押川雲太朗の万事いいかげん

押川雲太朗の万事いいかげん

漫画家 押川雲太朗のブログ。日々の何でもない事や、たまに仕事の告知など、書いていきます

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先日、9月3日の阪神ヤクルト戦でこんなことがあった。

 

7回裏、阪神の攻撃。

 

ワンアウト一、三塁から一塁ランナーの陽川が盗塁をして

ワンアウト二、三塁。

 

ここでピッチャーのマクガフが

今まで陽川がいたはずの1塁に牽制球を投げてしまう。

 

ボークである。

 

しかも、一塁手は自分に牽制が来ると思っていないので球がとれず、

二、三塁のランナーがホームインして阪神は二得点となった。

 

私もながい間野球を見ているが、

初めて見る珍プレーであった。

 

起こったことからマクガフがかなり動揺していたということが推測できる。

 

一塁ランナーだった陽川は足の速いランナーではない。

 

それでもマクガフは陽川に牽制球を何度も投げていた。

 

にも関わらず、一瞬の隙をついて陽川に盗塁されたことが

マクガフの頭の中を真っ白にさせてしまったのだろう。

 

前日の2日、ヤクルトの先発山中がサンズに2ランホームランを打たれたとき、

広報を通じて「無駄なファーボールを出して2ランホームランを打たれたことが悔やまれる。」

というようなコメントを出した。

 

ところが山中が出したランナーの糸井はファーボールではなく

ヒットでの出塁であった。

 

ただし、ファーボールになりそうなところからストライクを取りに行った甘い球をヒットされたのだが…。

 

山中も相当動揺していたことが分かる。

 

少し前の記憶が違っているのだから…。

 

私はマウンドに立ったことがないので

この気持ちはよくわからない。

 

しかし、ゲームにのめり込みすぎてミスを犯すということはよくある。

 

例えば、アガれそうもない単騎で七対子のダマテンをしていたとき、

北をツモってきた。

 

これはイケるぞと北の枚数を確認した。

 

対面が1枚しか切っていない。

 

これはチャンスと北単騎でリーチ。

 

ところが、自分の河を見ると

三巡目に自分も北を切っているではないか。

 

ひどいミスである。

 

プロの将棋の対局でも、二歩の負けというのが記録されている。

 

同じ列に二つ歩を置いてはいけないという将棋のルール。

 

将棋を教わるときに誰もが習うルールである。

 

きっと、あまりにも勝負に没頭しすぎてやってしまったことなのだろう。

 

戦いに熱中する人が平常心を保ち続けることがいかに難しいかということだろう。

 

ピッチャーも同じなのだと思う。

 

だとするとピッチングコーチが間を作るたまにマウンドに行くあの行為も

とても大切なことだということになる。

 

陽川が盗塁をしたときピッチングコーチがマウンドに行っていれば

あのボークはなかったかもしれない。

 

山中がヒットを打たれたときマウンドに行っていれば、

2ランホームランもなかったかもしれない。

 

そう考えるとピッチングコーチ、監督、つまりベンチの仕事はとても難しい。

9月2日現在、タイガースは貯金2の2位。

 

まあまあ調子が良いので、久しぶりにブログも書こうかと思います。

 

応援するチームの選手が活躍することが野球ファンにとって楽しみです。

 

ホームランやタイムリーヒットで点が入るときも楽しみですが、

味方のピッチャーが三振を取ることも、声を出してガッツポーズをする瞬間です。

 

その中でもストレートでの空振り三振、これに勝るものはありません。

 

しかし、これは難しいことです。

 

打者は基本的にストレートを狙っています。

 

当ててファールにすることぐらいなら出来るのが普通です。

 

だから「もう変化球しか来ないな。」と打者が思ったときのストレート。

 

こういう時にストレートでの見逃し、もしくは空振り三振が起こります。

 

だから、ストレートを狙っていてのストレートで三振、というのは

プロではなかなか起こらないのです。

 

藤川球児はそれが出来る、まるで漫画の世界から出てきたような投手でした。

 

ストレートを投げればほとんど打たれない投手でした。

 

打たれるのはほとんどスライダーかフォーク。

 

後ろで投げるようになってからは、

フォークが甘い所に行って打たれたという記憶しかありません。

 

だから私はいつも藤川が投げるとき、テレビの前で

「ストレートだ。ストレートを投げるんだ。ストレートさえ投げていれば打たれない。」

と叫んでいる日々でした。

 

テレビの前だからいいですが、球場にいればヤジを連呼するオヤジです。

 

なんせ、藤川が出てくるたびに

「ストレートだ。ストレートを投げるんだ。」と連呼しているのですから。

 

そのくらい藤川の登板には熱くなった、そしてフォークで打たれるのも

ファーボールを出すのも見たくなかったのです。

 

もちろん、本人にしてみればストレートの調子もあるし、

ストレートばかり投げていたら打たれるという気持ちもあったのでしょう。

 

しかし、我々にとって藤川は漫画の中から出てきた超人だったのです。

 

その超人のストレートも空振りが少なくなり、

去年あたりから外野フライになることが多くなりました。

 

そして、今年はホームランを打たれるようになってしまいました。

 

それでも私は「ストレートだ。ストレートに行け。」と叫び続けていました。

 

しかし、その日々もついに終わりです。

 

ただし、今シーズン限りの引退ということなので、

まだ登板の機会はあるでしょう。

 

最低でもあと一試合、引退試合の時は…。

 

そのときを楽しみにしています。

 

もう打たれても誰も文句を言いませんから。

 

見せてください。

 

「ストレートだ、球児。」

2019年のプロ野球でのドラフト会議が行われ、

阪神は1位から5位まで、甲子園出場の高校生を指名しました。

 

久しぶりにわくわくしました。

 

多くのタイガースファンが同じ気持ちだったことでしょう。

 

若い選手たちが成長し、活躍する未来を想像すると

「楽しい気分になるな」と言われても無理です。

 

しかし、次の瞬間思いました。

 

「来年の補強は本当に大丈夫なのだろうか。」

 

 

去年のドラフトでは暗い気持ちだったことを思い出します。

 

育成を含めた7人中5人が社会人と独立リーグ。

 

高校でも大学でもドラフトにかからなかった選手たちです。

 

彼らは即戦力として取っているのですが、

本当にその実力はあるのか。

 

年齢的に言って、

将来の四番やエースといった夢は持てません。

 

「すぐ使えなければ、クビにするしかないんだぞ。

こんなその場しのぎのドラフトでいいのか。」

どうしてもそう思ってしまいます。

 

ところが、その中から近本、木浪の二人が一軍に定着しました。

 

前言は彼ら二人にとって失礼な発言でした。

 

彼らがいなければ今年のタイガースはどうなっていたことか。

 

そういう意味で、2018年のドラフトは成功だったと言えるでしょう。

 

しかし、それでも去年のドラフトの直後

暗い気持ちだったことは事実です。

 

今年の高揚感は2012年のドラフト以来です。

 

1位は藤浪を引き当て、2位で北條をとりました。

 

「この二人が甲子園で活躍するとき、タイガースに黄金時代がやってくる。」

そう思ったものでした。

 

ところが今、藤浪は二軍調整中。

 

北條はショートのレギュラーを取れずにいます。

 

変わりにショートを守るのが、

高校、大学でチョイスされず社会人を経験してタイガースに入った

同級生の木浪であるというのは皮肉です。

 

もちろん私は、今も彼らに期待しています。

 

藤浪にはエースとしてマウンドに戻ってきてもらいたいし、

北條にはホームランを量産するようなバッターになってもらいたいと思っています。

 

ただ、高校生を指名するという事は

不確定要素が大きいというのも事実だという事が言いたいのです。

 

また高校生がレギュラーに定着するためには、

うまく育っても3,4年かかります。

 

十分な戦力があれば待つことも出来るでしょう。

 

今のタイガースは果たして十分と言えるのでしょうか。

 

私は今年のドラフトに大賛成です。

 

毎年こういうドラフトをやってもらいたいと思っています。

 

ただし、来年の補強は大丈夫なのかと思ってしまいます。

 

チームの成績を決める最も大きな要因は

選手の努力でも監督の采配でもありません。

 

編成。

 

結局、どれだけ戦力を持っているかなのです。

 

ドラフト会議の終盤、育成ドラフトが行われます。

 

各球団が選択終了となった後、

いつもソフトバンクと巨人が多くの選手を指名するのを

私は苦々しく見ています。

 

なぜ彼らがそれほど選手を必要とするのか。

 

それは、三軍制をしいているからです。

 

多くの選手を保有し、その中から勝ち残ったもので戦えば

チームが強くなるのは当然のことです。

 

またこの2球団は外国人も余剰に抱えています。

 

調子の悪くなった助っ人を入れ替えるためです。

 

そこにも淘汰されたものだけを使うという競争原理が働いています。

 

良い選手がいない、良い外国人がいないのを

スカウトや編成部長のせいにしていませんか。

 

選手が良い働きをするのかなどということは

どんな目利きでも使ってみるまでわからないのです。

 

それを補うシステムを採用せず、

個人の能力だけで勝とうとする考え方は

戦略として劣っていると言わざるを得ません。

 

「阪神は、来期外国人の打者を取るため

ドリスとは契約しないかもしれない。」

などという憶測が聞こえてきます。

 

なぜドリスほどの実績のあるピッチャーが

そんな話になるのでしょうか。

 

契約すればいいじゃないですか。

 

それどころか、常に二軍に外国人が3,4人いても

良いのではないでしょうか。

 

もちろん、私は球団の内情を知りません。

 

だから、外国人を余剰に抱える事や

三軍制がどれだけ困難なことなのかはわかりません。

 

ただ、巨人やソフトバンクに勝てない理由だけはわかっています。