CHAKAI日記

特別なお茶をいただきましたので、

茶通箱の点前でお出ししました



堀井七茗園 成里乃

奥ノ山茶園謹製 伝承抹茶


足利将軍が宇治七茗園を指定して六百余年

唯一、現存する奥ノ山茶園で栽培されている御茶



従来に比べ、旨味成分(テアニン)の含有量が二倍



ひと口いただけば、まるで濃厚なポタージュの風味、食感、香りが広がって、とどまります


この一服の濃茶のための茶事

その目的に十二分に沿った御茶でした

懐石料理をいただいた後に

出される菓子


美味しさとデザインのバランス

どこまでするか

菓子職人と行ったり来たりの打ち合わせ


弟子たちのお祝いの席にと

菓子職人と一緒に考えたお菓子



菓銘 芽生え 行松旭松堂製


よもぎだけで色をつけた荒目のきんとんに

咲いた花々をイメージした白と赤の極細きんとん


ベースの皮むきこしあんに

石川県特有の醤油風味のふのやきの皮を巻いた菓子


添加物は入れずに

というオーダーにも見事にこたえていただきました



お茶の挑戦

を考えた時、

職人の協力は欠かせません


道具も空間も料理も

そして何より客がいなければ

お茶はできない(成り立たない)


今の時代は自分へのご褒美のように

一人で完結する方が楽な考えもありますが、

誰かのためにと分かち合う喜びが

お茶にはあります


目の前にあるものの背景にある

関わる全てのもの、ことに

感謝していただきました



この度の御相伝茶事の懐石も

お料理得意な弟子が心を込めて作ってくれました


汁 道明寺麩、桜麩、水辛子

 替:蓬麩、桜麩

向付 鱸菜種合え

   芽ねぎ、山葵、加減酢


煮物 焼鯛 桜道明寺蒸

   白舞茸、桜花


焼物 鰤 ポン酢焼


預鉢 蛤、針生姜、あさつき

小吸 大徳寺納豆、菜の花


八寸 燻製鮭とモッツァレラチーズ 菜花辛子和え

香物 沢庵、赤蕪


人に恵まれ、こうしてあたたかいお席が共につくれることに感謝します

この春、弟子のみなさまに

新たな許状を取り次ぎました



各々にとっての“大切な節目”は

御相伝の茶事の形式でお招きしました



思えば最初の取り次ぎは2012

あれから12(干支一周)が経ちました


たくさんの経験(機会)をいただき

環境や自分自身の考え

茶の湯に向かう姿勢も

大きく変化しました


今も根本にあるのは

お茶の楽しみ(ときめき)を共有したい

という思いです



未熟な私のもとで、

私以上のキャリアのみなさまが

茶の湯に励まれているご縁の不思議




果てしないお茶の海原

後悔のない航海を

これからも豪快にこんな風に

チャレンジしていければと思います

茶室に満開の桜


ご縁あって、期間限定で拙軒に迎えられました



江戸初期から中期の狩野派の屏風


せっかくなので、大切な茶友を招いて

ひと足早いお花見です




桜の下、野点の気分で一服



透木釜は桜格子の文様



お気に入りの茶碗でお茶差し上げました