あなたがこれまで面白いと感じた経験を集約させ、作るということだ。

それを先鋭化させること。

マーケティングを考えたたり、誰かが作ったものの良いとこ取りを作ろうとしてはいけない。

 

あなたの「変な」「偏った」「独自の」センスが、新しいものにつながる。

短い人生中で高い確率でヒットを狙うなら、もうそこに賭けるしかない、と、僕は思う。

 

あなた自身を出すということは、「チンコ出して踊れ」ということだ。

「それ」があなた自身なら、恥ずかしいところを恥ずかしげもなく出さないと、極端さは出ない。

「おかしなもの」「偏ったもの」が、あなたの中にある。

それを出して、「新しい」と思わせなければいけない。

 

「狂ってる」と思わせるくらいじゃないとダメだ。

 

●開発力

 

そして、最後が開発力。

これなくしてゲームは作れない。

 

個人的に思うのは、結局は開発力は、努力と根性だということ。

 

プログラミングも、人を集めてくるのも、結局は努力と根性である。

高い技術なんて今は関係ない。

すでに完成度の高いものを作れるツールや環境が揃っている。

 

何度失敗しても立ち上がって作り続ける。

これも努力と根性。

 

アングリーバードは、確かその会社の46作目で、そこまで作ってようやくヒットしたという。

作り続けることだ。

諦めないことも、力である。

 

自分を信じる力が、最後の砦。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の「熱い時代」に来るものはなにか

たとえば、クロッシーロードはシステムはフロッガーというところはオリジナリティはなかったが、

ボクセルグラフィックの先駆で、それがピタッとハマった。

 

先駆がなんでも当たるわけじゃないけど、なんらかの先駆をやっていくことには意味がある。

 

アクアノートの休日は無目的ゲームの先駆だった。

ゲームがそれまでの体裁で煮詰まっていて、その先をプレイヤーは欲しがっていた。

そういう時代にマッチした。

 

グラフィックの先駆なのか、システムの先駆なのか、世界観の先駆なのか、

それは問わないがマッチすることが必要になる。

 

ひとつは反動で、それまで大勢を占めていたものに対しての反動が必ずある。

 

バブルの時代は熱かった。

そしてコンテンツフィーバーの時代が、1980年、1990年台だった。

 

バブルの熱い時代が終わって、若者は消費しない冷めた時代になった。

コンテンツ創成の時代は終わって、リバイバルが中心になった。

 

そして20年経った。

時代は繰り返す。

再びなんらかの熱い時代に戻ることが考えられる。

 

今、物質やサービスに対しての満足が高い地代になった。

だから高いモノを指向しなくなった。

娯楽も無制限にある。

 

そんな中で欲しがられているのはそれ以上の快楽。

ベーシック・インカムの議論が盛んなのは、それがより高い快楽だから。

 

ゲームに戻ると、次の「熱い時代」はなんだろうか?

プレイヤーは、なにに熱狂するのだろうか?

 

アプリは、LINEやツイッターなど、細切れで継ぎ目のない快楽を実現した。

どんなスキマ時間でも快楽が得られるメディアができた。

 

その中で、さらに面白いもの。

ゲームアプリの進化。

ネットワークが当たり前になった時代の、新しいゲーム。

 

もしくは、それ以外の面白いもの。

VRなど、新しいインターフェイスのムーブメント。

 

そういうものが来るだろうと予想している。

「業火のサクリファイス」プロモーションビデオ

新しいゲームが出ます!

 

「次の作品が最後と思いながら作る」

 

という言葉を胸に作ったゲーム、

 

「業火のサクリファイス」

 

です。

僕はどうも哲学的にものを考えるクセがあり、

そしてゲームを暇つぶしとして終わらせたくないという思いがあって、

こういう作品になりました。

 

 

近日公開予定です。

 

公開のときはお知らせします

人がほんとうに求めていることを与えれば、そこにヒットは現れる

物心ついた頃から、ゲーム制作をしてきた。

 

中学のころからゲームにハマって、何度も親にゲームを窓から捨てられたり、ゲーセンで補導されたりしたが、めげずにずっとゲームをしていた。

 

そのうち、パソコンでゲームが遊べて、さらに自分で作れば好きなものを作れて、いくらでも遊べるとわかって、ゲーム制作にハマりこんだ。

 

友人たちはゲームにハマっていたが、ほかに遊ぶものを見出したのか、ゲームだけではなかった。

自分はなぜがゲームだけにハマり、それまで趣味だったイラスト描きもほったらかしてゲームにハマっていった。

 

だからゲーム制作についてはもう35年以上関わってきたことになる。

 

ゲーム制作ではコスティキャンのゲーム小論にハマって、これが面白いゲームを作る方法だ! こういうふうにまとめていけばいいんだ! と興奮した。

これは小さなゲーム会社に就職して、1年ほど経ってからのことだったと記憶している。

 

しかし、ゲーム業界にいる人はさまざまだった。

エロゲー、ギャルゲーが作りたくてゲーム業界に入る人。

ライスワークとして楽しそうと思って入った人。

方法論とか関係なく、センスだけで作る人。

 

そんな中で、自分は特殊だった。

やり方的にはどちらかというと英語圏的だった。

職人的な、その人しか作れない内容より、汎化してヒットを連作できるノウハウが必要だと考えた。

 

ゲームは驚かされたり、より高い緊張感を作り出したゲームが売れていた。

物語によって引っ張りつつ、難度がエスカレートして徐々に敗北や死の緊張感を味わうのが、だいたいのゲームのパターンだ。

 

だからプレイヤーの気持ちを動かすこと、それが最も大事なことだと考えた。

 

人間の気持ちは、脳の構造から考えると、本能、感情、理性から作られている。

だから心理学がよく使われているマーケティングからのアプローチを取り入れていった。

 

マーケティングは100年以上前に考えだされ、いかに商品を欲しがっているお客に商品を薦めるか、いかに興味のあるお客を集めるか、それに集中していた。

商品のコピーライティングについても、100年かけて進化してきている。

 

だから方法論はブラッシュアップされ、技術の粋を極めている。

 

そうした「いかに面白いゲームを作るか」の研究は、徐々に収束してきている。

ヒットについても、人がクチコミする内容にはパターンがあることがわかってきた。

 

社会は、人間を「いかに生かし、生存させるか」を主題にして構築されている。

その構造は、「生かす」ことに集中している。

 

しかし人々は、「生きる」ことだけでは、人生に意味を見出せない。

楽しく生きることができなければ、意味を見出せない。

つらく苦しい人生を送るくらいなら死んだほうがマシだと考えるのが人である。

だから楽しみたい。

人生を楽しいことや、生きる意義を感じるなにかによって充実させたいと思っている。

 

そして、人々は生きる中で感じる苦楽を、誰か他人と共有し、わかってほしいと思っている。

聞いてもらい、共感してもらえるだけで、心の中にはなにか支えができる。

人と共有しているだけで、つながっている、仲間でいてくれる、という心強さが生まれ、それに支えられる。

 

社会の中ではただ社会の構成員として機能的に生かされるだけで、生きる意味や充実は提供はされないし、それらは提供されるものでもない。

 

楽しいこと。

意味を見出すこと。

つながって気持ちを共有すること。
 

こうした、社会の中で生かされているだけでは感じづらいことの中に、充実は潜んでいるし、「生きることを肯定するなにか」は含まれている。

 

そう、僕らは楽しいことの中や、物語、体験、その中に「生きることを肯定するなにか」を見出そうとしている。

 

生きることは素晴らしいことだ、よいことだ、ということをたくさん感じたいし、恒常的に感じ続けていたいと思っている。

それが、「幸せ」という言葉の本来の意味だ。

幸せには快楽や心地よさが伴う。

安寧、平安もその中に含まれる。

 

あらゆるメディアは、僕らに「生きろ」と励ましを続けている。

漫画も映画も小説も、ゲームも、アートも、生きることの意義を表現できれば、最大級の賛辞が与えられる。

 

優しい人。

温かい人。

自分を認めてくれる人。

自分を肯定してくれる人。

自分を犠牲にしてでも、人を助けたいと思っている人。

 

そういう人の存在が、生きることに意味を与えてくれる。

もっと生きたいと思わせる。

 

生きることだけを機能的に、冷淡に推し進める社会の中で、そうした温かい存在が、人々の生きる糧になる。

 

そうした人々を表現することが、多くの人を喜ばせるし、楽しい気分にさせ、手放しでその作品を薦めてくれる。

 

社会は人々が生きる上で感じる自己欠落感など、情緒的なことをカバーしてくれない。

そこをカバーするのは文化だけだ。

 

2ヶ月連続投稿おめでとう!

このスタンプを投稿して2ヶ月連続をお祝いしよう♪

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らしいですよ。

ゲーミフィケーションですね。

ニコ生にもこういうバッジありますね。

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