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東京の子

■C

 

 東京五輪後を書く近未来小説。藤井太洋作品は技術によって演繹される近未来と人間の受容と変容を書いてきたと考えているけれども、本作はより社会の比重を大きくしながら個人に強くフォーカスを当てていて、今までとちょっと外れていた。

 五輪後の日本、働き方改革、パルクールの三題噺として悪くないけれども、個人的にはやや食い足りないかなと。本作全体がプロローグとして、これからさらに大きな物語になるのを読みたかった。

あとは野となれ大和撫子

■C+

 

 アラルスタンの大統領が暗殺され、後宮で高等教育を受けていた女性らが臨時政府を動かしていく、というポリティカルサスペンス。

 ぬけぬけと嘘をつく部分と現実のままならなさのバランスが良いんだけど、面白くなりそうな所で面白くならずに終わってしまった印象。

体育館の殺人

■C

 

 学園ミステリ。

 なぜ濡れた傘がトイレに捨てられていたかで論理を構築したりとミステリとしてなかなか面白かった。

 探偵はそこまで魅力的ではなく、こんなものかなという感じ。

嘘と正典

■B

 

 魔術師:0

 ひとすじの光:-1

 時の扉:0

 ムジカ・ムンダーナ:0

 最後の不良:0

 噓と正典:+1:もしもマルクスとエンゲルスを会わせないようにすることが出来れば――という歴史改変SFの秀作。よくあるタイプだけれどもエスピオナージとの絡め方が良い。

時間の王

■C

 

 穴居するものたち:‐1
 三国献麵記:+1:赤壁の戦いから逃げてきた曹操に拉麺を食べさせようとするタイムトラベル物でこの短編集では最も面白かった
 成都往時:-1
 最初のタイムトラベラー:-1
 九百九十九本のばら:-1
 時間の王:0
 暗黒へ:-1

処女のまま死ぬやつなんていない、みんな世の中にやられちまうからな 

■C

 

 高校3年生のはぐれもの4人がバンドを組むのと恋人との死別物を組み合わせた青春小説。

 よくありすぎるけど、死を前にした恋人のラブラブ描写が非常に良かったのでなかなか楽しめた。

日本SFの臨界点 中井紀夫 山の上の交響楽

■C

 

山の上の交響楽:+1
山手線のあやとり娘:0
暴走バス:-1
殴り合い:+1
神々の将棋盤──いまだ書かれざる「タルカス伝・第二部」より:-1
絶壁:-1
満員電車:-1
見果てぬ風:0
例の席:+1
花のなかであたしを殺して:+1
死んだ恋人からの手紙:0

日本SFの臨界点[怪奇篇] ちまみれ家族

■C+

 

・中島らも「DECO-CHIN」:-1
・山本弘「怪奇フラクタル男」:-1
・田中哲弥「大阪ヌル計画」:0
・岡崎弘明「ぎゅうぎゅう」:0
・中田永一「地球に磔にされた男」:0
・光波耀子「黄金珊瑚」:-1
・津原泰水「ちまみれ家族」:-1
・中原涼「笑う宇宙」:0
・森岡浩之「A Boy Meets A Girl」:0
・谷口裕貴「貂の女伯爵、万年城を攻略す」:+1
・石黒達昌「雪女」:+1。傑作!

日本SFの臨界点[恋愛篇] 死んだ恋人からの手紙

■B+

 

・中井紀夫「死んだ恋人からの手紙」::0
・藤田雅矢「奇跡の石」:0
・和田毅「生まれくる者、死にゆく者」:+1
・大樹連司「劇画・セカイ系」:0
・高野史緒「G線上のアリア」:+1
・扇智史「アトラクタの奏でる音楽」:0
・小田雅久仁「人生、信号待ち」:+1
・円城塔「ムーンシャイン」:+1
・新城カズマ「月を買った御婦人」:+1

数奇にして模型

■C+

 

 森ミステリ版「首を切断した理由」。

 本格ミステリは斬首物が一ジャンルなのだけど、本作ではトリックよりもロジックとして処理される。それはそれで面白かったけど、その周囲の論理が面白かったかな。

 あと序盤でようやくこれまでのシリーズ作で厄介ネタだった、萌絵さんが事件に首を突っ込む不快さのエクスキューズというか開き直りが出てきて笑った。

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