[七曲り荘日記]
●巻頭連載[第126回]
「我らの時代の墓碑銘を描く画家――その淫蕩する光線」
「先輩、原衛さん」
佐藤ブライアン勝彦●作品&文
●神楽坂カナルカフェ料理長の原衛氏
昨日、ギャラリーさんから作品の展示のお誘いメールがあった。
5月の後半らしいので、
前回のブログに書いた通り、最近、描く時間がなさすぎて、
[今週のブライアンのおすすめレストラン/カナルカフェ」
●東京は神楽坂のお堀にあるレストラン。
ロケーションも味も最高!
料理の修行時代の先輩、原衛さんが料理長をやってます。
個展で上京した際に何十年ぶりにお会いし、お店へ伺いました。
さすが先輩、料理が最高に美味しかった!!
ちなみに当時(修業時代)の思い出話をジュン(キャンドルジュン)
「カツさん、皆んなに噛みついてましたよね〜(笑)」
そうなんです……。
下っ端にも関わらず生意気で、先輩だろうと噛みつきまくって、今思い出しても恥ずかしい事ばかり。
そんな俺に、
「カツ、絵で成功して良かったな!」
また、カナルカフェ行こ!!
やば……書いてて泣けてきた。
4月16日(火)鬼子母神は晴れ。
午後2時、河出書房の編集者である西口さんと2年ぶりに呑んだ。
場所は、近所のコンビニの前に設置されたテーブル。
つまり酒もつまみも原価である。
この時間に呑める店がないからだ。
2年前もここで呑んだが、そのときは店のトイレが使えず、だいぶ離れた公衆便所まで歩いたけれど、今回は店のトイレが使えて、すべてはALRIGHT( by RCサクセション)
なにせ天気もいいし。
西口さんは、25年前、私に小説を書かせてくれた恩人で、今回も『スピン』の編集長へ私を勧めてくれた、現在私を作家あつかいしてくれる唯一の文藝編集者だ。
2年前には、西口さんが企画したキャンプ・エッセイのアンソロジー『キャンプ日和』でも、私の小説(小説は私だけ)をトリに選んでくれたりもした。
(『キャンプ日和』は絶賛発売中)
「曽根さんも、もう60になるのかあ」
確かに、5歳上の西口さんと初めて会ったとき、私は35歳だったものな。
作家として期待してくれたのだが、その後、私が勝手に書けなくなってしまいホント申し訳無いが、それでもこうして気にかけて誘ってくれるのが嬉しい。
缶ビールを吞みながら、西口さんが自費出版した小説『相思樹の歌』の感想から、丸谷才一の『笹まくら』の話に流れ、そこから吉行淳之介と三島由紀夫の対比、更にそこから飛んで、詩人の田村隆一の名前を私が口にすると、西口さんがいきなり、こんなことを言い出した。
「あのひとは、自分で冗談を言っては、ガハハハッってひとりで笑うんだけど、その笑い声が、このひとホントにバカなんじゃないかって思う笑い声なんですよ」
「えっ、会ったことあるんですか?」
「25歳くらいのとき、鎌倉まで、ユリイカ用の原稿取りにいってたんですよ」
ああ、そうだった、西口さんて河出の前、青土社の『ユリイカ』編集者だったんだっけ。
(インテリ編集者のエリートコース)
「いつもベッドに寝ころんだままで、ときどき上体だけ起こしてはウイスキーを呑むって応対でしたよ」
「ああ、ホントにベッドに寝ころんだままなんだ」
「でね、あるとき、ぼくのセーターが気に入ったらしく、自分のと交換しようって、何度も脱ぎ掛けるんですよ」
「えっ、まさか断った?」
「ええ、それがもったいないことだって、そのころ思わなかったんだよな」
そうだよな、私だって交換しないだろ。
しかし、田村のセーターは上等品に決まってるし、もし私が手に入れていたら、毎冬、自慢して着たおしてただろうなあ。
4時ちかくにお開きにした。
久しぶりの昼酒(缶ビール3本)で、部屋へ着くなり、布団へ倒れこみ、そのまま眠った。
(ちなみに、つまみはチーカマと魚肉ソーセージと鳥から揚げ、柿の種)
お開きにする直前、
「もっと面白いもん書きますんで、編集長によろしくお伝えください」
と、ようやく口にすることができた。
それで十分、満足である。
[今週の曽根のお勧め作品/川端康成『千羽鶴』新潮文庫]
●川端康成の「凄さ」を身に染みて理解したのは、39歳にもなってからだ。ちょうど同時期、同い年の林文浩(ハイクラス・ファッション誌『DUNE』編集長)も、まったく同じことを酒席で口にし、朝まで話が盛り上がった夕もあった。
●「凄さ」とは、その「変態性」のそれである。傑作短編「眠れる美女」や「片腕」もいいが、この中編『千羽鶴』のそれはふくよかでたっぷりとし、たいがいの一般人にも楽しめるエロ小説となっている。その淫靡なエロはバタイユに対抗できる、唯一の日本人作家であろう。
(谷崎潤一郎の変態性も世界レベルだが、川端のそれは狂人のそれであり、鋭さが上だ)
●ぜひ日曜日にでも読んで楽しんでほしい。そうすれば、世界が川端文学に認めた「日本美」は、実は、彼の密閉された「変態性欲」の発露であったことが理解でき、我らのように「凄い」と膝を打つであろう。
[NMIXXつれづれ草]
●2022年デビュー5カ月あたりにライブ配信したカラオケ大会の一幕。2時間半、ぶっ続けで歌い踊る彼女らを観ていただけで、私はその後3日ほど寝込んだ。他のメンバーが歌っている背後で、メンバー誰彼かまわず(わざと)キスをねだるジウ(右/当時16歳)に、やはりわざと平気でキスをし、ねだったジウを驚かすソリュン(中央/当時17歳)。それを見て(本気で)ジウに嫉妬するジニ(左/当時17歳)。ソリュンとジニは同部屋で、眠り姫ソリュンを起こすのはジニの役目であった。
●この5カ月後の12月、突然理由も明かされずジウはメンバーを脱退し、7年も練習生活したJYPを退所する。その後、去年ジウはソロデビューを果たし、そろそろ2枚目のカムバックを迎える。
●先日20日のライブ配信で、ソリュンは練習室から「1人で」2時間半のカラオケ大会を開催。なんとリクエストされるまま47曲を歌った。
(むろん1曲まるまるではなく)
●なんと半日で50万以上も視聴され、切り取りがわんさか出、Xでは多くの賞賛と少数のアンチがちんけな寝言をほざいた。
●が、47曲の1曲「COOL」(NMIXX)で、ジニのパートが始まったところで音源を消し、突然「うん!」と思い切るような声を上げた。
その横顔はシリアスで、私の眼には泣き虫が「泣くな!」と自分へ叱咤した姿に映った。
●だけどソリュンよ、ジニも同じ海で1人歌っているのだ。死に別れはどうしようもないが、すべての生き別れは正しく、その選択は未来で幸いとなって再会を約束するのだから。根拠? あと30年もすればわかるよ。
(孫へのなし崩し流訓示)
●現在のジニ(20歳)、セカンド・カムバックに期待したい。
4月日21(木)鬼子母神は曇りのち小雨。
雑司ヶ谷「みちくさ市」(古本市)が再開された。
(午前11時より午後4時まで)
で、現在、部屋へ帰ってきて3時間が経っている。
このブログを書くために、昼間もビールを呑まず、打ち上げをする釣崎清隆やキララ社の小林さん、また砂丘さんや他の友人たちを振り切ってきたのだが、布団に落ち着いたら、疲れがどっときて呆然となったまま3時間が過ぎていた。
今日も多くの仲間や知人や初対面のひとが遊びに来てくれたが、中でも18歳と21歳の大学生の男子が来てくれたのは嬉しかった。
18歳の大学生は、去年の秋に『BURST公開会議』へ単身乗り込んできてくれた〇〇くん(ありゃ、疲れすぎて名前が出てこない。当時のブログに写真も名前も載せているので、ざっと探してみたが見つからない。あとで探すことにして、ひとまずこのまま書き進めよう)で、そのときは高校生だったが、結局進学したとのこと。
今回もわざわざ国立から出向いてくれたのだった。
もう一人の21歳大学生も、横浜の近くから遠出してきたという。
彼もまた、そんな齢なのに、『BURST』や私に興味をもってくれた奇特な御仁だ。
瀧坪(たきつぼ)とういう聞いたこともない苗字で、現在、日本で彼の一族のみらしく、家名を絶やすなと、彼はおじいさんからプレッシャーを受けているそうな。
二人とも痩せており、ミュージシャンによく見る長い手足と、地味だがオシャレなカッコと雰囲気をまとった男子だ。
(やはり2人とも音楽をやっているそうな)
私からすれば、NMIXXメンバー同様、孫の世代であるからにして、たいそう可愛く思えてしようがない。
午後3時半ごろ、雨のせいで早じまいをし、重い雑誌を2人に七曲り荘まで運んでもらった。
で、彼らは、そのまま古書店「往来座」へ行き、そこにしかないファースト・シングル小説(ジャケットは原節子)を買って、またブースへ戻ってきた。
最後の2枚だったそうな。
(これで「往来座」にも顔が立つな)
●うちらのブース。右がキララ社の小林さん、真ん中が死体写真家の釣崎清隆、で、おれ。
釣さんは来月、久しぶりにメキシコへ立つそうだ。もちろん「死体」を撮りに行くのだ。
4時にテーブルや椅子を本部へ返し、会長さんにも挨拶して、解散となった。
で、へとへとで部屋に帰ってき、その後3時間、呆然と天井を眺めていたのである。
コンビニで買ってきたサンドイッチと焼き芋を食べながら。
(なにも食べてなかったので、午後になって何度か低血糖症状をおぼえ、慌てて差し入れのクッキーやキャンディーや甘い缶コーヒーでしのいでいたのだ)
うう、もうやばい、なんか耳が遠くなり、後頭部のほとんどが機能してないように感じる。
何を書いていいのやら、いや、1センテンスさえ怪しい。
ここらへんで勘弁してもらおう。
多くのひとと会い、言葉を交わしたせいで、もともととぼしい言語能力が、すっかり肉離れしてしまったようだ。
(この調子で、自分でも何を言いたいのかわからん)
実は今週は、ホント体調がひどく、特に睡眠がめちゃくちゃで、気が狂いそうだった。
他人と比べて、実はめちゃくちゃ我慢強い人間なんじゃないかとさえ思えるほどだった。
だが、しかし、今日のように、バカな話をしあえる野郎どもと会うと、ああ、もう少し我慢しようかとしみじみしちゃうのであった。
しかし――我らのブースは1番賑わっていたらしいが、女子はまったく寄ってこず、相変わらずチンピラだけがたむろし、盛大に笑っているのが、なんともはやではあるが。
おやすみなさい。
私ひとりなら、昼酒呑んで、打ち上げもしただろうが、なにせかっちゃんがいる。
円形脱毛になってまで、この毎週連載をつづけてくれているのだ。
ブログの毎週アップを始めて、そろそろ1年が経とうとしているはずだ。
あなたからすれば、だからどうしたって話だが、私にとっては、このブログを毎週アップすることだけが、今や「使命」のように思えてならない。
嗚呼、どうにも、かなり頭がヤバそうだ。
さっき飲んだ薬が効いてきたので、とにかく眠ります。
(まだかっちゃんから原稿届いてないけど、ひとまずこのままアップしちゃおう)
疲れた。
けど、ホント今日は楽しかった。
よい夢を。
[処女詩集販売中]
『火舌(かぜつ)詩集 Ⅰ ハードボイルド・ムーン』
著者:曽根 賢(PISSKEN)
ドローイング:佐藤ブライアン勝彦
判型A5/平綴じ/96ページ
部数:300部
税込み価格1320円
さて、販売方法だが、以下の2つの書店で、通信販売、また店頭発売します。
2書店のサイトを検索してもらって注文してください。
ネット注文できない私のようなひとは、誰かに頼んで注文しましょう。
※詩集には私のサインが入っています。
「タコシェ」
http://tacoche.comには、遊離型テストステロン値が11.8 pg/ml以上であ要注意(ボーダーライン)、8.5pg/ml以下の場合は明らか
に(シングル小説もセカンド&サードも注文できます)
「模索舎」
「阿佐ヶ谷ネオ書房」
※書店販売のみ
尚、くどいようだが、この処女詩集は、あくまで『火舌詩集』のⅠであって、今後あと2冊を発行します。
3冊合わせて『火舌詩集』となるので、ぜひコンプリートしましょう。
※「火舌」とは中国語で、火事の際、窓から吹き出し、壁を舐める炎をいう。
[サード&セカンド・シングル通販中]
●A面「PISS(INTO)MY HEROES」
●B面「七曲荘二〇三号室」
●セカンドシングルのジャケット。被写体は細菌学者の志賀潔。撮影は土門拳。
●アドレス:budroll.shelvis.sy3@gmail.com
――以上へ以下のことをメールしてから、お金を振り込んでください。
◎郵便番号と住所
◎名前(口座のカタカナ読み振りも)
◎電話番号
◎サード、セカンドのどれを希望するか
(ファーストは売り切れ)
●1,600円(発送代込み)
●振込先――ゆうちょ銀行
◎BUDROLL(バドロール)
◎普通口座:店番908
◎口座番号:5133817
『キャンプ日和』(河出書房新社)
キャンプ小説&エッセイのアンソロジー。トリに曽根 賢の短編「二つの心臓を持つ川の縁で」が掲載されています。
『点線面』5号(ポンプラボ)
曽根 賢の特集と、論評風の新作エッセイが載ってます。詳しいことはネットで検索してください。