ミズタニです。

すみません。突然ですが、この「王様の美術」でのづログ展開をおやすみします。

今後は、http://ameblo.jp/buehne/で書いて行きます。

よろしくおねがいいたします。

観た。

全体的な感想は、すっとばそう。良かったか、良くなかったか・・・

それは、すっとばす。

残念な点だけを、(残念だなと俺が思った点だけを)少し書く。

それは、何と言っても、クマサンこと篠原さんの、この映画でのポジションだ。

おそらく狙いとしては、「進め一億火の玉だ」とか「欲しがりません勝つまでは」などの銃後の

国防婦人会的山村に於いて、

俺も判るけど、昔なら、たいていは町内に一人は居た、【変な人】として

紅色の着物を着て、その辺をうろうろしている人を描いたのだろうのだけれど・・・


それが、俺には、いかんかったのだった。

なにがいかんかというと・・・・



1 時代の狂気、に拮抗する「装置」として、監督がフィルム内に仕掛けた存在(現代的視座からの良識、あるいは、客観的存在)だとすれば、この役は、あまりに、篠原勝之そのもののキャラ、だった。
ゴールデン街なんだなあ。もっと無名な役者の方が良い。監督の仕掛けが、キャラが邪魔して見えてこない。

2 で、その、クマさんなんだけど、村人たちからどういう風に扱われているのか、それがまったく描かれていない。観ていて思ったのは、そのように無視されていた・・・というように描かれていたのではなく、村人のエキストラさんたちとクマさんと、どう対応して良いやら、監督の指導が行き渡っていない、単なる打合せ不足のように、見えた。


3 衣裳が駄目。もう、てんで、駄目。日本映画って、本当に、こういう所が駄目。「バーバー吉野」にも、ほぼ、同じ役が出てたのだったが、(クマさんじゃなかったけど)、同じように、新品な、キッチュなピンク、紅色系の着物だった。なんで、村にひとりは居る「変な人」を描こうとすると、こういう衣裳を着せたがるのかなあ。

4 だから、この役柄の、この衣裳が、世界の中に於けるこの映画のポジションを、ワンランク、下げてしまっているのだった。

5 戦中、カラー禁止の時代、映画の中の唯一の鮮やかな紅色が、帝国陸軍の軍帽の鮮やかな紅色だけだったとしたら、どんなにかこの映画、よかっただろう・・・・・

6 それだけですので、寺島さん他、は何の、文句もつけようがありませんでした。







朝起きて、外を見たら、久々に清々しい感じだったので、これまた久々に、近所の野火止緑地、玉川上水を走ったり、歩いたりしてみた。小1時間くらい。

朝の木漏れ日は、とてもきれいで、三文の徳!と言う感じだったが、こういう時に決まって思い出すのはアレだ。

アレ。

宮沢賢治が『注文の多い料理店』だったかに書いていた、序文だ。

調べればすぐに判ることだけど、ここはひとつ、記憶のみで書いてみると

「わたしたちは、欲しいくらいに氷砂糖を持たなくても、きれいにすきとおった風をたべ、透明な朝の光を飲むことができます・・・」

大体こんな感じの文章だ。違っててもそう大きくは違ってない。

法華経的倫理観の観点から賢治は生涯ビジテリアンだった。

しかし、では、野菜ばかり食べていればオッケーだったかというと、たぶんそうではなく、

どちらかと言えば、動物タンパク質よりかは穀物、野菜類。

さらに言えば、穀物、野菜類よりかは、水とか塩等、鉱物、無機物系。

もっと言えば、風とか、光などの印象系。

もちろん、風や光で、腹一杯になるわけはないので、玄米とか味噌とかトマトなど食べなくてはいけないのだけれど、

そこが、賢治のめんどくさい所で、食べることに拘る根源的な後ろめたさ、罪深さがあって、それが、みずからの創作に繋がっているのだった。

ついでに言うなら、食欲ばかりでなく、性欲も、自ら、禁じていたのだった。

とてもよく似た生き方として、稲垣足穂がすぐに思い浮かぶのだけど、

足穂は、食べることがかっこわるいので、液体美女すなわちアルコール、酒!を過剰に摂取していたのだった。酒は「カラのエネルギー」なので、普通は「食べたいけど痩せたい」みたいに、生理と美学は背反するのだが、酒に関して言うと、生理と美学が恐ろしいまでにアウフヘーベンされているのだな。ただ、中毒性が在るので気をつければならないが。(『地球に堕ちてきた男』のラストシーンを思い出す。)で、さらについでに言うと、性欲に関しては、足穂は、男色に走ったのだった。(三島のように実践的だったのかどうかは別として)

はなしを戻すと、賢治の序文。

「わたしたちは、欲しいくらいに氷砂糖をもたなくても・・・・」

の『氷砂糖』って、なんか、おしゃれすぎ、だ。「オブジェ」的だし。

氷砂糖って、ぜんぜんうしろめたくない。むしろ足穂で言うと、かろうじてよしとする所の食べ物、「探検隊が携える食料」の方だ。

賢治の序文、できればもっと「罪深い」食べ物の方が言いたいことがはっきり判ったのではないのだろうか。たとえば、

「わたしたちは、欲しいくらいに若鶏の丸焼き、子羊骨付きラムチョップなどをもたなくても・・・・」とかなんとか、

でもそうなっちゃうと、あの名文が、一気に台無しになっちゃうんだな。









$王様の美術
ということなので、ご覧下さい。

新しい背景画幕もデビューです。



これです。

$王様の美術



一坪(1800×1800mm)、の木枠に一尺(300mm)ピッチで、バインド線が張ってあります。

縦横ね。

で、キャスターも付いていて・・・

背景画を描く人には、待ち望んでいた、素晴らしい、商品なのです。

ご注文をお待ちしております。