どうも、はちごろうです。
先日、駄話会のメンバーが経験したことなのですが。
その方はとある女性アイドルが主演する映画を観に行ったところ、
場内にその子のファンと思しき若い観客が多数おり、
その中の数名が外から持ち込んだポテトチップスの袋をカシャカシャさせながら
上映中ずっと音を立てて食べながら鑑賞していたというんですね。
当然作品に集中できるわけがなく、非常に不快だったそうです。
こういう、普段映画館に来ないお客様が鑑賞ルールを知らず、
他のお客様に迷惑をかけるケースは以前からしばしば遭遇します。
数年前、初日の舞台あいさつでお目当てのアイドルが退場したら、
本編も観ないで帰ってしまうファンが多数いたと問題になったことも記憶に新しい。
また、全席指定席になっているのにもかかわらず好きな席に座り、
元々その座席を取っていた人に移動を促された挙句、
本来座るべき席に移動したら別の人がすでに座っていた、なんて話もある。
ただ、この手のトラブルは今に始まったことではなく、
80年代のアイドル映画ブームの頃にもこの手のことはあったと聞く。
例えば大画面に映る贔屓のアイドルの姿を何度でも見たいからと
カメラを持ち込んでストロボ撮影するという暴挙に出たケース。
これ、他のお客様に大迷惑であることはもちろんなんだけど、
そもそも映画は光をスクリーンに投影しているので、
暗い場所だからとストロボを焚くと肝心のアイドルの顔がぼやけてしまう。
そういう基本的な映画の仕組みすら知らないからやってしまったのだろうけど。
こうしたケース、本人は自分が楽しむことが第一義で
他人が被る迷惑はどうでもいいと思ってるかもしれないが、
こういうことが頻発すると贔屓の評判が下がり、活動の場を狭めてしまう、
回りまわって自分が贔屓の活躍を見る機会を失う、
つまり自分も大きく損をしてしまうことに気づいてほしい。
ただ、普段行き慣れていない公共の場所でのマナーを知らないばかりに、
その場での立ち居振る舞いを間違えて顰蹙を買うことは
特に若い時代にはやりがちなことです。
例えば最近サウナがブームになっていますが、
暑くて我慢が出来ないからと何度も入退出を繰り返したり、
汗もろくに流さずに水風呂に飛び込んだり、
水風呂の中にタオルを浸けたりするのはマナー違反です。
何度もドアを開ければ室内の温度は下がるし、
汗まみれの体やそれを拭いたタオルを大勢が使う水風呂に入れれば不衛生ですし。
しかし、この手のマナーを初回から全てマスターしている人間は皆無だし、
利用していく中で従業員や他の利用者に注意されながら覚えていくものなので
若い世代の無知からくるマナー違反は致し方ない部分もあると思う。
大事なのは注意されたときに素直に謝ることであり、
そこから正しい利用方法を学んでいくことであってね。
一方、これは同じ駄話会の別のメンバーの話なんですが、
この人は都内のとある映画館を絶対に利用しないと豪語する。
そこは土地柄や上映作品の傾向から客層の中心が高齢者なんですが、
ここの観客の鑑賞マナーがすこぶる悪いという。
上映中に私語は多いし、携帯電話もマナーモードにしないなど。
なので、その方は仮に観たい作品がその映画館でやっていても
他県に越境してまで別の映画館で観るようにしているそうです。
思えば、昭和の映画館はいまの基準からすれば鑑賞環境が非常に悪かった。
私の子供の頃でもさすがに場内の禁煙は徹底されていたけれど、
かつてはたばこの煙でスクリーンに靄がかかることもあったというし、
家から弁当を持ち込んで食べながら観ることも珍しくなかった。
また、最近は売店で売っている食べ物は音のしないものが大半だけど、
昭和の頃には平気で袋入りのスナック菓子が売店で売っていたのである。
(伊丹十三監督の映画「タンポポ」では、スナック菓子の外装フィルムを鳴らす客に
役所広司扮するやくざが脅しをかけるシーンもある)
しかし現在。この手のルールは厳格化されだいぶ鑑賞環境は改善されたが、
それでもマナーの悪い客は一定数存在する。
ただ、同じマナーの悪い観客でも世代によって傾向があって、
若い世代は前述したように無知によってトラブルを引き起こすんですが、
高齢の世代はそのルールが出来る前から映画館に通っている場合が多く、
「かつては許されていた」「少しくらいいいだろう」と
勝手な理屈でルールを拡大解釈する、もしくは堂々と破る傾向がある。
「(無知ゆえに)守りたくても守れない」のではない、
「守れるのに(敢えて)守らない」のだから始末に悪い。
ただ、こうしたマナーの悪い高齢の観客に憤るこのメンバーは、
そうした観客から離れるため、上映中に空いている席に移動するという。
都内の映画館、特にシネコンは基本的に全席指定席。
なので上映中に席を移動するのは立派なルール違反なわけです。
この人にしてみれば「空いてるんだからいいだろう」、
「昔はどこでも好きな席に座れた」と考えているのだろうが、
コロナ禍の昨今、劇場側の場内清掃・消毒作業の効率化を考えれば
勝手に座席を移動するのはより重大なルール違反だと私は思う。
つまり、このメンバーもまた他人の鑑賞マナーを厳しく非難しながら、
自分の鑑賞ルール違反には甘いという、見事なダブスタぶりを発揮してるわけで。
子供叱るな 来た道だもの
老人笑うな 行く道だもの
という言葉があります。
若者のマナー違反はかつての自分だった可能性もあるわけです。
「私の若い頃はあんなことはしなかった」と豪語してもただ自分が忘れてるだけ、
そして周囲から寛大な心で不問にされていただけかもしれませんし。
だから、ここはあまり目くじらを立てない方がいいかもしれません。
もちろん限度問題で、あまりにも目に余るなら注意する必要がありますが。
ただ、高齢者のマナー違反は反面教師とし、
自らのこの先の行動を改めるきっかけにするべきだと思いますね。
「深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている」
みたいなもので、老害を笑う者はすでに老害になっているのかもしれませんし。