白石晃士の映画制作中日記
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『追想』

DVDで見ました。
素晴らしかったです。
死のエグさをちゃんと描いてるのがいいですね。

主人公と観客が過去の情報を共有し、彼の感情の流れを同時体験できる。主人公が復讐に転じてから独り言などは言わず黙って淡々とやっていくのがいいですね。ふとした瞬間の表情と、挟まれる追想シーンで、説明的ではなくあくまで感情に訴える流れになっています。非常に抑制されていながら非常に感動的で情熱的。
復讐者がイケメンとはかけ離れた腹の出たザ・オッサンな風貌である点も非常に素晴らしいです。

いいものを見せてもらいました。

プロットの参考も含め、最近見た映画の感想をメモしときます。

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昨年大晦日、ゴージャスな映画体験をしたくて
『レ・ミゼラブル』を見ました。
シネコンの大きな会場で、
お客さんもなかなかの入りでした。

映画は思った以上にミュージカルで、
払ったお金の分は楽しみましたが
歌っているときに説明の歌詞が多くて
ストーリーが止まってることが多いので
「早く進めてくれないかなー」と思ってしまいました。
せめて踊ってくれたらと思うのですが、
踊るミュージカルではないんですね。

しかしアン・ハサウェイの声は物凄く魅力的でした。
彼女ならいつまでも見ていたいと思わせられるのですが、
かなりすぐ居なくなってしまうんです。

ストーリーの終盤のブロックでの
宿屋の娘の恋愛のサブストーリーはなかなかにグッとくるもので、
そこをもっと見たかったのですが……
この部分が終わると最後まではあまり魅力のない内容に見えてしまいました。
キャラクターが真っすぐすぎて、どうも好みに合わなくてですね。

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『マドモアゼル』
DVDで見ましたが、これは見事でした。
画作りもキャラクターもストーリーも魅力的で、
素晴らしかったですね。
これほど良いと、あまり細かいことが書けません。
シンプルな撮り方でヒキの画を堂々と使っている点や、
静かな音構成、など
手法としても実に気高い「映画」でした。

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TV『魔法少女まどかマギカ』
これは映画ではないのですが
評判が高かったのでDVDでテレビシリーズを拝見しました。
あまりにも面白くて一晩で全部見ました。
何というハードな物語なんでしょうね……
衝撃的でした。

美少女アニメという入口からあのような高みにまで……
これはもう本当に、
最近では最大の衝撃です。

とくに魔女の世界の表現にはのけぞりました。
私がやりたいと思っていた方向性を、
とても敵わない物凄い知性とオリジナリティで表現されてしまっています。
実写でないのがせめてもの救いですが、
見ている間、その表現と物語とキャラクターたちに感動しまくりましたし、
見終わってからもしばらく興奮状態でしたが、
同時に常に打ちのめされている自分もいました。

劇場版前編・後編があと少し上映されているので、
終わる前に見るつもりです。
いやーしかし、これには参りました。

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『ダークナイトライジング』
Blu-rayで見ました。
もともと『ダークナイト』も乗れなかったのですが、
これは本当に興味が持てなくて、
ついに早送りしてしまいました。
もう内容はあまり覚えていません。

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『世界の終り』
DVDで。
マスターズ・オブ・ホラーのシリーズで、
ジョン・カーペンターが監督した作品です。
気になりながらもタイミングを逸して見そびれていました。
これは近年のカーペンター作品では最も面白いじゃないですか!
もっとお金があればなあとか、
編集がちょっとなあとかはありますが、
基本となる物語は非常に好きですね!
『ザ・ウォール』が卒倒するほどつまらなかったので、これは嬉しかったです。

同時収録されているスチュアート・ゴードン監督の
『魔女の棲む館』は記憶もおぼろげで印象に残っていません。
もちろん『死霊のしたたり』は大好きな傑作です!

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『影の車』
DVDで見ました。
野村芳太郎監督、橋本忍脚本の黄金コンビによる人間ドラマですね。
同じコンビの『八つ墓村』が大好きなので、
ずっと見たいと思っていた映画です。
しかしこの作品は人間ドラマ要素が強い
非常に良くできたドラマで、
一瞬オオッとなる悪夢のような描写があるのですが、
あとは人間ドラマ……
おこがましいですが私にはちょっと地味でした。

もっとぶっきらぼうな物語とドラマですが
『震える舌』のほうがやはりパワフルで好きですね。
でもやはり何と言っても『八つ墓村』ですね。

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『アニマル・キングダム』
劇場で見ようと思っていたのですが見逃してDVDで見ました。
これは期待はずれでした。
クオリティは高いですが、
予告でイメージさせたような内容だったら面白かったのにと思いました。
予告編とはかなりイメージの違う内容です。
つまり予告編を作った人が上手いということだと思います。

これは脚本の構成に難があると思います。
あの家族がどのようなことをしていたのか、
それをタイトルバックの静止画だけで済ませるのでは描写が足りません。
スタートからつまずいています。

バイオレンスや緊張感の描写としては
ハッとさせる秀逸なシーンが多々ありました。
それでも映画全体としてつまらなく退屈な印象に感じたのは
構成の難だと思います。

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『エクスペンダブルズ』
2を見なきゃと思ってDVDで見ましたがお見事な面白さでした!
しかし結局時間がなくて2は見れずじまいでした……。

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『ベルフラワー』
DVDで。
基本的にはかなり好きな世界なんですけど、
キャラたちが何を生業にして生きているのか、
それが描かれていないのだけは残念でした。
そこと切っても切れない世界だと思うんです。
とくに主人公2人の収入が何なのか、
そこはしっかり見せて欲しかったですね……。
描写はかなりリアルですから、なおのこと気になりました。
どうやって生きているのか気になったまま
ラストを迎えてしまいました。

終盤難解になるというような情報がありましたが、
それは全然そんなことは無かったですね。

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『シェイム』
DVDで。
セックス依存症の人の話ですね。
映像がカッコ良かったですね。
それ以外は、長編にするような内容かなあと思いました。
退屈するほどではないですが……
ユーモア混じりに描いた方が皮肉が利いて
深刻さに深みが出た気がします。
主人公の苦悩が凄くナルシスティックに見えてしまいました。

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『ヴァルハラ・ライジング』
『ドライヴ』の監督の作品です。
DVDが出ていたので見ました。
しかしこれは自分にはかなり退屈でした……。
クオリティは高くてカッコイイんですけどね。

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『アタック・ザ・ブロック』
Blu-rayで見ました。
期待はずれでした。
やろうとしている方向性は全てと言っていいくらい好きですが、
どうにも「本当に好き」になるとこまではいかず……。
期待が大きすぎました。
何も知らずに見れば拾いものだと思ったはずです。

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『アベンジャーズ』
3DのBlu-rayで見ました。
が、どうにも退屈で見てられず、途中で見るのをやめました。
何だか、見てる時間がもったいなくなって来て。
この予算の1000分の1でも私の作品にあれば……。
いつの間にやら2013年ではないですか。

原稿に追われて年を越し、
つい先日にやっとひと区切りできたので、
ちょっとだけホッとしております。

おまけに年末から喉が痛くて風邪気味になり、
熱は出なかったのですが未だに喉がスッキリせずです。
周りでも風邪をひきまくってますねー。
多くの地域ではこれからさらに寒くなりますから
気をつけましょう。

東京は先日降った雪がまだ残っていて足元が危険です。
スッテンコロリン頭部ガツン、
血しぶきビシャー!
なんてことにならないように気をつけましょう。

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さて、短期ではありますが
ENBUゼミナールの映像俳優コースで講師を始めました。
2月半ばまで週二回、夜の授業があり、
4月のENBUの上映までに彼らが出演する映像作品を作ります。

ほとんどお任せで内容の制限がありませんから、
まず普通の作品にはならないでしょう。
映画暗黒神に従って粛々と制作したいと思います。

これが今年最初の作品になりそうです。

どうぞお楽しみに。

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そういえば自転車が壊れました。
二度目のENBUの授業に自転車で向かっているとき、
突然後輪が回らなくなってしまいました。
見るとギヤチェンジの部分がひん曲がって
スポークの間にガッチリ挟まり
タイヤの回転を阻止しています。
諦めて歩いてENBUに向かいました。

実はこのとき、
呪われることで有名な
あるネタを使ったプロットを執筆中でして、
早速その呪いが来たかー!
とちょっとテンションが上がりました。

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告知をしておきましょう。
白石晃士の映画制作中日記
戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-03【人喰い河童伝説】
2月2日リリース

[ストーリー]
前回の取材で昏睡状態となり、病院で療養中のディレクター工藤。そんな中、アシスタント市川の元に新たな投稿映像が届けられた。池で釣りをするカップルが映像に収めたのは、水面から現れた異形の生物。池のほとりには、猫の死体とキュウリの食べカスが残されていた。市川は、状況証拠から日本古来の妖怪“河童”と推測する。河童は空想上の生物と捉えられがちだが、実際には日本各地で多数の目撃情報が寄せられているのである。その真相を確かめるべく、市川はカメラマン田代、投稿者と共に件の池へと向かうが…。

河童です!
翌月には続けてFILE-04がリリースされますよー!
北村早樹子さんのPVが完成しました!

↓こちらで公開中です!
http://youtu.be/yCwJ0PFzM90

北村早樹子さんが2013年1月1日に発売する
$白石晃士の映画制作中日記
NEWアルバム『ガール・ウォーズ』より、
「だ・い・す・き」という曲でPVを作らせてもらいました。

スタッフ編成などは以下です。

出演 北村早樹子(二役)
撮影監督 古屋幸一
録音 中川究矢
美術・装飾・イラスト 田中佑佳
協力 長濱亮介 Antiqueスピカ
監督・脚本・編集・VFX 白石晃士

普段の私の作風からは想像しにくいガーリーな内容になっております。
ドラマ仕立ての6分少々の作品です。

曲調や歌詞からのインスピレーションに素直に作ったらこうなりました。
北村さんはとにかくその声が凄くイイんです。
ぜひ皆さんにその歌声が届いて欲しいですね。

北村さんにPVを作らせて欲しいと言ったのは
確か1年くらい前だった気がします。
木村文洋監督『へばの』で北村さんが歌うエンディング曲を聴いたとき、
そして歌い手とも知らず喫茶店で「わたしももクロちゃん好きで『シロメ』も好きなんです~!」と話しかけられたときは、
まさかこんなことになるとは夢にも思いませんでしたなあ…。
人生は面白いですね。

これが今年の私の最後の作品になります。
新しいことに挑戦できて楽しかったです!

撮影したのは12月8日、
完成したのは21日でした。
本当は15日に完成させるという約束だったのですが…

北村さんにはかなり迷惑をかけてしまいました。
北村さんごめんなさい!

可愛らしい世界を作り上げるにあたっては、
美術担当・田中佑佳ちゃんの力がかなり大きいですね。
彼女の、可愛らしいけど奥底に毒を秘めている芸術センスは、
きっと北村さんの世界には合うはずと思って声をかけたのですが、
まさにそれがピッタリはまりました。

その他、撮影古屋くんの提案や、現場でのひらめきなどで
奇跡的にクオリティアップしましたね。
映画の神に感謝です。

このPVと、新しい企画のプロットを書いたり色々やっていて
あまりにも余裕が無かったのでさっそく再開したブログがストップしてしまいました。
すみませんです。

あ、あと個人的に書いておきたいんでメモがわりに書いておきますが、
作品が完成しそうなときはいつも特別な気持ち、敬虔な気持ちになります。
あの瞬間がとても好きですね…
比喩ではなく、あれは命が生まれる瞬間だと思っています。
あの気持ちは作品が完成しそうな瞬間から完成直後までしか味わったことがありませんが、
自分に人間の子供が生まれたらあれを増幅したような気分になるんでしょうかね。
とにかく、凄く澄んでるけど静かに興奮してるようなあの感覚、
好きですねえ。

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それでですね、
1月1日発売の
北村さんのアルバム『ガール・ウォーズ』なんですが、
新宿タワレコで購入しますと特典DVDがついてきます。
$白石晃士の映画制作中日記







このDVDは私が作りまして、以下の3つの映像が収録されています。

・まず「だ・い・す・き」PVを収録してます。ネットで見るより圧倒的に映像がキレイですので、これで見てほしいですね~。

・アルバムのラストを飾るピアノ弾き語り「朝も昼も夜も」のLIVEを収録してます。場所は高円寺の円盤。撮影は私です。

・「おまけのオマケ」と題して、PV撮影のとき、北村さんが合間におもちゃのピアノを弾きながら歌っている様子を収録してます。これも撮影は私です。「朝も昼も夜も」を途中からと、アルバム『聴診器』に入っている「歯車に絡まった男の話」を1番だけ歌ってます。私は「歯車~」はアルバムよりこっちの方が好きですね…凄くイイんですよ! 撮れて嬉しかったですね~。

このDVDは、
初めてAdobeのEncoreというオーサリングソフトを使って中身を作ったんですが、
なかなか使いこなすと面白そうというか、
かなり細かいことまで出来そうなので可能性を感じましたですね。
メニュー画面作りとか楽しいですね~。

盤面は友達の喜多くん宅で印刷させてもらいました。
今までも自主制作のDVDを売ったことはあるんですが、
盤面はシールを貼って作ってました。
しかし今回は喜多くん所有のプリンターで初の直接プリント。
このデザインとかレイアウトを考えるのも楽しいですね~。
プリントの質も非常にキレイです。

今後、自分の自主制作のDVDを作る際に
かなり役立ちそうな経験ができましたです。
今後の自主制作DVDはかなりレベルアップしますよ!

さてそんなこんなで、
今回のトータル16分51秒の特典DVDは、
新宿タワーレコードで『ガール・ウォーズ』を購入した方のみの特典です!
数に限りがありますのでお早めに~!

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さて、来年は面白そうな企画が実現・公開されそうなので楽しみです!
言いたくてしょうがないんですがまだ言えません。
年明け早々からENBUゼミナールの
映像俳優コースのワークショップで作品を作るんですが、
これもかなりトンデモないものを作る予定ですのでお楽しみに!
それは4月のENBUの上映でお披露目されますよ!
最近、北村早樹子さんのライブを撮影しているので
昨晩の渋谷のライブにも行ってきました。
ライブハウス側の演出的に北村さんの出番での照明が暗すぎて撮影としてはかなり厳しかったです…。


4組が出演したのですが、初めて見て聴いた転校生が衝撃的に凄かったです。ウワーと思って、いつの間にかフラフラとアルバムを買っていました。
曲が良いのはもちろんですが、はかなく揺れる無垢な歌声のボーカル、絶妙な距離感で演奏するバンドのメンバー、その一体感にグッときました。
そしてどこか不安定に揺れながらも、だからこそ感情が明確に乗るボーカルに惹かれました。北村さんの歌声が好きなのも同じ理由です。歌詞の世界もとても近いものを感じました。

声の不安定な「揺れ」はその瞬間その瞬間にしか存在せず、再現されることはありません。だから、必死に歌っては消えて行くその歌声がはかなく胸を打つのではないのかなあと、これは勝手な自分なりの想像ですがそんなことを思いました。

北村さんのPVの撮影はもうすぐです。
気を引き締めて臨みます。