ruitek times

Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

すごい

まず、著者の経験に基づいた記述なので、本ポストが全ての人に当てはまるワケではない事を先述しておく。

著者は今まで多くの『すごい』と呼ばれる人達と会ってきた。
アスリート、ミュージシャン、会社員、アーティスト、モデル、ビジネスオーナー等、様々なジャンルの人達だ。


その『すごい』と呼ばれている人達の多くが、何がすごいのかあまり分かっていない、もしくは過大評価されていると感じている傾向にある。

最初は著者も、自信がないのかネガティヴ思考、ただ謙遜しているだけなのかと思ったが、長年に渡る地道な調査の結果、彼等の大部分が本当にそう感じている事実が判明した。
今回はそのメカニズムに迫りたいと思う。


著者が実際に会って話をした人達は、世間一般で言われる『頑張りやさん』や『努力家』である事がほとんどであった。

ただ本人達はそれすらも自覚しておらず、そこに周囲からの評価と自己評価のずれが生じているのだ。

自覚できていない背景には理由が2パターンあり:
① 本人達は自分の好きな事を続けてきただけ
② ただ目の前の事を一個ずつこなしてきただけ

この上記の理由により、本人達は努力している感覚がなく『当然の事をしてきただけなのに何故?』となっている場合が多い。

人は興味のある事や、自分の好きなことへのモチベーションが高く、それも『評価の温度差』を生むエレメントの一つではないかと専門家は分析する。
その『興味のある事』がニッチであればあるほど、この評価の温度差は顕著に現れる傾向にある事も判明。

未知の領域で専門性を発揮している人物がいたら即『すごい人』に映った経験は誰にでもあるだろう。
例を上げるとスキーの初心者がインストラクターに抱く尊敬の念と説明すれば分かりやすいだろうか。


自分の出来ないこと、不得意な事をいとも簡単にやってのける人はすごい人なのだ。


それが経験やセンス等の、勉強や練習だけではカバーできない事であれば尚更である。


SNSのフォロワー数やLIKE等、可視化された物に目が行きがちな昨今、評価という言葉の本質が問われているような気がしてならない。
果たして自分を正当に評価する事の難しさは周囲と自己の温度差が生まれる位の『すごい人』にならないと分からないのだろうか?


著者はそうは思わない。


人は誰でも興味のある事、自然と続け身に付けてきた事があり、何かのスペシャリストなのだ。
それがマスなのかコアなのか、評価されるか、されないかの違いだけで、著者から言わせれば皆『すごい人』なのだ。



このポストを全ての仲間達とその家族に捧げる。


著:ルイテック

信頼と実績

この世界的不況の中、ブランドを継続させるだけでも大仕事であると言う事は先述してあると思うので、今回は割愛させていただく。

著者は、直接関わるブランドはもちろん、日々様々なサンプルや製品を見たり手に取る機会が多い。

仕事として10年近く携わっていると、その間に衰退したブランドや逆にブレークしたブランド、陽の目を見る前に消えてしまったブランド等様々だ。


そんなアパレル/ファッションビジネスで利益を上げるのが難しい昨今、厳しさに耐えかね安易な選択に走ると二度と消えない烙印を押される事になる例を紹介しよう。


コストを削減し最大限の利幅を確保するには、安いマテリアルを仕入れ、人件費の安い工場で生産すればいいだけの話だ。

これだけで計算式の上では増収だ。

しかし、この安易なディレクションが二度と消えない烙印への近道になったりする。
今までよりほんの少し安いスウェードと、今までよりほんの少しグレードの低いレザーを従来のダブルステッチではなく、シングルステッチで縫い合わせ、番手の低い生地で作られたラベルを縫い付け、刺繍されていたロゴはプリントに置き換え、賃金の安い工場で組み上げる。

これだけで雰囲気だけはイメージに近いが、笑ってしまう程お粗末な理想とはかけ離れたゴミクズみたいなプロダクトが出来上がってくる。

マテリアルの裁断された切り口や、厚み、仕上げ等、小さな『値切り』のシワ寄せを製品として集中させた時に初めて、全体的なクオリティが驚く程下がっている事に気が付く事になる。


ハイブランドのバッグ等が持つ『高級感』や『品』はこれとは逆のシワ寄せの結果なのだと思う。

最上級のマテリアルを一切の妥協の無い環境で最高の腕を持った職人がアセンブルする事により、あの存在感が生まれるのだ。


話を戻そう。

このように一度クオリティの低いアイテムを世に出してしまうと、その悪いイメージだけ残り、その後も『あのクオリティ』は相手(ディーラーや顧客)にとって警戒すべき材料の一つになってしまい、結果的に自らハードルを一つ増やす事になる。


著者も含め、世の中には食わず嫌いな人も少なくない。 
一度そんなイメージや噂が出たら、自らは進んで手にする事もないし、あえて検証したりもしないだろう。

この噂と言うのが厄介で、根も葉もないような事でも最後にthat's word on the streetと言ってしまえば大抵のブラザー達は納得してしまう。


差し替えブランドはいくらでもあり、販売店は効率よく売れるヘルシーな商品やブランドを探している。 

長年かけて築きあげたストーリーで、ようやく手にしたあのお店の販売スペースはあっと言う間に無くなり、一瞬でマーケットを失うのだ。



人もブランドもそうだが、一度崩れた信頼を取り戻すには、一朝一夕にはいかない、下手したらゼロから築き上げるより難しいかもしれない。


信頼は実績を超える事ができるが、実績だけでは信頼を超える事ができないのだ。


著:ルイテック

#ある金曜日の記憶


10年前なら考えられなかったが、金曜だからと言って特段用事もなく真っ直ぐ帰宅する事が多くなった。


用事がないと言うよりもあえて作らないようにしたと言った方が近いかも知れない。

開放感からか、疲労がドッと出るのも大抵金曜だ。


その日も帰宅し玄関のドアを開けるとセンサーライトが著者を無機質に迎えてくれた。
その明かりの中で財布やタバコをシューズボックスの上に出し、ポケットを空にするのが慣例となっている。

携帯をゴトリと置くと、メッセージの受信を知らせるLEDが点滅していた。
キャップを脱ぎ、ベッドに倒れこみながらメッセージを確認すると、かれこれ10年以上会ってない友人からだった。

携帯番号を一度も変えてないと、こういった再会もあるのかと少し驚いた。
嫁と子供が旅行に出ていて久しぶりに一人な事、急に会える友達は誰も捕まらなかった事が手短に書かれていた。

『どーせ暇してんだろ?』の一文に失礼なヤツだと思いながもニヤリとした。 


昔から勘だけは鋭い。
飯でも奢らせてやろう。

程なくして、ヤツはウチの下までやってきた。
79年式のモンテカルロに乗ってた頃からは想像も付かないトヨタのファミリーカーで現れたヤツは若干太っていたものの、まだなんとか甘いマスクは保っているようだった。

今は当時から続けていた職人として独立し、家を建て二人目の嫁と子供で暮らしているようだ。
しばらく車を走らせながら、くだらない昔話しに花を咲かせる。

久しぶりだったが、お互い何の違和感もなくその空間の一部となった。
ボリュームを絞ったラジオからはFMヨコハマのジングルが薄っすらと聞こえてきた。

後部座席にはこびと大図鑑と書かれた本とチャイルドシート、ウェットティッシュのボトルが目に入った。

するとヤツは『タバコある?』と聞いてきた。
著者は、持ってるけど灰皿ないし禁煙じゃないのか?と尋ねたが今日は特別らしい。

これから灰皿になる缶コーヒーをぐいっと飲み干すとコトンとセンターのドリンクホルダーに置いた。

ただ窓は開けるようにと念を押してきた。


いい年した男が二人して車外に向かって煙を吐く様は滑稽だったが、なんだか昔を思い出した。
その事を口に出そうとした次の瞬間には信号待ちで並んだ軽自動車にクラクションを鳴らして、若い女性に手を振ってシカトされている。

著者ならそれだけで心が折れて立ち上がれないが、ヤツはヘラヘラしたままだ。
相変わらずで少し安心した。


道が海沿いに近づいた時に、何気なくコンソールの再生ボタンを押したら娘が好きなアニメ?漫画?の歌が流れてきた。

ヤツは全部歌える事を誇らしげに伝えてきた。

暖かくなり夜でも賑やかになってきた海沿いを走りながら、あの頃から変わってない点と、昔のヤツからは考えられないような点が混在する不思議な時間を過ごした。

腹も空いてきた。 著者は今回の再会の最大の目的である飯を奢らせる計画を実行に移す。

まず、著者のタバコ1本がいかに高価かを伝えるプレゼンテーションから始める事にする。
だいぶ前に携帯を家に忘れた事に気が付いたが、今日はそれでよい気がした。



‪#‎ある金曜日の記憶‬


著:ルイテック

#福富町の記憶


自動ドアが開くと店員は箸を止め『お好きな席ドゾー』と言った。

厨房に一番近いテーブルでは賄いが振る舞われていた。


店内に客はいない。

著者の来店に慌てる様子もなく従業員が食事を続けているが、この辺では特に珍しい事じゃない。


いつのか分からないスポーツ新聞が置きざりにされた席の隣に腰を下ろすと、著者はメニューも見ずに『かに玉ー』とだけ言った。

食事を済ませた店員が水を置いて行ったが、これがオーダーが入った証拠でもある。


フト、この店に正式にかに玉というメニューがあるのか疑問が浮かんできたが、厨房からはお玉と鉄鍋がガチガチと勢いよくぶつかり合う音が聞こえてきた。

テレビの音声は完全に遮られたが、画面を眺めているだけでも明日の天気は分かったし、著者に
何の支障をきたす事はなかった。


テレビを眺めるのにも飽き、スマホを開こうとした時にスープと一緒にそれは運ばれてきた。

上品か下品かで言えば、決して上品ではない。

繊細な味付けや盛り付けとは程遠い。


著者の舌には化学調味料の味付けなのかどうか知る由もないが抜群にうまい事は確かだ。

三口程食べスープを飲んだ時、店の外で外国人の女達が物影にスッと隠れるのが見えた。


すると山ほどある違法駐車の間をゆっくりとパトカーが通りすぎていった。



そう。ここは横浜有数の歓楽街、福富町。

様々な人種が共存している。



著:ルイテック

#6月15日の記憶


彼はゴクリと一口飲みこむと顔をほころばせながら「おいしいですね、嫁にも飲ませてやりたいなぁ」と額の汗も拭わずに言った。

著者に対してというよりも、自然に口を突いて出たその一言は優しさに溢れていた。
虚を突かれた著者は、あははと軽い相槌を打つ事しかできなかった。


彼とはここ7、8年の付き合いだが、出会ってから今までの間に彼は自分の家族を持っている。


明け方のコンビニの前で缶チューハイを片手に、答えの出ない話を黙って聞いた事もあった。
今までの過程を遠からず近からずで見守ってきた著者にとってはなんだか感慨深い一言だった。

夏前にしてはやけに暑い午後だったが、心地よい風が運河を吹き抜けていった。


著:ルイテック
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>