日本一腰の低い弁護士ぴーまこのブログ 日本橋兜町の弁護士 山根真

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愉快で頼もしい仲間たちに支えられながら,殺伐とした弁護士業界をしなやかにまったりと生き抜く弁護士ぴーまこが,徒然なるままに書き綴る日々の雑感。

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みなさま,こんにちは。
弁護士法人トラスティルの山根です。
トラスティルグループのブログなのに,このところ自分ばかり書いているような。。。

さて,先日,正確には3月31日午後6時57分頃,
TBSのニュース番組 Nスタ の特集「敷金トラブル」の中で,
私が取材を受けている様子が放送されましたので,
ささやかにご報告させて頂きます。

この特集は,一般社団法人敷金診断士協会の常務理事,土川保さんの,
敷金診断士としての活動に密着した内容でした。

実際に土川さんが扱った案件が3件紹介されており,
その中で,土川さんと私が連携した1件につき,
私も取材を受けたという次第です。
私のお客さまも取材を受けておられました。

取材自体は30分以上受けまして,
私もカメラの前で緊張を隠して,
偉そうなことをペラペラとしゃべりましたが,
実際に放送された部分は,
当り障りのない一般論みたいなところ,10秒でした(笑)
ちょっとホッとして,ちょっと物足りない,みたいな。

まぁ,それでも,放送を見た感じ,
一応,それっぽく映っていた気がしますので,良かったです。
特集の内容も,見応えがあって,かつ,視聴者に分りやすい内容だったと思います。

このような貴重な機会を提供して下さった,土川さん,Nスタの取材班の皆さま,
ありがとうございました。


っぽい?
皆さま,こんにちは。
山根です。

昨日,ロースクール時代にお世話になった河上和雄先生の訃報に触れ,大変驚きました。

河上先生には,駿河台大学ロースクール時代,
主に刑法,刑事訴訟法,企業犯罪,といった科目を教わりました。

大学生のとき,刑事訴訟法ゼミで文献を調査していると,
よく河上先生の論文を見ることがありました。
そして,当時から,ご意見番のコメンテーターとしてテレビでも良く姿を拝見していました。

こんな高名な先生に,こんな小さな教室で,こんな少人数で教わっている,
というロースクールの授業の状況に,他の先生とは異なる,緊張感と,
興奮のようなものを感じていたことを思い出します。

河上先生とは,特に印象深い思い出があります。
ロースクールで刑事事件の模擬裁判をすることになり,
私も,シナリオの作成に関与しました。
大学の刑事訴訟法ゼミで,「取調べの可視化」で卒論を書いた自分としては,
模擬裁判で,取調べ状況を録音した音声を法廷で流す,という演出をやりたいと考え,
河上先生に,「先生のリアルな取調べの様子を録音させて下さい!」,と申し出たのです。
今考えるとかなり厚かましいお願いなのですが,
河上先生は快諾して下さり,実際,ICレコーダーの前で,
即興で,取調べの様子を演じて下さいました。
時間にしてみれば1分位だったと思いますが,
これが東京地検特捜部長の河上先生の取調べなんだと,
興奮したのを覚えています。

模擬裁判当日,河上先生も観覧されている中で,
その録音した音声を,いざ再生して,
観客席から,どよめきや,笑い声が起ったときは,
この演出やって良かったなと,とても嬉しく思いました。

そして,模擬裁判では,私は弁護人役だったのですが,
よりリアルにするために,弁護士バッジを付けようという話になり,
何と,またも厚かましく,河上先生のリアル弁護士バッジを身に付けさせて頂いたのです。
模擬裁判が終り,バッジをお返ししようと河上先生の姿を探すと,
すでに会場を後にされて,キャンパスの中を颯爽と歩いておられました。
その後ろ姿に向かって走っていき,「河上先生,ありがとうございました」,
とお声がけしたことを,今でもはっきりと鮮明に覚えています。

「女は理詰めでは落とせないから手強い」
「捜査実務は,違法だが有効だ」
いずれも印象に残っている河上先生の言葉です。
何だかすごく染みてくる言葉で,これからも大切にしていきたいと思います。

河上先生と一緒にカラオケさせて頂いた時,
尾崎豊の「I LOVE YOU」を熱唱したところ,
「君は弁護士より歌手の方が向いているんじゃないのか。」
と言われたことも,良い思い出です。

河上先生,ありがとうございました。
心よりご冥福をお祈り申し上げます。
皆さま,ご無沙汰しております。山根です。
もう2月に入りましたが,本年もトラスティルグループと,
特に山根をよろしくお願い致します。

さて,本年はさい先良く,と言っていいのでしょうか,
先日,労働裁判の控訴審で,逆転勝訴を収めることができました。
一昨年の春から続いていた未払賃金請求訴訟で,
私は会社側(被告)の代理人でしたが,
1審で完全敗訴してからの完全逆転勝訴でした。

例えばよくありがちな未払残業代請求の類ですと,正直,
ゼロか百か,みたいな結論は少ないのですが,
本件は,4年間にも渡って,ずっと,基本給の半分以下しか貰っていなかった,
というかなり大胆な趣旨の請求でしたので,
会社としては,そんなことはあり得ないということで,
ある意味和解する余地もなく,徹底的に争う形となりました。

書証として,会社が4年間の賃金未払を認め,その全額を原告に支払う旨の「合意書」
なるものがあり,会社印が押印されていました。
裁判の最大の争点は,この合意書が真正なものであるか否か,でした。
つまり,本当に会社がこの合意書を作成したのか,それとも,原告によって偽造されたものか,
ということでした。

民事訴訟法を学んだ経験のある方はご記憶にあるかと思いますが,
印鑑大好きの我が国では,ある書面にその者の印鑑が押印されているという事実があるだけで,
その者がその書面を作成した,ということが推定されてしまうのです。
これは,「二段の推定」と呼ばれるものです。
つまり,書面上にある印影と,印鑑の印章が一致すると,それはその者が自らの意思で押印したのだろう,
という推定が働きます(一段目の推定)。
そして,自らの意思で押印したということは,それは,その文書の内容を把握した上で,
その文書を作成したのだろう,という推定が働くということです(二段目の推定)。

ですので,会社の方で,本件の「合意書」が偽造されたものであると言うためには,
会社の方で,この「二段の推定」を覆すだけの事情を主張・立証しなければならないわけです。
少し分りにくいですよね。
説明が下手ですみません。

1審では,裁判官がこの「二段の推定」を全面的に認め,
そのまま請求金額全額を認める判決が出ました。
こちらが推定を覆すために挙げた諸々の事情
(本件合意書自体の怪しさ,原告の行動の不自然・不合理さ,など)
はことごとくスルー,もしくは,過小に評価されました。
まさに結論ありきの判決,裁判官が判決を書きやすいからその結論にした,
といった印象の判決でした。
正直,勝訴の可能性が高いと踏んでいましたので,
この判決を見た時はとても驚きました。
裁判官に対する失望感,憤り,
依頼者に対して申し訳ない,
自分が情けない,
そういった感情が混沌と溢れてしまい,
しばらく途方に暮れていたことを思い出します。

その後,気持ちを切り替えて,控訴し,
ありったけの熱を込めて,控訴理由書を書き上げました。
幸い,高等裁判所の裁判官には,「二段の推定」を覆すために私が挙げた事情が,
ほぼ全面的に理解され,「二段の推定」が覆りました。
そして,1審判決取消し,原告の請求棄却,という完全逆転勝訴判決を獲得することが出来ました。
控訴審の判決を見たときは,嬉しいという想いと,それ以上に,ホッとしましたね。
丁寧かつ常識的な事実認定の上で,あるべき判決を出して下さった高裁の裁判官に感謝申し上げます。

最後まで読んで頂きましてありがとうございました。
本年のブログはマジメ路線なのかな?
いやいや。