"楽音楽"の日々

"楽音楽"の日々

音楽、映画を中心にしたエンタテインメント全般についての思い入れと、日々の雑感を綴っていきます。

京都橘高校の第60回記念定期演奏会、最終日「Orange」の開演です。

 

 

彼らの集大成、まさに「満開」です。

 

 

 

クラシカル・ステージに登壇した顧問は、モーニング姿。この3日間、だんだんフォーマルになっています。この気遣い、彼のこだわりを感じます。

この日は、クラシカル曲が4曲。続くポップス・ステージの1曲目「魔女の宅急便」セレクションもシンフォニックなので、曲調としては計5曲。座奏に重点を置く彼らの本気度が伝わってきます。

その中で3日間通して演奏されたのが、ラフマニノフ作曲の「パガニーニの主題による狂詩曲」です。この曲で今期の実力を示すんだという強い意志を感じます。充実した、見事な演奏でした。

曲目の紹介をするMCは「ラフマニノフ」という発音を初日から言いづらそうにしていましたが、3日目にしてやっとスムーズに言えました。見ている私も、思わず笑顔になります。

いろいろ動画を検索しているうちに、作曲者ラフマニノフ自身がピアノを弾いている古い録音を見つけました。ユージン・オーマンディ指揮のフィラデルフィア管弦楽団の演奏をお聴きください。

 

 

彼自身がピアノで弾きたかったからこの曲を作ったんだということがよくわかる、華麗な演奏ですね。

 

プッチーニ作曲のオペラ「トゥーランドット」もダイナミックな演奏で、近年の「歌う京都橘」の実力を堪能できました。

この中で最も有名なアリア「誰も寝てはならぬ」は、誰が歌ったものを聴いても感動してしまう位大好きなんですが、私個人的に最もお気に入りのものを聴いていただきます。ズービン・メータ指揮のロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団を従えて、ルチアーノ・パヴァロッティが歌います。

 

 

豪胆かつ繊細なヴォーカルで魅了する彼の声は、唯一無二の素晴らしさです。

 

今期のイヴェントで披露されたものの動画を見る機会がなかった「WE ARE THE WORLD」を、やっと見ることができました。

この吹奏楽アレンジはかなりオリジナルに忠実で、驚きは全くありません。

 

 

小・中学生でも簡単に演奏できそうな、シンプルな編曲ですね。

私は中高生の頃に母校の吹奏楽部のためにたくさんの曲をアレンジしましたが、もっと冒険的なことを試みていたことを突然思い出しました。

京都橘の演奏は、メロディを奏でるトランペット2本とトロンボーン2本がとても安定していて、なかなか見事です。これまでのイヴェントで音を確認できなかった部員の音を聴けただけでも、定期演奏会の意味があります。カラーガードの部員によるトランペットも、なかなか貴重です。

今期はギターを弾くことが多かった彼女がベースを弾いている姿にびっくりしました。まぁ、コントラバスを弾けるので、エレキベースができるのも当然ではあるんですが・・・私にとっては小さなサプライズでした。彼女の手元が見えないので確認はできませんが、アタック音が強いのでピックを使って弾いているのかもしれません。

 

 

そして、この日だけのスペシャル・プログラムであるOB合同スペシャルステージです。席の準備中に現役生だけで演奏されたのが、「いい日旅立ち」です。

 

 

これも、実にシンプルなアレンジですね。

京都橘は忠実に演奏しています。イントロのトランペットの音がとても良いですねー。そして当然のようにヴォーカルが入ります。「翼をください」のリードを務めた2人が客席へ降りてデュエットします。なかなか堂々たる歌いっぷりです。新たに考案されたのかどうかわかりませんが、ハーモニーの作り方がなかなか新鮮です。

 

「となりのトトロ〜コンサート・バンドのためのセレクション」は、久石譲の曲を人気編曲家・後藤洋氏がアレンジした作品です。たくさんの曲の繋ぎ方がとてもおしゃれで、アレンジャーのセンスの良さが随所に見ることができます。京都橘は、今期いろんなところでこれを演奏してきました。陸上自衛隊東部方面音楽隊の演奏をお聴きください。

 

 

音楽大学卒業生が大半を占める精鋭らしく、素晴らしい演奏ですね。編曲者の意図が明確に伝わる、見事な曲の解釈だと思います。

 

さて、今回の演奏は、180名による合同演奏だとアナウンスされました。入場してくるOB達の姿を目を皿のようにして見てみましたが、数名しかわかりませんでした。

始まった演奏は、180名という大編成によるリッチなサウンドで、他ではなかなか聴けないものでした。まさに「吹奏楽の醍醐味」と言える音楽体験ですね。それぞれメロディを担当する楽器が立ち上がる忙しい展開ですが、ちゃんとカメラが追っかけてくれたおかげで、OB達を随分確認できました。119期と114期のドラムメジャー、O-vils.在籍のチューバ、お気に入りだった118期のアルト・サックス、昨年の定期演奏会の「Memories Of You」でソロを担当したクラリネットなどなど。119期のメンバーはあまり印象が変わっていないので、わかりやすいですね。懐かしい顔が、いっぱいです。

そう言えば、2月に開催されたOBだけで結成されたバンドのコンサートに、現顧問が協力していたという情報がありました。その時には、今回参加できるメンバーが確定していたんでしょうね。

演奏が終わって、お辞儀と握手をする現役生とOBたち。笑顔で手を取り合って高く上げる姿に、思わず涙してしまいました。「Orange」の伝統と継承を感じる素敵な光景でした。私の聞き間違いでなければ、MCが「71期から・・・」とアナウンスしていました。計算してみると、私よりも歳上のOGも参加していることになります。歳を重ねても音楽を続けるって、良いことですね。私も楽器の練習を再開しようかしら・・・。

 

そうそう、毎年この座奏では井谷コーチが1曲指揮をすることが恒例になっていましたが、今回はそれがなかったのが残念でした。私、彼女のファンなので・・・。彼女は年末からいろんなライヴで演奏していることがSNSにアップされていたので、スケジュール的に練習に参加するのが無理だったのかもしれません。

さらに言えば、今回はプロのミュージシャンがゲスト出演していません。そんなことをすっかり忘れるくらい密度の濃い演奏会になりました。

 

 

 

 

第二部のマーチング・ステージは、スタートからの6曲が前日までに披露されたものでした。けれども、いずれの曲も「今期最後」という気迫を感じさせるものでした。全員気合いが入っていて、自然にテンポが速くなる傾向にあります。そこをドラムを中心にしたパーカッション・セクションが適正なテンポに抑えています。今期の充実度のキモは、やはりパーカッション・セクションだったことを実感します。

 

Bruno Marsの新レパートリー「Runaway Baby」を初日と2日目に披露しましたが、最終日にはそれに変わって今期の人気曲「Uptown Funk」を持ってきました。きっと部員全員も好きなのでしょう。流石の充実ぶりです。アメリカの人気編曲家Jay Bocookによるアレンジで、世界中で演奏されているのが動画サイトへの投稿の数からもわかります。どれも残念な出来なので、ここではHal Leonard Concert Bandによるガイダンス演奏をお聴きください。スコアを見ながら聴くと、音の輪郭が良くわかって楽しめます。

 

 

残念ながら、心浮き立つグルーヴ感では京都橘の圧勝です。多分、演奏だけでも現時点では世界最高でしょう。さらに振り付けを含めたら、これを超えるものは永遠に現れない気がします。是非ともBruno Marsに観てもらいたいですね。きっと気に入ってもらえるに違いありません。

 

そして、毎年恒例の3年生によるパフォーマンスです。今年は、「Amazing Grace」です。昨年のチャレンジングなアレンジの「明日に架ける橋」に比べると、正統派なアレンジの作品です。アレンジをしたのは、前述のJay Bocook氏と並ぶ人気の編曲家Jay Dawsonです。この演奏の動画を検索していると、ナッシュビルのバンドの演奏を見つけてしまいました。なんと、アレンジャーDawson氏がバグパイプで参加しているとのことで、早速見てみました。

 

 

バンドの演奏は残念なレベルですが、後半にスコットランドの衣装で登場するDawson氏はインパクト大ですね。ひょっとしてスコットランド出身の人なのかと思って調べてみたら、完全なアメリカ人、しかもナッシュビル出身でした。地元のバンドにゲスト参加していたのでした。

で、29人の3年生による演奏は、バランスも良く実に美しいものでした。カラーガードの2人も(たぶん)初めてオレンジのケープを付けてのパフォーマンスです。クライマックスのカンパニーフロントには、やっぱり涙してしまいました。実に美しいパフォーマンスでした。

 

部長の挨拶は、涙を堪えての簡潔なもので見事でした。感情過多にしない演出は、今期の最大の特徴だと思います。

 

「80日間世界一周」は、凛としているけど暖かくてエレガント。ハープの導入を含めて、私はステージマーチングの革命だと思っています。

 

そして、プログラム上の最後の曲「The Sing~Sing,Sing,Sing」が始まります。

前日と同じ「The Sing」を使っているものの、違う形の入り方。実に芸が細かくて、カッコ良いですね。

それに続いて「Sing,Sing,Sing」。堂々たる京都橘だけの「Sing,Sing,Sing」。完成形を見た気がします。

 

声を揃えての「ありがとうございました!」で、一旦プログラムは終了。

間髪入れずに始まるのが、「愛の讃歌」です。

昨期のマーチングコンテストのプログラムの1曲に過ぎなかったこの曲ですが、当時はこんな扱いになるとは誰も想像していなかったはずです。当然、編曲をした鈴木英史氏にとっても、予想外の展開でしょう。今季になってから、ローズパレード会長の来校時の演奏と台湾コンサートでのアンコールで、京都橘の新しい象徴として確信したのではないでしょうか?演奏の充実ぶりだけではなく、ステージマーチングでも美しいフォーメーションとクライマックスを作るカンパニーフロントを見せることができるナンバーとして、これからも続けて欲しい曲になりました。

 

「動」の「Sing,Sing,Sing」と、「静」の「愛の讃歌」。

京都橘の現在を象徴する対照的な2曲。

京都橘は、切れ味鋭い「双刃の剣」を手に入れた!と私は確信するのです。皆さん、いかがでしょう?

 

 

京都橘の定期演奏会と言えば、これ。部員全員が観客へ挨拶する「Sailing」。いつから始まったのか不明ですが、もはや橘の「伝統」とも言うべきナンバーです。

挨拶をするセクションが演奏からすっぽり抜けるんですが、それを全く感じさせないメロディの受け渡し。そしてフォーメーションの美しさには、毎年感心させられます。そしてドラムメジャーの満面の笑顔での敬礼で大団円。美しい。

 

感情豊かだけど簡潔な顧問の挨拶も、毎年ながら感服です。

 

3年生をひとりひとり送り出す「青春の輝き(I Need To Be In Love)」も、もう定番になりましたね。

リハーサル不足なのか感情の高ぶりのせいなのかわかりませんが、出だしと部長を送った後の曲調の転換の際に演奏が乱れます。それでも崩壊しないのが、京都橘です。

送り出される3年生は顧問とグータッチするのですが、その際の様子が私が想像していたそれぞれのキャラにぴったりでとても楽しかったです。中でも印象的だったのは、カラーガードの部員です。フラッグを持たずに、スーザフォンを抱えて去って行きます。驚きましたが、彼女の強いアイデンティティを感じて、感動してしまいました。

 

この曲のオリジナル、Carpentersによるライヴ・ヴァージョンを卒業生へお届けします。

 

 

 

 

 

どうしても感情過多になってしまいがちな卒業公演ですが、今回の京都橘の定期演奏会は手作り感はありながらも緻密な構成力で組み立てられた見事なコンサートでした。このバランス感覚が今期の最大の特徴でした。

爽やかで楽しくて感動的なショーは、彼らのファンでなくても存分に楽しめるものだったはずです。

 

 

最後に、大きなイヴェントの度に京都橘を取材してくれている関西テレビが、最終日に密着取材した動画で楽しみたいと思います。

 

 

部員たちにとっても、大切な記録になることでしょう。何度見ても涙してしまいます。

 

 

3日間開催する意味のある構成で、心底堪能できました。

部員たちをはじめ、この舞台に関わった全ての人々に心からの賛辞と感謝を述べたいと思うのです。

日本全国で桜が咲き誇っています。

私の自宅から徒歩3分の公園へ、桜を見に行きました。

 

 

ここの桜も、実に美しいです。知られた場所ではありませんが、穴場のスポットだと思っています。平日にもかかわらず、青空に映える桜を楽しもうと家族で訪れている人たちがいっぱいでした。

 

 

 

 

京都橘高校吹奏楽部の第60回記念定期演奏会の2日目「White」です。

この日は余裕を持って配信の時間に間に合いました。後の情報によると前日もあったらしいのですが、開演前に顧問の兼城先生の挨拶があります。ごくごく普通のスーツ姿です。

そして、開演前の「マナー講座」です。生徒たちの発案・構成によるものだそうです。

最初は普通の「お願い」ですが、だんだん様子がおかしくなってきます。パーカッションの3年生男子二人によるコント仕立ての小芝居は、とても楽しいものでした。二人のコンビネーションは、実に見事なものです。以前のイヴェントでは二人で漫才をやったというレポートもあったのですが、予想以上に息ぴったりでしたね。

 

いよいよ開演です。

「White」のサブタイトルにふさわしい白い(薄いグレーか?)タキシードに着替えて顧問が登場します。

最初の曲は、團伊玖磨作曲の「祝典行進曲」です。典雅な雰囲気と親しみ易いメロディを持つ、私が大好きな曲です。古関裕而作曲の「オリンピック行進曲」と共に、我が国が世界に誇るマーチの名曲だと思います。

ここでは、秋山和慶指揮の洗足学園音楽大学の演奏をお聴きください。

 

 

作曲の團伊玖磨氏は、1924年4月7日生まれ。生誕100年になります。全くの偶然ですが、ちょうど100年前ですね。團さん、誕生日おめでとうございます。

彼はクラシック音楽をベースにして、様々なタイプの曲を無数に作曲しました。メディアに顔を出す機会がそれほど多くなかったので一般的な知名度はありませんが、聞けば誰でも知っているような歌曲や童謡も多くあります。私は、中学校の吹奏楽部時代に、彼の作品の初演の舞台にも立ちました。

そうそう、女優・モデルとしてテレビでも活躍している團遥香は、彼の孫です。

 

ここで、MCです。前日には気付かなかったのですが、彼女は白のユニフォームの右袖だけを肘までたくし上げています。違和感を感じたのですが、考えてみれば彼女はホルン担当。右腕の袖は、演奏上とても邪魔になるんですよね。

 

 

「ホープタウンの休日」は、前日に披露した「セドナ」と同じくSteven Reinekeの手になる吹奏楽の人気曲です。京都橘は、以前に定期演奏会でも演奏しています。

このDVDに収録されています。

 

 

ホルン、トロンボーン、ユーフォニアムといった中音域の活躍が目立つ曲です。特に、今期の京都橘が誇るホルン・セクションが吠えまくっているのが印象的です。

立命館大学応援団吹奏楽部の演奏をご覧ください。

 

 

中盤のクラリネットのソロから、フルートとのデュエットへ繋がるパートが美しいです。そして、クライマックスのチャイム(「のど自慢」の鐘ですね。)の連打が気分を上げてくれます。世界中で演奏されていますが、京都橘によるここでの演奏はトップクラスだと断言できる素晴らしさです。

 

「魔女の宅急便」セレクションは、久石譲の曲を森田一浩氏が構成・アレンジしたものです。耳に馴染んだ可愛いメロディもありますが、難易度高めのシンフォニックなセクションがダイナミックな展開を作っています。通して聴くと、とてもカラフルなメドレーになっています。

京都新聞から彼らの練習の様子がアップされました。収録が4月1日となっていますが、実際は定期演奏会へ向けての練習の時でしょう。この曲の一番難しいところが取り上げられています。

 

 

卒業生も参加してるので、3月中のものでしょうね。

 

この日だけのパフォーマンス「ピンク・レディー・メドレー」は、珍しく彼らの「高校生らしさ」が出た演出でした。

オリジナルに忠実な編曲ですが、演奏は驚くほどまとまっています。男女二人づつのダンサーが、ピンクレディーの振り付けをコピーして踊ります。男子の赤いジャケットは、以前の座奏用のユニフォームでしょうか?全員ちゃんと踊れているのですが、こういう場合は本家よりも派手な動きをしないと意味がありません。ちょっと恥ずかしさも入ったダンスは、他の中学、高校の演奏会でも見たことのあるレベルですね。やはり、彼らも普通の高校生。それに気付いてホッとしている自分に驚いてしまいます。

このメドレーの各曲の作曲は、全て都倉俊一氏。日本の歌謡史に名を残す名作曲家ですが、現在は文化庁の長官です。東京から京都へ移転した文化庁。その節目のイヴェントに京都橘は参加しています(2018年の寺町パレードと、2023年のイヴェント)。都倉氏が京都をベースに活動しているのは間違いないので、ひょっとしたらこの日の演奏会に招待されていたのかもしれませんね。

 

そして、ここで京都橘特製クッキーをかけたクイズと抽選会です。まぁ、全国の中高生の定期演奏会でもおなじみのコーナーですね。

この日の来場者に、開演前にクイズに答えてもらっていて、ステージでその正解発表を行うという形です。前日での最大のサプライズだった「Down By The Riverside」を、ここでまた演るとは!

パーカッションとチューバが舞台上にスタンバイして、ドラムメジャーの笛を合図に客席後方から演奏しながら入場してきます。前日とは似て非なる演出で、「これぞ京都橘のDown By The Riverside!」と、心踊る展開です。ステージと客席後方との距離があるために音がずれてしまっているのが残念ですが、すぐに修正してしまう京都橘の底力に唸らされます。白いコンサート・ユニフォームでの演奏は、初の試みですね。カラーガードが持つ京都橘を象徴する旗が、白いユニフォームに映えます。全員がステージ上に揃ったところで、パレードの顔とも言うべきバナーが舞台袖から登場します。実に、美しい。白いユニフォームだからこそ色彩がクローズアップされます。この演出を見せるためのクイズだったんですね。なんという構成力なのでしょう。2日目のサブテーマ「White」は、これだったのではないかと私は思っています。

 

第一部を締めくくるのは、神村学園とのジョイント・コンサートでお披露目されて以来、ことあるごとに演奏された「翼をください」です。やはり何度聴いても宮川彬良のアレンジが素晴らしいですねー。ケレン味たっぷりのやり過ぎとも思える彼のアレンジは、私は大好きです。演奏者の数を減らしても更に充実した京都橘の演奏は、実に素晴らしいです。リード・ヴォーカルの二人も、本番を重ねて堂々たる歌いっぷりです。ハーモニーが美しいですね。

 

 

 

第二部のマーチング・ステージは、最初の4曲は初日と全く同じ流れです。

「I Can't Turn You Loose」は初めて見るユニークなステップが満載で、来期のステージで披露されるのが楽しみになります。曲の終わりは、京都橘の伝統芸でもあるバラバラなポーズでのストップモーションです。

 

 

「Think」は、「I Can't Turn You Loose」と同じく、映画「ブルース・ブラザーズ」からの選曲です。R&Bの女王Aretha Franklinの数あるヒット曲の中の1曲ですね。「ブルース・ブラザーズ」にもゲスト出演してこの曲を歌っているのです。

 

 

まぁ、このパワフルな歌声を吹奏楽で再現するのは無理な話でしょう。また違ったアプローチが必要ですね。京都橘のアプローチはArethaのイメージからは離れて、お得意の「ぴょんぴょん」を中心にした「KT印」の組み立てです。更に、大胆なステップも披露して驚かせてくれます。

 

オレンジのユニフォームに着替えてからの一曲目は、すっかりお馴染みになった「Celebration」です。演奏もダンスも充実していて、部員たちも大好きだということが伝わってくる充実のパフォーマンスです。

 

 

さて、この3日間の公演で触れておかなくてはいけないことは、カメラワークの素晴らしさです。

それぞれのカメラマンも見事ですが、スイッチング(場面の切り替え)が抜群です。明らかに譜面を見ながらどこにスポットを当てるかを理解しています。当日の通しリハーサルで、その手順は確定されていたはずです。これをライヴ配信で完璧にできるのは、プロ中のプロですね。おかげで、京都橘のパフォーマンスを存分に楽しめました。撮影スタッフの皆さんに、心から感謝です。

そうそう、「My Way」ではホルン・ソロをアップで捉える際に、徐々にピントを合わせるテクニックも披露してくれています。また、ハープをアップで捉えるシーンでは、プレイ終わりに笑顔になる瞬間までしっかり見せてくれます。

 

 

一緒に見ていた私の弟は、様々なイヴェントの撮影や編集もするプロなのですが、「自分には、とてもできない。」と感服していました。

 

初日に続いての「Runaway Baby」は、京都橘としては(たぶん)初めてのサイレンの使用も画期的です。私としては、神戸弘陵がやっているように全力で手回しして欲しいと思ってしまうのですが、スイッチでサイレンの音を出すスマートさが橘らしさなのかもしれませんね。

この曲の最初のメロディを奏でるトロンボーンとユーフォニアムの左右へ向くフォーメーションは割とありがちですが、京都橘では初めて見るような気がします。なかなか新鮮な画です。

 

更に、カラーガードによるジャンピング・ハイキックも初めて目にするものです。これも来期のイヴェントの目玉になるかもしれません。

 

「80日間世界一周」は、1956年のアメリカ映画の主題曲です。私も随分昔に観たのですが、ほとんど覚えていません。けれども、この音楽だけは体に染み付いています。大好きな曲です。岩井直溥氏のアレンジが、実に素晴らしいです。東京佼成ウインドオーケストラの演奏でお聴きください。

 

 

京都橘の演奏は、これよりもずっとエモーショナルで私のお気に入りです。特に、サックスのオブリガート(メロディのバックに流れる対旋律)が素敵です。

 

そしてこの日の最後を締めくくるのは、「The Sing~Sing,Sing,Sing」です。

今期のマーチング・コンテストのプログラムの中でも印象的だった「The Sing」の最初の部分を導入部にして、十八番の「Sing,Sing,Sing」が始まります。今期の充実ぶりを示す、貫禄のパフォーマンスです。

 

 

 

この2日目はゲストもなく、部員たちが構成するステージをじっくり楽しめました。

中高生のステージにありがちな「グズグズになる」ところが一切なく、よく考えて構成された見事なコンサートでした。どんな場面においてもとても洗練されたものを作り上げるところは、今期の大きな特徴だと思っています。

中高生がコンサートの構成を考える場合にお手本となるような、見事な演奏会でした。

 

とても爽やかな印象を残して、最終日への期待を膨らませるのでした。

 

第60回記念の京都橘高校定期演奏会を、私はライヴ配信で3日間楽しみました。

 

 

今回も事前にプログラムも発表されて、いろいろ予想しながら本番を待っていたのでした。

 

今回は3日間公演。それぞれ「Blue」「White」「Orange」というテーマが付けられて、違ったプログラムで構成されました。

日によって演奏曲目が違うので、発表されたプログラムはとても見辛いです。まぁ、仕方ないですが。

3日間で演奏された曲は、のべ35曲プラス・アルファ。昨年の23曲と比較すると、1、5倍です。本番までにこれらを仕上げるのは、とんでもなく大変だったことは容易に想像できます。

 

 

ということで、3月22日に開催された定期演奏会初日「Blue」と題されたステージが始まります。

演奏会に集中するために雑多なことを終わらせた私がPCの前に座ったのは、開演直前でした。

定刻通りに白いユニフォーム姿の部員たちが入場してきます。コンサート・ミストレスを務めるドラムメジャーのクラリネットの音に導かれて、チューニングと暫しの音出し。他のオーケストラのコンサートでも、この瞬間が大好きなんです。これから始まる演奏への期待感が高まりますよね。

 

登場した顧問の兼城先生の姿を見た私は、「えらくカジュアルだなぁ」と感じたのでした。なにしろ、シャツの首元が閉じてなかったので、そんな印象を持ったのです。けれども、開いた襟元には、アスコット・タイが見えました。日本ではあまり見かけませんが、基本的にはかなりフォーマルなネクタイなのです。さすが、TPOは心得ていらっしゃる。

 

 

1曲目は、今期のマーチング・コンテストのプログラムです。多分、今年になって初めての演奏だと思われますが、全体のリズムの乱れが少しだけ気になります。それにも拘らず、マーチ「木陰の散歩道」でのスネア・ドラムはとても素晴らしいです。

 

続いての曲は、ラフマニノフ作曲の「パガニーニの主題による狂詩曲」です。

ピアノとオーケストラによる演奏は大好きですが、吹奏楽版をしっかり聴くのはほぼ初めてです。吹奏楽アレンジは、人気編曲家の森田一浩氏。圧倒的な管楽器の数を生かしたダイナミックなアレンジは、実に見事です。京都橘の演奏も、文句の付けようのない表現です。表情豊かなクラリネットのソロで始まる通称「アダージョ」と呼ばれるパートのメロディが、一番一般的に知られていますね。私がこの曲を大好きになったのは、1980年のアメリカ映画「ある日どこかで(Somewhere In Time)」で印象的に使われたことがきっかけでした。

 

 

私にとって「生涯のベスト10」に入るSFファンタジーです。観たことのない方は、是非一度お試しを。原田知世主演の「時をかける少女」がお好きな方なら、きっと気に入ってもらえると思います。

 

続くクラシック曲は、プッチーニ作曲のオペラ「トゥーランドット」です。

オペラの作曲家として数多くの作品を残しているプッチーニですが、日本を舞台にした「蝶々夫人」と対をなす「トゥーランドット」は、中国が舞台です。後藤洋氏による吹奏楽アレンジは、各地の吹奏楽団で演奏されています。京都橘の演奏でも、中国風のパーカッションを使用したりして、エキゾチックな雰囲気を加えています。

有名なメロディが満載のこのオペラで最も有名なのが、終盤で演奏されているアリア「誰も寝てはならぬ」でしょう。京都橘の演奏も良く唄っていて、その出来の素晴らしさに驚きました。座奏に力を入れている近年の京都橘の実力を発揮した、集大成とも言える演奏です。

 

MCの元気な声で始まるのは、ポップス・ステージです。

まずは、お馴染みの「スーパー・マリオ・ブラザーズ」です。

今期も散々演奏してきた大人気のナンバーですが、ここでの演奏は更にソリッドになっています。特に、パーカッション・セクションの充実ぶりが耳に残ります。

 

ここで、この日だけの特別プログラム、中学生合同ステージがアナウンスされます。舞台上の席の準備中に演奏されるのが、アニメ「ワンピース」の主題歌「We Are!」です。

マルチタム担当の彼のヴォーカルは本番を重ねて堂々たるもので、全く不安を感じさせません。まるでスター歌手のように客席の通路で歌う姿には、思わず笑みがこぼれてしまいます。舞台上から観客の視線をそらすための演出も、実に見事でした。

 

演奏の終わりと同時に椅子のセッティングが終わって、中学生の入場です。舞台の両袖から登場するものと思っていたら、いきなり「Down By The Riverside」が始まります。京都橘の部員達による渾身の演奏で、客席後方から通路を歩いて中学生達が入場して来ます。なんとまあ、立体的な演出なんでしょう!パレードの時よりずっとパワー・アップしたパーカッション隊の華麗な響きもあって、この曲の新たな魅力を発見した気分です。この演出は、初日の最大のサプライズでした。

 

さて、中学生を含めて170名を越えるバンドでの演奏が始まります。

最初は、吹奏楽における現代の人気作曲家Steven Reinekeによる最も人気の曲「セドナ」です。

私の記憶では、以前にも京都橘はこの曲を演奏していたのを見たような気がするんですが、いつのものだったか思い出せません。いずれにしろ、この明るくて心踊るサウンドにわかりやすいメロディは、京都橘のイメージにピッタリだと思うのです。いかがでしょう?私が大好きなJohn Williamsの作品にも通じる万人受けする曲調を作り出す人物が気になって調べてみたら、私より10歳も年下でした。現在は、最もアメリカらしいポップ・クラシカルを演奏するシンシナティ・ポップス・オーケストラの編曲家として活躍しているらしいです。

顧問の兼城先生の母校の吹奏楽部の演奏をお聴きください。

 

 

各パートのソリが多くて、絶好の選曲だと思います。懸命な中学生と優しく見守る京都橘の部員たち。この明るい曲で涙するとは、自分でも意外な驚きでした。予想以上に分厚いサウンドで、私が今までに聴いた「セドナ」の中でもトップクラスの出来だと思いました。

 

もう一曲は、岩井直溥編曲の「ディズニー・メドレー」です。現在でもどんどん作られている「ディズニー・メドレー」ですが、このアレンジは数多あるメドレーの中でも最も古いもののひとつだと思います。立命館大学応援団吹奏楽部の演奏をご覧ください。

 

 

いかにも岩井直溥氏らしい個性あふれるおしゃれなアレンジが魅力的です。特に、パーカッションが大活躍ですね。今回の演奏では、目立つところを中学生に任せて京都橘の部員はそれを見守るスタンスでした。

 

この中学生合同ステージは、私の期待を遥かに超える充実したものになりました。この参加者の中からどれだけの「オレンジの悪魔」が生まれるのか、もう期待しかありません。

 

ここまで、1時間を遥かに超えるステージ。満足の第一部でした。

 

 

 

 

20分の休憩を経て、第二部「マーチング・ステージ」の開幕です。

「伝統」と「革新」が現在の京都橘の両輪だと思っているのですが、マーチング・ステージのスタートは、その「伝統」を引き継いで青いユニフォームで「Winter Games」です。いつもと変わらない演出ですが、最初のフォルティッシモで鳥肌が立つのはなぜなんでしょう?これを超えるオープニングには、当分出会えない気がします。

 

本番の写真や動画はほとんどありませんので、ここからはいつも素敵なイラストを投稿されているフラワークラウンさんの作品を織り込みながら、パフォーマンスを紹介していきたいと思います。

 

「Winter Games」の「ヘイッ!」から間髪置かずに始まるのが、松田聖子の最初のヒット曲「青い珊瑚礁」です。

この曲は1月に開催された「フィールドアート」でお披露目されたという情報だけを得ていて、きっと定期演奏会のプログラムに入るだろうと期待していました。正統派のアレンジでオリジナルをなぞった構成の編曲ですが、振り付けがなかなか凝っています。前期の人気曲「ラムのラブソング」にも似た可愛い振り付けもあるのですが、全体的にはクールな印象なのが意外でした。

 

 

そして、ここからラストまで、年末のアメリカ遠征のプログラムの候補曲が続きます。多分、ここから数曲は間違いなく演奏されることになるでしょう。

 

Otis Reddingの名曲「I Can't Turn You Loose」は、10年前の伝説のステージでもパフォーマンスされたものです。さらには2018年には「The Blues Brothers Revue」の一部として演奏されました。

日本で広く知られるようになったのは、やはり映画「ブルース・ブラザース」で使われたことからでしょう。映画のサウンドトラックから、お聴きください。

 

 

京都橘のパフォーマンスは、初めて見るステップも所々にあって、ブラッシュアップしていったらアメリカでも絶対ウケるものになりそうです。

この曲の演奏で、私が最も好きなのはThe Gadd Gangによるカヴァーです。

 

 

実にカッコ良いですねー。目指せ、このグルーヴ!会場がダンスフロアになること、間違いなし!

 

George Gershwinの名作オペラ「ポーギーとベス」からのスタンダード・ナンバー「Summertime」は、岩井直溥氏のアレンジです。トロンボーンのソロから始まります。良い音ですねー。もっと自分のものにしてブルース・フィーリングが出せれば満点のプレイです。

リズムインしてからの振り付けが、私のお気に入りです。橘お得意の「ぴょんぴょん」したくなるリズムなんですが、ここでは敢えてアダルトでおしゃれな振り付けにしています。これは、実にカッコ良い。カラーガードのステッキを使ったダンスも、おしゃれです。

 

 

そして、今期を代表するナンバー「September」です。ピアノが作り出すサルサのリズムと、今期一番目立っていた強力なサックス・セクションをフィーチャーしたパフォーマンスは、追随を許しません。他の誰も真似できない完璧なステージです。

 

 

ドラムメジャーの明るい声のMCから、舞台は暗転して祝電の披露です。

当然のように、台湾の蔡英文総統からの祝電が最初です。彼女の任期もあとわずか。来期はどうなるんでしょう?その後も、各地の吹奏楽部や関係のある自治体の長からの祝電が続きます。京都橘の交流の多彩さを再認識させられます。

この長い暗転の間にオレンジのユニフォームに着替えて、後半のステージが開幕します。

 

ノーランズのヒット曲「ダンシング・シスター(I'm In The Mood For Dancing)」は、1、2年生のパフォーマンスです。当然、来期のドラムメジャーが指揮をしています。来期の定番のナンバーになるんでしょうか?かなり出来上がっている印象です。

 

今期、日本でも台湾でも評判になったのが、フランク・シナトラのヒット曲「My Way」です。

ホルンのソロも橘の歴史で記憶にない珍しいもので、注目を浴びました。

 

ハープも加えたフル・パフォーマンスですが、話題になったカニちゃんはベースを弾いていません。こういったところが、定期演奏会のおもしろさです。ファンにとって「定番」と思っていることを軽〜く裏切ってくれるのも、毎年楽しみにしていることなのです。後半では、ドラムメジャーのメイス捌きも楽しめます。

この曲はMCも語っていたように、フランスの曲です。作者が歌っている動画がありました。

 

 

これを聴くと、やはりシャンソンですね。

これを聴いたアメリカのシンガー・ソングライターPaul Ankaが新たな歌詞をつけて歌ったのがフランク・シナトラだったのです。それが大ヒットしたため、この曲をフランスの曲だと思う人は多くありません。イギリスの曲がフランスのご当地ソングになった「オー・シャンゼリゼ」と同じような経緯ですね。

作詞を担当したPaul Ankaの歌をお聴きください。

 

 

私個人的には、フランク・シナトラの歌よりも好きです。

 

そして、今期のプログラムの中で私が最も好きだったのが「君の瞳に恋してる」です。

カラーガードを中心にして、可愛さが渋滞する記憶に残る振り付けです。

 

 

カラーガードは、完全にチアガールのような振り付けだし、演奏しているメンバーも実に楽しそうです。日本では熱帯JAZZ楽団のヴァージョンが主流になっていますが、オリジナルに近い金山徹氏のアレンジを採用したことが京都橘の個性を引き出すことになっています。

 

ここで、部長の挨拶を挟んで、クライマックスへ突入します。

 

「Runaway Baby」は、既にいろんな吹奏楽団が演奏していて、京都橘はかなり後発といった感じですね。けれども、なかなかカッコ良い振り付けになっています。出雲商業がやっている右足を後ろへ跳ね上げる振り付けは、オリジナルのBruno Marsがやっていた印象的なものなので、当然のように京都橘でも取り入れています。

この曲は、当然来期のメイン・プログラムのひとつになるでしょうし、アメリカ遠征においても有力な候補になるでしょう。

 

そして、前回の定期演奏会以来、1年ぶりの「Memories Of You」です。

今回のクラリネット・ソロは、初めての部員が担当します。緊張していることは手に取るようにわかるんですが、なかなか堂々としたプレイです。バックのハーモニーも美しく、エモーショナルに歌い上げていて完璧な出来です。

 

バスタムのジャングル・ビートから始まる「Sing,Sing,Sing」は、いつもながら見事です。とてもソリッドなサウンドで、今期の集大成としてのパフォーマンスです。

今期の通常のパターンで終わったのは、ちょっと拍子抜けしてしまいました。サプライズのアンコールを軽く入れても良かった気がします。

 

それにしても、全体の構成がしっかりと組み立てられていて、充実の初日のステージでした。

残り2日への期待感が高まる幕切れでした。

あの日から13年。鎮魂の日です。

あの時も、今年の元日の地震でも最大限の支援をしてくれた台湾。

 

 

蔡英文総統から、日本へ向けたメッセージも届きました。

 

日本にとって最大の友人である台湾には、感謝の言葉が見つかりません。

私個人的には、生き残っている我々が亡くなった人々の分まで充実した人生を送ることが、最大の鎮魂だと思っています。

 

 

 

そんな日に、日本を元気にしてくれる話題がニュースを賑わせました。

 

山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」が、アカデミー賞の視覚効果賞を受賞しました。これは、決して大袈裟ではなく、快挙です。

アカデミー賞の視覚効果賞は、このところ潤沢な資金と豊富な人材を擁するILM(Industrial Light & Magic)をはじめとする大手プロダクションが独占していました。ただ、技術の急速な進歩で表現に「不可能」なことがなくなって来た反面、派手なあり得ない映像ばかりになってきて、辟易していました。「どこにカネ使ってんねん!?」初期のVFXを作り上げてきたGeorge LucasやSteven Spielbergが目指していたものは、リアルでドキドキ・ワクワクさせるための特撮だったはずです。そんな理念からは大きく外れて、単なる派手な見世物に成り下がっているように感じていました。

 

そこへ一石を投じたのが、「ゴジラ-1.0」だったのです。

 

一番重要なことは、この作品が「低予算」だということです。ノミネートされた他作品の10分の1以下の製作費なのです。特撮のスタッフも35人だとか。低予算であっても、日本人のセンスと工夫で完成させたリアルでスリリングな映像なのです。まさに「ニッポン・クオリティ」です。受賞の瞬間の動画です。

 

 

とても素直な反応で嬉しくなりますし、彼らが言及しているところを確認するために改めて観なおしてみたいと思ってしまいます。

「ゴジラ-1.0」については、これまでに様々な動画がアップされています。中でも、特撮を担当している「白組」のディレクターへのインタビューを中心にした動画がとても興味深いです。

 

 

実に風通しの良い環境にあることがわかります。

 

今回の快挙は、「始まり」にすぎません。このことによって、国内製作の予算獲得も容易になるかもしれません。海外からの資金調達も増えるかもしれません。かつての「黒澤映画」がそうであったように。

このところ韓国に大きく水をあけられている日本映画にも、ようやく「光」が見えてきたように感じるのです。

 

以前から、フランクで楽しいインタビューが多かった山崎貴監督ですが、ホイチョイ・プロダクションのインタビューでは彼の人柄がよく表れていて楽しいです。映画好きな二人の会話は、まるで居酒屋での映画ファン同士の会話のようです。かなりコアな内容ですので、お好きな方だけどうぞ。

 

 

現在の日本映画の「予算がないから」という言い訳を聞く機会が少しでも減って行けば、新しい方向が見えてくるはずです。

今回ばかりは、ゴジラは「破壊王」ではなく「創造王」になるのかもしれません。そうであることを願っています。

怒涛の3連続本番の12月12日を大成功のうちに終えた京都橘高校吹奏楽部。

翌13日は演奏の本番は予定されておらず、台湾観光の一日になりました。動画で確認できる範囲では、故宮博物院や有名な観光地・十分などを訪れたようです。

 
 

唯一の有料コンサートですね。予想どおり、チケットは即完売でした。けれども、後日「日本台湾交流協会」から学生限定のチケットが発売されました。

 

彼らと同年代の若い世代が生で見るべきだと思っていましたので、この配慮はとても素晴らしいと感じました。

このコンサートが開催されたのは、台湾におけるクラシック音楽の殿堂・国家音楽庁。2000席を備えていて、アジア最大のパイプオルガンが設置されていることで知られています。

 

前年の双十節の前日に、ここの前の広場で京都橘を含む3校の交歓コンサートが行われたことで、国家音楽庁の素晴らしい外観もお馴染みになりましたね。

美しいのは外観だけでなく、メインロビーも豪華です。

 

京都橘が初めて台湾でパフォーマンスを披露したのも、このホールでした。その時は、台湾フィルハーモニックの演奏会へのゲスト出演という形でした。その時は動画が公開されることもなく、演奏後に2階席へ移動した部員達に1階客席から観客が賞賛の拍手を送っている写真があっただけでした。プログラムは公表されていましたが、想像を膨らますしかありませんでした。

そこへ、2度目の台湾公演が決定したことを記念して、京都橘の公式チャンネルでその全貌が公開されました。2022年10月7日の公演です。

 

 

たった14分のパフォーマンスですが、台湾の観客にとってはインパクトが大きかったことは間違いありません。

クローズアップが多すぎてフォーメーションや振り付けを楽しめないのが残念ですが、貴重な記録です。「ラムのラブソング」と「ソーラン・ファンク」は、この時が初披露で完成度は高くありません。この2曲は、おそらく台湾人でも知っている日本の曲ということでの選曲だと思われます。部員達にとってもお気に入りのナンバーになったようで、この後この期を代表する人気曲になりました。

 

この格式ある会場を知っている部員にとっては、ここで単独のコンサートができるなんて夢のような企画だったのでしょう。座奏とマーチングで2時間の、フルサイズの構成です。有料公演なので、本編動画がないのは仕方がないですね。主催者である中華文化総会のSNSにアップされている数多くの写真から想像するしかありません。その中から、当日の様子を感じ取れる数枚をご紹介します。

まずは、リハーサルの一枚。

 

 

ユニフォームじゃなくても、この美しさ。

全員がベルアップするこの瞬間の姿は、個人的に京都橘を象徴するカッコ良さだと思っています。パイプオルガンの前に置かれているバナーが、良いアクセントになっています。

 

そして、本番の第一部・座奏の様子です。

 

白いユニフォームが美しく映える様子は、ステージの背景の素晴らしさに最もふさわしい姿で、フル・オーケストラにもひけをとらないカッコ良さですね。

 

マーチングのオレンジのユニフォームも、全く違和感ありません。「Winter Games」のフィニッシュを捉えた一枚。

 

観客の拍手の様子までわかる、素晴らしい写真です。

 

今期のマーチング・プログラムを象徴する一枚は、これ。

 

「Celebration」の、最もハジけた瞬間を切り取った見事な写真ですね。

 

 

 

 

そしてそして、京都橘が台湾を離れる日に、何の予告もなしに突然中華文化総会からアップされたのが、このコンサートのアンコールの様子を伝える動画でした。

 

 

コンサートの具体的なプログラムもSNSに上がっていましたが、「愛の讃歌」がアンコールで演奏されたことも全く知りませんでした。

ホルンの部員による涙の謝辞は、大きな話題になりましたね。

 

 

思い返してみると、「愛の讃歌」は今期初のパフォーマンスです。1年生にとっては、全く初めてのものです。まぁ、普段からアンサンブルの練習に使われていたかもしれませんが・・・。それにしても、ステージ用に新たに作られたフォーメーションに、完璧なハーモニー。今期の充実ぶりを見せつける素晴らしさですね。

この動画でもうひとつ話題になったのが、司会の女性です。日台両方の言語で流暢に進める姿には知性を感じますが、話しながらも涙にくれる部員を気遣う自然な優しさ。

 

彼女の魅力を伝える「完全版」の動画もアップされました。「Sing,Sing,Sing」が終わった直後から、観客が席を立つまでを捉えたものです。

 

 

知的で奥ゆかしくて、実に魅力的な女性です。この動画の中で、京都橘の訪台の団長を務めた梅本前理事長の紹介もあります。梅本さんは、グリーンバンド協会の役員に就任されたという情報もあったので、今度のローズパレード関連の動画でお顔を拝見する機会があるかもしれません。

そうそう、この動画をじっくり見ていると、腰を痛めたグロッケンちゃんのためにキーボードの後ろにクッションを置いた椅子が設置されていることも確認できます。

 

 

 

 

この動画を見て、なぜ涙がこぼれるのでしょう?

京都橘のことを大好きで、彼らが台湾に滞在している数日間を快適に過ごせるように尽くしてくれた現地スタッフと大勢の観客の皆さん。それに対して、全力のパフォーマンスと心からの笑顔で応える部員たち。そこには、損得を抜きにした純粋なお互いのリスペクトがあります。歳を重ねてくると、感動する場面に当たっても、その裏にある利害関係が透けて見えるようになってなかなか素直に泣けないことが多くなります。悲しいことです。けれども、台湾の皆さんと京都橘の部員たちの間には、そんなものは存在しません。気恥ずかしくなる位の純粋なリスペクトが存在するのみです。心が浄化されるような気がして、自然に涙する結果になるのです。

 

 

 

 

このコンサートの様子は、見事な編集です。これの全編を是非とも見たいものです。ちゃんとした形で、商品化すべきパフォーマンスだと思います。中華文化総会作成の訪台ダイジェスト動画をご覧ください。

 

 

こんな素敵な動画を作成できるスタッフがいるわけですから、自ずと本編動画への期待も高まります。中華文化総会さま、何卒よろしくお願いします。

 

 

 

 

京都橘の一行は、15日に帰国の途につきます。桃園国際空港にも、多くのファンとカメラが詰めかけました。その様子を生配信しているチャンネルも複数ありました。

台湾での厚遇に対しての謝辞を含めたセレモニーも行われました。

 

 

こうやって、京都橘高校吹奏楽部の部員たちにとっても台湾のファンにとっても忘れることのできない2023年の台湾公演が幕を閉じたのでした。

 

 

 

 

 

京都橘高校吹奏楽部は、遠征を行うたびに礼状をこまめに書くことは、ファンの間ではよく知られています。今回の台湾遠征でも、スポンサーや企業・団体などに礼状を出したことがあちこちのSNSに投稿されました。その中の一枚が、こちら。

 

京都橘の台湾関連の動画ではお馴染みのこの方は、中華文化総会(GACC)の秘書室長である李さんです。

中華文化総会は、現職の台湾総統が会長を務める非政府組織で、台湾の芸術・文化の振興と国際文化交流を一手に担う団体です。その実務におけるトップが、この李さんなのです。

いつもにこやかな表情が印象的な李さんですが、彼の京都橘愛は本格的なようです。1年前には、ドラムメジャーから直接「Sing,Sing,Sing」のステップのレクチャーを受けている動画が、彼のSNSにアップされていました。

 

即席でマスターするなんて到底無理ですが、頑張っている姿に好感度アップしたのを思い出しました。

ところが、彼はそれから1年間努力を続けていたんです。その成果を部員たちの目の前で披露したのは、14日の国家音楽庁でのコンサートのリハーサルの休憩時間のことでした。

 

これには、驚きながらも笑ってしまいました。必死でやってる様子は笑いを誘いますが、「Sing,Sing,Sing」のカラーガードの振り付けをほぼ「完コピ」。実に見事です。何よりも、部員達の前でこれを披露する度胸が素晴らしいです。部員達としっかりコミュニケーションがとれていて、愛されていることがわかります。彼の姿は、台湾の人々の気持ちを代表しているようにも思えます。

ということで、李さんへの礼状の表紙には、こんなイラストが描かれていました。

 

オレンジのユニフォーム姿です。

 

 

 

今年も訪台を熱望されている京都橘です。年末からの訪米を控えてなかなかタイトなスケジュールですが、三度台湾を訪問する機会はあるのでしょうか?

その前に、ビッグニュースが・・・。

5月に、京都で台湾フェアが開催されることが発表されました。これには中華文化総会も協力していて、李さんが参加することは間違いなさそうです。このイヴェントは、5月11日と12日の二日間開催されるのですが、京都橘にとっては毎年恒例の「ブラスエキスポ」が12日なので、11日に京都橘がこのイヴェントに参加すると私は予想しています。詳細の発表は、もう間もなくあるはずです。ファンの皆さん、楽しみに待ちましょう。

今回の台湾公演で私が一番期待していたのが、このパレードでした。

 

 

ドリル・ステージについては色々好みの問題もあるでしょうが、京都橘といえば、パレードです。間違いなく、世界一楽しいパレードですもんね。

 

12月12日、北一女でのパフォーマンスを終えた一行は、台北随一の繁華街・西門町へ向かいました。SNSでは、束の間の自由時間にショッピングを楽しむ彼らの姿も報じられていました。

 

パレードの後に広場でパフォーマンスをすることは、事前に告知されていました。なんとなく想像はしていたのですが、海外のファンブログにMartinCさんが具体的なルートを投稿されました。

 

とてもわかりやすいですね。MartinCさんは、度々貴重な情報を投稿してくれます。MartinCさん、ありがとうございます。これからも頼りにしてます。

 

 

 

 

パレードのスタート前から、西門町周辺を撮った動画がたくさんあります。私は現地のことを全く知らないので、それぞれの動画を楽しみました。若い頃に遊びに行ってた渋谷周辺の雰囲気があって、とても親しみやすい感じです。何と言っても、ロケーションの素晴らしさ。古いものと新しいものが凝縮されていて、とりあえず覗いてみたい気持ちになる街並みです。さらに、季節柄クリスマスイルミネーションも日本とはちょっと違うセンスで、これも台湾らしい雰囲気満載で、パレードへの期待感が高まります。

その中で偶然見つけたのが、OuPa Walkerさん撮影のこの部分。

 

 

顧問とトラックスーツの部長、京都橘ロゴTシャツのドラムメジャーがスタッフと共に紅樓広場に向かっているところのようです。撮影者も全く気付いていない様子です。

 

 

また、この動画の18:00あたりでは、パレードのスタート前にカラーガードのメンバーが公式カメラに向かって手を振る場面もあります。

 

 

 

 

京都橘の夜間パレードといえば、2005年と2011年にアメリカのディズニーランドで演奏した動画があるくらいで、非常にレアです。

商店の照明だけで明るさは足りるのか?などと色々想像していたのですが、先導するトラックの荷台に後方を照らす強力な投光器を付けて、しかも荷台にカメラマンが乗る方法を取ってきました。なるほど、万全の体制で準備されたんですね。まぁ、日本では夜間パレードさえほとんど不可能だと思われますが、もしやりたいと思う主催者がいれば参考にすべき形かもしれませんね。

 

 

 

さて、舞台は完璧に準備されていることで期待は高まるばかり。当日の生配信を楽しむべく、PCモニターの前でスタートを待つことにしました。スタートは、現地時間18:30、日本では19:30の予定でした。スタート位置まで歩いてくる部員たちの映像は途切れ途切れで、嫌な予感が・・・。

カウントダウンで、予定時間ぴったりにパレードはスタートしました。生配信の「命」である回線の通信速度の問題が改善されることなく、よくわからない映像が続きます。主催者でなければ撮影できないダイナミックな映像がたくさんあるにも関わらず、見続けることは大きな苦痛になりました。

遂に諦めた私は、他の生配信をしているチャンネルを探しました。そこで見つけたのが、またもやTaiwan Walkerさんのチャンネル。「生配信もやるんだ!」という驚きと期待で、そちらを見ることにしました。これが、大正解!

 

 

画面下には、現地時間と通信速度が表示されています。さらに左下にはライヴ・チャットが続々と表示されて、臨場感抜群です。混雑のためにカメラがパレードから徐々に遅れてくると、チャットで「がんばれーっ」と応援されているし・・・。

ユニフォームのオレンジ色の鮮やかさが足りないのが残念ですが、あとはお見事。結局最後まで飽きることなく見ることができました。今回の台湾でのイヴェント全体を通しての撮影のMVPは、間違いなくTaiwan Walkerさんでしょう。各イヴェントで、他とはちょっと違う視点の動画で随分楽しませていただきました。ありがとうございました。

 

 

全てのパフォーマンスが終わってから、膨大な数の動画がアップされました。全てを見るのはとても無理ですが、たくさんの動画を見ました。その中で、私がベストだと思うものを見つけ出しました。「うかのみたまのみこと」さん撮影の動画です。画質も音質も抜群で、丁寧に編集されていることがよくわかります。曲名のテロップは上品で美しいし、時々登場する「吹き出し」は的を得ていてポップで楽しいです。それも、映像や演奏の邪魔にならない程度に抑えているところに、センスの良さを感じます。今回は、この動画をじっくり見ながら、京都橘のパレードを楽しみたいと思います。

 

 

私が初めて彼らのパフォーマンスを生で見たのは、5月の「博多どんたくパレード」でした。その時は、全員が手探り状態でした。その時と比較すると、今回は全員が自信に溢れていて、音も声もよく出ています。喜びと自信から自然に出てくる笑顔も、いつも以上に素敵です。

 

 

演奏曲は今期のレギュラー・プログラムですが、進んでいくうちに「あの」不安が・・・。そう、グロッケンの不在です。

「When You Wish Upon A Star」のイントロは、グロッケンのソロなのですよね。

「Smoke On The Water」が派手に終わると、沿道から歓声と拍手が起こります。それに掻き消されてよく聞こえないのですが、なんとフルート・セクションがグロッケンと同じフレーズで先導する方法を選びました。これは、彼女が参加できないことが決まった時点で、顧問がフルートのために譜面を書いたのでしょう。妥当な選択だと思います。

ピッコロを含めたフルート・セクション全員で吹いているのですが、やはり届きません。歓声や拍手が予想以上に大きかったことも誤算だったのでしょう。メロディの入りが、2拍程ずれて始まりました。京都橘にとっては大事故です。それでも、マルチタムのフィルインをきっかけにして、3小節目から全員がピタッと揃います。拍手!パーカッション・セクションの絶対的な自信と、全員の修正能力の高さがフルに発揮された場面です。「なんとかする」京都橘の面目躍如ですね。ちなみに、この曲はもう一度登場しますが、そこでも同じようにずれて、同じように修正しています。

それにしても、キラキラしたアタック音が際立つグロッケンの重要性を改めて再認識する場面でした。

この曲のイントロだけでなく、パレードのプログラム中ずっとキラキラと彩っているグロッケンなので、急遽の代役はとても無理だというのは納得です。

 

この丁寧に作られた動画は、今期の京都橘パレードの集大成を余すところなく収録しているばかりでなく、歴代の京都橘のパレード動画の中でもトップクラスの出来だと思います。京都橘のパレードを初めて見る方にも、自信を持ってオススメできる1本です。

 

皆さん、ここで冷静に考えてみましょう。

今回のパレードは、複数の団体が参加するようなフェスティヴァルではありません。京都橘だけのパフォーマンスを見るために、これだけの人が集まりました。公式発表で3万人とありましたが、動画を見る限りもっと多い気がします。世界中探しても、これだけの集客力があるアマチュア・バンドは見当たらないでしょう。日本でも、こんな数の観客は見たことないですよね。台湾の「タチバナ・フィーヴァー」は、本物でした。

 

 

パレードが終わって、恒例の記念撮影。

 

これも、混乱を避けるために実に手早く行われました。

 

 

パレードの動画で、どうしても見ていただきたいものがChivasLiuさんの動画です。

パレードのスタート前と演奏後に部員が上を見上げて手を振っていたドローン・カメラが、これだと思われます。

 

 

ちなみに、音声は全く別のものを使っています。

日本では法的に許可されない撮影で、とても新鮮です。上空から見ると、京都橘の新たな魅力に気付かされます。高所恐怖症の私にとっては、ちょっと怖いですが。

全てが貴重な6分間です。多分もっと素材が残っているはずなので、ロング・ヴァージョンの公開を期待したいですね。

 

 

 

 

 

 

 

パレードが終わって、20分後に紅樓広場でのパフォーマンスが始まります。移動時間を考えると、彼らにとっては10分程の休憩だったようです。

主催者は、複数の投光器やクレーン・カメラを含む数台のカメラを準備して、万全の体制でした。けれども、生配信はやはり残念な出来でした。

あまりにも狭いステージなので、複数の動画で全体像が見えてきます。けれども、ここでのベストは我らが慶次郎前田さんの動画です。彼は、パレードも撮影していますが、日本よりも遥かに多い観客のせいで思った通りの動画が撮れずに、9分間のダイジェストしかアップできませんでした。けれども、こちらは流石の慶次郎クオリティ。アップにし過ぎない撮影で、京都橘の美しさを収録できています。

 

 

この日の昼間に北一女でも披露した曲ばかりですが、フォーメーションも狭いステージに見事に対応しています。自分がどうすべきかを全員が理解していることがわかります。

「My Way」のホルン・ソロは、納得できなかった北一女でのリヴェンジを果たして、実に見事でした。

パレードの疲れのせいか演奏には乱れがあるものの、台湾への感謝の気持ちが溢れる熱演です。彼らの素直な喜びが最後まで表現されていて、見ていてとても気持ち良いパフォーマンスでした。

 

 

 

 

 

台湾に行ってから、急激に人気が高まっている「カニちゃん」。

遂に、こんなものまで登場しました。Andy金さんが全体を撮影したものから、彼女にズームアップして作成した動画です。公開から1ヶ月足らずですが、視聴回数は既に27000回を超えています。彼女の人気ぶりがわかります。

 

 

この時のパフォーマンスで最も話題になった、ベースを弾き終えてから最前列までのダッシュの全貌がしっかり捉えられています。

 

動画で個人を追いかけることには、SNS上で賛否があります。私もあまり触れないようにしています。

けれども、顧問は色々なインタビューで「ひとりひとりにストーリーがある。それぞれを最初から最後まで見て欲しい。」と述べています。なので、こういった動画も許容範囲かと思います。過熱するのは問題ですが。

部員のひたむきさを良くわかっていてリスペクトしている兼城先生は、ひょっとしたら京都橘の最大のファンなのかもしれません。

 

 

おまけの動画を1本。beardadentさんのスマホ撮影です。ヴィデオカメラほどの精度はありませんが、ここでの見ものはカラーガードと観客とのやり取りです。

 

 

仮に京都橘を初めて見る人でも、目の前でこれをやられたら心持って行かれますよねー。

 

 

 

そして、中華文化総会のダイジェスト動画です。

 

 

こんな素敵なダイジェストを作ってくれるんですから、レストアした全長版を是非ともお願いしたいものです。李さん、よろしくお願いします!気長に待ちます。

 

 

ということで、12月12日、長い長い一日は大盛況のうちに幕を下ろしたのでした。

 

 

前回のブログは、大勢の方々にご覧いただいたようで、とても嬉しいです。当日のアクセス数は800を超えて、私がブログを始めて以来最高の数字になりました。本当にありがとうございます。

 

その記事の中で取り上げたJulio Hsuさんの動画を改めてここに貼り付けておきます。

 

 

この中で聞こえてくる会話の内容が気になると書いていたところ、当日のうちにコメントがきました。台湾在住で以前から私のブログにコメントを寄せていただいているericdofuさんです。どういう方なのかも全く知らないのですが、京都橘について何度もコメントを交わしています。そんなericdofuさんからのコメントを、ご覧ください。

 

 

私は、京都橘高校の迅速なフォーメーション変更の魅力は、変更の速度に速いと遅いのリズムがあり、全てのメンバーが同じ速度で動いているわけではないところにあると思います。これは他の学校とは大きく異なる点です。どのタイミングでどの位置に移動するかは、よく考えられており、音楽との調和を試みています。これにより、京都橘の動きは非常に魅力的で美しいものになっています。これは恐らく島コーチのもたらした変化かもしれません。

 

また、The Singが左右の音声チャンネルを巧みに使用して円を描く動きは、音と動きの変化が一体となり、非常に興味深く創造的です。

 

その日、私は北一女の現場にいました。その日の朝の天気予報はずっと悪かったです。5日前の予報では降水確率が70%で、前日になってようやく30%まで下がりました。これは恐らく京都橘の幸運がもたらした好天だったのかもしれません。

 

その日は非常に驚かされました。京都橘が行進コンテストの内容を北一女で演じ、しかも台湾でのパフォーマンス唯一の内容だったことは、非常に面白いプログラムのアレンジでした。

 

以下は、ビデオの会話内容を翻訳してみたものです。撮影者の友人が北一女の生徒かもしれませんね。

 

2:55 誰が吹いてるの?中央に立っているのは

 

3:55 わあ、踊ってる!

 

4:27 踊ってるね

 

4:34 こんな動きして息切れしない?

 

4:50 わあ、可愛い

 

4:55 踊ってる、すごいね!

 

5:10 後ろ向きに走ってるよ、すごいな

 

5:35 これはもっと活発な

 

5:45 走りながら楽器を吹けるなんて、すごい。走っててもブレない、本当にすごい

 

6:11 さっきのBASS、来た来た

 

6:20 彼女たち、後ろ向きに走ってるけど、どうやって自分がどこにいるか分かるんだろう?

 

6:28 彼女たちは本物のフレンチホルンを吹いてるんだ、重いよ

 

7:44 人がたくさんいるね

 

9:36 この曲、かっこいいな、Bass弾いてるのかっこいい、どこにいるの?男の子が弾いてるの?

 

 

この楽しいコメントから、ericdofuさんが現地でご覧になったことを知り、感じられたことをレポートして下さいと軽くコメントしたら、なかなか詳細なレポートが届きました。この時の動画は無数にありますが、具体的なレポートは皆無に等しいので、これには驚きました。

 

 

その会話もとても面白いと思いました。それは、現場の最もリアルな感情ですね。私も現場で、北一女の生徒たちが、島コーチの着ているスーツと態度がとても素敵だと褒めているのを聞きました。本当に面白いですね。

 

その日はかなり早く到着しました。その時点で、北一女の運動場を囲むように待っている人たちがいました。知り合いの友人が帽子をかぶった紳士を指して、「慶次郎さんも撮影に来ているよ」と言いました(どうやって知ったんでしょう?)。それを聞いて、とても驚き、嬉しく感じました。また、彼が台湾で撮影する映画を楽しみにしています。

 

少し前には、台湾の友人たちが慶次郎さんに感謝と歓迎の意を表していると聞きました。私たちは彼の映画が大好きです。声と映像はいつもとてもリアルです。一昨年、文化総会の李厚慶事務長がYouTubeで慶次郎さんが撮影した大手筋での橘子のパレードの映像を見て、京都橘に国慶演出への招待を始めたのです。

 

やがて、橘子と楽器を運ぶ車が到着しました。彼女たちはとてもリラックスして楽しそうで、生徒たちはお互いに冗談を言い合ったり遊んだりしていました。彼女たちはこれからの演出をとても楽しみにしていることが感じられました。機器を素早く運び、全ての学年が協力し合い、誰もが自分の役割を知っていました。現場で先生が何をすべきか指示することはなく、彼女たちは10分余りで楽器の設置を終え、非常に効率的でした。

 

演出の準備中、橘子はすぐにプロフェッショナルモードに切り替えました。彼女たちの真剣な表情と動きから、この演出をどれほど大切にしているかがわかります。楽器は再び慎重に調整され、確認されました。たとえ1時間前に富士大ホテルでフラッシュモブを行ったばかりでも、彼女たちは何度も確認し調整し、最後の瞬間まで真剣に準備しました。

 

演出の音は非常に感動的で美しかったです。彼女たちがまさに全日本マーチングコンテストで3連続金賞を獲得したばかりで、充実感と自信がありました。私は平面的な視点から立っていたので、高い角度から見る隊形の変化の美しさを感じることはできませんでしたが、現場の人々の驚きの声から、これが素晴らしい演出であることを感じ取ることができました。

 

演出後の園遊会では、橘子たちはすぐに青春を楽しむいたずら好きな高校生に戻りました。北一女の生徒一人ひとりが橘子のメンバーを担当し、いくつかの生徒は恐らく一昨年から既に知り合いで、連絡を取り合っていたため、再会して喜び、楽しく会話し、写真を撮り、プレゼントを交換し、食事をしました。まるで長い間の友人のようでした。言葉の違いは問題にならず、携帯電話の翻訳機能や簡単な英語でのコミュニケーションで、非常に楽しい時間を過ごしました。

 

台湾の学校の園遊会は、生徒たちが自分たちで装飾を行います。彼女たちは、北一女の生徒が作った食べ物やゲームに非常に興味を持っていました。夜市のゲームや台湾で日常的に人気のある食べ物がたくさんありました。橘子たちはとてもお腹が空いていて、食べ物はとても美味しそうでした。すぐに多くのブースが売り切れになり、橘子のメンバーはできるだけ多く食べて遊び、楽しいひと時を満喫しました。

 

 

この素晴らしい実況をコメント欄に埋もれさせるのはもったいないと思い、記事としてまとめて残そうと思いました。ericdofuさんにそのことを打診したところ快く了解を得ましたので、ここに置いておくことにしたのです。

 

 

もちろんです、大変歓迎します。このような感想をApolloさんのブログに加えることができることを、私は大変光栄に思いますし、とても嬉しく思います。

 

さらに、その日に起こった話を一つ追加したいと思います。北一女でのパフォーマンスが終わり、休憩エリアに戻った時、オレンジチームのメンバーの一人が体力の限界でしゃがみこんでいるのが見られました。部長と島コーチはすぐにそのメンバーのそばに駆け寄り、心配をしました。その後、そのメンバーは学校のスタッフに支えられて休憩室へと運ばれました。

 

その日のパフォーマンスのビデオでは、オレンジチームのメンバーの動きが遅くなった様子は一切見られませんでした。誰もが非常にエネルギッシュで笑顔を見せており、彼女たちがどれだけ一生懸命に、心を込めてパフォーマンスをしていたかがわかります。最後の瞬間まで、それにとても感動し、尊敬の念を感じました。

 

 

ericdofuさんの渾身のレポート、如何でしたでしょうか?

京都橘のファンなら、興味が尽きない内容ですね。

 

ということで、顔も知らない台湾の友人ericdofuさんからのプレゼントでした。これからも懇意にしていきたいものです。ありがとうございました。

 

もはや毎年の恒例になったサン・クロレラのインタビュー記事がアップされました。

 

 

 

ちょっと前に私が記事にした「橘グルーヴ」の大きな変化の理由がこのインタビューで証明されていて、答え合わせができた気分でとてもスッキリした気分です。全体のまとまりは、確実に結果として現れるんですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、台湾公演の続きです。

12月12日、朝9時に開催された富士大飯店でのポップアップ・パフォーマンスを終えた京都橘の部員たちは、オレンジのユニフォームに着替えてからホテルを出発します。11時からの北一女の120周年祝賀行事に参加するためです。心配された雨も、なんとか止んだようです。

北一女に到着した瞬間から、無数の動画がアップされています。気になる方は検索してみて下さい。

 

まずは、Rooster Jamesさん撮影のリハーサルの動画をご覧ください。

 

 

ポイント貼りから音出しを経て、リハーサルに入ります。「Fanfare for Tachibana」が終わったタイミングで、副総統・頼清徳氏の一行が入場して来る様子が捉えられています。1ヶ月後の総統選挙へのアピールはもちろん考えているのでしょうが、形としては蔡英文総統の代理としての来賓ですね。次期副総統になる予定の蕭美琴氏の姿も見えます。

さて、この動画では、京都橘の普段の練習の一端が垣間見得ます。顧問やドラムメジャー、セクションリーダーからの指示をきちんと把握して「ハイ」と元気良く返事をして、すぐに行動に移します。非常に統率が取れていて、効率的な練習ができていることが見て取れます。

 

 

 

 

本番の様子を捉えた動画は数多ありますが、一番良くできているのは黎家維さんの3台のカメラを編集した動画でしょう。

 

 

北一女の楽儀旗隊のパフォーマンスは凛として素晴らしいけど、このジャンルについてはあまり多くを見ていないので、ここで語ることは遠慮します。

 

黎さんの動画は、グランドレベルの正面左右と建物上方からのカメラを使っています。

京都橘の最初の6分間は、マーチング・コンテストのプログラムです。コンテストと比べると、若干の隊列の乱れはあるものの演奏は更に充実しているように思えます。

「バラ色の人生」は、部長のユーフォニアムによるイントロから、実に美しいです。他の部員は、四隅へ移動して部長とカラーガードのパフォーマンスを引き立てます。さらに隊列が四隅から戻って、マークタイム(その場での足踏み)までのフォーメーションの美しさは、京都橘のプログラム史上最も記憶に残るもののひとつだと思います。最大の見せ場であるカンパニー・フロント(横一列での前進)へ至る各ブロックの複雑な動きも素晴らしいですね。

 

そして、京都橘の代表曲「Sing,Sing,Sing」を凝縮して新たな魅力を加えた「The Sing」は、毎年アレンジが違うのも楽しみにしています。ここでのパフォーマンスでは、「キャー」の後にお馴染みのステップで観客からどよめきが起こるのが嬉しいですね。さらに、トドメの超絶フォーメーション・チェンジ。こんなにスピードのある演技は、他の強豪校と呼ばれる学校の演技でも見たことがありません。もはや京都橘のトレードマークになったような気がします。

昨期は国慶節、今期はここでのパフォーマンスと、マーチング・コンテストのプログラムの全貌が記録として残ることは、とても嬉しいことですし価値のあることだと思います。さて、来期はどうなるんでしょう?

 

続いては、マーチング・ショー。次期部長のMC中、2分弱の間にパーカッション・セクションのセッティングが終わる手際の良さに注目してください。

「Winter Games」は、最適なテンポで曲の良さがダイレクトに伝わる見事にまとまった演奏です。

続く「Uptown Funk」も見事なパフォーマンスです。ここでカラーガードが使用するのは、黒いハットです。ところが左側の二人がハットを持っていません。20分程前のリハーサルでは、ちゃんと使っていました。この日は風が強かったので、吹き飛ばされて行方不明になったんだと想像できます。突然のアクシデントにも動揺を見せることなく、きっちり決めてくる二人のカラーガードに拍手です。

この曲は、今期のプログラムの中で最もクールでカッコ良い演奏と振り付けです。見事な「橘グルーヴ」のおかげで、その完成形がここにあります。

 

そして、初披露の「マイ・ウェイ」です。編曲の岩井直溥氏は1970年代にも「マイ・ウェイ」をアレンジして、世界中の吹奏楽団で演奏されています。けれども、この時のアレンジはあまりにもまとも過ぎて、平凡です。随分後になって再アレンジしたものが、今回京都橘が演奏しているヴァージョンです。正式なタイトルは「シンフォニック・バンドのための『マイ・ウェイ』」となっています。東京佼成ウインドオーケストラの演奏で、お聴きください。

 

 

今回のアレンジは、エモーショナルでダイナミックなものになっています。ポイントは後半の転調で、ここで気分がグッと上がります。京都橘の演奏は、いつも通りの短縮ヴァージョンですが、ポイントである転調の部分はきっちり押さえています。座奏で演奏することを前提に作られているはずのこの曲を、京都橘は優雅に美しくマーチングに取り入れています。誰がこの曲をマーチングで使うことを想像できたでしょうか?京都橘では、こういったサプライズを昔からしばしば取り入れていますね。

ここで最初のメロディを歌うのは、個人的に1年生の時から注目していたホルンの部員です。ホルンのソロは、京都橘のパフォーマンスでは見た記憶がありません。非常にレアですね。残念ながら正確に音を当てることができずに、納得できない表情で下がる様子が見て取れます。プロでは許されないことですが、金管楽器経験者ならきっとわかってもらえる難しさなのです。彼女は、この日の夜のパフォーマンスで、見事にリヴェンジを果たします。

 

さて、この曲での注目すべきことは、ギターとベースを演奏している二人の一年生コンビです。

ギターを担当しているのは、普段はクラリネットを吹いていて笑った時にキレイな三日月になるタレ目が印象的な部員です。ギターを弾いている姿を見る限り、エレキ・ギターは初心者のようです。以前にアコースティック・ギターはやっていたかもしれませんが。

ベース担当は、すっかりおなじみになったカラーガードの「カニちゃん」。彼女は、座奏ではコントラバスとエレキ・ベースを弾いていますが、マーチングでもこの曲だけでエレキ・ベースを弾くことになりました。

 

 

台湾公演における様々なイヴェントでのセッティングの様子を見ると、ベースやギターの設置は全て彼女が任されています。つまり、全部員の中で一番精通していると認められているんですね。そして、この曲での大抜擢です。なぜなら、静かな曲調でベースの音が非常に重要なポイントになっているからだと思っています。彼女がベースを弾いている姿を見ると、ほとんど手元を見ることなく見事にリズム・キープに徹しています。彼女は、多分以前からエレキ・ベースでポップスを演奏していたのでしょう。楽器が既に体の一部になっているようです。

曲が終わってから、ダッシュで最前列へ向かう姿も見逃し厳禁の楽しさです。

そして、マーチング・ショーの最後を飾るのは「Sing,Sing,Sing」です。ほぼ完璧な出来で、観客の大歓声に包まれます。

 

カラーガードの一人が後退する時に転倒したり、ハットが行方不明になったり、不要なフラッグを持って出てしまったり・・・。いろんなトラブルがあっても、動揺せずに「なんとかする」京都橘の底力を再認識する結果になりました。グロッケンやキーボードの音がない寂しさは拭えませんが。

 

 

北一女創立120周年記念式典における18分程のパフォーマンスは、曲数こそ物足りなさを感じるものの、今期の京都橘を凝縮した見事な構成で魅了させてくれました。この日の夜間パレードを合わせれば、京都橘120期のパフォーマンスの「ショーケース」とも言える多彩さです。

 

 

 

ひとつのカメラで撮影したもので群を抜いてクオリティが高い動画は、やはり慶次郎前田さんでした。

 

 

投稿された動画のほとんどが、可愛い部員たちを収めようと近寄り過ぎています。そんな中で、慶次郎さんは意識的にクローズアップを避けているようにも思えます。京都橘の魅力をわかっているからこその構図で、全編お見事です。その中でも白眉は、「バラ色の人生」のカンパニー・フロントです。ズームアウトして隊列を全部収めるタイミングが抜群で、初めて見た時は思わず声が出てしまいました。

さらに、「マイ・ウェイ」から「Sing,Sing,Sing」の始まりまでのカラーガードの身体能力の高さも、はっきりわかる動画になっています。

画質と音質のクリアさは抜群のクオリティで、京都橘撮影のお手本と言える動画です。

 

 

 

この公演で絶対に見るべき動画は、Julio Hsuさん撮影のものです。

 

 

左手の建物の上階からの撮影で、京都橘の素晴らしさを世界に発信する珠玉の動画だと断言します。この角度から撮影されたものは過去には存在しませんし、今後もこんな機会はないだろうと思われます。フォーメーション・チェンジの美しさが、手に取るようにわかります。特に、マーチングコンテストのプログラムにおけるパフォーマンスは、何度見ても鳥肌が立ちます。また、後半のマーチング・ショーでも、初めて知るフォーメーションが多くて見どころの連続です。この動画をアップしてくれた撮影者に、心から感謝です。撮影者の周りで感嘆の声を上げている人達も控えめで、動画の邪魔にはなっていません。どんな会話をしているんだか、知りたいですね。どなたか翻訳してくれないかなぁ。

 

 

追記:ericdofuさんから、会話の日本語訳が早速届きました。

 

"以下は、ビデオの会話内容を翻訳してみたものです。撮影者の友人が北一女の生徒かもしれませんね。

2:55 誰が吹いてるの?中央に立っているのは

3:55 わあ、踊ってる!

4:27 踊ってるね

4:34 こんな動きして息切れしない?

4:50 わあ、可愛い

4:55 踊ってる、すごいね!

5:10 後ろ向きに走ってるよ、すごいな

5:35 これはもっと活発な

5:45 走りながら楽器を吹けるなんて、すごい。走っててもブレない、本当にすごい

6:11 さっきのBASS、来た来た

6:20 彼女たち、後ろ向きに走ってるけど、どうやって自分がどこにいるか分かるんだろう?

6:28 彼女たちは本物のフレンチホルンを吹いてるんだ、重いよ

7:44 人がたくさんいるね

9:36 この曲、かっこいいな、Bass弾いてるのかっこいい、どこにいるの?男の子が弾いてるの?"

 

なかなか楽しい会話でした。ericdofuさん、ありがとうございました。

 

 

また、音を遮るものがないので、各楽器の音がダイレクトに収録されています。特に、ベルが上を向いているユーフォニアムの音が顕著です。「バラ色の人生」で、最初のフルートのメロディの後、ユーフォニアムがチャップリン作曲の名曲「Smile」の一節を奏でています。お判りいただけたでしょうか?アレンジを担当した鈴木英史氏のお遊びですね。こういった「アレンジの妙」を楽しむのも、吹奏楽を聴く醍醐味のひとつだと思っています。

 

 

 

最後に、今回の台湾公演で三度目の登場、Taiwan Walkerさんの動画です。

 

 

正面から向かって右手からの撮影です。場所的に残念だと思いながら見てみたら、これが良い効果になっていました。意外に近くて、音もクリアに収録されています。新しい発見がいっぱいで、興味が尽きません。特に、カンパニー・フロントへ向かう移動から、一列になってベルアップする場面のカタルシスは、この動画ならではのカッコ良さです。

さらに、「The Sing」での複雑な移動は信じられないスピードで、彼らの能力の高さをまざまざと見せつけられます。

 

 

 

パフォーマンスを終えた部員達は、他の出し物を見たり北一女のメンバーとの交流を楽しんだり、限られた時間でも充実した時を過ごしたようです。

そして、夜間パレードが予定されている西門町へ移動するのでした。

12月11日、高雄でのポップアップ・パフォーマンスを終えて高雄観光を楽しんだ京都橘高校吹奏楽部の一行は、台湾高速鉄道で台北へ向かいました。

スポンサーの一社である富士大飯店では歓迎晩餐会が開催されましたが、多分その直前に収録されたと思われる部長と顧問のインタビューをご覧ください。

 

 

今回の訪台での唯一の現地インタビューだと思われます。

観客の歓声をどう感じているのかが、本人達から語られます。やはり観客の声援が「橘スマイル」の源になっていることを、再確認させてくれます。

 

さて、「歓迎晩餐会」は、玉山銀行・Kenji健司・富士大飯店のスポンサー3社の主催で執り行われました。

この3社は、京都橘の今回の訪台における移動交通費・食費・宿泊費を一手に引き受けています。単なる高校の部活動に対してこれだけの厚遇は、見たことも聞いたこともありません。いろいろ調べてみましたが、この3社はそれぞれの業界においては割と新しい会社のようで、現在の台湾では最も勢いがあるらしいです。宣伝効果を見込んでのスポンサー契約なんでしょうけど、全てのイヴェントで3社の名前が目立つことはなく、我々日本人にとっても好感度しかありません。何よりも、京都橘の訪台の大成功はこれらのスポンサーの厚遇抜きでは考えられません。心から感謝ですね。

それでは、晩餐会のダイジェストをご覧ください。

 

 

1時間に及ぶ式典では、室内楽の生演奏もありました。「千と千尋の神隠し」からの曲もありましたね。ちゃんと歓迎の意味を持った選曲です。

それぞれからの記念品贈呈以外に、3社から京都橘へ300万円の寄付も発表されました。

 

 

さらに、スポンサー名入りのバナーとスーザフォンのベル・カヴァーもプレゼントされました。

 

これらは、早速翌日から使用されました。

 

3社の中でも、特に最低4泊した富士大飯店の対応は素晴らしく、ホテル自慢の広東料理で連日もてなしてくれたばかりでなく、夜間外出のできない部員達のために「模擬夜市」を開いて楽しませてくれたようです。

 

なかなか貴重なショットです。心から楽しんでいる様子が、彼らの笑顔から感じられますね。

 

 

 

 

 

そして、怒涛の3連続本番の12月12日を迎えます。

最初は、富士大飯店でのポップアップ・パフォーマンスです。事前からホテルの前で大きく告知されていました。

 

当日小雨のために、予定されていた屋外からホテルのロビーへ変更となりました。晴れていたらどんな場所で演奏する予定だったのか気になったので、ホテルのホームページを見てみたのですが、それらしい広場は見当たらず解明できませんでした。けれども、パフォーマンスをしたロビーの全景の写真はありました。

 

 

動画の最初に戻すと、パーカッションのセッティングの様子を見ることができます。

撮影の仕方は、いかにもテレビ的です。笑顔が魅力的なので、アップで追っかけたい気持ちはよくわかります。けれども、そのせいで肝心なところを捉えきれていない印象です。

 

ほぼ同じ位置からの動画は複数アップされていますが、映像のベストはRooster Jamesさんの撮影です。爆音のせいで音が割れているのが残念ですが、京都橘の魅力をよくわかっていらっしゃるRoosterさんらしく、できるだけ全体を画角に収めようという意思を感じ取れます。リハーサルとも言えない、簡単な立ち位置の確認だけから本番が始まります。

 

 

高雄でも演奏した「Celebration」。高雄では聞き取れなかった各楽器の音が、よくわかります。郷間幹男氏によるアレンジのようですが、サックス・クラリネット・フルートといった木管楽器の速いフレーズが難易度高いです。合わせるのは、座奏でもなかなか難しいと思われます。今の京都橘はグルーヴの一体感がピークを迎えているために、事もなげに演奏しているように聞こえます。

そうそう、前日腰を痛めた部員に代わって、トランペットの部員がピアノを担当していることにも注目です。「なんとかする」橘らしい対処の仕方ですね。

ほぼ同じ位置からの撮影では、Andy金さんのものも秀逸です。その動画からパーカッション・セクションだけをズームして切り取ったものをご覧ください。

 

 

グルーヴが一致して気持ち良いのが、彼らの笑顔から伝わってきます。自然な笑顔ですもんね。「Sing,Sing,Sing」も、勢いがあって素晴らしいです。

 

横に広いステージですので、1台のカメラで全部を収めるのは無理です。左方向からの動画はたくさんアップされています。Toshi Iさんの固定カメラの動画は画質・音質共にクリアでお気に入りなんですが、敢えてベストを選ぶなら沙拉史東さんのものですかね。

 

 

そして、右手からの動画は少ないのですが、蔡忠華さんの動画がその様子を的確に捉えてくれています。

 

 

この辺りの動画をまとめれば、全体像が見えてくるかと思います。お腹いっぱいになるまでお楽しみください。

 

 

 

そして、今回の訪台のメイン・イヴェントである北一女の120周年記念式典へと出発するのです。雨が心配されましたが・・・。

Marlena Shawが、1月19日に亡くなりました。81歳でした。

 

 

私が持ってる彼女のCD。コアなファンの方々には笑われるかもしれません。コンピレーションが多いですもんね。

私はその程度の不真面目なファンでありますが、ライヴハウスのような密な空間でライヴを見てみたいと望んでいた歌手のひとりなのです。

それもこれも、稀代の名盤である1975年リリース「Who Is This Bitch, Anyway?」との出会いがきっかけだったのです。

このアルバムについては、11年前に記事を書きました。久しぶりに読み返してみると、彼女の歌やそれぞれの楽曲に対する思いは変わっていません。なので、ここで改めてリンクしたいと思います。ただし、それぞれの動画の多くがリンク切れしていましたので、当時なかった音源も含めて探し出しました。はじめにそれらを列挙しておきます。

 

 

"Don't Ask To Stay Until Tomorrow"

 

"Davy"

 

"The Lord Giveth And The Lord Taketh Away"

 

"You Been Away Too Long"

 

"You"

 

"A Prelude For Rose Marie"

 

"Rose Marie (Mon Cherie)"

 

 

 

 

 

彼女のジャズ・フィーリング溢れるヴォーカルが最大の聴きものですが、バックを固めるミュージシャンのプレイがとんでもなく素晴らしい作品です。

それでは、2013年2月13日の記事をご覧ください。

 

 

拙い文章ですが、熱い想いだけは感じていただけるんじゃないかと思います。

この記事を書いた年、このアルバムの「リユニオン・ライヴ」が日本で開催されました。その中から、代表曲「Feel Like Making Love」をご覧ください。このリラックスした空間を感じてもらえれば、私がライヴを見てみたかった理由がお判りいただけると思います。

 

 

やっぱり偉大な歌手でした。しばしば来日してくれてたのに、ライヴに行く機会がなかったことが本当に残念です。

 

 

 

さて、坂本九が歌った「上を向いて歩こう」は、アメリカのビルボードでナンバー・ワンになった唯一の日本語の歌です。ただし、アメリカでは「Sukiyaki」というタイトルでした。

その名曲に英語の歌詞を付けて切ないバラードに作り上げたのが、A Taste Of HoneyのJanice-Marie Johnsonでした。そのヴァージョンは大ヒットして、A Taste Of Honeyの代表曲のひとつになりました。現在では、「Sukiyaki」と言えばこのヴァージョンのカヴァーがほとんどですね。

で、今回いろいろ動画を見ていたら、Marlena Shawが歌っているものを発見しました。私は全く知らなかったのですが、1987年に日本のCM用に作られたものらしいのです。Marlenaのヴァージョンのプロデュースとアレンジは、私が大好きなJimmie Haskell。切ないラヴソングであるこの曲の世界観を見事に表現していて、大のお気に入りになりました。最後に、この曲をお聴き下さい。

 

 

Marlena Shawの「Who Is This Bitch, Anyway?」は、私の「生涯の10枚」に入れたいと思う位の大切な一枚なのです。

きっと、死ぬまで聴き続けると思います。

 

Marlena、素晴らしい作品を作ってくれて、ありがとうございました。

R.I.P.